ハリー・ポッターの夏休み「不死鳥の騎士団」前編(12)(28回シリーズ)

バーノン叔父さんはハリーに向かって何度も何度も繰り返し「出て行け!」と言いました。ハリーが我が家にいたために数々の災難が降りかかって来たからだとも言いました。ところがそこに5羽目のふくろうが赤い封筒を持って煙突から台所に入って来ました。ハリーはその赤い封筒を受け取ろうとしたのですが・・・(全3項目)

3-1.出て行け!
「さあこれで決まりだ。小僧!この家を出て行って貰うぞ!」バーノン叔父さんにこう言われてハリーは「えっ?」と言いました。叔父さんの大声にペチュニア叔母さんやダドリーでさえも思わず飛び上がるほどだったのでした。

「聞こえたろう。出て行け!出て行け!出て行け!とっくの昔にそうすべきだった!」

何故ならばふくろうはここを休息所扱いするわデザートは破裂するわ客間の半分は壊されるわダドリーに尻尾は生やされるわマージ叔母さんは膨らんで天井をポンポンするわその上に空飛ぶフォード・アングリアなんだそうです。

「出て行け!出て行け!もうお終いだ!お前の事は全て終わりだ!」

叔父さんは「出て行け!」をこれでもかというぐらい連呼しました。狂った奴つまり吸魂鬼がハリーを追っているならここに置いておけん。ハリーのせいで妻と息子を危険に晒しはしない。ハリーにはもう面倒を持ち込ませない。

ハリーが碌でなしの両親と同じ道を辿るのならわしはもう沢山だ。だからハリーはこの家を出て行けと叔父さんはそう言うのです。しかしハリーはその場にまるで根が生えたように立っていました。手紙でこう言われたからです。

「何があろうとも決して家を離れてはいけない。叔父さん、叔母さんの家を離れないよう」

叔父さんは「聞こえたな!」と言うと今度はのしかかって来ました。叔父さんのその顔がハリーの顔に激しく接近し唾が降りかかるのが感じられるほどでした。行けばいいだろう!30分前にはあんなに出て行きたがったお前だ!

大賛成だ!出て行け!二度とこの家の敷居を跨ぐな!そもそも何で自分たちがハリーを手元に置いたのか分らんとまで叔父さんは言いました。孤児院に入れるべきだった。自分たちがお人好し過ぎたと叔父さんはそう言うのです。

ところがだったのです。

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ハリー・ポッターの夏休み「不死鳥の騎士団」前編(11)(28回シリーズ)

ハリーは疲れて怒る気力さえ失っていました。さらにはヴォルデモートに両親を殺害された事を思い出して辛い思いを抱いていました。しかしバーノン叔父さんはそんなハリーの心情など微塵も察しようとしないばかりかハリーの話を一通り聞いたかと思うと・・・(全3項目)

3-1.何故吸魂鬼はリトル・ウィンジングに現れた?
今夜何が起こったのか本当の事を言え。吸魂鬼とかがダドリーを傷つけたのなら何でお前が退学になる?お前は「例のあれ」つまりは魔法をやったと自分で白状した。バーノン叔父さんはこう言って更なる説明を求めて来ました。

ハリーは深呼吸をして気を落ち着かせました。また頭が痛み始めていました。何よりもまずは台所から出てダーズリー一家から離れたいとハリーはそう思いました。ハリーは必死で平静さを保ち叔父さんにこう説明したのでした。

「僕は吸魂鬼を追い払うのに守護霊の呪文を使った。あいつらに対してはそれしか効かないんだ」

すると叔父さんは今度は吸魂鬼とかは何でまたリトル・ウィンジングにいたと憤激して訊きました。その問いにハリーは「教えられないよ。知らないから」と答えました。ハリーは今度は台所の照明で頭が痛くなって来ました。

怒りは段々収まって来ましたがハリーは力が抜けひどく疲れていました。ダーズリー一家はハリーをじっと見ていました。ハリーは疲れて怒る気力さえ失っていましたがそんな事も一切お構いなく叔父さんはこう言って来ました。

「お前だ。お前に関係があるんだ。小僧判っているぞ。それ以外ここに現れる理由があるか?それ以外あの路地にいる理由があるか?お前がただ1人の。ただ1人の。このあたり一帯でただ1人の例のあれだ」

叔父さんが「魔法使い」という言葉をどうしても口にできないのは明らかでした。そんな叔父さんにハリーは「あいつらがどうしてここにいたのか僕は知らない」と答えながらも疲れ切ったハリーの脳みそが再び動き出しました。

何故吸魂鬼がリトル・ウィンジングにやって来たのか?自分が路地にいる時奴らがそこにやって来たのは果たして偶然なのだろうか?誰かが奴らを送ってよこしたのだろうか?魔法省は吸魂鬼を制御できなくなったのだろうか?

奴らはアズカバンを捨ててダンブルドアが予想した通りヴォルデモート側についたのか?そんな「何故吸魂鬼はリトル・ウィンジングに現れたのか?」をハリーが考えている道筋に叔父さんは傍若無人に踏み込んで来たのでした。

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ハリー・ポッターの夏休み「不死鳥の騎士団」前編(10)(28回シリーズ)

魔法省から2通目の手紙が届いてとりあえずハリーは杖を保持してもいいという事になりました。しかし全ては8月12日に行なわれる懲戒尋問で決まるようです。ハリーは自分の部屋に戻ろうとしましたがバーノン叔父さんがそれを止めました。ハリーが事の経緯を説明していると・・・(全3項目)

3-1.今夜3通目のふくろう便が届いて
3羽目のふくろうも配達を終えるとハリーが手紙を開封している間に戻って行きました。バーノン叔父さんは気を削がれたように「沢山だ。くそ。ふくろうめ」と呟くと再び窓際まで行ってふくろうが入って来た窓を閉じました。

手紙の内容は魔法省からで約22分前の当方からの手紙に引き続き貴殿つまりハリーの杖を破壊する決定を直ちに変更したと書かれていました。ハリーは8月12日に開廷される懲戒尋問までは杖を保持してもいいとの事だそうです。

公式決定は当日下される事になる。ホグワーツ魔法魔術学校校長つまりダンブルドアとの話し合いの結果魔法省はハリーの退学の件についても当日の8月12日に決定する事に同意した。それまでハリーは停学処分扱いだそうです。

ハリーはこの手紙を立て続けに今度は3度も読みました。まだ完全には退学になっていないと知って胸に支えていた惨めさが若干緩みました。しかし恐れが消え去ったという事ではなく8月12日の懲戒尋問に全てがかかっている。

「それで?今度は何だ?何か判決が出たか?ところでお前らに死刑はあるのか?」

叔父さんがこう言って来てハリーは今の状況を思い出しました。叔父さんは「いい事を思いついた!」とばかりに「死刑はあるのか?」という言葉を付け加えました。これにハリーは「尋問に行かなきゃならない」と答えました。

「そこでお前の判決が出るのか?」と叔父さんが訊くのでハリーは「そうだと思う」と答えました。それを聞き叔父さんは「それではまだ望みを捨てずにおこう」と意地悪く言いハリーは「じゃもういいね」と立ち上がりました。

1人になりたくて堪らなかったからでした。考えたい。それにロンやハーマイオニーとシリウスに手紙を送ったらどうだろうとハリーは思いました。そんなハリーに叔父さんが話はまだ終わっていないとばかりにこう喚きました。

「駄目だ。それでもういいはずがなかろう!座るんだ!」

ハリーは苛立ってこう訊きました。

「今度は何なの?」

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ハリー・ポッターの夏休み「不死鳥の騎士団」前編(9)(28回シリーズ)

息子のダドリーをこんな風にしたのはハリーに決まっている!そう確信していたダーズリー夫妻はダドリーに囁きかけました。そんな2人にハリーはダドリーをそうしたのは吸魂鬼だと繰り返し言いました。すると吸魂鬼とは一体何なんだというバーノン叔父さんの問いに答えたのは?(全3項目)

3-1.あくまでも悪者はハリー
ハリーは魔法省の役人が近づいて来るかもしれないと耳をそばだて外の物音を聞き逃さないようにしていました。それに質問に答えているほうが怒ったり吼えたりせず静かで楽だったのでバーノン叔父さんの問いに答えました。

「二番目のは友人のロンのパパから。魔法省に勤めてるんだ」

この答えを聞き叔父さんは大声で「魔法省?お前たちが政府に?ああそれで全て判ったぞ。この国が荒廃するわけだ」と言いました。ハリーが黙っていると叔父さんはハリーを睨んだかと思うと吐き捨てるようにこう言いました。

「それでお前は何故退学になった?」

ハリーが「魔法を使ったから」と答えると叔父さんは冷蔵庫のてっぺんを拳で叩きながら「はっはーん!」と吼えました。すると冷蔵庫が開いてダドリーの低脂肪おやつが幾つか飛び出して引っくり返ると床に広がったのでした。

「それじゃお前は認めるわけだ!一体ダドリーに何をした?」

ハリーが魔法を使ったと言ったので叔父さんはこう言いました。あくまでも悪者は常にハリーというスタンスは変えないというわけです。ハリーは「何にも。あれは僕がやったんじゃない」と答えながら少し冷静さを失いました。

すると出し抜けにダドリーが「やった」と呟きました。ダーズリー夫妻はすぐさま仕種でハリーに「お前は口を挟むな」と示してハリーを黙らせるとダドリーを覆い被さるようにして覗き込みました。叔父さんがこう言いました。

「坊主続けるんだ。あいつは何をした?」

ペチュニア叔母さんもそんなバーノン叔父さんを援護するようにダドリーに向かって「坊や話して」と囁きました。ダドリーは「杖を僕に向けた」と言いました。それは確かに事実でした。でもハリーは魔法を行使してはいません。

そこでハリーは「ああ向けた。でも僕使っていない」と怒って反論しました。しかしバーノン叔父さんとペチュニア叔母さんが同時に「黙って!」と吼えて叔父さんがダドリーに「坊主続けるんだ」と繰り返したというわけです。

ところがだったのです。

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ハリー・ポッターの夏休み「不死鳥の騎士団」前編(8)(28回シリーズ)

声を取り戻したダドリーが「あいつ」と言ったがためにハリーは台所に入らなくてはならなくなりました。例によって例の如くダーズリー夫妻は「悪い事は全部ハリーのせい」と言わんばかりの態度を取って来ました。そこに二羽のふくろうがハリーへの手紙を持って来ました。(全3項目)

3-1.コノハズクが窓から入って来て
「やってない!僕はダドリーに何にもしていない。僕じゃない」こう言った後ハリーがダドリーをそうしたのは吸魂鬼だと言おうとしたその時です。コノハズクが窓から台所に入って来てハリーの足元に手紙を落としたのでした。

役目を終えたコノハズクは優雅に向きを変え飛び去って行きました。ふくろうに頭越しに飛ばれたバーノン叔父さんは「ふくろうめ!」と喚きこめかみに毎度お馴染みの怒りの青筋を浮かべふくろうが入って来た窓を閉じました。

「またふくろうだ!わしの家でこれ以上ふくろうは許さん!」

こう抗議した叔父さんでしたがハリーはそれを一切無視して封筒を破ると手紙を引っ張り出していました。それは魔法省からハリーに届いた二通目の公式警告状で「我々の把握した情報によれば」という文言で始まっていました。

そして貴殿つまりハリーは今夜9時23分過ぎにマグルの居住地区にて加えてマグルの面前で「守護霊の呪文」を行使した。そのため「未成年魔法使いの妥当な制限に関する法令」の重大な違反によりホグワーツを退校処分となる。

魔法省の役人がまもなくハリーの住居に出向いてハリーの杖を破壊するであろうと書かれていました。そして最後にハリーには既に「国際魔法戦士連盟機密保持法」の第13条違反の前科があるので懲戒尋問への出席が要求される。

尋問は8月12日の午前9時に魔法省にて行われるとそう書かれていました。ハリーはこの手紙を二度読みました。ハリーはバーノン叔父さんとペチュニア叔母さんが話しているのをぼんやりとしか感じ取る事ができない状態でした。

頭の中が冷たくなり痺れています。たった1つの事だけが毒矢のように意識を貫き痺れさせています。自分はホグワーツを退学になった。全てお終いだ。もう戻れない。奈落の底に落とされたハリーはダーズリー一家を見ました。

そしてハリーは次の行動に移ろうとしました。

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