リーマス・ルーピンは優秀な開心術士(前編)

ルーピン先生はアズカバンの囚人183ページで(携帯版199ページ)ハリーたちの「闇の魔術に対する防衛術」の最初の授業の時、何故かハリーとハーマイオニーがまね妖怪と戦うことを回避します。その理由はつまり・・・一番怖いモノ(ハリーの場合はヴォルデモートと吸魂鬼)をどうやったら恐ろしくない姿に変えられるのか、心の準備ができていなかったからですよね?じゃあどうしてそんなことがわかったのか。それはリーマス・ルーピンは優秀な開心術士だからだと私は思います。

ルーピンが人の心というか、ハリーの心を読んでいるシーンは第3巻と第5巻の各所に出て来ています。

アズカバンの囚人第8章、「太った婦人の逃走」204ページ
 (携帯版223ページ)
「それじゃ、わたしが、君にはまね妖怪と戦う能力がないと思った。
 そんなふうに考えていたのかい?」
ルーピンは鋭く言い当てた。

アズカバンの囚人、第10章忍びの地図242ページ
 (携帯版267ページ)
「弱いかどうかとはまったく関係ない」
まるでハリーの心を見透かしたかのようにビシッと言った。

不死鳥の騎士団上巻第3章、先発護衛隊84ページ
「君を迎えにいきたいと名乗りを上げる人が、
 びっくりするほどたくさんいてね」

ルーピンが、ハリーの心を読んだかのように、
 口の両端をひくひくさせながら言った。

リーマス・ルーピンがどうして優秀な開心術士になったのか?それはやはり彼の正体が狼人間だったことに他ならないでしょう。魔法界では今でも狼人間に対する差別意識が相当強く残っていることはロンの反応から見ても明らかです。(アズカバンの囚人446ページ、携帯版499ページ)そういった事情もあって彼はおそらく開心術を身につけたのではないか?と私は思います。(後編につづく)
リーマス・ルーピンは優秀な開心術士(後編)

アズカバンの囚人の第17章猫、ネズミ、犬449ページ(携帯版では502ページ)でルーピン先生は「忍びの地図をしっかり見張っていたんだ」と言っていますが、その時地図には透明マントをかぶってハグリッドの小屋に行くハリー・ロン・ハーマイオニーがいて、さらに箒置き場にもハリーとハーマイオニーがいて、つまりハリーとハーマイオニーが2人存在していたことになりますよね?じゃあどうしてルーピン先生は「ハリーとハーマイオニーが2人いる!」と驚かなかったのか?つまりこういうことだと私は考えます。

ルーピンはおそらくハーマイオニーの心を開いた時に、ハーマイオニーがタイムターナーを持っていることを知ったので、透明マントをかぶってハグリッドの小屋に行くハリー・ロン・ハーマイオニーと箒置き場にいるハリーとハーマイオニーの両方を見ても驚かなかった。また叫びの屋敷のハリーとハーマイオニーは、今自分たちが2人存在していることを当然知らないのですから説明する必要はない。こう考えれば全て辻褄が合いますよね。

リーマス・ルーピンが優秀な開心術士であるということを念頭に置いてアズカバンの囚人(443ページ~、携帯版では495ページ~)でリーマス・ルーピンとシリウス・ブラックが「叫びの屋敷」で12年ぶりに再会したところを読み返すと、今までとは全く違った気持ちで読むことができて面白いですよね。私などは「このこと」に気づいてから初めて読み返した時はもうゾクゾク・ワクワクしましたね~ぇ。

ルーピンはブラックの心を読もうとするかのように、じっと見つめながらつぶやいた。(シリウスの心を開こうとしているところ)

ルーピンは急に目を見開いた。まるでブラックを通り越して何かを見ているような、他の誰にも見えないものを見ているような目だ。(まさに今シリウスの心を開いた瞬間)
ハニーデュークス店で新商品のチェックに余念のないルーピンを見て

ジェームス
「ムーニー最も早く新商品情報を入手する方法を考えたぞ!」
リーマス
「どんな方法なんだい?プロングズ」

ジェームス(さりげない口調で)
「ほら、あの店って地下に倉庫があるだろう?」
「だからそこまでトンネルを掘ってだな・・・」
「倉庫に入荷した段階でチェックするのさ!」

ピーター
「ちょ、ちょっと、それってかなりヤバイ方法じゃないの?」
シリウス
「別にいいんじゃないの?見るだけなら」
リーマス
「・・・・・・・・・・」
ピーター
「・・・・・・・・・・」

シリウスのあまりに大胆な発言に言葉を失う2人、しかーし

ジェームス(あくまでも冷静な口調で)
「パッドフットの言うとおりだと思うんだけど、どうする?」
シリウス
「俺はどっちでもいいんだぜ!」
「どうする?ムーニー・ワームテール」
ピーター
「・・・・・・・・・・」(↑2人にあきれてる)
リーマス
「・・・しょうがないな~ぁ。プロングズは・・・」
「言い出したらやらないと気が済まないんだから・・・」
    (と言いつつうれしそうなルーピン)

というわけで、ルーピンが城の中をくまなく調査した結果「隻眼の魔女ばあさん」を基点にしたあのトンネルが作られたのでした。メデタシ・メデタシ(???)

この「リーマス・ルーピン甘党説」については、とあるハリポタ関連のサイトで私が見かけたモノで、どうしてルーピン先生が甘党なのか?という根拠はアズカバンの囚人205ページ(携帯版224ページ)の薬に砂糖を入れるという発想が元になっているそうです。

ハリーはフレッドとジョージから譲り受けた「忍びの地図」でホグズミード村に行きますが、長いトンネルの出口がどうしてハニーデュークス店の地下倉庫なのか?そこで私はこのような経緯であのトンネルは作られたのではないか?と思って、こんなのを作ってみました。

アズカバンの囚人第5章でルーピン先生は吸魂鬼のシリウス・ブラック捜索の後、巨大な板チョコを割ってハリーたちに配っていますが、ホグワーツ特急が吸魂鬼の捜索を受けることを予想して用意していた・・・というよりは甘党のルーピン先生としては常にカバンの中に「甘いもの」が入っていないと気持ちが落ち着かない。だから必ず「チョコレート」を常備しているのではないか?と私は思います。(少し妄想交じりカモ?)
以前に紹介しましたが炎のゴブレット下巻103ページではスネイプとカルカロフがイゴール・セブルスと互(たが)いをファースト・ネーム(名前)で呼び合っています。362ページではカルカロフがセブルス・スネイプは死喰い人だと言っていますから、おそらく2人は死喰い人時代に知り合って友人関係になったんでしょうね。

また265ページではシリウスがスネイプは死喰い人だと非難されたことはないと言っています。ここからカルカロフはスネイプが死喰い人であることを知っていた数少ない人間の1人だったということになります。

これも以前に言いましたが、ヨーロッパでは相当仲のいい友人関係にならない限りお互いをファースト・ネーム(名前)で呼び合わないことが習慣になっています。ですからこのことを念頭に置いてハリポタを読むとやはり個々の交友関係などが判ってきたりします。

例えば秘密の部屋295~296ページではアーニー・マクミラン、ジャスティン・フィンチ・フレッチリー、ハンナ・アボット、スーザン・ボーンズの4人は互いに相手のことを「ジャスティン」「アーニー」「ハンナ」とファースト・ネームで呼んでいます。この4人についてはホッグズ・ヘッドで行われた最初のDA会合でも一緒にパブに入って来ていることは指摘していますし、ここからも「この4人」は大変仲がいいんだということが分かったりします。

また全く逆の例としてはマクゴナガル先生は生徒を決してファースト・ネームでは呼びません。
「ポッター」「グレンジャー」「ウィーズリー」
(アズカバンの囚人117~118ページ)
(携帯版127~128ページ)
「ロングホトム」
(アズカバンの囚人196ページ、携帯版213ページ)
(炎のゴブレット上巻368ページ)
「ジョーダン」
(アズカバンの囚人338ページ、携帯版375ページ)
「トーマス」
(炎のゴブレット上巻363ページ)
「ミス・ジョンソン」
(騎士団上巻500ページ)
「フィネガン」「ブラウン」
(騎士団上巻502ページ)

やはり厳格で聡明そのもの(賢者の石199ページ)のマクゴナガル先生。きちんとけじめをつけています。グリフィンドール寮の寮監でありながら時にはグリフィンドール寮からも減点してしまうという「この人」ならではですよね。

その一方でスネイプはドラコ・マルフォイのことを「ドラコ」とファースト・ネームで呼んでいます。つまりスネイプとマルフォイ家は家族ぐるみの付き合いのようです。(騎士団下巻342ページ)

さて・・・ちょっと(かなり?)前置きが長くなってしまいましたが、ルーピン先生はアズカバンの囚人のホグワーツ特急内でハリーとは初対面だったにも関わらずいきなりハリーのことをファースト・ネームで呼んでいます。(115ページ、携帯版124ページ)

またハリーたちの最初の闇の魔術に対する防衛術の授業の際にもルーピン先生は生徒全員をファースト・ネームで呼んでいます。ロンにいたってはいきなり『ロン』です。(173ページ、携帯版188ページから)

「ディーン」「ネビル」「パーバティ」「シェーマス」「ロン」
「ハリー」そして最後に「ハーマイオニー」どうしてなんでしょう?

ハッキリ言って、初対面でいきなりファースト・ネームで呼ぶというのは相当異例なことです。これはもちろんあくまでも私の推測ですが、ルーピン先生はハリーのことを『ハリー』とファースト・ネームで呼びたかった。だからこうしたんじゃないか?と思います。何といっても自分のために未登録の動物もどきにまでなってくれた大親友の一人息子ですから・・・

でもハリー1人だけ特別扱いするわけにはいかない。だから、だったら、いっそのこと生徒全員をファースト・ネームで呼んでしまおうと考えて、こうしたんじゃないかな?と私は思います。
ローリングさんは第1巻賢者の石ではありませんでしたが、ハリーが「闇の魔術に対する防衛術」の先生の部屋に行く場面を作るよう心がけているような気がします。アズカバンの囚人でもそんな場面が出て来ています。(201ページ、携帯版219ページから)ここは私が大変気に入っているところで今まで何回も何回も繰り返し読み返したページです。

以前の記事でリーマス・ルーピンは『優秀な開心術士』だと発表しましたが、それを念頭に置いて読み返すと大変楽しく読むことができます。

ローリングさんもそういったことを意識して、わざわざハリーが頭に思い浮かべただけで口に出して言わなかったことまで書き込んでいます。

ハリーはマグノリア・クレセント通りで見かけた犬のことを、ルーピンに打ち明けようかと思ったが、思い止まった。(202ページ、携帯版221ページ)

ルーピン先生がハリーに「お茶の葉はうんざりだろう」「マクゴナガル先生が教えてくれた」という言葉も今一度改めて読み返してみると実に意味深ですよね。どうやって?教えてもらったのか?当然ほとんどの読者は「マクゴナガル先生の口から直接聞いたんだろう」と思っているのでしょうが、私はおそらくルーピン先生はマクゴナガル先生の心を開いて知ったんだと思います。「ルーピンの目がキラキラ輝いていた」というのがカギだと私は見ています。

そこへドアをノックして入って来たのは例の「満月の前1週間飲みさえすれば自分の心を保つことができる」という薬を持ったスネイプでした。(456ページ、携帯版511ページ参照)

この場面で大変興味深いのは学期の最初の日にルーピン先生が生徒たちに紹介されていた時やルーピン先生の代理でハリーたちに教えた際には、あれほどルーピンに対する敵意や嫌悪感をあからさまにしていたのに、何故かここでは感情を表に出さないスネイプの姿です。2人に背を向けず後ずさりして部屋を出ていきました。(123・222ページ、携帯版133・243ページ参照)

私はおそらく『優秀な閉心術士』であるスネイプはルーピンがやはり『優秀な開心術士』であることを知っている・気づいていると思います。ルーピンは余裕を持って朗(ほが)らかにスネイプと接しているのに対して、この場面でのスネイプは感情を押し殺して接しているという印象を私は受けます。

ルーピンがスネイプのことを「セブルス」と名前で呼んでいるのに対して、スネイプのほうは「ルーピン」と苗字で呼んでいるあたりや後ずさりして部屋を出て行ったのも「油断すると、心の内を見透かされてしまう」といった思いから来る「心の余裕」の差がそうさせているのでいるのではないか?と私は思います。