絶体絶命のピンチから何とか脱出したハリーとハーマイオニーだったのですが、杖を失ったハリーの怒りの矛先は再びダンブルドアに向けられたのでした。そしてさらに追い打ちをかけるように・・・(全3項目)

3-1.ダンブルドアへの怒り
肉体的な痛みに耐えようとしているかのようにハリーは無意識に指を両腕に食い込ませていました。ハリーはこれまでも数え切れないほど血を流したり怪我を負ったりして来ました。

しかし今ほど致命的に弱ったと感じたことはありませんでした。ハリーは双子の尾羽根の護りを失いました。失って初めてハリーは自分がどんなに杖に頼っていたのかを思い知ったのでした。

ハリーは2つに折れた杖をポケットから引っ張り出し目を背けたまま首に掛けたハグリッドの巾着袋にしまい込みました。袋は既に壊れた物や役に立たない物で一杯になっていました。

杖を入れた時ハリーの手がダンブルドアが遺した「あの」古いスニッチに触れました。一瞬ハリーはスニッチを袋から出して投げ捨ててしまいたいという衝動と戦わなくてはなりませんでした。

ダンブルドアの遺した物など不可解で何の助けにもならない。グリフィンドールの剣も古いスニッチも全てそうだ。今やダンブルドアに対する怒りが溶岩のように噴き出していたハリーだったのでした。

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どうやらハリーとハーマイオニーが出会った魔女はバチルダ・バグショットのようでした。しかし何だか様子が変なのです。さらにハリーがそこで見たものは?そしてハリーはさらなる試練を背負うことに・・・(全3項目)

3-1.バチルダの正体は?
ハリーは繰り返し写真の男は誰なのか?とバチルダに訊ねましたがバチルダは答えようとしません。そればかりか一言も口を利かず身振り手振りでハリー1人だけに2階へ来いと促したのでした。

ハリーはハーマイオニーにダンブルドアが剣を僕だけに渡すようにと言ったんじゃないかな?と言って部屋を出るとバチルダに従(つ)いて行きました。

部屋から出る時ハリーはバチルダにもハーマイオニーにも気づかれないように男の写真を上着の内側に滑り込ませました。階段は狭くて急でバチルダは今にも落ちてきそうでした。

バチルダは少し喘ぎながら2階の踊り場まで上り、そこから急に右に折れて天井の低い寝室へとハリーを導きました。ハリーが杖先に灯りを点すと途端にハリーはどきりとしたのでした。

真っ暗になってから「ほんの数秒」しか経っていないのにバチルダが目の前に来ていたのです。しかもハリーには近づく気配さえ感じ取れませんでした。「ポッターか?」とバチルダが囁きました。

ハリーがそうだと答えるとバチルダは重々しくゆっくりと頷きました。そしてバチルダが目を閉じると瞬時に幾つものことが同時に起こったのでした。ハリーの傷痕がチクチクと痛み分霊箱が・・・

ハリーのセーターの前がハッキリ飛び出るほどぴくりと動いてハリーのいた部屋が一瞬消え去りました。ハリーは喜びに心が躍り冷たい甲高い声でしゃべっていました。

「こいつを捕まえろ!」

「僕に、何か渡すものがあるのですか?」とハリーが二度目に訊いた時バチルダは今度は先に立って歩こうとはせず部屋の隅にある化粧台を指差しました。バチルダから目を離さないようにして化粧台にたどり着くと・・・

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物心ついてからは初めて生家を訪れたハリーだったのですが、そんなハリーとハーマイオニーに近づいて来る女性がいたのでした。ひょっとしてバチルダ・バグショット?(全3項目)

3-1.初めて見る生家
ポッター夫妻の墓参りを終えて2人が出口の小開き門に向かっているとハーマイオニーがハリーに立ち止まるようにと言ってきたのでした。誰かの視線を感じると言うのです。

ハリーは墓地に取り憑くゴーストなのでは?と思いましたが、その時ハーマイオニーが指差す植え込みからサラサラと音がして落ちた雪が小さな雪煙を上げるのが見えました。ゴーストは雪を動かすことはできないはずです。

猫か小鳥かもしれない死喰い人だったら僕たち既に死んでいるさとハリーは強がりを言って2人は出口に急ぎました。しかし墓地から出る途中で2人は何度も後ろを振り返ったのでした。

ハーマイオニーには大丈夫と請け合ったもののハリーの内心は穏やかではありませんでした。一瞬ハリーはクリスマス・キャロルの歌声が響くバブに避難しようとハーマイオニーに言おうとしましたが・・・

ハリーが口を開くより早くハーマイオニーが「こっちへ行きましょう」と言ってハリーを暗い小道に引っ張り込みました。すると見えたのです。「あの家」が見えたのです。

「忠誠の術」はどうやらジェームズとリリーの死と共に消えたようでした。ハグリッドが瓦礫の中からハリーを連れ出して以来16年が経ちハリーの生家の生垣は伸び放題になっていました。

ハリーは「透明マント」の下から手を出して雪まみれの錆ついた門を握り締めました。開けようと思ったわけではなく家のどこかに触れたかったのです。すると目の前のイラクサや雑草の中から・・・

金色の文字で書かれた木の掲示板が迫り上がって来たのでした。掲示板には16年分の落書きの上にハリーを応援する真新しい落書きが書き加えられていたのでした。

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念願叶って初めて両親の墓を訪れることができたハリーだったのですが、同時にハリーがそこで見たものは?ハーマイオニーが見つけたイグノタスの墓と「あの印」とハリーの関係は?(全3項目)

3-1.ゴドリックの谷へ
バチルダ・バグショットが「グリフィンドールの剣」を持っている?

ハリーは「その可能性」をよく考えてみました。しかしもしそうだとすればダンブルドアはかなりの偶然に賭けたことになります。剣を贋物とすり替えたことをダンブルドアは一度も明かしてはいませんでしたし・・・

バチルダと親交があったことについてはハリーには一言も言っていなかったのです。それでもハリーの一番の願いにハーマイオニーがここまで驚くほど積極的に賛成している今は疑義を差し挟む時ではないと・・・

行くと決めたらハリーは翌日にでも出発したいと思ったのですがハーマイオニーの考えは違っていました。両親の死んだ場所にハリーが戻ることをヴォルデモートは予想しているに違いないと確信していたからです。

ハリーの心は踊りました。まもなく故郷に帰るのだ。ヴォルデモートさえいなければゴドリックの谷こそがハリーが育ち学校の休暇を過ごす場所になるはずだったのです。

ハリーとハーマイオニーは「透明マント」を被ったまま一緒に「姿現わし」と「姿くらまし」が完璧にできるように練習してから、ポリジュース薬で中年の目立たないマグルの夫婦に変身して・・・

ゴドリックの谷に向かったのでした。

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ロンのいないベッド、ロンのいないテント、そして無言で取った朝食・・・絶望のどん底に突き落とされたハリーとハーマイオニーだったのですが2人の思いが一致してハリーはゴドリックの谷へ!(全3項目)

3-1.行ってしまった
次の朝目覚めたハリーは全てが夢ならいいのにと思いました。しかし枕の上で首をひねると下のベッドに寝ているはずのロンはいませんでした。現実がハリーの心に重くのしかかって来たのでした。

無言で朝食を終えたあと2人はのろのろと荷造りをしました。ハリーもハーマイオニーも微かな希望を抱いて何度も目を上げたり見回したりしましたがロンはついに現れませんでした。

「姿くらまし」で次の場所に到着した時ハーマイオニーはすぐに手をほどいてハリーから離れ大きな岩に腰を下ろしてしまいました。膝に顔を埋めて身を震わせているのを見れば泣いているのが判りました。

慰めるべきだと思っても何かがハリーをその場に釘づけにしていました。体中の何もかもが冷たく張り詰めていました。いつもはハーマイオニーがかけていた保護呪文を今日はハリーがかけたのでした。

それからの数日間は2人はロンのことを全く話題にしませんでした。ハリーはロンの名前を二度と口にするまいと心に誓っていましたし、ハーマイオニーは「この問題」を追及しても無駄だと判っているようでした。

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何か大きなものが動き回る音や物が擦れ合う音に混じって石や小枝が押し退けられる音がしたので相手は複数のようでした。テントに近づいて来たのは「敵?」「味方?」と思ったら・・・(全3項目)

3-1.テッド・トンクスとグリップフック
「ママは―」「何にもないところから、おいしいものを作り出せるんだ」

ある晩ウェールズのとある川岸に野宿しているとロンの「この一言」から再び食事を巡る言い争いが始まったのでした。ハリーは反射的にロンの首を見ましたが「やっぱり!」という感じで・・・

やはりそこには分霊箱の金鎖が光っていました。ロンに向かって悪態を吐きたい衝動をハリーはやっとのことで抑えました。なおもロンとハーマイオニーの言い争いは続きましたが・・・

「黙って!」「シーッ!黙って!」

ハリーが突然立ち上がって両手を挙げながら言いました。ハーマイオニーは怒って「ロンの味方をするの!」と言いましたがハリーは2人を制して聞き耳を立てたのでした。

すると傍らの暗い川の流れの音に混じって話し声が聞こえて来たのです。ハリーは「かくれん防止器」を見ましたが動いていませんでした。聞こえてくる音の様子から相手は複数のようでした。

話し声は少しずつ大きくなってきましたが話の内容は聞き取れませんでした。そこでハーマイオニーはビーズバックの中から「伸び耳」を取り出してハリーとロンに投げ渡しました。

すると「その集団」は小鬼2人に魔法使い3人のようでした。小鬼はグリップフックとゴルヌック、魔法使いはテッド・トンクスとディーン・トーマスにダーク・クレスウェルという男のようでした。

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満たされた胃は意気を高め、空っぽの胃は言い争いと憂鬱をもたらす。1つ目の分霊箱を手に入れて「2つ目」はどこにあるのか?を話し合うハリーたち3人だったのですが・・・(全3項目)

3-1.空腹との戦い?分霊箱との戦い?
翌日の早朝ハリーはロンとハーマイオニーが目を覚ます前にテントを抜け出し森を歩いて一番古く節くれだって反発力のありそうな木の木陰にマッド・アイ・ムーディの目玉を埋葬しました。

そしてテントに戻ったあとは次の行動を話し合うために2人が目覚めるのを待ちました。2人ともひと所に長く留まらないほうがいいという考えだったので「姿くらまし」で別の場所に移動したのでした。

再びテントを張り直し防衛のための呪文を張り巡らせた後ハリーは「透明マント」を被って食料を探しに出かけました。しかし時ならぬ吸魂鬼の出現ですごすごと戻って来てしまったのでした。

唖然として失望する2人の顔を見てハリーはすまないと思いましたが何故守護霊が創り出せなかったのかが?分らなかったのでした。するとハーマイオニーが「わかった!」と言って額をピシャッと叩いて叫んだのでした。

分霊箱のロケットが肌を離れると同時にハリーは解放されたように感じ不思議にも身軽になりました。原因はヴォルデモートの分霊箱のロケットだったのです。

それからは1人では長く身につけないことにしたのですが特に問題になったのはロンでした。ロンはこれまで3度3度おいしい食事に慣れ切っていて餓死寸前という経験をしたことがなかったのです。

そのため食べ物のない時と分霊箱を持つ順番とが重なるとロンは思いっきり嫌な奴になってしまったのでした。

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哀れなクリーチャー!ハリーたち3人の帰りを待っていたのに代わりにヤックスリーを迎えなくてはならなくなりました。今クリーチャーはどうしているのだろう?考えまいと思っていても嫌なイメージが・・・一方ヴォルデモートはようやくグレゴロビッチを見つけたようです。(全3項目)

3-1.クリーチャーへの思い
ハリーの提案で交代で見張りをすることにしてハリーとハーマイオニーはその日一日中見張りをしました。しかしハーマイオニーがかけた保護呪文やマグル避け呪文が効いているせいか・・・

時折やって来る小鳥やリスなどの小動物以外には3人のいる空き地を訪れる者はいませんでした。ハーマイオニーがハリーの誕生日プレゼントにくれた「かくれん防止器」も音も立てず動きもしませんでした。

見張りをしていたハリーは空腹を感じ頭が少しぼーっとしました。夜にはグリモールド・プレイスに戻っているはずだったのでハーマイオニーはビーズバックには何も食べ物を入れてこなかったのです。

今夜の食事はハーマイオニーが近くの木々の間から集めて来たキノコをキャンプ用のブリキ鍋で煮込んだものだけでした。ロンは二口食べただけで吐きそうな顔で皿を押しやったのでした。

ハリーはハーマイオニーの気持ちを傷つけないようにとの思いだけで堪えました。空腹のせいもあるのか暗闇の中にじっとしていると言い知れぬ不吉な予感が忍び寄って来るのでした。

傷痕がまた痛み出しました。そんなふうに考えることが痛みを自ら招くことになっているのではないか?と不安になりハリーは別のことを考えようとしました。

哀れなクリーチャー。3人の帰りを待っていたのに代わりにヤックスリーを迎えなくてはならなくなってしまいました。クリーチャーは沈黙を守ってくれるだろうか?それとも?

死喰い人に知っていることを全て話してしまったのだろうか?ハリーは「この1ヵ月」の間にクリーチャーの自分に対する態度は変わったと信じたかった。ハリーに忠誠を尽くすと信じたかった。

死喰い人がもしクリーチャーを拷問したら?などという嫌なイメージが頭に浮かびハリーはこれも押し退けようとしたのでした。

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「もうあそこには戻れない」ここはどこなのか?どうしてここにいるのか?ハリーに訊ねられたハーマイオニーは泣き出しそうな顔で深く息を吸ったのでした。こうしてハリーたち3人の放浪の旅が始まったのでした。(全3項目)

3-1.戻れない
ハリーは何が起こったのか?全く分らず今自分が「どこ」にいるのか?も分りませんでした。両手両膝で身を起こして周囲を見回すとロンとハーマイオニーも森の中に横たわっていました。

どうやら他には誰もいないようでした。一瞬「禁じられた森」を思い浮かべましたが低い呻き声を上げたロンのほうに這っていく間にそうではないことに気づきました。

ロンの頭の所でハリーと同様に這って来たハーマイオニーと顔を合わせましたが、ロンを見た途端ハリーの頭から他の全ての心配事が吹き飛んでしまいました。

ロンの左半身は血まみれで、その顔は落ち葉の散り敷かれた地面の上で際立って白く見えました。ポリジュース薬の効き目が切れかかっていてロンはカタモールとロン本人が混じった姿をしていました。

ハーマイオニーのビーズバッグから「呼び寄せ呪文」でハナハッカのエキスを取り出しロンの傷口に3滴垂らしました。緑がかった煙が上がって煙が消えた時には血は止まって傷口は数日前のようになり・・・

肉がむき出しになっていた部分には新しい皮が張っていました。ハーマイオニーはまだ震えながら完全に元通りにする呪文もあるにはあるのだが試す勇気がなかったと言ったのでした。

僕たちグリモールド・プレイスに戻るところだと思っていたのに?どうしてここにいるんだろう?とハリーが問うとハーマイオニーは泣き出しそうな顔で深く息を吸ったのでした。

「ハリー、私たち、もうあそこへは戻れないと思うわ」

ハーマイオニーの説明によると「姿くらまし」をした時にヤックスリーがハーマイオニーをつかんだのだそうです。そしてどうやらヤックスリーは12番地の扉を見てしまったに違いないとのことでした。

ハーマイオニーは「引き離しの呪い」で振り離したものの「忠誠の術」の保護圏内にヤックスリーを入れてしまったのでした。ダンブルドアの死後はハーマイオニーも12番地の「秘密の守人」だったので・・・

ハーマイオニーが「秘密」をヤックスリーに渡してしまったので、もう12番地には戻れなくなってしまったのでした。

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アンブリッジの嘘でハリーの怒りは最高潮に達したのでした。こそ泥から賄賂として奪ったロケットを自分の純血の証明の補強に利用するなんて!そしてハリーが次に取った行動は?(全3項目)

3-1.アンブリッジ
ハリーは再び「透明マント」を被ってエレベーターを降りるとハーマイオニーがいるはずの法廷に向かいました。ロンが雨降り部屋を処理している間に独力でハーマイオニーを救出するつもりでした。

ハーマイオニーをどうやって助け出そうかと考えるのに夢中でハリーは不自然な冷気にじわじわと包まれていることに当初は気づいていませんでした。階段を下りるにつれて冷たい霧の中に入って行くような感じでした。

「吸魂鬼だ」とハリーは思いました。

階段を下りきって右に曲がると恐ろしい光景が目に入りました。その場の冷たい絶望感や無気力感がハリーにのしかかって来ました。ここで守護霊を出すわけにはいかないのでハリーは必死に気力を振り絞りながら進みました。

その時突然!左側に並ぶ地下室の扉の1つが開いて中から叫び声が響いて来ました。魔法で拡大されたアンブリッジの猫撫で声が男の絶望の叫びを掻き消して響いて来たのでした。

「これが最後の警告よ」

「抵抗すると、吸魂鬼にキスさせますよ」

「次―メアリー・カタモール」

ハリーは本能的に動きました。決して何も計画していたわけではありませんでしたが女性が1人で地下牢に入って行くのを見るに耐えなかったのです。ハリーは女性の後ろについて法廷に滑り込んでいました。

そこにはさらに多くの吸魂鬼がいました。高くなった裁判官席にはアンブリッジが座り片側にはヤックスリーがもう一方の片側には青白い顔のハーマイオニーが座っていました。

裁判官席の下には毛足の長い銀色の猫がいました。それがアンブリッジの守護霊だったのです。ハリーは階段を上がってアンブリッジ、ヤックスリー、ハーマイオニーがいる裁判官席の後ろに回り込みました。

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思ってもみなかった展開になり焦るハリー!どうすればいいんだ?とりあえずは探さないのはあまりにも愚かしいということでアンブリッジの部屋に潜入したハリーだったのですが・・・ハリーがそこで見たものは?(全3項目)

3-1.思わぬ展開
マファルダ・ホップカークに成りすましたハーマイオニーに気づいたアンブリッジが話しかけて来ました。アンブリッジはクリップボードに目を通した後エレベーターに乗り込んで来ました。

ハリーがエレベーターから降りると金の格子が閉まってハリーがちらりと振り返ると背の高い魔法使いに挟まれたハーマイオニーが不安そうな表情を浮かべているのが見えました。

ハリーは新魔法大臣のシックネスの姿が見えなくなるのを待って「透明マント」を取り出して被ると大臣が歩いたのとは反対方向に歩き出しました。ランコーンの長身では腰を屈めなくてはなりませんでした。

得体の知れない恐怖でハリーは鳩尾(みずおち)がズキズキ痛みました。この4週間ロンとハーマイオニーと一緒に慎重に練り上げた計画は笑止千万の子ども騙しのように思えたのでした。

気づかれずに入り込むことだけに集中して3人がバラバラになったらどうするか?なんて全く考えてはいませんでした。ハリーは歩くのを一旦止めて「どうするべきか?」を考えました。

「あいつの部屋は、この階に違いない」

アンブリッジが宝石類を事務所に置いているとは思えませんでしたが、探しもせず確認もしないのは愚かしいということでハリーは再び廊下を歩き始めたのでした。

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ヴォルデモートの分霊箱(スリザリンのロケット)を奪取するため魔法省に潜入したハリーたち3人でしたが当初思い描いていた計画とは異なる展開になってしまったのでした。ロンはどこに?ハーマイオニーは?そして分霊箱はどこにあるんだ!(全3項目)

3-1.魔法省に・・・
3人はいつにも増して慎重に玄関前の階段に出ました。腫れぼったい目の死喰い人が2人朝露のかかった広場の向こうから屋敷を見張っていました。

まずハーマイオニーとロンが「姿くらまし」して、それからハーマイオニーがハリーを迎えに戻って来ました。計画の第一段階は3人が揃った「その場所」で起こる予定でした。

ハーマイオニーは相当緊張していたようで最初に待ち受ける魔女が来る前に扉をあらかじめ開けておく手順を忘れるほどでした。指摘したのはロンでした。

あとはほぼ事前に立てていた計画通りに事は進みました。ハーマイオニーがポリジュース薬で変身した魔女は魔法不適正使用取締局の局次長マファルダ・ホップカークでした。

ロンが変身した魔法使いは魔法ビル管理部のレッジ・カタモールという職員のようでした。そして最後にハリーが変身した魔法使いは誰だか分らない長身の男でした。

変身が終わるとハリーは1メートル80センチ以上の背丈の大男になっていました。さらに筋骨隆々の両腕に髭面でした。2人の所に戻ると「おったまげー、怖いぜ」とロンが言うほどでした。

変身を終えて3人は魔法省への入口となる極々普通の一般的な公衆トイレに入って行きました。すると濃紺のローブを着た魔法使いがハリーに声をかけて来ました。

「全く付き合いきれないね、え?仕事に行くのにこんな方法を強制されるなんて!お偉い連中は一体誰が現れるのを待っているんだ?ハリー・ポッターか?」

その魔法使いは目の前にいるのが実は「そのハリー・ポッター」だとは露知らず自分の言ったジョークで大笑いしていました。ロンは無理に付き合い笑いをしていました。

こうして3人は魔法省へと潜入していったのでした。

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ホグワーツ魔法魔術学校の新校長決定!当然副校長のマクゴナガル先生が昇格するのか?と思いきや「その座」にはハリーたちにとっても大多数の生徒・先生たちにとっても不愉快極まりない人物が就任したのでした。あいつがダンブルドアの書斎の新しい主になるなんて!(全3項目)

3-1.ダンブルドアの次
クリーチャーの大車輪の活躍で1つ目の分霊箱の在り処が判りハリーたち3人は魔法省に潜入する準備を始めたのでした。

間抜けにもハリーたち3人が入ってから12番地の外には死喰い人たちが見張りに立つようになりましたが、3人は「忠誠の術」の境界線内ギリギリに「姿現し」で出入りしていたので死喰い人たちはほぼ空振り続きでした。

それでも9月最初の日にはこれまでより多くの「6人」が見張りに立っていました。夕方には何かを発見したような素振りを見せた死喰い人たちが2人ほどいましたが次の瞬間には再び元の状態に戻っていたのでした。

と!いうのも「その時」には12番地の玄関ホールにハリーが入って来ていたからです。扉の外の石段の一番上に「姿現し」した時にバランスを崩しかけて一瞬肘が境界線の外に出たようなのです。

「ニュースがあるよ。気に入らないやつだろうけど」

厨房は見違えるようになっていました。何もかもが磨き上げられ鍋やフライパンは赤銅色に輝き、木のテーブルはピカピカでした。ハリーのほうにいそいそと最初に駆け寄ったのはクリーチャーでした。

「何が起こったんだ?」

ロンに心配そうに問われてハリーは散らばった羊皮紙の上に新聞を広げました。そこには見知った鉤鼻と黒い髪の男が大写しになって3人を見上げ睨んでいました。その上に大きな見出しがありました。

セブルス・スネイプ、ホグワーツ校長に確定

まさかの新校長人事にロンもハーマイオニーも大声を出しました。特にハーマイオニーの怒りは凄まじくハーマイオニーの甲高い声にロンとハリーは思わず飛び上がったのでした。

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「ご主人様、盗っ人のマンダンガス・フレッチャーを連れて戻りました」ようやく帰って来たクリーチャーのお陰で1つ目の分霊箱がどこにあるのかは判りましたが、驚くべきことに「あの女」の所だとは!いやはや何とも大きなハードルを乗り越えなくてはならなくなったのでした。(全3項目)

3-1.クリーチャー帰還
ルーピンとダンブルドアのことで頭が一杯だったのでハリーは「この3日間」で初めてクリーチャーのことを完璧に忘れていました。とっさにハリーはルーピンがすさまじい勢いで厨房に戻って来たと思ったので・・・

自分の座っている椅子の脇に突如現れて手足をばたつかせている塊が何なのか?一瞬わけが分かりませんでした。ハリーが急いで立ち上がると塊から身をほどいたクリーチャーが深々とお辞儀して嗄れ声で言いました。

「ご主人様、クリーチャーは盗っ人のマンダンガス・フレッチャーを連れて戻りました」

あたふたと立ち上がったマンダンガスが杖を抜きましたがハーマイオニーの速さには敵いませんでした。武装解除の術でマンダンガスの杖は宙に飛びハーマイオニーがそれを捕えました。

今度はマンダンガスは狂ったように目をぎょろつかせながら階段へとダッシュして行きましたがロンがタックルを噛ましてマンダンガスは石の床に倒れたのでした。

身を捩(よじ)りながら「俺が何したって言うんだ?」と繰り返し言って暴れるマンダンガスでしたが、ハリーが「脅しをかけられるような立場じゃないだろう」と言うとマンダンガスは・・・

ジタバタするのをやめ怯えた顔になっていたのでした。

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グリモールド・プレイス12番地にリーマス・ルーピンが来たのはクリーチャーが出発して3日後のことでした。騎士団員たちや魔法界の近況報告をしてくれている内はよかったのですが、話が新妻のトンクスのことに及ぶと何やら怪しげな雰囲気(?)に・・・何がルーピンをそうさせたのか?(全3項目)

3-1.リーマス・ルーピン来る
亡者がうようよしている「あの湖」から逃げられたのだからマンダンガスを捕まえることなど数時間もあればできるだろうと一気にクリーチャーに対する期待感を最高潮に募らせたハリーだったのですが・・・

クリーチャーは数時間はもちろんのこと「その日」の内には戻らず、次の日もさらに3日経っても戻って来ませんでした。一方12番地の外の広場にはマント姿の2人の男が現れ見えないハズのこちらを伺っていました。

「死喰い人だな。間違いない」

ハリーやハーマイオニーと一緒に客間の窓から覗いていたロンが言いました。しかしハーマイオニーの見解では奴らは自分たちが「ここ」にいることには気づいていないだろうとのことでした。

ところが!クリーチャーがいなくなって3日目の夜ハリーが玄関ホールに続く階段を中ほどまで下りた時に玄関のドアをそっと叩く音がしてカチカチという金属音やガラガラという鎖の音が聞こえて来るではありませんか!

ハリーの神経の1本1本が張り詰めました。ハリーは杖を取り出し階段脇の暗がりに移動して侵入者を待ちました。マントを着た人影が少し開いたドアから半身になって入って来ました。侵入者が一歩進むと・・・

「セブルス・スネイプか?」

「アルバス、あなたを殺したのは私ではない」

静かな声が言うと呪いは破れて埃の姿は爆発し侵入者が誰なのか?を見分けるのは不可能でした。ロンとハーマイオニーもあとから駆け付けて杖を構えていましたが現れたのは・・・

リーマス・ルーピン「その人」でした。

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あれほどまでに激しく嫌悪し憎しみ合っていた2人だったのに!こんな日が来るとは!洞窟から分霊箱を奪い去って行ったのは?ロケットをニセモノに取り替えていたのは?そして衝撃の事実が明らかに・・・(全3項目)

3-1.クリーチャー語る
バチンと大きな音がしてハリーがシリウスから渋々相続した屋敷しもべ妖精が忽然と現れました。ハリーを見る軽蔑した目が持ち主がシリウスからハリーになっても変わっていないことを示していました。

ハリーがクリーチャーに2年前に客間にあったロケットを僕たちは捨てたが、おまえはそれをこっそり取り戻したか?と訊ねるとクリーチャーは一瞬の沈黙の間に背筋を伸ばしてハリーをまともに見たのでした。

クリーチャーは「はい」と答えたのでした。

「それは今どこにある?」とハリーは小躍りして聞いたのでした。ロンとハーマイオニーは大喜びでした。するとクリーチャーは「次の言葉」に3人がどう反応するか見るに耐えないといった感じで目をつむったのでした。

「なくなりました」
「なくなった?」

ここでクリーチャーは意外な行動に出たのです。クリーチャーは「ご主人様の命令を果たせませんでした!」と血も凍るような叫び声を上げると火格子のそばの火掻き棒に飛びつこうとしたのです。

ハリーは本能的に動きました。ハーマイオニーとクリーチャーの悲鳴が交じり合いました。火掻き棒に飛びつこうとするクリーチャーをハリーは床に押さえ付けました。

「クリーチャー、命令だ。動くな!」

ハリーはクリーチャーを問い詰めました。おまえはあれを「レギュラス様のロケット」と呼んだ。どうしてなんだ?ロケットはどうやって手に入れたんだ?そして「あのロケット」について知っていることを全部話せと・・・

するとクリーチャーは語り始めたのでした。

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ダンブルドアの死後ずっとハリーの心を占めていた深い悲しみが今は違ったものに変わって来ていたのでした。ダンブルドアにとって自分は何だったんだ!何故話してくれなかったんだ?説明してくれなかったんだ?(全3項目)

3-1.ダンブルドアへの新たな思い
翌日の朝ハリーはロンとハーマイオニーに先駆けて夜が明け切らない内に目を覚ましたのでした。ハリーは暗い天井を見上げ分霊箱のことを考えダンブルドアが残した任務の気が遠くなるような重さと複雑さを思ったのでした。

ダンブルドアの死後ずっとハリーの心を占めていた深い悲しみが今は違ったものに感じられたのでした。結婚式で聞かされた非難や告発が崇拝していた魔法使いの記憶を蝕(むしば)んでいくようでした。

ハリーはゴドリックの谷を思いダンブルドアが一度も口にしなかった墓のことを思いました。そして何の説明もなしに遺された謎の品々のことを思うと激しい恨みが突き上げて来るのを感じずにはいられなかったのでした。

ダンブルドアは何故話してくれなかったんだ?何故説明してくれなかったんだ?本当に気にかけていてくれたのだろうか?それとも自分は磨(みが)いたり研ぎ上げたりする道具に過ぎなかったのだろうか?

信用したり打ち明けたりする対象ではなかったのだろうか?

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