ハリー・ポッターの夏休み「炎のゴブレット」編(17)(24回シリーズ)

アイルランドのチェイサーの怒涛の攻撃で点差が開いた事で試合展開は荒れ気味になり反則が相次ぐようになりました。さらにマスコットのレプラコーンとヴィーラの騒ぎが混乱に拍車をかけました。そんな最中にスニッチが見つかったのです。スニッチを捕ったのはクラムだったのですが・・・(全3項目)

3-1.反則の後に
度重なる失点でブルガリアのキーパーはついに堪忍袋の緒が切れたようです。一瞬の事で何が起こったのかはハリーには分りませんでしたがアイルランドの応援団から怒りの叫びが上りモスタファーがホイッスルを鳴らしました。

長く鋭く吹き鳴らしたのでハリーは今のは反則だと判りました。バグマン氏がキーパーがしたのは「ロビング」という過度な肘の使用という反則だと観衆に向かって解説しました。するとレプラコーンがこう文字を描きました。

「ハッ!ハッ!ハッ!」

それを見て今度はピッチの反対側にいたヴィーラが立ち上がり怒りに髪を打ち振りながら踊り始めました。ウィーズリー家の男子とハリーは即座に指で耳栓をしましたがハーマイオニーは笑って「審判を見てよ!」と言いました。

ハリーが見下ろすと審判のモスタファーが踊るヴィーラの真ん前に降りて腕の筋肉を盛り上がらせたり口髭を撫でつけたりしていました。バグマン氏は「これは放ってはおけません」と言いながらも面白くて堪らないようでした。

バグマン氏が「誰か審判をひっぱたいてくれ!」と言うと魔法医の1人が大急ぎで駆けつけ自分は指で耳栓をしながらモスタファーの向こう脛を思いっ切り蹴飛ばしました。これでようやくモスタファーは我に返ったのでした。

モスタファーはそれはもうバツの悪そうな表情でヴィーラを怒鳴りつけていました。ヴィーラは踊るのを止めて反抗的な態度を取っていました。ところがモスタファーはヴィーラを怒鳴りつけるだけでは済まなかったのでした。

「さあ私の目に狂いがなければモスタファーはブルガリア・チームのマスコットを本気で退場させようとしているようであります!」

こんな事は前代未聞。面倒な事になりそうだ。バグマン氏がこう言っていたらモスタファーは本当にヴィーラを退場させてしまいました。そんな事をされてブルガリアの選手は黙っていられずモスタファーに抗議をしたのでした。

すると?

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ハリー・ポッターの夏休み「炎のゴブレット」編(16)(24回シリーズ)

今回ハリーが2年ぶりに「隠れ穴」にやって来たのはクィディッチ・ワールドカップの決勝戦を見るためでした。でも前夜に夕食を取ったり夜明け前に起きたりキャンプ場に移動して水を汲みに行ったり顔見知りや魔法省の役人など沢山の人々に会ったりと色んな事があった末にようやく試合開始を迎えたのでした。(全3項目)

3-1.ようやく試合開始!
両チームのマスコットによるマスゲームが終わるとようやく選手の入場という事になりました。まず最初にサポーターたちの熱狂的な拍手に迎えられてピッチに現れたのは真っ赤なローブ姿のブルガリア・チームだったのでした。

最後にビクトール・クラムが紹介されるとロンは万眼鏡で姿を追いながら「クラムだ。クラムだ!」と叫びました。ハリーも急いで万眼鏡の焦点を合わせて見ました。その風貌はとても18才とは思えない。ハリーはそう思いました。

次に紹介されたのがアイルランド・チームです。7つの緑の影が素早く横切りピッチに飛びました。ハリーは万眼鏡横の小さなつまみを回し選手の動きをスローモーションにし何とか「ファイアボルト」の文字を読み取りました。

ハリーは昨年の夏休みにダイアゴン横丁の高級クィディッチ用具店で初めてファイアボルトを見た時にアイルランド・ナショナルチームがこの美人箒を買い揃えた事を聞いて知っていました。だから万眼鏡で見たというわけです。

「そして皆さん。はるばるエジプトからおいでの我らが審判。国際クィディッチ連盟の名チェア魔ン。ハッサン・モスタファー!」

最後は審判の紹介でした。とても華奢で小柄な魔法使いでした。スキンヘッドに立派な口髭という風貌でした。競技場にマッチした純金のローブを着て堂々とピッチに歩み出て来ました。大きな木箱を片方の腕に抱えていました。

もう一方の腕で箒を抱えています。モスタファーが箒に跨り木箱を蹴って開けると真っ赤なクアッフル4個と黒いブラッジャーが2個そして金のスニッチが飛び出して行きました。ハリーはほんの一瞬スニッチを目撃しました。

しかしあっという間に見失ってしまいました。そしてバグマン氏が試合開始を告げていよいよ決勝戦が始まったのでした。

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ハリー・ポッターの夏休み「炎のゴブレット」編(15)(24回シリーズ)

ウィンキーが一番乗りでその次がハリーたち一行だったのですがやはり貴賓席という事で魔法大臣コーネリウス・ファッジがやって来たのでした。ところがそのファッジが招待した一家3人というのがハリーたち3人にとっては問題の一家だったんですよね。それは?(全3項目)

3-1.重要人物が続々と
何故ウィンキーは両手で顔を覆っているのか?ウィンキーは高い所が全く好きではない。つまりウィンキーは高所恐怖症というわけです。でもウィンキーは良い屋敷しもべ妖精なのでご主人様に言いつけられた事は守るそうです。

ご主人様がこの貴賓席に行けとおっしゃったので自分は来た。こう言うウィンキーにハリーはそのご主人様はウィンキーが高所恐怖症だと知っているのに君をここによこしたのかと訊きながら思わず眉をひそめたというわけです。

ウィンキーによればご主人様は自分の席を私に取らせた。それはご主人様がとても忙しいからなんだそうです。本当の事を言えばテントに戻りたい。でも自分は良い屋敷しもべ妖精なので言いつけられた事を守るのだそうです。

こう言うとウィンキーはボックス席の前端をもう一度恐々と見て完全に手で目を覆ってしまいました。何分にも自宅の「隠れ穴」にもいないがためにロンも屋敷しもべ妖精を見るのは初めてのようでウィンキーを見ての感想は?

「そうかあれが屋敷しもべ妖精なのか?へんてこりんなんだね?」

こう言うロンにハリーは言葉に力を入れて「ドビーはもっとへんてこりんだったよ」と言ったのでした。話が一段落したのでロンは先ほどハリーに買って貰った万眼鏡を試し一方ハーマイオニーはプログラムを読み始めました。

「試合に先立ちチームのマスコットによるマスゲームがあります」

ハーマイオニーがこう読み上げるとアーサー氏が「ああそれはいつも見応えがある」と解説してくれました。ナショナルチームが自分の国から何かしら生き物を連れて来る。その生き物がちょっとしたショーをやるんだそうです。

それから30分の内に貴賓席も徐々に埋まって来ました。アーサー氏は続けざまに握手をしていました。パーシーもひっきりなしに椅子から飛び上がって直立不動の姿勢を取りました。ついにはメガネが落ちて割れてしまいました。

魔法大臣コーネリウス・ファッジが現れ深々と頭を下げてしまったからです。大いに恐縮したパーシーは杖でメガネを元通りにしてそれ以降はずっと椅子に座っていました。ファッジがハリーに親しげに挨拶するのを見て・・・

パーシーはそれを羨ましそうに見ていたのでした。

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ハリー・ポッターの夏休み「炎のゴブレット」編(14)(24回シリーズ)

森の向こうから競技場の開場を知らせる音が鳴り響いて来ました。ハリーにハーマイオニーを含めたウィーズリー一家一行が目指したのは最上階の貴賓席でした。すると何とハリーたちは一番乗りではなく後部座席には先客がいたのでした。そこにいたのは屋敷しもべ妖精で・・・(全3項目)

3-1.その時が来た!
私が解説をするので貴賓席で一緒になる。バグマン氏はこう言うと手を振りクラウチ氏は軽く頭を下げ2人は「姿くらまし」して消えました。2人がいなくなるのと同時にフレッドが「ホグワーツで何があるの?」と訊きました。

訊かれたアーサー氏は「すぐに判るよ」と答えると微笑みました。そしてパーシーが「魔法省が解禁する時までは機密情報だ。クラウチさんが明かさなかったのは正しい事なんだ」と頑なに言ってそれを補強したというわけです。

夜になると最後の慎みも吹き飛んで魔法省は戦うのを諦めてしまいました。行商人がドッと姿を現わしました。超珍品の土産物を盆やカートに山と積んでいます。光ったり選手の名前を叫んだり振ると国歌を演奏したりしました。

本当に飛ぶファイアボルトのミニチュア模型。コレクター用の有名選手の人形。ロンはこの日のためにお小遣いをずっと貯めていたのだそうです。ハリーは真鍮製の双眼鏡のような物を売っている行商人の所に駆け寄りました。

「万眼鏡だよ。アクション再生ができる。スローモーションで。必要ならプレイを1コマずつ制止させる事もできる。大安売り。1個10ガリオンだ」

「こんなのさっき買わなきゃよかった」ロンは踊るクローバーの帽子を指差しこう言いました。万眼鏡が欲しかったからです。ハリーは行商人に「3個ください」と言いました。自分とロンとハーマイオニーの分というわけです。

ロンは「いいよ。気を使うなよ」と言いながら赤くなりました。そんなロンにハリーは「クリスマス・プレゼントはなしだよ。しかもこれから10年ぐらいはね」と言いながらロンとハーマイオニーの手に万眼鏡を押しつけました。

万眼鏡を受け取ってハーマイオニーも大喜びで代わりに3人分のプログラムを買ってくれました。財布もだいぶ軽くなりハリーたちはテントに戻りました。ビルにチャーリーにジニーの3人も緑のロゼットを着けていたのでした。

アーサー氏はアイルランド国旗を持っていました。フレッドとジョージは全財産をはたいてバグマン氏に渡してしまったので何もなしでした。その時です。森の向こうからゴーンと深く響く音が聞こえて来ました。いよいよです。

木々の間に赤と緑のランタンが一斉に灯って競技場への道を照らし出しました。アーサー氏も「いよいよだ!さあ行こう!」と言いながらみんなに負けず劣らず興奮していました。競技場が開場する時間がやって来たからでした。

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ハリー・ポッターの夏休み「炎のゴブレット」編(13)(24回シリーズ)

前日の夕食の席でも名前が出ていたのですが後々の最重要人物になるルード・バクマン氏とバーティ・クラウチ氏の2人にハリーは会う事になったのでした。パーシーの上司であるクラウチ氏を初めて見てのハリーが抱いたその感想とは?(全3項目)

3-1.ルード・バグマン氏登場!
ルード・バグマンはあの花模様ネグリジェのアーチーじいさんを含めてもこれまで会った人の中で一番目立っていました。鮮やかな黄色と黒の太い横縞に胸に巨大なスズメバチが描かれたクィディッチ用のローブを着ていました。

たくましい体つきが少し弛んだという感じでイングランド代表チームでプレイしていた頃より恰幅がよくなっていました。迷走ブラッジャーにやられたようで鼻がつぶれていました。まるで育ち過ぎた少年のようだったのでした。

バグマン氏は「ようよう!我が友アーサー」とうれしそうに呼びかけたのでした。踵にバネがついているかのように弾んで完全に興奮していました。そして息を切らして焚き火に近づきながらバグマン氏はこう言ったのでした。

「どうだいこの天気は。え?どうだい!こんな完全な日和はまたとないだろう?今夜は雲1つないぞ。それに準備は万全。俺の出る幕はほとんどないな!」

バグマン氏の背後をげっそりやつれた数人の魔法省の役人が急いで通り過ぎて行きました。遠くのほうで6メートルもの上空に紫の火花を上げて魔法火が燃えていたからです。するとパーシーが急いで進み出て握手を求めました。

ルード・バグマン氏が担当する部を取り仕切るやり方が気に入らなくとも好印象を与えるほうが大切のようです。そこで来ているメンバーの紹介という事になったのですがハリーを紹介すると「やはり」という反応がありました。

ハリー・ポッターの名前を聞いてバグマン氏はほんの僅かでしたがたじろぎ目が毎度お馴染みの動きでハリーの額の傷痕を探したのでした。アーサー氏は一同に「この人のお陰でいい席が手に入ったんだ」とそう言ったのでした。

そんな事は何でもないという風に手を振りバグマン氏はアーサー氏に「試合に賭ける気はないかね?」と熱心に誘って来ました。ロディ・ポントナーはブルガリアが先取点を挙げると賭けたのでいい賭け率にしてやったそうです。

アイルランドのフォアード3人は近来にない強豪だからなんだそうです。それにアガサ・ティムズお嬢さんは試合が一週間続くと賭けて自分の持っている鰻養殖場の半分を張ったのだそうです。随分とまあ景気のいい話ですよね。

しかしアーサー氏が言ったのはアイルランドが勝つほうに1ガリオンでした。それを聞いてバグマン氏はがっかりしたようでした。でもすぐに気を取り直すと「他に賭ける者は?」と訊いて来ました。その次に申し出たのは?

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ハリー・ポッターの夏休み「炎のゴブレット」編(12)(24回シリーズ)

せっかくのこの機会なんだから全てマグル式にやりたいというアーサー氏の強い希望によりハリーたち3人はキャンプ場の向こう側にある水道まで水を汲みに行く事になりました。様々な光景を見る事にもなり顔見知りにも会ってハリーたちは大いに楽しい時間を過ごせたのでした。(全3項目)

3-1.水を汲みに行って
マグルのくれた地図によればキャンプ場の向こう側に水道の印がある。ロンがそう言うとアーサー氏はヤカンとソース鍋を数個よこしてハリーにロンとハーマイオニーの3人に水を汲みに行って来るようにと指示をしたのでした。

竈があるんだから簡単にやってしまえばいいのにと言うロンにアーサー氏は「マグル安全対策だ!」と期待に顔を輝かせて言いました。当然の如くアーサー氏はこの機会にマグル式の方法で食事を作ろうというわけなんですよね。

「本物のマグルがキャンプする時は外で火を熾して料理するんだ。そうやっているのを見た事がある!」

アーサー氏にこう言われハリーたち3人はテントを出て女子用のテントをざっと見学してから水を汲みに出かけました。朝日が昇り霧も晴れ一面に広がったテント村が見渡せたのでハリーたちは見物しながらゆっくり進みました。

世界中にこんなに沢山の魔法使いや魔女がいるんだ。ハリーはそう実感しながら歩いていました。これまで一度も考えもしなかった事でした。次々と起き出すキャンパーの中でやはり一番早いのは小さな子供のいる家族でした。

男の子が父親の杖で悪戯をしていたり女の子がおもちゃの箒に乗っていたりしました。爪先が露を含んだ草をかすめる程度までしか上らない箒です。魔法省の役人が早速それを見つけハリーたちの脇を急いで通り過ぎると・・・

「こんな明るい中で!親は朝寝坊を決め込んでいるんだ。きっと」

あちらこちらのテントから大人の魔法使いや魔女が顔を覗かせ朝食の支度に取りかかっていました。マッチを擦りながら「こんな事で絶対に火がつくものか」と怪訝な顔をしている人もいました。当然杖で火を熾す人もいました。

3人のアフリカ魔法使いが全員白くて長いローブを着てウサギのような物を鮮やかな紫の炎で焼きながら真面目な会話をしていました。かと思えば中年のアメリカ魔女が光る横断幕を張り渡しその下で楽しそうに話していました。

テント村は聞き覚えのない言葉で溢れ返っていました。共通しているのはどの声も興奮している事でした。

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ハリー・ポッターの夏休み「炎のゴブレット」編(11)(24回シリーズ)

ディゴリー父子にハリーとハーマイオニーを含めたウィーズリー一家一行が到着したのは霧深い辺鄙な荒地のような所でした。マグルの管理人さんにお金を払ってキャンプ場に入って行くと「私たちは魔法使いです」と宣言しているかのような絢爛豪華なテントが目に飛び込んで来ました。(全3項目)

3-1.到着したのは?
一行が到着したのは霧深い辺鄙な荒地のような所でした。目の前には疲れて不機嫌な顔の魔法使いが2人いました。1人は大きな金時計をもう1人は太い羊皮紙の巻紙と羽根ペンを持っていました。一応マグルの格好をしていました。

でも一目で素人丸出しと判る奇妙な服装でした。アーサー氏は「移動キー」の古ブーツを拾い一方の魔法使いに渡しながら「おはようバージル」と声をかけました。バージル氏はそれを自分の脇にある大きな箱に投げ入れました。

その「使用済み移動キー」の箱の中をハリーが見てみるとそこには古新聞やらジュースの空き缶やら穴の空いたサッカーボールなどが入っていました。そのバージル氏はアーサー氏が非番なのをうらやましがっていたのでした。

そのお二方は夜通しここで仕事をしているのだそうです。バージル氏はリストを調べウィーズリー一家一行とディゴリー父子が泊るキャンプ場を教えてくれました。四百メートルほど歩いて最初に出くわすキャンプ場だそうです。

管理人はロバーツさんという名前だそうです。アーサー氏はバージル氏に礼を言って一同に従いて来るようにと合図をしました。霧でほとんど何も見えませんでしたがものの20分も歩くと小さな石造りの小屋が見えて来ました。

その脇に門があり門の向こうに何百というテントが立ち並んでいるのが見えました。キャンプ場が違うのでここでディゴリー父子と別れハリーたち一行は小屋の戸口へと近づいて行きました。戸口に男が1人立っていたのでした。

アーサー氏が明るい声で「おはよう!」と言うとマグルも「おはよう」と挨拶を返しました。アーサー氏が「ロバーツさんですか?」と訊くとマグルは「あいよ。そうだが」と答えて「そんでおめえさんは?」と訊き返しました。

アーサー氏がテントを二張り数日前に予約しましたよねと訊くとロバーツさんは扉に貼り付けたリストを見つつ再び「あいよ」と答えました。ハリーたち一行が泊るのは森の端だそうです。ここでハリーの出番が巡って来ました。

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ハリー・ポッターの夏休み「炎のゴブレット」編(10)(24回シリーズ)

「姿現わし」ができない人たちは一体どうやってワールドカップの会場に行くのか?フレッドとジョージのトン・タン・タフイー騒動でアーサー氏の説明が中断されてしまったためハリーは「隠れ穴」を出てからアーサー氏にその続きを聞く事になりました。その方法とは?(全3項目)

3-1.いかにして移動するのか?
「俺たちそれを開発するのに6ヵ月もかかったんだ!」こう叫ぶフレッドにウィーズリーおばさんは「ご立派な6ヵ月の過ごし方ですこと」と叫び返しました。ふくろう試験の点が悪かったのもこれが原因とおばさんは断じました。

トン・タン・タフィーの没収などという出来事のお陰でその場は到底和やかとは言い難い雰囲気でした。おばさんは険しい表情でアーサー氏の頬にキスをしていました。フレッドとジョージはさらに表情を険しくしていました。

「それじゃ楽しんでらっしゃい。お行儀良くするのよ」

おばさんはこう言いましたが言われたフレッドとジョージは振り向きもせず返事もしません。ビルとチャーリーにパーシーは昼頃そっちに行かせる。おばさんは残りの4人を引き連れて出て行くアーサー氏にこう声をかけました。

ハリーにロンそれにハーマイオニーとジニーです。外に出ると肌寒く月がまだ出ていて右前方の地平線が鈍い緑色に縁取られていて夜明けが近い事を示していました。ハリーは足を速めアーサー氏と肩を並べるとこう訊きました。

「マグルたちに気づかれないようにみんな一体どうやってそこに行くんですか?」

ハリーのこの問いにアーサー氏は「組織的な大問題だったよ」と答え溜め息をつきました。問題だったのはおよそ十万人もの魔法使いがワールドカップに来るというのに全員を収容できる魔法施設がないという事なんだそうです。

ダイアゴン横丁やキングズ・クロス駅の9と3/4番線に無理やり詰め込んだらどうなるか?そこで人里離れた格好な荒地を探し出しマグル避け対策を講じなければならなかった。魔法省を挙げて何ヵ月もこれに取り組んだそうです。

まずは当然の事だが十万人もの魔法使いが一気に移動をしたらマグルに気づかれてしまうので到着時間を少しずつずらした。安い切符を手にした者は二週間前に着いていないといけない。マグルの交通機関で来る人も少しはいる。

何しろ世界中から魔法使いがやって来るのだからバスや汽車にあまり大勢乗らせるわけにはいかない。さらには「姿現わし」でやって来る人のためにマグルの目に触れない安全なポイントを設定しなければならないのだそうです。

これについては手頃な森があって「姿現わし」ポイントに使ったはずだ。そうではない人は「移動キー」を使う。これはあらかじめ指定された時間に魔法使いたちをある地点から別の地点に移動させるのに使う鍵なのだそうです。

必要とあらばこれで大集団を一度に運ぶ事ができる。そして今回イギリスには二百個の「移動キー」が戦略的拠点に設置されたんだそうです。そして「隠れ穴」に一番近いのがストーツヘッド・ヒルのてっぺんにあるそうです。

今ハリーたちはそこに向かっているのだそうです。

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ハリー・ポッターの夏休み「炎のゴブレット」編(9)(24回シリーズ)

ハリーが「隠れ穴」に来てからというものロンとハーマイオニーはシリウスの近況が知りたくてしかたがありませんでした。それがようやく聞けたのは夕食の席でしかもデザートを食べている時でした。そして翌日ハリーは夜が明けない内に起こされて・・・(全3項目)

3-1.ようやく訊けた!
テーブルの中央ではウィーズリーおばさんがビルが片耳につけているイヤリングにケチをつけていました。最近つけるようになったようです。そんな大きな牙をつけていたら銀行の人たちが快く思わないとおばさんは言うのです。

そんな母親にビルは銀行では自分がちゃんと宝を持ち込む。つまりちゃんと仕事をしさえすれば服装の事なんて気にしたりはしないと辛抱強く答えていました。でもおばさんにはまだビルに対して言いたい事があったんですよね。

それは髪が長い事です。私に切らせて欲しい。こう言うおばさんにジニーが「あたし好きよ」と言っていました。短いほうがいいなんて古い。それにダンブルドア先生のほうが断然長いとジニーはおばさんに言っていたのでした。

その3人の横ではフレッドにジョージとチャーリーがワールドカップの話で盛り上がっていました。チャーリーが言うには準決勝でペルーに大勝したアイルランドが絶対優勝するとの事です。それに対しフレッドとジョージは?

「でもブルガリアにはビクトール・クラムがいるぞ」

こう言うフレッドにチャーリーはクラムはいい選手だが1人だ。アイルランドはそれが7人だ。だからアイルランドが優勝すると言うのです。でもチャーリーはイングランドが残らなかったのが大変残念だったみたいなんですよね。

あれは全く赤っ恥だった。こう嘆くチャーリーにハリーが「どうしたの?」と訊きました。プリベット通りにいる間は魔法界とは全く切り離されていたので情報が入って来なかったのです。そこでチャーリーが教えてくれました。

イングランドはトランシルバニアに「390対10」で負けたんだそうです。それからウェールズはウガンダに負けスコットランドはルクセンブルクに大敗したのだそうです。そして暗くなって来てデザートを食べ始めた頃でした。

「それで。シリウスから近頃便りはあったのかい?」

ロンがテーブルを見回して他の人たちが話に気を取られているのを確認してハリーにこう訊いて来ました。ハーマイオニーもまた振り向いて聞き耳を立てたのでした。ハリーが「隠れ穴」に到着してからずっと訊きたい事でした。

「うん2回あった。元気みたいだよ。僕おととい手紙を書いた。ここにいる間に返事が来るかもしれない」

こう言ってハリーは突然シリウスに手紙を書いた理由を思い出しました。でもここでは2人を心配させたくない。そう思ったので何とか打ち明けるのを思い留まりました。ハリーがそう思っているとおばさんがこう言いました。

「もうこんな時間。みんなもう寝なくっちゃ。全員よ。ワールドカップに行くのに夜明け前に起きるんですからね」

さらにおばさんは明日ダイアゴン横丁で買って来てあげるので学用品のリストを置いて行って欲しいとも言いました。ワールドカップの後は時間がないかもしれない。何故なら前回の試合は何と「5日間」も続いたんだそうです。

ハリーが熱くなって「今度もそうなるといいな!」と言うとパーシーは「僕は逆だ」と言いました。それは5日間も仕事を休んだら未処理の書類の山がドーンと溜まってしまうからだそうです。そんなパーシーに対して・・・

フレッドとジョージがドラゴンの糞を送りつけてやったんだそうです。ノルウェーからの肥料のサンプルではなかったのです。

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ハリー・ポッターの夏休み「炎のゴブレット」編(8)(24回シリーズ)

ハーマイオニーがロンにハリーを部屋に案内したらと言ったのはシリウスの近況が聞きたかったからでした。しかしジニーも一緒に来てしまったのでハリーもその話をする事はできませんでした。4人は再び階段を降りてキッチンに戻りました。夕食は庭で取る事になって・・・(全3項目)

3-1.ハーマイオニーが訊きたかったのは?
ロンの新ペットのピッグウィジョンの話が出た所でその姿が見当たらないのでハリーがハーマイオニーに「クルックシャンクスは?」と訊くと庭で庭小人を追いかけているという答えが返って来ました。初めて見たのだそうです。

「パーシーはそれじゃ仕事が楽しいんだね?」ハリーがこう訊くとロンはむしろ憂鬱そうで父親のアーサー氏が言わなければ家に帰らないほどでほとんど病気だと言うのです。さらに他にも夢中になっているものがあるそうです。

それは上司のクラウチ氏の事でパーシーは口を開けばもうクラウチ氏の名前が出て来てロンによれば「きっとこの2人。近い内に婚約発表するぜ」と言わしめるほどの惚れ込みようとの事でした。そして次に話題になったのは?

「ハリーあなたのほうは夏休みはどうだったの?私たちからの食べ物の小包とか色々届いた?」

こう訊くハーマイオニーにハリーはケーキのお陰で本当に命拾いをしたとお礼を言ったのでした。しかしハーマイオニーがロンにハリーを寝室に案内したらと言ったのには実は「あの人」の近況が知りたかったからなんですよね。

「それに便りはあるのかい?ほら」

こう言ったかと思うとロンはハーマイオニーの顔を見て言葉を途中で切って黙り込んでしまいました。ハーマイオニーはハリーにシリウスの事が訊きたかったに違いない。ロンもそう思ってこう言葉を切り出したというわけです。

しかし残念ながらこの場にはジニーがいるのです。シリウスは実は無実で実際に12人ものマグルを殺害してアズカバンに入るべきだったのは世間では死んだと思われているピーター・ペティグリューことワームテールだったんだ。

この事を知っているのはハリーたち3人の他にはリーマス・ルーピン1人きりしかいない。そのルーピンとて狼人間であるがために誰もその言い分を信用してはくれない。信じてくれたのはダンブルドア校長だけだったんですよね。

「どうやら下での論争は終わったみたいね。下りて行ってお母様が夕食の支度をするのを手伝いましょうか?」

ジニーが物問いたげにロンからハリーに視線を向けていたのでハーマイオニーがこう言いました。4人はロンの部屋を出るとキッチンに戻って来ました。そこにはひどくご機嫌斜めの様子のウィーズリーおばさんがいたのでした。

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ハリー・ポッターの夏休み「炎のゴブレット」編(7)(24回シリーズ)

別の意味で後ろ髪引かれる思いでプリベット通り4番地を離れたハリーだったのですが2年ぶりに「隠れ穴」に来てみたら以前から名前は聞いていたものの初対面となる2人が待ち受けていました。見た瞬間にハリーは察しがつきました。その2人の人物とは?(全3項目)

3-1.長男のビルに次男のチャーリー
ハリーは肘をピッタリ脇につけますますスピードを上げ旋回しました。ぼやけた暖炉の影が次々と矢のように通り過ぎハリーはやがて気持ちが悪くなって来たので目を閉じました。暫くしてスピードが落ちるのが感じられました。

止まる直前に手を突き出したので顔からつんのめらずに済みました。そこは「隠れ穴」のキッチンの暖炉でした。フレッドがハリーを助け起すと待ちかねたといった感じで興奮した様子で「奴は食ったか?」と訊いて来ました。

ハリーが「ああ」と答えた後に「一体何だったの?」と訊くとフレッドが「トン・タン・タフィーさ」と答えました。ジョージと2人で発明して誰かに試したくて夏休みにカモを探していたんだそうです。それがダドリーだった。

すると狭いキッチンに笑いが弾けました。ハリーが見回すとロンとジョージの他にハリーの知らない人が2人いました。誰なのかはすぐに察しがつきました。それはウィーズリー家の長男ビルと次男のチャーリーだったのでした。

「やあハリー調子はどうだい?」

ハリーに近いほうの1人がこう言うと笑顔を見せて手を差し出して来ました。握手をするとタコや水ぶくれが手に触れました。ルーマニアでドラゴンの仕事をしているチャーリーのようです。背が低くてがっしりした人でした。

人の良さそうな大振りの顔は雨風に鍛えられ顔のソバカスが日焼けのように見えました。腕は筋骨隆々で片腕に大きな火傷の跡がありました。そして次はビルと握手を交わしたハリーだったのですがビルには驚かされたのでした。

ホグワーツでは首席と聞いていたのでパーシーがやや年を取ったような感じだとハリーはそう思っていました。ところがビルを見てハリーが思ったのは「かっこいい」の一言でした。背が高く長髪をポニーテールにしていました。

服装はロックコンサートに行っても場違いの感がしないだろうとハリーは思いました。片耳に牙のようなイヤリングをぶら下げドラゴン革のブーツを履いていました。するとそこにアーサー氏が「姿現わし」をして来たのでした。

相当に怒っているようです。

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ハリー・ポッターの夏休み「炎のゴブレット」編(6)(24回シリーズ)

やっとこさダーズリー夫妻との対面を果たし握手をしようと手を差し出したアーサー氏だったのですが残念ながらバーノン叔父さんのほうにはそれに応じる余裕はありませんでした。さらに帰りがけにはフレッドとジョージの仕掛けた悪戯で居間は修羅場と化してしまったのでした。(全3項目)

3-1.ようやくご対面となったものの
アーサー氏は長い緑のローブの埃を払い曲がったメガネを直すとダーズリー夫妻に「ああ。ハリーの叔父さんと叔母さんでしょうな!」と声をかけると握手をしようとして手を差し出しつつバーノン叔父さんに近づいたのでした。

バーノン叔父さんはペチュニア叔母さんを引きずって数歩後退りしました。残念ながら叔父さんのほうはそれに応じる余裕は全くないようでした。一張羅の背広は埃で真っ白で髪も口髭も埃まみれて30才も老けて見えたのでした。

握手を諦めて手を下ろし吹き飛んだ暖炉を振り返るとアーサー氏は申し訳ないと謝罪しました。何でもプリベット通り4番地の暖炉を「煙突飛行ネットーワーク」にハリーを迎えに来るために今日の午後だけ組み込んだそうです。

マグルの暖炉は厳密には結んではいけないのだそうです。でもアーサー氏は「煙突飛行規制委員会」にコネがありそこの人が細工をしてくれたんだそうです。そして吹き飛んだ暖炉はすぐに元通りにできるので心配ないそうです。

子供たちを送り返す火を熾しそれからこの暖炉を直して自分は「姿くらまし」する。そう理路整然と冷静沈着に説明をしたもののターズリー夫妻には一言もアーサー氏の説明は分らなかっただろう。ハリーはそう思ったのでした。

ダーズリー夫妻は雷に打たれたように大口を開けてアーサー氏を見つめたままでした。ペチュニア叔母さんはよろよろと立ち上がると叔父さんの陰に隠れました。ダーズリー夫妻への説明が終わるとアーサー氏は朗らかに・・・

「やあハリー!トランクは準備できているかね?」

ハリーは笑顔を見せると「二階にあります」と答えました。するとフレッドがハリーにウインクをしながら「俺たちが取って来る」と言ってジョージと一緒に部屋を出て行きました。2人はダドリーに会うのを楽しみにしている。

ハリーはそう思いました。一方アーサー氏はハリーへの挨拶が終わったので再びダーズリー夫妻に声をかけました。何せアーサー氏はマグル好きなので「この機会に是非ともダーズリー一家と仲良くなりたい」と思っているのです。

「なかなかいいお住まいですな」

アーサー氏はこう言ったのですが・・・

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ハリー・ポッターの夏休み「炎のゴブレット」編(5)(24回シリーズ)

そしてついに来訪当日となり魔法使いの一行が我が家にやって来るという事でダーズリー一家の緊張と苛立ちは極限に達していました。ところが車で来ると思いきやウィーズリー一家はハリーすら思ってもみなかった超意外な方法でプリベット通り4番地にやって来たのでした。その方法とは?(全3項目)

3-1.来訪当日になって
翌日の12時には学用品に加え一番大切な持ち物全部がハリーのトランクに詰め込まれました。例の緩んだ床板の下の隠し場所から食べ物を出して空っぽにし呪文集や羽根ペンを忘れていないか部屋の隅々まで念入りに調べました。

9月1日までの日にちを数える壁の表も剥がしました。ホグワーツに帰る日まで表の日付に毎日×印をつけるのをハリーは楽しみにしていたからです。一方プリベット通り4番地には極度に緊張した空気がみなぎっていたのでした。

魔法使いの一行が我が家にやって来るという事でダーズリー一家の緊張と苛立ちは極限に達していました。ウィーズリー一家が日曜日の午後5時に来訪するとハリーが告げるとバーノン叔父さんは間違いなく度肝を抜かれました。

「きちんとした身なりで来るように言ってやったろうな。連中に。お前の仲間の服装をわしは見た事がある。まともな服を着て来るぐらいの礼儀は持ち合わせたほうがいいぞ。それだけだ」

バーノン叔父さんにこう言われハリーはちらりと不吉な予感がしました。ロンにジニーそれにフレッドとジョージは休み中ならマグルの服を着ている事もありました。しかしウィーズリー夫妻がそういう格好をしていた事がない。

隣近所が何と言おうとも気になどならない。ただしもしもウィーズリー一家がいかにも「私たちは魔法使いです」というダーズリー一家が持つ最悪のイメージそのものの姿で現れたらダーズリー一家が失礼な態度を取るのでは?

ハリーはそれが心配でした。そしてこの日バーノン叔父さんは一張羅の背広を着ていました。他の人が見たら歓迎の気持ちの表れと思うかもしれません。でも本当は叔父さんは威風堂々又は威嚇的に見えるようにしていたのです。

一方ダドリーは縮んだように見えました。ついにダイエット効果が現れたと思いきや恐怖で縮み上がっていたのです。前回魔法使いに会った時ダドリーは魔法をかけられお尻から尻尾が生えて来るという目に遭ってしまいました。

そのため尻のあたりを頻繁に撫でながら蟹歩きで移動していました。昼食時にはほとんど無言が続きました。ダドリーはカッテージチーズとセロリおろしの食事に文句も言いません。ペチュニア叔母さんは何も食べませんでした。

すると叔父さんがこう吼えました。

「当然。車で来るんだろうな?」

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ハリー・ポッターの夏休み「炎のゴブレット」編(4)(24回シリーズ)

これまでならハリーがバーノン叔父さんと話す時には恐々あるいはおっかなびっくりという感じでした。しかし今回に限ってはハリーはいつになく強気でした。何故かと云うとハリーには最後の切り札があったからです。そしてそれはハリーの予想通り効果てきめんでした。さらにハリーが寝室に戻ると・・・(全3項目)

3-1.最後の切り札
バーノン叔父さんはまた手紙を眺め回しました。叔父さんの唇の動きをハリーは「普通の方法で私どもにお送りいただくのがよろしいかと」とそう読み取りました。そしてハリーの推察通りで叔父さんはこう訊いて来たのでした。

「どういう意味だ。この普通の方法っていうのは?」

バーノン叔父さんが止める間も与えずハリーは「僕たちにとって普通の方法。つまりふくろう便のこと。それが魔法使いの普通の方法だよ」と答えました。するとそれを聞いた叔父さんは身を震わせ烈火の如く激怒したのでした。

まるでハリーが汚らしい罵りの言葉でも吐いたかのようでした。叔父さんは神経を尖らせて窓の外を見ました。まるで隣近所が窓ガラスに耳を押しつけて聞いているかのようでした。窓の外を見た後に叔父さんはこう言いました。

「何度言ったら判るんだ?この屋根の下で不自然な事を口にするな。恩知らずめが。わしとペチュニアのお陰でそんな風に服を着ていられるものを」

凄んでこう言う叔父さんにハリーは「ダドリーが着古した後にだけどね」と冷たく言いました。すると叔父さんは怒り狂って震えながら「わしに向かってその口の利きようは何だ!」と言いました。でもハリーも引っ込みません。

それは何故かと云うとハリーには最後の切り札があったからです。これを言えばバーノン叔父さんは今度は怒りではなく恐怖で身を震わせる事になる。ハリーは深く息を吸って気持ちを落ち着けました。そしてこう言ったのです。

「じゃ僕ワールドカップを見に行けないんだ。もう行ってもいいですか?シリウスに書いてる手紙を書き終えなきゃ。ほら僕の名付け親」

ハリーがこう言うとバーノン叔父さんは「お前-お前は奴に手紙を書いているのか?」と訊いて来ました。叔父さんは表向きは平静を装っていました。でもハリーは叔父さんの小さな目が恐怖でさらに縮んだのを見て取りました。

「ウン。まあね。もう随分長いこと手紙を出してなかったから。それに僕からの便りがないとほら何か悪い事が起こったんじゃないかって心配するかもしれないし」

ハリーはさりげなく言いそしてここで言葉を切って言葉の効果を楽しみました。シリウスに手紙を書くのを辞めさせればシリウスはハリーが虐待されていると思うだろう。ワールドカップに行ってはならんとハリーに言ったら?

ハリーはそれを手紙に書きシリウスがその事を知ってしまう。つまりバーノン叔父さんの選択は1つしかないというわけです。ハリーには叔父さんの頭にその結論が出来上がって行くのが見えるようでした。ハリーは待ちました。

すると?

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ハリー・ポッターの夏休み「炎のゴブレット」編(3)(24回シリーズ)

スメルティングズ校の養護の先生に「ダドリー・ダーズリーは太り過ぎ!」と断罪されプリベット通り4番地の住人全員がダイエットをする事になりました。しかしハリーはダイエットなど全くしていませんでした。そんな中マグルの郵便配達屋さんがハリーに関する手紙を持って来ました。一体誰が?(全3項目)

3-1.愚痴もこぼさず
こうしてスメルティングズ校の養護の先生に「ダドリー・ダーズリーは太り過ぎ!」と断罪されてプリベット通り4番地の住人全員がダイエットをする事になりました。今度はグレープフルーツ四分の一がハリーに配られました。

ダドリーのよりずっと小さい事にハリーは気づきました。ペチュニア叔母さんはダドリーのやる気を保つ一番良い方法は少なくともハリーよりもダドリーのほうが沢山食べられるようにする事だとそう思っているようなのです。

しかしハリーは愚痴もこぼさずにグレープフルーツを食べ始めました。何故かと云うとそれにはカラクリがあるのです。ペチュニア叔母さんはハリーがダイエットなど全くしていない事に全然気づいてはいないというわけです。

ペチュニア叔母さんはハリーの寝室の床板が緩くなった所に何が隠されているのかを知りません。この夏をニンジンの切れ端だけで生き延びる羽目になりそうだと気配を察したハリーはヘドウィグを飛ばし友の助けを求めました。

友達はこの一大事に敢然と立ち上がりました。ハーマイオニーの家から戻ったヘドウィグは両親が歯医者なので砂糖なしスナックが一杯詰まった大きな箱を持って来ました。ハグリッドはお手製のロックケーキを送って来ました。

ただしハリーはこれには手をつけませんでした。ハグリッドのロックケーキには懲りていたからです。一方ウィーズリーおばさんは大きなフルーツケーキやら色々なミートパイを家族ふくろうのエロールに持たせてよこしました。

年老いてよぼよぼのエロールは哀れにもこの大旅行から回復するのに5日を要しました。そしてハリーの誕生日には最高のバースデー・ケーキがロンにハーマイオニーとハグリッドそしてシリウスからと4つも届けられました。

バーノン叔父さんも四分の一のグレープフルーツを見下ろすと叔母さんに「これっぽっちか?」と不服そうに言いました。ペチュニア叔母さんは叔父さんを睨むとダドリーのほうを顎で指して頷いてみせました。しかながない。

そう言いたげにバーノン叔父さんは深い溜め息をついてスプーンを手にしました。すると玄関のベルが鳴りました。バーノン叔父さんは重たげに腰を上げると廊下に出て行きました。何やら玄関先で誰かと話をしているようでした。

戻って来ると叔父さんはハリーに「来い。居間に。すぐにだ」と吠え立てて来ました。わけが分らずハリーは「一体今度は自分が何をやったのだろう?」と訝りつつ叔父さんに従いて居間に入りました。何故呼び出されたのか?

それはハリーもよく知っている「とある人」からダーズリー夫妻に手紙が届いたからというわけなんですよね。

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ハリー・ポッターの夏休み「炎のゴブレット」編(2)(24回シリーズ)

丸2年間痛まなかったというのに突如として額の傷痕に痛みが走りました。どうしてなんだろう?ハリーがあれこれ悩んでいる内に「こんな事を相談するのならあの人だ!」と思い浮かんでハリーは手紙を書く事にしました。一体その最適の人物とは誰なのかと云うと・・・(全3項目)

3-1.ロンなら何と言う?
額の傷痕に痛みが走ったと手紙を書いたら何と言うだろう?ハーマイオニーに続いてハリーが想像したのはロン・ウィーズリーでした。ハリーの脳裏にロンが姿を現しこう言ったのでした。何だか当惑したような顔をしています。

「傷が痛いって?だけどだけど例のあの人が今君のそばにいるわけないよ。そうだろ?だってもしいるなら。君判るはずだろ?」

ロンならこう言うだろう。さらには再びハリーを殺害しようとするだろうとも言うだろう。そして分らないけど呪いの傷痕って少しはいつでも痛むものなのではと言うだろう。そして父親のアーサー氏に訊いてみると言うだろう。

そのアーサー氏は魔法省の「マグル製品不正使用取締局」に勤める魔法使いです。しかしアーサー氏はハリーの知る限り呪いに関しては特に専門家ではありません。いずれにせよこの程度の事をウィーズリー一家に知られたら?

ほんの数分だけ傷痕が疼いただけで恐れているとウィーズリー一家全員に知られたくない。ウィーズリーおばさんはハーマイオニーより大騒ぎして心配するだろう。フレッドとジョージは僕の事を意気地なしと思うかもしれない。

それと言うのもハリーは明日にもウィーズリー家から泊りに来るように招待が来るはずなのです。それは今年イギリスでクィディッチ・ワールドカップが行われているからです。夏休みの残りの期間は「隠れ穴」で過ごすのです。

せっかくの滞在中に「傷痕はどうか?」と心配そうに何度も訊かれるのは嫌だったからです。そしてハリーが思ったのは「こんな馬鹿な事を」と思わずに相談でき自分を心配してくれる大人の魔法使いがいたならという事でした。

すると答えが思い浮かびました。こんなに簡単で明白な事を思いつくのに何故こんなに時間がかかるんだ?シリウスだ。ハリーはベッドから飛び降りると急いで部屋の反対側にある机に座って羊皮紙を一巻き取り寄せたのでした。

何故シリウスを最初に思い浮かべなかったのか?自分でも驚くと同時に「そんなにも驚く事ではない」ともハリーはそう思ったのでした。その理由はシリウスは実は無実の罪でアズカバンに12年間も閉じ込められていたからです。

真にその罪を犯していたのはピーター・ペティグリューことワームテールでした。ワームテールは世間では死んだと思われていてハリーにロンとハーマイオニーそれにリーマス・ルーピンの4人だけが真相を知っているのです。

ハリーたち3人の言う事を信じてくれたのはダンブルドア校長先生1人だけでした。ハリーがシリウスが無実だという事を知ったのはほんの二ヵ月前の事だったのです。だからシリウスを思い浮かべるのに時間がかかったのです。

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ハリー・ポッターの夏休み「炎のゴブレット」編(1)(24回シリーズ)

最近毎年7月は「ハリーは夏休みをどう過ごしたのか?」を巻毎にお届けしています。今年は第4巻「炎のゴブレット」つまり4年生になるハリーが直前の夏休みをどう過ごしたのかを取り上げます。ハリーは久方ぶりにそれも激しく額の傷痕が痛んで色々と思い悩む事になりました。(全3項目)

3-1.額の傷痕が痛んで
ヴォルデモート卿はホグワーツ在学中に自分を顧みなかったマグルの父と祖父母をリトル・ハングルトンの館に訪ねて殺害しました。そしてその唯一の目撃者だったフランク・ブライスを葬り去ったその瞬間の事だったのでした。

ハリーが目覚めたのは額の傷痕に激しい痛みが走ったからでした。ベッドに仰向けに横たわったままハリーはまるで疾走して来た後のように荒い息をしていました。生々しい夢で目が覚めハリーは両手を顔に押し付けていました。

起き上がって片手で傷を押さえながらハリーはメガネに手を伸ばしてかけました。ハリーがもう一度指で傷痕をなぞるとまだ疼いています。ハリーは枕元の明かりを点けてベッドから出ると箪笥の扉を開けて鏡を覗き込みました。

ハリーは鏡に映る稲妻形の傷痕をじっくり調べました。いつもと変わりない。しかし傷はまだ刺すように痛かったのでした。ハリーは目覚める前にどんな夢を見ていたのかを思い出そうとしました。あまりにも生々しい夢でした。

夢には3人の人物が出ていました。2人は知っていてヴォルデモートとピーター・ペティグリューことワームテールでした。もう1人は見知らぬ老人でした。その老人が床に倒れるのをハリーは見ました。何だか全て混乱している。

ハリーは両手に顔を埋めて今いる寝室の様子を遮るようにして夢の中の薄明かりの部屋のイメージをしっかり捉えようとしました。しかし捉えようとすればするほどまるで両手に汲んだ水が漏れるように詳細は忘れて行きました。

ハリーは顔から手を離し目を開けて自分の部屋を何か普通ではない光景を見つけようとしているかのように見回しました。確かにこの部屋には普通ではない物がある。大きなトランクが開いたままベッドの足下に置いてあります。

そこには大鍋や箒に黒いローブの制服や呪文集の本が数冊覗いていました。机の上には大きな鳥籠があり普段なら雪のように白いふくろうのヘドウィグが止まっているのですが今はいないので空っぽでした。それならば・・・

一体ハリーは何を探しているのか?

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