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マッド・アイ・ムーディが渡した羊皮紙に「不死鳥の騎士団の本部はロンドンのグリモールド・プレイス12番地に存在する」と書かれていたのでここはどうやらロンドンのようでした。見えて来たその建物に足を踏み入れるとそこは闇も闇それも大闇の魔法使いの家だったんですよね。(全3項目)

3-1.11番地と13番地の間から
「何ですか?この騎士団って?」ハリーがこう問いかけるとマッド・アイが「ここでは駄目だ!中に入るまで待て!」と唸りました。そう言ったかと思うとマッド・アイはハリーの手からその羊皮紙をひったくってしまいました。

そして杖で火を点けて燃やしてしまいました。ハリーはもう一度周りの家を見回しました。すると何だかとても奇妙な事に気づいたのです。今立っているのは11番地で左を見ると10番地で右隣は何と13番地で12番地がないのです。

「でもどこが?」と訊くハリーにルーピンが「今覚えたばかりのものを考えるんだ」と静かに言いました。ハリーは考えました。すると11番地と13番地の間のグリモールド・プレイス12番地という所まで来た途端だったのでした。

11番地と13番地の間にどこからともなく古びて痛んだ扉が現れ今度は薄汚れた壁と煤けた窓も現れました。まるで両端の11番地と13番地の家を押し退けてもう1つの家が膨れ上がって来たようです。ハリーは呆然と見ていました。

11番地のステレオはまだ鈍い音を響かせています。どうやら中にいるマグルは何も感じていないようでした。マッド・アイがハリーの背中を押しながら低い声で「さあ急ぐんだ」と言いハリーに前に進むようにと促したのでした。

ハリーは突然出現した扉を見つめながら石段を上がって行きました。扉の黒いペンキがみすぼらしく剥がれています。訪問客用の銀のドア・ノッカーは1匹の蛇がとぐろを巻いた形になっています。鍵穴も郵便受けもありません。

ルーピンは杖を取り出し扉を1回叩きました。するとカチッカチッと大きな金属音が何度か続き鎖がカチャカチャというような音が聞こえて扉が開きました。ルーピンはハリーに「早く入るんだ」と囁くとこう注意をしました。

「ただしあまり奥には入らないよう。何にも触らないよう」

ハリーは敷居を跨ぐとほとんど真っ暗闇の玄関ホールへと入りました。湿った埃っぽい臭いがしてそこには打ち捨てられた廃屋の気配が漂っていました。ハリーが振り返って見ると先発護衛隊の面々が並んで入って来る所でした。

ルーピンとトンクスはハリーのトランクとヘドウィグの鳥籠を運んでいます。マッド・アイは階段の一番上に立って「灯消しライター」で盗み取った街灯の明かりを元に戻していました。広場は一瞬だけオレンジ色に輝きました。

マッド・アイが中に入って玄関の扉を閉めるとホールは再び完璧な暗闇になりました。マッド・アイは「さあ」と言うとハリーの頭を杖で叩きました。今度は何か熱い物が背中を流れ落ちるようなそんな感じがしたんですよね。

「目くらまし術」が解けたに違いないとハリーは思いました。

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ルーピンの「第2の合図だ。出発!」の号令でハリーは地面を蹴りついにプリベット通り4番地を離れました。そして一行はマッド・アイ・ムーディの指示で何度も何度もコースを変えおそらくは1時間以上をかけてやっとこさ目的地に到着したのでした。着いた所はどうやらロンドンのようでした。(全3項目)

3-1.ついに出発!
そんなに威勢のいいこと言わないでよ。それじゃ私たちが真剣にやってないみたいにハリーが思うじゃない。こう激しく抗議するトンクスにマッド・アイ・ムーディは「わしはこの子に計画を話していただけだ」と反論しました。

次にマッド・アイが「わしらの仕事はこの子を無事本部へ送り届ける事でありもしわれらが使命途上で殉職しても」と言った所でキングズリー・シャックルボルトが人を落ち着かせる深い声でこう言ったというわけなんですよね。

「誰も死にはしませんよ」

ルーピンが空を指して「箒に乗れ。最初の合図が上がった!」と言いました。遥かに高い空に星に混じって明るい真っ赤な火花が噴水のように上がっていました。それが杖から出る火花だという事がハリーには即座に判りました。

ハリーはファイアボルトに跨るとしっかりと柄を握りました。柄が微かに震えるのを感じました。また空に飛び立つ事ができるのをハリーと同じく待ち望んでいるかのようでした。するとルーピンが大声でこう号令したのでした。

「第2の合図だ。出発!」

今度は緑の火花が真上に高々と噴き上げました。ハリーは地面を強く蹴りました。冷たい夜風が髪に当たりました。プリベット通りの小奇麗な四角い庭たちかがどんどん遠退いて瞬時に縮むと暗い緑と黒のまだら模様になりました。

魔法省の尋問などまるで風が吹き飛ばしてしまったかのように跡形もなくハリーの頭から吹っ飛びました。ハリーはうれしさに心臓が爆発しそうでした。夏中胸に思い描いていたようにまた飛んでいるんだとハリーは思いました。

プリベット通りを離れて飛んでいるんだ。家に帰るんだ。この僅かな瞬間。この輝かしい瞬間。ハリーの抱えていた問題は無になりこの広大な星空の中ではそんな事は取るに足らないものになっていました。するとその時でした。

「左に切れ。左に切れ。マグルが見上げておる!」

ハリーの背後でマッド・アイがこう叫びました。トンクスが左に急旋回しハリーも続きました。マッド・アイが「もっと高度を上げねば。400メートルほど上げろ!」と言いました。上昇する時の冷気でハリーは目が潤みました。

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いよいよついにプリベット通り4番地を離れる事になりハリーはトンクスを伴って自分の部屋に荷造りをしに戻って来ました。そこでハリーはトンクスとキングズリー・シャックルボルトの2人が闇祓いだと聞かされました。荷造りを終えて再び台所に戻って来ると・・・(全3項目)

3-1.そんな事よりも荷造り
私七変化なの。何とそれは生まれつきで闇祓いの訓練で全然勉強しなくても「変装・隠遁術」は最高点を取ったのだそうです。他ならぬトンクス本人にそう言われてハリーは「闇祓いなんですか?」と訊きつつ感心したのでした。

闇の魔法使いを捕らえるその仕事はホグワーツ卒業後の進路としてハリーが考えた事のある唯一の職業でした。トンクスは「そうよ」と答えながら得意気でした。実はキングズリーもそうでトンクスより少し地位が高いそうです。

トンクスは1年前に資格を取ったばかりで「隠密追跡術」では落第ぎりぎりだったんだそうです。おっちょこちょいだからでここ4番地に到着した時にトンクスは1階でお皿を割ってしまったのだそうです。確かに聞こえました。

ハリーは荷造りの事をすっかり忘れて姿勢を正すと「勉強で七変化になれるんですか?」と訊きました。するとトンクスはクスクス笑ったかと思うとハリーの額の稲妻形の傷に目を止めてハリーに対してこう言って来たのでした。

「その傷を時々隠したいんでしょ?ン?」

ハリーは顔を背け「うん。そうできれば」とモゴモゴ言いました。常々誰かに額の傷痕をじろじろ見られるのは嫌だったからです。そんなハリーに向かってトンクスはこう言って暗に勉強で七変化になるのは難しいと言いました。

「習得するのは難しいわ。残念ながら。七変化って滅多にいないし生まれつきで習得するものじゃないのよ。魔法使いが姿を変えるにはだいたい杖か魔法薬を使うわ」

七変化についてこう説明した後にトンクスは「でもこうしちゃいられない。ハリー私たち荷造りしなきゃいけないんだった」と言いました。トンクスはごちゃごちゃ散らかった床を見回すと気が咎めるようにこう言ったのでした。

ハリーは「あ。うん」と応えると本を再び数冊拾い上げました。それを見てトンクスは「馬鹿ね。もっと早いやり方があるわ。私が」と言うと杖で床を大きく掃うように振りながら「パック!詰めろ!」とそう叫んだのでした。

すると本も服も望遠鏡も秤も全部が空中に舞い上がってトランクの中に収まりました。トンクスはトランクに近づくと中のごたごたを見下ろして「あんまりすっきりしてないけど」と言いさらにハリーに向かってこう言いました。

「ママならきちんと詰めるコツを知ってるんだけどね。ママがやるとソックスなんかひとりでに畳まれてるの。でも私はママのやり方を絶対マスターできなかった。振り方はこんな風で」

トンクスは最後に「振り方はこんな風で」と言いもしかしたら上手く行くかもしれないと杖を振りました。するとハリーの靴下が1つだけ僅かに動きはしたもののまたもトランクのごたごたの上に落ちて上手く行きませんでした。

でも取りあえずこれで荷造りはあっという間に終わりました。

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ハリーはマッド・アイことアラスター・ムーディを皮切りに自分を迎えに来たメンバーの紹介をルーピンにして貰いました。しかしまさにハリーの一挙手一投足を逐一見ているのでハリーは煩わしくなって来ました。そして自分の部屋に戻って荷造りする事になったのですが・・・(全3項目)

3-1.メンバー紹介
「ハリーこの方はアラスター・ムーディだ」この一言を皮切りにルーピンは今回ハリーを迎えに来たメンバーの紹介を始めました。次に「そしてこちらがニンファドーラ」と紹介しかけると紫の髪の魔女がこう言ったんですよね。

「リーマス、私のことニンファドーラって呼んじゃ駄目。トンクスよ」

身震いしてこう言ったもののルーピンは「ニンファドーラ・トンクスだ」とフルネームを言った後に続けて「苗字のほうだけを覚えて欲しいそうだ」と言いました。それを受けてトンクスはその理由をこう言ったというわけです。

「母親が可愛い水の精ニンファドーラなんて馬鹿げた名前をつけたらあなただってそう思うわよ」

その次にルーピンは背の高い黒人の魔法使いを指して「それからこちらはキングズリー・シャックルボルト」と言って紹介しました。先程深いゆったりとした声でハリーの事を「ジェームズに生き写しだ」と言った魔法使いです。

4番目はゼイゼイ声で目だけがリリーだと言ったエルファイアス・ドージでした。5番目は紹介されると「以前にお目にかかりましたな」と言うと興奮しやすい性格で紫色のシルクハットを落としたディーダラス・ディグルでした。

6番目にルーピンが紹介したのはエメラルド・グリーンのショールを巻いた堂々とした魔女のエメリーン・バンスでした。7番目に紹介されたのは顎の角張った麦わら色の豊かな髪をした魔法使いでスタージス・ポドモアでした。

そして8番目さらには最後に紹介されたのがピンクの頬で黒髪の魔女のヘスチア・ジョーンズという人でした。紹介されたメンバーはそれぞれ各々が頷いたり頭を下げたりウィンクしたり手を振ったりしてハリーに挨拶しました。

一方ハリーのほうはルーピンに紹介されるたびに各人にぎこちなく頭を下げました。一同全員が何か自分以外を見てくれればいいのにと思いました。突然舞台に引っ張り出されたようで何故こんな大勢いるのだろうと思いました。

「君を迎えに行きたいと名乗りを上げる人がびっくりするほど沢山いてね」

ルーピンがハリーの心を読んだかのようにこう言いました。それを受けてマッド・アイが暗い顔で「うむまあ多いに越した事はない。ポッターわしらはお前の護衛だ」と言った後ルーピンが窓に目を走らせながらこう言いました。

「私たちは今出発しても安全だという合図を待っている所なんだが。あと15分ほどある」

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突如として大勢の魔法使いと魔女がハリーを迎えにプリベット通り4番地にやって来ました。最初にハリーに声をかけて来たのはマッド・アイ・ムーディでした。そして2番目は何とリーマス・ルーピンで3番目に声をかけて来たのは初対面の魔女でした。ハリーが階段を下りて行くと・・・(全3項目)

3-1.階段の踊り場に立つと
ハリーが部屋を出て階段の踊り場に立つと心臓が喉まで跳び上がりました。下の薄暗いホールに玄関のガラス戸を通して入って来る街灯の明かりを背にして人影が見えたからです。8人か9人もいて全員がハリーを見上げています。

「おい坊主。杖を下ろせ。誰かの目玉をくり貫くつもりか」

低い唸り声がこう言うのが聞こえて来てハリーの心臓はどうしようもなく激しく脈打ちました。聞き覚えのある声と思ったもののハリーは杖を下ろしませんでした。ハリーは半信半疑で「ムーディ先生?」と問いかけたのでした。

「先生かどうかはよく分らん。なかなか教える機会がなかったろうが?ここに降りて来るんだ。お前さんの顔をちゃんと見たいからな」

再びこう唸る声が聞こえて来ました。ハリーは杖を少し下ろしましたが握り締めた手を緩めず踊り場から動きませんでした。それにはちゃんとした理由がありハリーがマッド・アイ・ムーディだと思っていたのは違う人物でした。

この9ヵ月もの間ハリーがマッド・アイ・ムーディだと思っていたのは実は世間ではアズカバンで死んだと思われていたバーテミウス・クラウチ氏の息子で死喰い人だったのです。さらにはハリーを殺害しようとさえしたのです。

「大丈夫だよハリー。私たちは君を迎えに来たんだ」

しかしハリーが次の行動を決めるのに激しく逡巡している内に2番目の声がこう言うのが聞こえて来ました。ハリーは心が躍りました。もう1年以上聞いていませんでしたがこの声もまたハリーには聞き覚えがあったからでした。

信じられない気持ちで「ル、ルーピン先生?本当に?」と問いかけると「私たちどうしてこんな暗い所に立ってるの?」と3番目の声が聞こえました。それはハリーの全く知らない女性の声です。その女性がこう唱えたのでした。

「ルーモス!光よ!」

杖先が光って魔法の灯がホールを照らし出しました。明かりのない暗い所にずっといたのでハリーは目を瞬きました。階段下にいた人々が一斉にハリーを見上げました。ハリーをよく見ようとして首を伸ばしている人もいました。

リーマス・ルーピンが一番手前にいました。

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自分の部屋に戻るとハリーは即座にシリウスとロンにハーマイオニーの3人に手紙を書きヘドウィグに持たせました。翌朝には返事の手紙が来るだろう。ハリーはそう思いました。しかし4日経ってもヘドウィグは帰って来ませんでした。ところがダーズリー一家が出かけたと思ったら・・・(全3項目)

3-1.自分の部屋に戻ると
寝室に戻るや否やハリーは同じ文面を3枚の羊皮紙に書きました。最初のはシリウス宛で2通目はロン宛で3通目はハーマイオニー宛です。ヘドウィグは狩りに出かけていて鳥籠は空だったためハリーは帰って来るのを待ちました。

「僕はさっき吸魂鬼に襲われた。それにホグワーツを退学させられるかもしれない。何が起こっているのか一体僕はいつここから出られるのか知りたい」

ハリーが書いた手紙の文面はこうでした。ハリーはヘドウィグの帰りを待ちながら部屋を往ったり来たりしました。目がちくちく痛むほど疲れていましたが次々と色々な思いが浮かんで来ていたので眠れそうになかったんですよね。

ダドリーを家まで背負って来たので背中が痛み窓にぶつかった時とダドリーに殴られた際の瘤も痛みました。歯噛みし拳を握り締めて部屋を往復しながらハリーは怒りと焦燥感で疲れ果て窓際を通ると怒りを込めて見上げました。

自分を始末するのに吸魂鬼が送られた。フィッグばあさんとマンダンガス・フレッチャーがこっそり自分を追跡していた。その上ホグワーツの停学処分に加えて魔法省での懲戒尋問。それなのにまだ誰も何にも教えてはくれない。

それにあの「吼えメール」は一体何だったんだ?台所中に響いたあの恐ろしい脅すような声は誰の声だったんだ?これについては先回の記事で言ったように送り主がダンブルドアだという事をハリーが知るのは学期末の事でした。

どうして自分は何も知らされずに閉じ込められたままなんだ?どうしてみんなは自分の事を聞き分けのない小僧扱いするんだ?ハリーの頭の中は怒りに猛り狂っていました。ハリーの脳裏にはあの文面が浮かんでいたのでした。

「これ以上魔法を使ってはいけない。家を離れるな」

通りがかりざまハリーは学校のトランクを蹴飛ばしました。しかし怒りが収まる所かかえって気が滅入る事になってしまいました。全身が痛いその上に今度は爪先の鋭い痛みまでもがさらに加わる事になってしまったからでした。

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バーノン叔父さんはハリーに向かって何度も何度も繰り返し「出て行け!」と言いました。ハリーが我が家にいたために数々の災難が降りかかって来たからだとも言いました。ところがそこに5羽目のふくろうが赤い封筒を持って煙突から台所に入って来ました。ハリーはその赤い封筒を受け取ろうとしたのですが・・・(全3項目)

3-1.出て行け!
「さあこれで決まりだ。小僧!この家を出て行って貰うぞ!」バーノン叔父さんにこう言われてハリーは「えっ?」と言いました。叔父さんの大声にペチュニア叔母さんやダドリーでさえも思わず飛び上がるほどだったのでした。

「聞こえたろう。出て行け!出て行け!出て行け!とっくの昔にそうすべきだった!」

何故ならばふくろうはここを休息所扱いするわデザートは破裂するわ客間の半分は壊されるわダドリーに尻尾は生やされるわマージ叔母さんは膨らんで天井をポンポンするわその上に空飛ぶフォード・アングリアなんだそうです。

「出て行け!出て行け!もうお終いだ!お前の事は全て終わりだ!」

叔父さんは「出て行け!」をこれでもかというぐらい連呼しました。狂った奴つまり吸魂鬼がハリーを追っているならここに置いておけん。ハリーのせいで妻と息子を危険に晒しはしない。ハリーにはもう面倒を持ち込ませない。

ハリーが碌でなしの両親と同じ道を辿るのならわしはもう沢山だ。だからハリーはこの家を出て行けと叔父さんはそう言うのです。しかしハリーはその場にまるで根が生えたように立っていました。手紙でこう言われたからです。

「何があろうとも決して家を離れてはいけない。叔父さん、叔母さんの家を離れないよう」

叔父さんは「聞こえたな!」と言うと今度はのしかかって来ました。叔父さんのその顔がハリーの顔に激しく接近し唾が降りかかるのが感じられるほどでした。行けばいいだろう!30分前にはあんなに出て行きたがったお前だ!

大賛成だ!出て行け!二度とこの家の敷居を跨ぐな!そもそも何で自分たちがハリーを手元に置いたのか分らんとまで叔父さんは言いました。孤児院に入れるべきだった。自分たちがお人好し過ぎたと叔父さんはそう言うのです。

ところがだったのです。

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ハリーは疲れて怒る気力さえ失っていました。さらにはヴォルデモートに両親を殺害された事を思い出して辛い思いを抱いていました。しかしバーノン叔父さんはそんなハリーの心情など微塵も察しようとしないばかりかハリーの話を一通り聞いたかと思うと・・・(全3項目)

3-1.何故吸魂鬼はリトル・ウィンジングに現れた?
今夜何が起こったのか本当の事を言え。吸魂鬼とかがダドリーを傷つけたのなら何でお前が退学になる?お前は「例のあれ」つまりは魔法をやったと自分で白状した。バーノン叔父さんはこう言って更なる説明を求めて来ました。

ハリーは深呼吸をして気を落ち着かせました。また頭が痛み始めていました。何よりもまずは台所から出てダーズリー一家から離れたいとハリーはそう思いました。ハリーは必死で平静さを保ち叔父さんにこう説明したのでした。

「僕は吸魂鬼を追い払うのに守護霊の呪文を使った。あいつらに対してはそれしか効かないんだ」

すると叔父さんは今度は吸魂鬼とかは何でまたリトル・ウィンジングにいたと憤激して訊きました。その問いにハリーは「教えられないよ。知らないから」と答えました。ハリーは今度は台所の照明で頭が痛くなって来ました。

怒りは段々収まって来ましたがハリーは力が抜けひどく疲れていました。ダーズリー一家はハリーをじっと見ていました。ハリーは疲れて怒る気力さえ失っていましたがそんな事も一切お構いなく叔父さんはこう言って来ました。

「お前だ。お前に関係があるんだ。小僧判っているぞ。それ以外ここに現れる理由があるか?それ以外あの路地にいる理由があるか?お前がただ1人の。ただ1人の。このあたり一帯でただ1人の例のあれだ」

叔父さんが「魔法使い」という言葉をどうしても口にできないのは明らかでした。そんな叔父さんにハリーは「あいつらがどうしてここにいたのか僕は知らない」と答えながらも疲れ切ったハリーの脳みそが再び動き出しました。

何故吸魂鬼がリトル・ウィンジングにやって来たのか?自分が路地にいる時奴らがそこにやって来たのは果たして偶然なのだろうか?誰かが奴らを送ってよこしたのだろうか?魔法省は吸魂鬼を制御できなくなったのだろうか?

奴らはアズカバンを捨ててダンブルドアが予想した通りヴォルデモート側についたのか?そんな「何故吸魂鬼はリトル・ウィンジングに現れたのか?」をハリーが考えている道筋に叔父さんは傍若無人に踏み込んで来たのでした。

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魔法省から2通目の手紙が届いてとりあえずハリーは杖を保持してもいいという事になりました。しかし全ては8月12日に行なわれる懲戒尋問で決まるようです。ハリーは自分の部屋に戻ろうとしましたがバーノン叔父さんがそれを止めました。ハリーが事の経緯を説明していると・・・(全3項目)

3-1.今夜3通目のふくろう便が届いて
3羽目のふくろうも配達を終えるとハリーが手紙を開封している間に戻って行きました。バーノン叔父さんは気を削がれたように「沢山だ。くそ。ふくろうめ」と呟くと再び窓際まで行ってふくろうが入って来た窓を閉じました。

手紙の内容は魔法省からで約22分前の当方からの手紙に引き続き貴殿つまりハリーの杖を破壊する決定を直ちに変更したと書かれていました。ハリーは8月12日に開廷される懲戒尋問までは杖を保持してもいいとの事だそうです。

公式決定は当日下される事になる。ホグワーツ魔法魔術学校校長つまりダンブルドアとの話し合いの結果魔法省はハリーの退学の件についても当日の8月12日に決定する事に同意した。それまでハリーは停学処分扱いだそうです。

ハリーはこの手紙を立て続けに今度は3度も読みました。まだ完全には退学になっていないと知って胸に支えていた惨めさが若干緩みました。しかし恐れが消え去ったという事ではなく8月12日の懲戒尋問に全てがかかっている。

「それで?今度は何だ?何か判決が出たか?ところでお前らに死刑はあるのか?」

叔父さんがこう言って来てハリーは今の状況を思い出しました。叔父さんは「いい事を思いついた!」とばかりに「死刑はあるのか?」という言葉を付け加えました。これにハリーは「尋問に行かなきゃならない」と答えました。

「そこでお前の判決が出るのか?」と叔父さんが訊くのでハリーは「そうだと思う」と答えました。それを聞き叔父さんは「それではまだ望みを捨てずにおこう」と意地悪く言いハリーは「じゃもういいね」と立ち上がりました。

1人になりたくて堪らなかったからでした。考えたい。それにロンやハーマイオニーとシリウスに手紙を送ったらどうだろうとハリーは思いました。そんなハリーに叔父さんが話はまだ終わっていないとばかりにこう喚きました。

「駄目だ。それでもういいはずがなかろう!座るんだ!」

ハリーは苛立ってこう訊きました。

「今度は何なの?」

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息子のダドリーをこんな風にしたのはハリーに決まっている!そう確信していたダーズリー夫妻はダドリーに囁きかけました。そんな2人にハリーはダドリーをそうしたのは吸魂鬼だと繰り返し言いました。すると吸魂鬼とは一体何なんだというバーノン叔父さんの問いに答えたのは?(全3項目)

3-1.あくまでも悪者はハリー
ハリーは魔法省の役人が近づいて来るかもしれないと耳をそばだて外の物音を聞き逃さないようにしていました。それに質問に答えているほうが怒ったり吼えたりせず静かで楽だったのでバーノン叔父さんの問いに答えました。

「二番目のは友人のロンのパパから。魔法省に勤めてるんだ」

この答えを聞き叔父さんは大声で「魔法省?お前たちが政府に?ああそれで全て判ったぞ。この国が荒廃するわけだ」と言いました。ハリーが黙っていると叔父さんはハリーを睨んだかと思うと吐き捨てるようにこう言いました。

「それでお前は何故退学になった?」

ハリーが「魔法を使ったから」と答えると叔父さんは冷蔵庫のてっぺんを拳で叩きながら「はっはーん!」と吼えました。すると冷蔵庫が開いてダドリーの低脂肪おやつが幾つか飛び出して引っくり返ると床に広がったのでした。

「それじゃお前は認めるわけだ!一体ダドリーに何をした?」

ハリーが魔法を使ったと言ったので叔父さんはこう言いました。あくまでも悪者は常にハリーというスタンスは変えないというわけです。ハリーは「何にも。あれは僕がやったんじゃない」と答えながら少し冷静さを失いました。

すると出し抜けにダドリーが「やった」と呟きました。ダーズリー夫妻はすぐさま仕種でハリーに「お前は口を挟むな」と示してハリーを黙らせるとダドリーを覆い被さるようにして覗き込みました。叔父さんがこう言いました。

「坊主続けるんだ。あいつは何をした?」

ペチュニア叔母さんもそんなバーノン叔父さんを援護するようにダドリーに向かって「坊や話して」と囁きました。ダドリーは「杖を僕に向けた」と言いました。それは確かに事実でした。でもハリーは魔法を行使してはいません。

そこでハリーは「ああ向けた。でも僕使っていない」と怒って反論しました。しかしバーノン叔父さんとペチュニア叔母さんが同時に「黙って!」と吼えて叔父さんがダドリーに「坊主続けるんだ」と繰り返したというわけです。

ところがだったのです。

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声を取り戻したダドリーが「あいつ」と言ったがためにハリーは台所に入らなくてはならなくなりました。例によって例の如くダーズリー夫妻は「悪い事は全部ハリーのせい」と言わんばかりの態度を取って来ました。そこに二羽のふくろうがハリーへの手紙を持って来ました。(全3項目)

3-1.コノハズクが窓から入って来て
「やってない!僕はダドリーに何にもしていない。僕じゃない」こう言った後ハリーがダドリーをそうしたのは吸魂鬼だと言おうとしたその時です。コノハズクが窓から台所に入って来てハリーの足元に手紙を落としたのでした。

役目を終えたコノハズクは優雅に向きを変え飛び去って行きました。ふくろうに頭越しに飛ばれたバーノン叔父さんは「ふくろうめ!」と喚きこめかみに毎度お馴染みの怒りの青筋を浮かべふくろうが入って来た窓を閉じました。

「またふくろうだ!わしの家でこれ以上ふくろうは許さん!」

こう抗議した叔父さんでしたがハリーはそれを一切無視して封筒を破ると手紙を引っ張り出していました。それは魔法省からハリーに届いた二通目の公式警告状で「我々の把握した情報によれば」という文言で始まっていました。

そして貴殿つまりハリーは今夜9時23分過ぎにマグルの居住地区にて加えてマグルの面前で「守護霊の呪文」を行使した。そのため「未成年魔法使いの妥当な制限に関する法令」の重大な違反によりホグワーツを退校処分となる。

魔法省の役人がまもなくハリーの住居に出向いてハリーの杖を破壊するであろうと書かれていました。そして最後にハリーには既に「国際魔法戦士連盟機密保持法」の第13条違反の前科があるので懲戒尋問への出席が要求される。

尋問は8月12日の午前9時に魔法省にて行われるとそう書かれていました。ハリーはこの手紙を二度読みました。ハリーはバーノン叔父さんとペチュニア叔母さんが話しているのをぼんやりとしか感じ取る事ができない状態でした。

頭の中が冷たくなり痺れています。たった1つの事だけが毒矢のように意識を貫き痺れさせています。自分はホグワーツを退学になった。全てお終いだ。もう戻れない。奈落の底に落とされたハリーはダーズリー一家を見ました。

そしてハリーは次の行動に移ろうとしました。

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リトル・ウィンジングに吸魂鬼が現れるという緊急事態を受けてフィッグばあさんが駆けつけて来てハリーは初めてフィッグばあさんがスクイブの魔女という事や「バシッ」という音の主がマンダンガス・フレッチャーだと知りました。そして4番地に戻って来たのですが・・・(全3項目)

3-1.戸口まで送るよ
「俺は。その。あの」こう言いながらマンダンガス・フレッチャーは身の置き場がないような様子でした。しかし何せいい商売のチャンスだったもんでと遠慮がちながらもそう言うのも忘れていなかったというわけなんですよね。

そんなマンダンガスにフィッグばあさんは手提げ袋を抱えたほうの腕を振り上げ顔と首のあたりを張り飛ばしました。ガシャという音が聞こえて来たので手提げ袋の中身はどうもキャット・フードの缶詰のようだったんですよね。

「痛え。やーめろ。やーめろ。このくそ婆あ!誰かダンブルドアに知らせねえと!」

フィッグばあさんは缶詰入りの手提げ袋をぶん回してどこもかしこもお構いなしに打ちながらマンダンガスに向かってこう言ったのでした。きっとフィッグばあさんのマンダンガスに対する怒りは頂点に達していたんでしょうね。

「その。通り。だわい!それに。お前が。知らせに。行け。そして。自分で。ダンブルドアに。言うんだ。どうして。お前が。その場に。いなかったのかって!」

マンダンガスは身をすくめて腕で顔を覆いながら「とさかを立てるなって!行くから。俺が行くからよう!」と言ったかと思うとまたも「バシッ」という音と共に姿を消しました。するとフィッグばあさんはこう言ったのでした。

「ダンブルドアがあいつを死刑にすりゃいいんだ!」

フィッグばあさんは怒り狂っていました。そしてハリーにも「さあハリー早く。何をぐずぐずしてるんだい?」と言ってハリーをも急き立てたというわけです。ハリーは大荷物のダドリーのお陰で歩くのがやっとだったのでした。

本当はそうだと言いたかったのですが既に息絶え絶えだったので息の無駄使いはこれ以上しない事にしました。半死半生のダドリーを抱えてハリーはよろよろと前進しました。そんなハリーにフィッグばあさんはこう言いました。

「戸口まで送るよ。連中がまだその辺にいるかもしれん。ああ全く何てひどいこった。そいでお前さんは自分で奴らを撃退しなきゃならなかった」

フィッグばあさんは「そいでダンブルドアはどんな事があってもお前さんに魔法を使わせるなってあたしらにお言いつけなすった。まあこぼれた魔法薬盆に帰らずってとこか。しかし猫の尾を踏んじまったね」とも言いました。

それを聞いてハリーは?

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吸魂鬼を追い払って事を解決したハリーの元にフィッグばあさんが姿を現わしました。ところがハリーが急いで杖を隠そうとすると何とフィッグばあさんは「そいつをしまうんじゃない」とそう言うのです。さらに驚くべき事にフィッグばあさんは吸魂鬼の事を知っていたのでした。(全3項目)

3-1.不意を衝かれて
フィッグばあさんに杖をしまうんじゃないと言われてハリーは驚きのあまり「えっ?」と言って呆然としてしまいました。フィッグばあさんは手を揉みながらひとしきりマンダンガス・フレッチャーの文句をまくしたてました。

何でもちょろまかした大鍋がまとまった数あるという事で誰かに会いに行ってしまったんだそうです。そんな事をしたら生皮を剥いでやると言ったのに言わんこっちゃない!折り悪く吸魂鬼が現れてしまったというわけですよね。

ミスター・チブルスを見張りにつけておいたのが幸いだったのだそうです。さあハリーを家に帰してやらなければ。ああ大変な事になった。こう言うとフィッグばあさんは再びマンダンガス・フレッチャーを始末すると言いました。

路地で吸魂鬼に出会った事もショックでしたがハリーにとっては変人で猫狂いの近所に住むフィッグばあさんが吸魂鬼の事を知っていたというのも同じくらいショックでした。そこてハリーはフィッグばあさんにこう訊きました。

「おばあさんが。あなたが魔女?」

するとフィッグばあさんからは自分は出来損ないのスクイブだという答えが返って来ました。マンダンガス・フレッチャーはそれをよく知っている。だからハリーが吸魂鬼を撃退するのを助けられるはずはないとの事だそうです。

あいつに忠告したのにハリーに何の護衛もつけずに置き去りにした。フィッグばあさんにそう言われてハリーは判ったのです。先程の「バシッ」という音はマンダンガス・フレッチャーが「姿くらまし」した音だったんですよね。

「そのマンダンガスが僕をつけてたの?ちょっと待って。あれは彼だったのか!マンダンガスが僕の家の前から姿くらまししたんだ!」

ハリーがこう言うとフィッグばあさんは「そうそうそうさ。でも幸い私が万が一を考えてミスター・チブルスを車の下に配置しといたのさ」と応えました。そのミスター・チブルスが危ないと知らせて来たとの事なんだそうです。

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ダドリーに呪いをかけてやりたい!そう思っていたハリーだったのですがハリーのそんな憎しみの思いなど吹き飛ぶような出来事が起きてしまいました。ここリトル・ウィンジングに現れるはずのないおぞましい生き物がハリーとダドリーに襲いかかって来たのでした。(全3項目)

3-1.あの音が聞こえて来た!
ハリーは何か見える物はないかと思ってあっちこっちに首を回しました。しかし暗闇はまるで無重力のベールのようにハリーの目を塞いでいました。すると恐怖に駆られたダドリーの声がハリーの耳に飛び込んで来たのでした。

「な、何をするつもりだ?や、辞めろ!」
「僕は何もしていないぞ!黙っていろ。動くな!」
「み、見えない!僕。め、目が見えなくなった!僕」
「黙ってろって言ったろう!」

ハリーは見えない目を左右に走らせ身じろぎもせずに立っていました。激しい冷気で体中が震え腕には鳥肌が立ち首の後ろの髪は逆立っていました。ハリーはできるだけ大きく目を開け周囲に目を凝らしましたが何も見えません。

そんな事は不可能だ。あいつらがまさかここリトル・ウィンジングにいるはずなどない。そう思いながらもハリーは耳をそばだてました。あいつらなら目に見えるよりも先に音が聞こえるはずだとハリーはそう思ったからでした。

「パパにい、言いつけてやる!ど、どこにいるんだ?な、何をして?」

こうヒステリックに喚き立てるダドリーに向かってハリーは歯を食い縛ったまま「黙っててくれないか?聞こうとしているんだから」と訴えました。そして突然沈黙しました。まさにハリーが恐れていたあの音を聞いたからです。

「や、辞めろ!こんなこと辞めろ!殴るぞ!本気だ!」

こう喚き散らすダドリーにハリーは「黙れ!」と言おうとしました。しかしダドリーの拳がハリーの側頭に命中しハリーは吹き飛びました。次の瞬間ハリーは地面に打ちつけられ杖が手から飛び出してしまう事になったのでした。

「ダドリーの大馬鹿!」

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ハリーが公園のブランコに座って物思いに耽っているとダドリー軍団がやって来るのが目に入りました。ハリーはダドリーと並んでプリベット通り4番地への帰路につきました。ところがそこで事は起こりました。一瞬ハリーは必死で我慢していたのに魔法を使ってしまったと思ったのですが・・・(全3項目)

3-1.家に帰る途中で
「かっこいい名前だ」こう言った後ハリーはダドリーに続けて「だけど僕にとっちゃ君はいつまで経ってもちっちゃなダドリー坊やだな」と言いました。するとダドリーは両手を丸めて拳を握るとこう言ったというわけですよね。

「黙れって言ってるんだ!」

そんな怒るダドリーにハリーは追い打ちをかけるように「あの連中はママが君をそう呼んでいるのを知らないのか?」と訊きました。さらに怒りを煽られたダドリーは再び「黙れよ」と言いました。ハリーは次にこう言いました。

「ママにも黙れって言えるかい?かわい子ちゃんとかダディちゃんなんてのはどうだい?じゃあ僕もそう呼んでいいかい?」

今度はダドリーは「黙れ」とは言わず黙っていました。ハリーを殴りたいのを我慢するのに自制心を総動員しているようでした。するとハリーは表情を変え笑うのを止めてダドリーに向かってこう言ったというわけなんですよね。

「それで今夜は誰を殴ったんだい?また10才の子か?一昨日の晩マーク・エバンズを殴ったのは知ってるぞ」

するとダドリーは唸るように「あいつがそうさせたんだ」と言いました。ハリーが「へーそうかい?」と言うと「生言いやがった」と応えました。それに対してハリーはこう言って更なる挑発に打って出て来たというわけです。

「そうかな?君が後ろ足で歩く事を覚えた豚みたいだとか言ったかい?そりゃダッド生意気じゃないな。本当だもの」

ハリーにこう言われてダドリーの顎の筋肉が痙攣しました。ダドリーをそれだけ怒らせたかと思うとハリーは大いに満足でした。思い通りにならない鬱憤を唯一の捌け口のダドリーに注ぎ込んでいるようなそんな気がしました。

ハリーとダドリーは角を曲がり狭い路地に入りました。そこはかつてハリーがシリウスを見かけた場所でマグノリア・クレセント通りからウィステリア・ウォークへの近道になっていました。そこには街灯がありませんでした。

そのため路地の両端に伸びる道よりずっと暗くなっていました。路地の片側はガレージの壁でもう片側は高い塀になっていてその狭間に足音が吸い込まれて行きました。一呼吸置いてダドリーがハリーにこう言って来たのでした。

「あれを持ってるから自分は偉いと思っているんだろう?」

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7時のテレビニュースが終わってからダーズリー夫妻と押し問答をしていたハリーでしたがそれを途中で打ち切るとハリーはプリベット通り4番地を出てぶらぶら歩き始めました。そして公園で物思いに耽っているとそこにダドリー軍団が歩いて来るのが見えて来て・・・(全3項目)

3-1.ぶらぶら歩いて公園へ
ハリーは角を曲がりマグノリア・クレセント通りの小道に向かいました。ハリーが物心ついて初めて名付け親のシリウスと会ったのはそのガレージの所でした。少なくともシリウスだけはハリーの気持ちを理解しているようです。

「君はきっとイライラしている事だろう。おとなしくしていなさい。そうすれば全て大丈夫だ。気をつけるんだ。無茶するなよ」

もちろんこのようにシリウスの手紙にもロンとハーマイオニーのと同じくちゃんとしたニュースは何も書かれてはいません。しかし思わせぶりなヒントではなく少なくとも警戒しろとか慰めの言葉が綴られているというわけです。

マグノリア・クレセント通りを横切ってマグノリア通りへと曲がり暗闇の迫る公園へと向かいながらハリーは「そうだなあ」と思いました。夏休みに入ってからハリーはこれまでは大抵はシリウスの忠告通りに振舞って来ました。

少なくとも箒にトランクを括りつけて自分勝手に「隠れ穴」に出かけたいなどという誘惑に負ける事はありませんでした。1ヵ月以上もプリベット通りに釘づけにされて花壇に隠れるような真似までしてこんなにも苛立っている。

それもヴォルデモートの動きの手がかりを掴みたい一心なのです。それなのに自分の態度は実際上出来だとハリーは思いました。しかしそもそもシリウスに「無茶するなよ」と諭されるなんて全く理不尽だとハリーは思いました。

何せシリウスは魔法使いの監獄のアズカバンに12年間も入れられた挙句にそもそも投獄されるきっかけになった未遂の殺人をやり遂げようとして加えて盗んだヒッポグリフに乗って再び逃亡したという経歴の持ち主なんですよね。

ハリーは鍵の掛かった公園の入口を飛び越え乾き切った芝生を歩き始めました。周囲の通りと同様にこの公園にも人の気配はありません。ハリーはブランコに近づきダドリー一味が唯一壊さなかったブランコに腰掛けたのでした。

そしてぼんやりと地面を見詰めながら「明日からはどうやってテレビのニュースを聞こうか?」と考えに耽ったのでした。バーノン叔父さんに見つかってしまったので花壇に隠れて聞くという方法はもはや通用しないんですよね。

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あの「バシッ」という音は何なんだ?ダーズリー夫妻は当然ハリーが音の主だとそう思ったようです。あれは誰かが「姿くらまし」か「姿現わし」をした音なのでは?ハリーは当初はそう考えましたがすぐにその考えは変ってしまいました。ハリーは激しく苛立っていたのでした。(全3項目)

3-1.あの音を巡って
バーノン叔父さんはレースのカーテン越しに睨みつけている向かいの7番地の奥さんに手を振りながら「気持ちのよい夜ですな!」と大声で挨拶をしました。さらにこう言って暗に大きな音の主は自分たちじゃないと示しました。

「今しがた車がバックファィアしたのをお聞きになりましたか?わしもペチュニアもびっくり仰天で!」

詮索好きのご近所さんたちの顔があちらこちらの窓から全て引っ込むまで叔父さんは狂気じみた恐ろしい顔でにっこりと笑い続けました。それから表情を一変させて怒りのしかめっ面にするとハリーに向かって手招きをしました。

ハリーは数歩近寄りましたが叔父さんが両手を伸ばして再び首を絞めないように用心して距離を保って立ち止まりました。例によって例の如く叔父さんはあの音の主はハリーだと考えているようでこう言って来たというわけです。

「小僧。一体全体あれは何のつもりだ?」

怒りで声を震わせながらこう訊く叔父さんにハリーは「あれって何のこと?」と冷たく訊き返しました。それと同時に通りの左右に目を走らせて「あの音の主が見えるかもしれない」とそう思いハリーはまだ期待をしていました。

「よーいドンのピストルのような騒音を出しおって。我が家のすぐ前で」

相変わらず叔父さんが犯人扱いして来るのでハリーは叔父さんの言葉を途中で遮り「あの音を出したのは僕じゃない」ときっぱり言いました。すると今度はペチュニア叔母さんが叔父さんの隣に姿を現わすとこう言って来ました。

「お前はどうして窓の下でこそこそしていたんだい?」

叔母さんがひどく怒った顔でこう訊くと叔父さんが「そうだペチュニアいい事を言ってくれた」と言うとハリーに向かって「小僧。我が家の窓の下で何をしとった?」と問い詰めて来ました。ハリーはしかたなくこう答えました。

「ニュースを聞いてた」

それを聞いてダーズリー夫妻は?

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当サイトでは毎年ここ数年の7月は「ハリーは夏休みをどう過ごしたか?」をお届けする事になっています。今年は第5巻「不死鳥の騎士団」つまり15才になるハリーは夏休みの前中盤をどう過したかを紹介する事にします。その日ハリーは庭の花壇に寝転がって・・・(全3項目)

3-1.庭の花壇に寝転がって
この夏一番の暑い日が暮れようとしていました。プリベット通りの角張った大きな家々はけだるい静けさで覆われていました。普段ならピカピカに光っている車は家の前の路地で埃を被っている。そういう有り様だったのでした。

芝生もカラカラになって黄ばんでいます。日照りのせいでホースで散水する事が禁止されたからです。洗車や芝生を刈ったりする常日頃の趣味を奪われたプリベット通りの住人は日陰を求めて涼しい屋内に引きこもっていました。

そして吹きもしない風を誘い込もうとばかりに窓を広々と開けていました。そんな屋外にただ1人取り残されているのは十代の少年でした。プリベット通り4番地の庭の花壇に仰向けに寝転んでいました。一体全体何故なのか?

痩せて黒い髪のメガネを掛けたその少年は短い間にぐんと背丈が伸びたようで少し具合の悪そうなやつれた顔をしていました。汚いジーンズはボロボロで色の褪せたTシャツはだぶだぶでスニーカーの底は剥がれかけていました。

こんな格好のハリー・ポッターがご近所のお気に召すはずなどありません。何しろみすぼらしいのは法律で罰するべきだと考えているからです。しかしこの日のハリーは紫陽花の大きな茂みの陰に隠れて道からは全く見えません。

もし見つかるとすればダーズリー夫妻が居間の窓から首を突き出して真下の花壇を見下ろした場合だけです。色々考え合わせるとここに隠れるというアイデアは我ながら天晴れとハリーは珍しく自画自賛していたというわけです。

熱くて固い地面の上に寝転がるというのは確かにあまり快適とは言えない。でもここなら誰かさんが睨みつけて来てニュースが聞こえなくなるほどの音で歯噛みしたり意地悪な質問をぶつけられるという事もないというわけです。

何しろダーズリー夫妻と一緒に居間でテレビを見ようとすると必ずそういう事になるのです。つまりハリーが家の外の花壇で寝転んでいるのはテレビのニュースを聞くためというわけです。すると家からこんな声が聞こえました。

「あいつめ割り込むのを辞めたようでよかったわい。ところであいつはどこにいるんだ?」

最後のあいつはどこにいるという叔父さんの問いにペチュニア叔母さんはどうでもいいという口調で「知りませんわ。家の中にはいないわ」と答えました。何故ハリーはここまでしてテレビのニュースを聞きたがっているのか?

それはどこからも情報が入って来ないからなんですよね。

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