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こうしてようやく両親の墓参りをする事ができたハリーでしたが何やら気配をハーマイオニーが感じ取って2人の緊張が解ける機会は訪れません。その後2人は村に入って来たのとは反対方向へと進んで行きハリーは今度は生家との対面を果たしました。するとそこにやって来たのは?(全3項目)

3-1.教会墓地を出て
2人は出口に向かいハリーが最初に見たアボット家の墓の所まで戻って来るとハーマイオニーが「ハリー止まって」と言いハリーは「どうかした?」と訊きました。その問いにハーマイオニーはこう答えたというわけですよね。

「あそこに誰かいるわ。私たちを見ている。私には判るのよ。ほらあそこ植え込みのそば」

2人は身を寄せ合ってじっと立ち止まったまま墓地と外とを仕切る黒々とした茂みを見つめました。ハリーには何も見えないのでハーマイオニーに「本当に?」と訊きました。その問いにハーマイオニーはこう答えたのでした。

「何かが動くのが見えたの。本当よ。見えたわ」

ハーマイオニーはハリーから離れて自分の杖腕を自由にしました。ハリーは「僕たちマグルの姿なんだよ」とそう指摘しました。ハリーはハーマイオニーにこう言われ思わず「魔法史」を思い出したというわけなんですよね。

「あなたのご両親の墓に花を手向けていたマグルよ!ハリー間違いないわ。誰かあそこにいる!」

ハリーが思い出したのは墓地にはゴーストが取り憑いているという事です。だからもしかしたらとハリーがそう思った時です。サラサラと音がしてハーマイオニーの指差す植え込みから落ちた雪が小さな雪煙りを上げました。

ゴーストは雪を動かす事はできない。一瞬間を置いてハリーは「猫だよ。小鳥かもしれない。死喰い人だったら僕たちもう死んでるさ。でもここを出よう。また透明マントを被ればいい」とハーマイオニーに言ったのでした。

墓地から出る途中で2人は何度も後ろを振り返りました。いかにも元気を装いハーマイオニーには大丈夫と請け合ってはみたもののハリーの内心はそれほど元気でもありませんでした。だから歩道に出た時は心底安堵しました。

ここで2人は再び「透明マント」を被りました。

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何分にも初めて来たその上に案内をしてくれる人もいないのでハリーとハーマイオニーは散々寄り道をした挙句にジェームズとリリー・ポッターの眠る墓に辿り着きました。ようやく両親の墓参りをする事ができたハリーでしたがその心中は複雑だったというわけなんですよね。(全3項目)

3-1.非常に古い墓
ハーマイオニーはハリーを見つめていました。憤りが表れた顔が暗がりに隠れていて良かったとハリーはそう思いました。ハリーは墓石に刻まれた言葉をもう一度読みましたが一体何の事なのか理解できなかったんですよね。

「汝の財宝(たから)のある所には汝の心もあるべし」

母親亡き後は家長となったダンブルドアの選んだ言葉に違いないとハリーは思いました。するとハーマイオニーが口を開き「先生は本当に一度もこの事を?」と訊くのでハリーはぶっきらぼうに「話してない」と答えました。

ハリーは続けて「もっと探そう」と言いました。そしてその場を離れつつ見なければ良かったと思いました。興奮と戦慄が入り交じった気持ちに恨みを交えなくありませんでした。暫くしてハーマイオニーが再び叫びました。

ところが「ここ!」と叫んだその後にハーマイオニーは「あご免なさい!ポッターと書いてあると思ったの」と謝って来ました。ハーマイオニーは苔むして崩れかけた墓石を擦っていましたが少し眉根を寄せ覗いていました。

「ハリーちょっと戻って来て」

ハリーはもう寄り道はしたくありませんでしたがハーマイオニーがこう言うので渋々雪の中を引き返しました。ハリーが「なに?」と訊くとハーマイオニーは「これを見て!」と言いました。指したのは非常に古い墓でした。

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ついについにやって来ました。入念な下準備の末にハリーとハーマイオニーはハリーの生まれ故郷であるゴドリックの谷にやって来ました。そして何と2人がゴドリックの谷にやって来たその日はクリスマス・イブでした。教会の墓地に辿り着くとハーマイオニーが最初に見つけた墓は?(全3項目)

3-1.ついに故郷に!
ハリーの生まれ故郷のゴドリックの谷に「姿現わし」をするとハリーとハーマイオニーは雪深い小道に手を繋いで立っていました。この足元に深く積もる雪は想定外だったようでハーマイオニーはこう呟いたというわけです。

「こんなに雪が!どうして雪の事を考えなかったのかしら?あれだけ念入りに準備したのに雪に足跡が残るわ!消すしかないわね。前を歩いて頂戴。私が消すわ」

姿を隠したまま足跡を魔法で消して歩くなどハリーはそんなパントマイムの馬のような格好で村に入りたくなかったので「マントを脱ごうよ」と言いました。ハリーがそう言うとハーマイオニーは怯えたような顔をしました。

「大丈夫だから。僕たちだとは分らない姿をしているしそれに周りに誰もいないよ」

ハリーがマントをしまって2人はマントに煩わされずに歩きました。何軒もの小さな家の前を通り過ぎる2人の顔を氷のように冷たい空気が刺しました。ジェームズとリリーがかつて暮らした家もこうした中の1つかもしれない。

バチルダが今も住む家もそうかもしれない。そんな事を思いつつハリーは1軒1軒の入口の扉や雪の積もった屋根に玄関先をじっと眺め見覚えのある家はないかと探しましたが心の奥では思い出す事などないと判っていました。

この村を離れた時ハリーはまだ1才になったばかりでした。その上そのかつて住んでいた家が見えるかどうか定かではありませんでした。そこには「忠誠の術」がかけられていたからです。かけた者が死んだらどうなるのか?

ハリーは知りませんでした。2人の歩いている小道が左に曲がり村の中心の小さな広場が目の前に現れました。豆電球の灯りでぐるりと囲まれた広場の真ん中に戦争記念碑のような物が見えクリスマスツリーが飾られています。

ツリーはくたびれたような感じでその一部を覆っています。店が数軒に郵便局とパブが1軒あり小さな教会もあります。教会のステンドグラスが広場の向こう側で宝石のように眩く光り広場の雪は踏み固められていたのでした。

人々が1日中歩いた所は固くつるつるしていました。とにもかくにもこうしてハリーは物心ついてから初めて故郷の土を踏んだのです。

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ハリーは1つの決心をしてそれをハーマイオニーに打ち明けました。打ち明けたのは生まれ故郷であるゴドリックの谷に帰る事でした。ところがハリーが思ってもみなかった理由でハーマイオニーはハリーの決心を受け入れ2人はゴドリックの谷に行く事になったのでした。(全3項目)

3-1.グリフィンドールの剣はゴドリックの谷に?
ビーズバッグからバチルダ・バグショット著の「魔法史」を引っ張り出しページをめくっていたハーマイオニーはお目当ての箇所を探し出しました。そしてハリーにその箇所を読んで聞かせてくれたというわけなんですよね。

何でも1689年に国際機密保持法に署名したその後に魔法族は永久に姿を隠したんだそうです。彼らが集団の中に自らの小さな集団を形成したのはおそらく自然な事だったのだそうです。それは相互に支え守り合うためだった。

魔法使いの家族は多くは小さな村落や集落に引き寄せられてコーンウォール州のティンワースにヨークシャー州のアッパー・フラグリーに南部海岸沿いのオッタリー・セント・キャッチポールなどに集団となって住みました。

上に挙げた所が魔法使いの住む集落としてよく知られているそうです。彼らは寛容な又は「錯乱の呪文」にかけられたマグルたちと共に暮らして来ました。このような魔法使い混合居住地として最も名高いのが問題の村です。

英国西部地方にあるゴドリックの谷は偉大な魔法使いゴドリック・グリフィンドールが生まれた所だと「魔法史」には記され魔法界の金属細工師ボーマン・ライトが最初の金のスニッチを鋳(い)た場所でもあるんだそうです。

墓地は古くからの魔法使いの家族の墓碑銘で埋められていて村の小さな教会にゴーストの話が絶えないのもこれで間違いなく説明がつくとの事だそうです。ここで魔法使いの居住地に関する記述は終わっているのだそうです。

「あなたの事もご両親の事も書いてないわ」

本を閉じながらハーマイオニーがこう言いました。ハーマイオニーが続けて説明する所によればバグショット教授は十九世紀の終わりまでしか書いていないからだそうです。ハーマイオニーはハリーに判った?と訊きました。

ゴドリックの谷。ゴドリック・グリフィンドール。グリフィンドールの剣。ダンブルドアはハリーがこの繋がりに気づくと期待した。したがってハーマイオニーはグリフィンドールの剣はゴドリックの谷にあると言うのです。

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季節は秋から冬へと移り寒さは厳しさを増してハリーとハーマイオニーは数々の大変な目に遭う事となりました。そんな中ハリーは1つの大きな決心をしました。ところがハーマイオニーから持ちかけられた話で2人の会話はハリーにとっては思わぬ方向へと行く事となり・・・(全3項目)

3-1.ハリーの決心
季節は段々と寒さを増して来ました。イギリスの南部地方のみに留まれるのならせいぜい霧が立つ事ぐらいが悩みの種でしたが1ヵ所に長く滞在するのは危険だという事であちらこちらを縦横無尽に渡り歩く事となりました。

そのため2人は大変な目に遭う事になりました。みぞれが山腹に張ったテントを打ったり広大な湿原で冷たい水がテントを水浸しにしたりスコットランドの湖の中央にある小島では一夜にしてテントの半分が雪に埋もれました。

居間の窓にクリスマスツリーが煌くのをちらほら見かけるようになったある晩ハリーはまだ探っていない唯一残されたと思われる場所をもう一度提案しようと決心しました。その日はいつになく豊かな食事を2人はしました。

ハーマイオニーが「透明マント」に隠れてスーパーに行き出る時に開いていたレジの現金入れに几帳面にもお金を置いて来たのです。その日ハリーとハーマイオニーが食べたのはスパゲッティミートソースと缶詰の梨でした。

満腹のハーマイオニーはいつもより説得し易いように思われました。さらに用意周到にも分魂箱を身につけるのを数時間休もうと提案しておいたので分魂箱はハリーの脇の二段ベッドの端にぶら下がっていたというわけです。

「ハーマイオニー?」と名前を呼び掛け「ん?」と応えたハーマイオニーは「吟遊詩人ビードルの物語」を手にクッションの凹んだ肘掛椅子の1つに丸くなって座っていました。ハリーは疑問を抱かずにはいられませんでした。

この本からこれ以上得るものがあるのかどうかすら疑問でした。元々大して厚い本ではありません。しかしハーマイオニーはまだ間違いなく何かの謎解きをしていました。椅子の肘にもう1冊本が開いて置かれていたからです。

それは「スペルマンのすっきり音節」でした。ハリーは咳払いしました。数年前に全く同じ気持ちになった事を思い出しました。バーノン叔父さんにホグズミード行きの許可証にサインして貰えなかった時の事だったのです。

マクゴナガル先生に許可を求めた時の事でした。

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ロンは行ってしまった。ロンは行ってしまったんだ。もう戻って来ない。グリフィンドールの剣の在り処も他の分魂箱がどこにあるのかも分らずハリーは絶望に飲み込まれてしまいそうでした。そんなハリーとハーマイオニーの話し相手になってくれたのは?(全3項目)

3-1.翌日の朝になって
翌朝目覚めたハリーは何が起きたのか一瞬思い出せませんでした。その後で子供じみた考えでしたが全てが夢ならばいいのにと願いました。ロンはまだそこにいる。いなくなったわけではないとそう思いたいとも願いました。

しかし枕の上で首を捻ると主のいないロンのベッドがそこにありました。空のベッドはまるで屍のようにハリーの目を引きつけました。ハリーはロンのベッドを見ないようにしながら上段のベッドから飛び降りたのでした。

ハーマイオニーはもう台所で忙しく働いていましたが「おはよう」の挨拶もなくハリーがそばを通ると急いで顔を背けました。ハリーは自分に「ロンは行ってしまった」とそう言い聞かせました。ロンは行ってしまったんだ、

顔を洗い服を着る間も反芻すればショックが和らぐかのようにハリーはその事ばかり考えていました。ロンは行ってしまった。もう戻って来ない。この場所を一旦引き払ってしまえばロンはもはや自分たちを見つけられない。

保護呪文がかかっているという事はそういう事だという単純な事実をハリーは知っていました。ハリーとハーマイオニーは無言で朝食を取りました。ハーマイオニーは泣き腫らした赤い目をしていて眠れなかったようでした。

2人は荷造りをしましたがハーマイオニーは手が進まないようでした。ハーマイオニーがこの川岸にいる時間を引き延ばしたい理由はハリーにも判っていました。ハーマイオニーは何度か期待を込めて顔を上げていたのでした。

ハリーはこの激しい雨の中でロンの足音を聞いたような気がしたのだろうとそう思いました。しかし木立の間から赤毛の姿が現れる様子はありませんでした。ハリーもハーマイオニーに釣られて思わずあたりを見回しました。

ハリーもまた微かな希望を捨てられませんでした。でも雨に濡れた木立以外には何も見えませんでした。そしてそのたびにハリーの胸中で小さな怒りの塊が爆発しました。ロンの声が聞こえ鳩尾が絞られるような思いでした。

「君が何もかも納得ずくで事に当たっていると思ってた!」

ハリーは再び荷造りを始めました。

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ハリーたちのテントのそばにテッド・トンクス氏にディーン・トーマスのハリーの見知っている人物を含む5人がやって来て洪水のように情報をもたらしてくれてハリーとハーマイオニーの気持ちは最高潮に達しましたがロンは全くの正反対で最悪の気分になっていました。挙句の果てにロンは・・・(全3項目)

3-1.期待外れ?
高揚していたハリーの心に冷水を浴びせるように恐怖が広がりました。ロンはハリーの想像していた通りの事をそして恐れていた通りの事を考えていたのでした。ハリーはロンに向かってこう言ったというわけなんですよね。

「僕は君が何に志願したのか判っていると思っていた」

これにロンは「ああ僕もそう思ってた」と言葉を返しハリーは「それじゃどこが君の期待通りじゃないって言うんだ?」と言い怒りのせいで反撃に出ました。ハリーはロンに向かってこう怒りをぶつけたというわけですよね。

「5つ星の高級ホテルに泊まれるとでも思ったのか?1日おきに分魂箱が見つかるとでも?クリスマスまでにはママの所に戻れると思っていたのか?」

ロンは立ち上がると「僕たちは君が何もかも納得ずくで事に当たっていると思ってた!」と怒鳴りました。ロンのその言葉は焼けたナイフのようにハリーを貫きました。ロンはさらにハリーに向かってこうも言ったのでした。

「僕たちはダンブルドアが君のやるべき事を教えてると思っていた!君にはちゃんとした計画があると思ったよ!」

ハーマイオニーは今度はテントの天井に激しく打ちつける雨の音よりはっきり聞こえる声で「ロン!」と名前を呼びました。しかしロンはそれも無視しました。心は虚ろで自信もありませんでしたがハリーはこう応えました。

「そうか。失望させてすまなかったな。僕は初めからはっきり言ったはずだ。ダンブルドアが話してくれた事は全部君たちに話したし忘れてるなら言うけど分魂箱を1つ探し出した」

ハリーは落ち着いた声でこう言いました。するとロンは忘れてないとばかりに「ああしかもそれを破壊する可能性は他の分魂箱を見つける可能性と同じぐらいさ。つまりまーったくなし!」とそう言い放ったというわけです。

「ロン。ロケットを外して頂戴」

こう言うハーマイオニーの声はいつになく上ずっていました。

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相手がアルバス・ダンブルドアではなくフィニアス・ナイジェラス・ブラックなだけにハリーもハーマイオニーも思わぬ収穫に興奮は最高潮に達しました。ところがロンだけは蚊帳の外で何やら不満な様子なのです。何が気に入らないんだとハリーが問い詰めると・・・(全3項目)

3-1.フィニアス・ナイジェラス・ブラックが残した言葉
「ダンブルドア先生をあなたの肖像画に連れて来られませんか?」ハリーのこの問いにフィニアス・ナイジェラス・ブラックは「どうやら無知なのはマグル生まれだけではなさそうだな」と答えその理由をこう説明しました。

ホグワーツの肖像画は互いに往き来できるが城の外に移動する事はできない。どこか他に掛かっている自分自身の肖像画だけは別だ。この額縁はフィニアスでダンブルドア自身の肖像画ではないので来られないんだそうです。

そしてフィニアスは「君たちの手でこのような待遇を受けたからには私がここを訪問する事も二度とないと思うがよい!」と言い絵から出ようとしてますます躍起になりましたがハーマイオニーがこう呼びかけたんですよね。

「ブラック教授。お願いですからどうぞ教えていただけませんか。剣が最後にケースから取り出されたのはいつでしょう?つまりジニーが取り出す前ですけど?」

フィニアスは苛立った様子で鼻息も荒く「グリフィンドールの剣が最後にケースから出るのを見たのは確かダンブルドア校長が指輪を開くために使用した時だ」と答えこれを聞いてハーマイオニーはくるりと振り向きました。

そしてハリーを見ました。フィニアス・ナイジェラス・ブラックの前でハリーとハーマイオニーはそれ以上は何も言えませんでした。フィニアスはようやく出口を見つけ「ではさらばだ」と言うと姿を消そうとしたのでした。

その際にフィニアスは若干皮肉な捨て科白を残して去ろうとしました。そのまだ見えている帽子のつばの端に向かってハリーが突然「待って!スネイプにその事を話したんですか?」と叫ぶとフィニアスはこう答えました。

「スネイプ校長はアルバス・ダンブルドアの数々の奇行なんぞよりもっと大切な仕事で頭が一杯だ。ではさらばポッター!」

フィニアスは目隠しされたままの顔を絵の中に突き出して答えました。そしてそれを最後にフィニアスの姿は完全に消えて後に残されたのは背景画だけでした。ハーマイオニーが「ハリー!」と叫びハリーもこう叫びました。

「判ってる!」

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ジニーを含む3人が校長室から「グリフィンドールの剣」を奪い取ろうとした。そこでスネイプは剣をグリンゴッツに送ったが何とその剣は贋物だった。一体いつ贋物に取り替えられたのか?そこでハーマイオニーがビーズバッグの奥から引っ張り出して来たのは?(全3項目)

3-1.次にビーズバッグから取り出したのは?
ハーマイオニーは「伸び耳」の時とは段違いにビーズバッグに片腕を深く深く突っ込み「さあ。ここに。あるわ」と言って歯を食い縛りながら奥にある何かを引っ張り出しました。ゆっくりと装飾的な額縁の端が現れました。

ハリーは急いで手を貸しました。ハーマイオニーのバッグから2人がかりで引っ張り出したのは額縁だけで主のいないフィニアス・ナイジェラス・ブラックの肖像画でした。ハーマイオニーは杖を出してその額縁に向けました。

「もしも剣がまだダンブルドアの校長室にあった時に誰かが贋物とすり替えていたのならその現場をフィニアス・ナイジェラスが見ていたはずよ。彼の肖像画はガラスケースのすぐ脇に掛かっているもの!」

ハーマイオニーは額縁をテントの脇に立て掛けて呪文をいつでもかけられる態勢を取ると息を弾ませながらこう言いました。ハリーは「眠っていなけりゃね」と言うとハーマイオニーのしている事を静かに見守ったのでした。

ハーマイオニーは主のいない肖像画の前にひざまずき杖を絵の中心に向けました。そして咳払いをして「えーフィニアス?フィニアス・ナイジェラス?」と呼びかけました。しかし何事も起こりはしなかったというわけです。

「フィニアス・ナイジェラス?ブラック教授?お願いですからお話できませんか?どうぞお願いします」

ハーマイオニーが再びこう呼びかけると「どうぞは常に役に立つ」と皮肉な冷たい声がしてフィニアス・ナイジェラス・ブラックがするりと額の中にと現れました。すかさずハーマイオニーはこう叫んだというわけですよね。

「オブスクーロ!目隠し!」

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ハリーたちのテントに近づいて来たのは敵方の死喰い人の一団ではなくむしろ味方で魔法使いが3人と2人の小鬼の一行でした。テッド・トンクス氏にディーン・トーマスとハリーの見知った2人もいました。その会話にも知っている人の名前が続々と出て来ました。(全3項目)

3-1.ビルにジニー・ウィーズリーの名前が
テントの中でハリーは興奮に息を弾ませていました。ハリーとハーマイオニーは顔を見合わせて「これ以上は無理だ」というほどに聞き耳を立てました。ダーク・クレスウェル氏がテッド・トンクス氏にこう問いかけました。

「テッドあの事を聞いていないのか?ホグワーツのスネイプの部屋からグリフィンドールの剣を盗み出そうとした子供たちの事だが」

ハリーの体を電気が走り神経の1本1本を掻き鳴らしました。ハリーはその場に根が生えたように立ちすくみました。ダーク氏のこの問いかけにテッド氏はこう答えました。テッド氏もまた初耳だったというわけなんですよね。

「一言も聞いていない。予言者新聞には載ってなかっただろうね?」

するとダーク氏は「ないだろうな」と言うと笑って「このグリップフックが話してくれたのだが銀行に勤めているビル・ウィーズリーからそれを聞いたそうだ。剣を奪おうとした子供の1人はビルの妹だった」と言ったのです。

ここでビルとジニー・ウィーズリーの名前が出て来ました。ハリーがちらりと目をやるとハーマイオニーもロンもまるで命綱にしがみつくようにして「伸び耳」を握り締めていました。ダーク氏の説明はまだまだ続きました。

「その子と他の2人とでスネイプの部屋に忍び込み剣が収められていたガラスのケースを破ったらしい。スネイプは盗み出した後で階段を下りる途中の3人を捕まえた」

テッド氏は「ああ何と大胆な。何を考えていたのだろう?例のあの人に対してその剣を使えると思ったのだろうか?それともスネイプに対して使おうとでも?」と感想を述べました。これにダーク氏はこう応えたんですよね。

「まあ剣をどう使おうと考えていたかは別としてスネイプは剣をその場所に置いておくのは安全ではないと考えた」

ダーク氏もテッド氏もアルバス・ダンブルドアが遺言でハリーに「グリフィンドールの剣」を譲ると言ったのに当時の魔法大臣ルーファス・スクリムジョールが引き渡しを拒否した事を知らなかったというわけなんですよね。

そこでスネイプは剣をどうしたのか?

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ロンとハーマイオニーが言い争いをしているとハリーがそれを止めました。放浪の旅に出てから初めて人の話す声が聞こえて来たからです。話し声は段々大きくなって来ました。川の流れる音で会話を聞き取れないので「伸び耳」を使って聞いてみたら・・・(全3項目)

3-1.伸び耳で聞いてみたら
ハリーたち3人がグリモールド・プレイス12番地を追われてテント暮らしになってから初めて魔法使いが接近して来る事となりました。もし相手が死喰い人だったら保護呪文の守りが闇の魔術に耐えられるか初めて試されます。

話し声は段々大きくなって来ましたが川岸に到着した時にも話の内容は相変わらず聞き取れませんでした。ハリーの勘では相手は5~6メートルも離れていないようでした。しかし川の流れの音で正確な所は分りませんでした。

ハーマイオニーはビーズバッグを素早く掴んで中を掻き回し始め「伸び耳」を3個取り出してハリーとロンに投げ渡しました。ハリーとロンは急いで「伸び耳」の端を耳に押し込みもう一方の端をテントの入口に這わせました。

「ここなら鮭の2~3匹もいるはずだ。それともまだその季節には早いかな?アクシオ!鮭よ来い!」

数秒後ハリーは疲れたような男の声がこう言うのをキャッチしました。川の流れとははっきり違う水音が聞こえて捕まった魚がじたばたと肌を叩く音が聞こえて来ました。誰かがうれしそうに呟くのが聞こえて来たのでした。

ハリーは「伸び耳」を強く耳に押し込みました。川の流れに混じって他の声も聞こえて来ましたが英語ではなく今まで聞いた事のない人間ではない言葉でした。耳障りでガサガサしていて喉に引っ掛かるような言葉でした。

雑音が繋がっているようでどうやら2人います。1人はより低くゆっくりした話し方でした。テントの外で火が揺らめきました。炎とテントの間を大きな影が幾つか横切りました。鮭の焼けるうまそうな匂いが流れて来ました。

まるでテントにいるハリーたちを焦らすようです。やがてナイフやフォークが皿に触れる音がして最初に聞いた疲れたような男の声が再び聞こえて来ました。ハーマイオニーが口の形で「小鬼だわ!」とハリーに言いました。

「さあグリップフック、ゴルヌック」

小鬼たちが同時に英語で「ありがとう」と言いました。

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2つ目以降の分魂箱がどこにあるのかも今持っている分魂箱を一体どうしたら破壊できるのかも分らずハリーたち3人は先の見えない流浪の旅という状況に陥ってしまいました。そのためロンとハーマイオニーの2人はハリーに対して不満を持ち始めたようです。ところがちょっとした変化が訪れました。(全3項目)

3-1.先の見えない流浪の旅に
他に新しい事も思いつかない。2つ目の分魂箱がどこにあるのかも今持っている分魂箱を一体どうしたら破壊できるのかも分らない。そんな八方塞がりで先の見えない状況に陥ってしまいハリーたち3人は地方を転々としました。

毎朝野宿の跡を残さないように消し去ってからまた別の人里離れた寂しい場所を求めて旅立ちました。ある日はまた森へ崖の薄暗い割れ目へヒースの咲く荒地へハリエニシダの茂る山の斜面へと様々な所に移動を重ねました。

そしてある日は風を避けた入り江の小石だらけの場所へと「姿現わし」で移動しました。さらに約12時間毎に分魂箱を次の人に渡しました。まるで音楽が止んだ時に皿を持っていると褒美が貰える皿回しゲームのようでした。

そのゲームをひねくれてスローモーションで遊んでいるかのようでした。ただ褒美に貰える物が12時間の募る恐れと不安なのでゲームの参加者は音楽が止まるのを恐れました。ハリーの傷痕はひっきりなしに疼いていました。

分魂箱を身につけている間が一番頻繁に痛む事にハリーは気づきました。時には痛みに耐えかねて体が反応してしまう事さえありました。ハリーが顔をしかめるとロンが「どうした?何を見たんだ?」と問い詰めて来ました。

そのたびにハリーは「顔だ。いつも同じ顔だ。グレゴロビッチから何かを盗んだ奴の」と答えました。するとロンは顔を背けて失望を隠そうともしませんでした。自分が知りたい事をハリーが見なかったからというわけです。

ロンが知りたがっていたのは家族や不死鳥の騎士団のメンバーの安否でした。その事はハリーも判っていました。しかしハリーはテレビのアンテナではないので好きな事にチャンネルを合わせるなんて芸当はできないのです。

ハリーが見る事ができるのはある時点でのヴォルデモートが考えている事なのです。どうやらヴォルデモートはあのうれしそうな顔の若者の事を四六時中考えているようでした。ところがいる場所も一体誰なのかも分らない。

ハリーの額の傷痕は焼けるように痛み続け陽気なブロンドの若者の顔が焦らすようにして脳裏に浮かびました。しかしその盗っ人の事を口に出せばロンとハーマイオニーを苛立たせるばかりだったというわけなんですよね。

そこでハリーは痛みや不快感を抑えて表に出さない術を身につけました。みんなが必死になって分魂箱の糸口を見つけようとしているのだからという事でハリーは一概にはロンとハーマイオニーだけを責められませんでした。

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グリモールド・プレイス12番地を追われたハリーたち3人は「いかにして食料を確保するのか?」というのが最大の課題になりました。一方分魂箱探しのほうはロンがハリーとハーマイオニーの2人に任せっきりになり2人の議論も堂々巡りになってしまって2つ目が見つかる気配は微塵もありません。(全3項目)

3-1.ハリーとハーマイオニー任せのロン
「これって盗みじゃないわよね?」こう気遣わしげに言った後ハーマイオニーは「鶏小屋に少しお金を置いて来たんだもの」と言いました。これにロンは目を回して見せて両頬を膨らませ心配し過ぎだとそう言ったのでした。

さらにロンはリラックスをしろとも口をもぐもぐさせながら言いました。それは事実で心地よく腹が満たされるとリラックスし易くなりました。その夜は吸魂鬼についての言い争いが笑いの内に忘れ去られる事となりました。

三交代の夜警の最初の見張りに立ったハリーは陽気なばかりか希望に満ちた気分にさえなっていました。満たされた胃は意気を高め空っぽの胃は言い争いと憂鬱をもたらす。ハリーたち3人はこの事実に初めて出会いました。

ハリーにとってこれはあまり驚くべき発見ではありませんでした。2年生の時にダーズリー家で餓死寸前の時期を経験していたからです。ハーマイオニーも黴臭いビスケットしかないなどの何日かをかなりよく耐えて来ました。

普段より少し短気になったり気難しい顔で黙り込む事が多くなっただけでした。ところが母親やホグワーツの屋敷しもべ妖精の作るおいしい食事を毎日三度食べていたロンは空腹だとわがままだったり怒りっぽくなりました。

食べ物のない時と分魂箱を持つ順番とが重なるとロンは思いっ切り嫌な奴になりました。ロンは口癖のように「それで次はどこ?」と繰り返して訊きました。自分自身には何の考えもなくハリーとハーマイオニー任せでした。

自分が食料の少なさをくよくよ悩んでいる間にハリーとハーマイオニーが計画を立ててくれると期待している有り様です。結局ハリーとハーマイオニーだけが結論の出ない話し合いに何時間も費やす事となってしまいました。

2人の議論の内容は「どこに行けば他の分魂箱が見つかるのか?」と「どうしたら既に手に入れた分魂箱を破壊できるのか?」の2点でした。新しい情報が全く入らない状況では2人の会話は次第に堂々巡りへとなっていました。

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ハリーとハーマイオニーは1ヵ所にあまり長く留まらないほうが良いだろうという意見で一致しロンも同意しました。移動した先でハリーは「透明マント」を被って食べ物を探しに出かけましたが駄目でした。吸魂鬼が現れたのに守護霊を呼び出せなかったのです。その原因は?(全3項目)

3-1.翌日の朝に
翌朝早くハリーはロンとハーマイオニーが目覚める前にテントを抜け出すと森を歩いて一番古く節くれだって反発力のありそうな木を探しました。そしてその木陰にマッド・アイ・ムーディの目玉を埋葬したというわけです。

目印として杖でその木の樹皮に小さく「+」と刻みました。大した設えではありませんでしたがマッド・アイとしてはドローレス・アンブリッジの部屋の扉に嵌め込まれているよりはうれしいだろうとハリーはそう思いました。

それからテントに戻って次の行動を話し合おうと2人が目覚めるのを待ちました。ハリーもハーマイオニーも1ヵ所にあまり長く留まらないほうが良いだろうと考えました。そしてロンもまた2人の意見に同意していたのでした。

ただ1つ次に移動する場所はベーコン・サンドイッチが容易に手に入る所という条件つきでした。ハーマイオニーは空き地の周りにかけた呪文を解きハリーとロンはキャンプした事が判るような痕跡を地上から消したのでした。

それから3人は小さな市場町の郊外に「姿現わし」しました。低木の小さな林で隠された場所にテントを張り終え新たに防衛のための呪文を張り巡らせてハリーは「透明マント」を被り思い切って食べ物を探しに出かけました。

しかし計画通りには事は進みませんでした。町に入るか入らない内に時ならぬ冷気があたりを襲い霧が立ち込めて空が急に暗くなりハリーはその場に凍りついたように立ち尽くしてしまいました。吸魂鬼が現れたからでした。

ハリーが息せき切って手ぶらで戻り声も出せずに「吸魂鬼だ」の一言を唇の動きで伝えるとロンがハリーは素晴らしい守護霊が創り出せるじゃないかと抗議しました。それにハリーは鳩尾を押えて喘ぎながらこう言いました。

「出て・・・来なかった」

唖然として失望するロンとハーマイオニーの顔を見てハリーはすまないと申し訳なく思いました。霧の中から現れた吸魂鬼を遠くに見た瞬間ハリーは身を縛るような冷気に肺を塞がれ遠い日の悲鳴が耳の奥に響いて来ました。

自らの身を守る事ができないと感じました。それはハリーにとって悪夢のような経験でした。遠い日の悲鳴という事は母リリーがヴォルデモートに対してハリーの命乞いをする時の記憶が蘇ったという事になるんでしょうね。

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「どうしてそこまで?」と思うほどにヴォルデモートが執拗に探していた杖作りのグレゴロビッチがついに見つかりました。ところがヴォルデモートはグレゴロビッチに新しい杖を作らせる事も杖の秘術を問い質す事もせず殺害してしまいました。一体それは何故なのか?(全3項目)

3-1.ついに捕まったグレゴロビッチ
グレゴロビッチは言葉を恐怖でたどたどしく激しく前後させながら「わしはない持って。もはやない持って!それは何年も前にわしから盗まれた!」と言いました。しかしヴォルデモートは信じようとはしなかったのでした。

ヴォルデモートはグレゴロビッチに自分に嘘をつくな。帝王は知っている。常に知っているのだと言いました。吊るされたグレゴロビッチの瞳孔は恐怖で大きく広がっていました。それが段々大きく膨らむように見えました。

ハリーはその瞳の黒さの中に丸ごと呑み込まれました。するとハリーは手提げランプを掲げて走る小柄で太ったグレゴロビッチの後を追い暗い廊下を急いでいました。グレゴロビッチは廊下の突き当たりの部屋に入りました。

グレゴロビッチがその部屋に勢いよく飛び込みランプが工房と思われる場所を照らし出すと出窓の縁にブロンドの若い男が大きな鳥のような格好で留まっていました。その侵入者は自分の杖から「失神呪文」を発射しました。

ハンサムな男は大喜びしていました。そして高笑いしながら後ろ向きのまま鮮やかに窓から飛び降りました。ハリーは広いトンネルのような瞳孔から矢のように戻って来ました。グレゴロビッチは恐怖で引きつった顔でした。

「グレゴロビッチあの盗人は誰だ?」

ヴォルデモートがこう訊くとグレゴロビッチは「知らない。ずっと分らなかった。若い男だ」と答え「助けてくれ。お願いだ。お願いだ!」と命乞いを始めました。しかし叫び声が長々と続いた後に緑の閃光が放たれました。

「ハリー!」

名前を呼ばれてハリーは喘ぎながら目を開けました。額が痛む。ハリーはテントに寄り掛かったまま眠りに落ちずるずると倒れて地面に大の字になっていました。見上げるとハーマイオニーの髪が夜空を覆っていたのでした。

黒い木々の枝から僅かに見えていた夜空をでした。

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何故トテナム・コート通りで2人の死喰い人と出くわしたのか?その原因が分からないという事もありハリーとハーマイオニーは交代で見張りをする事にしました。そんな見張りをしているハリーの頭に浮かぶのは何故か不安な事ばかりでした。残りの分魂箱の事にクリーチャーの事に・・・(全3項目)

3-1.ロケットを手にして
ハリーは今この瞬間に手にしているこの小さい金の蓋の後ろに何が息づいているのかを突然強く意識しました。探し出すのにこれほど苦労したのにも関わらずハリーはロケットを投げ捨てたいという強い衝動に駆られました。

気を取り直してハリーは指で蓋をこじ開けようとしました。それからハーマイオニーがレギュラスの部屋を開ける時に使った呪文も試しましたがどちらも駄目でした。ハリーはロケットをロンとハーマイオニーに戻しました。

2人ともそれぞれ試してみましたがハリーと変わりない結果で開けられません。するとロンがロケットを握り締めて「だけど感じないか?」と声を潜めて言いました。ハリーが「何を?」と訊くとロンはロケットを渡しました。

暫くしてハリーはロンの言っている事が判るような気がしました。自分の血が血管を通って脈打つのを感じているのか?それともロケットの中の何か小さい金属のような物の脈打ちを感じているのか?区別がつかないのです。

ハーマイオニーの「これどうしましょう?」の問いかけにハリーが「破壊する方法が判るまで安全にしまっておこう」と答えて気が進みませんでしたがハリーは鎖を自分の首に掛けてロケットをローブの中に入れたのでした。

ロケットは外から見えないようになってハグリッドが17才の誕生日にくれたモークトカゲの巾着と並んでハリーの胸の上に収まりました。それからハリーはハーマイオニーにこう言いながら立ち上がって伸びをしたのでした。

「テントの外で交互に見張りをしたほうがいいと思うよ。それに食べ物の事も考える必要があるな」

起き上ろうとしてまた真っ青になったロンには「君はじっとしているんだ」とハリーは厳しく制しました。そしてハーマイオニーがこれも17才の誕生日にくれた「かくれん防止器」を慎重にテント内のテーブルに置きました。

それからハリーとハーマイオニーはその日1日交代で見張りに立ったというわけなんですよね。

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ロンは血まみれで到底動かせる状態ではありませんでした。しかしトテナム・コート通りで2人の死喰い人に見つかった件もある。それでもハリーは「暫くここにいよう」と告げてこの森に留まる決意をしました。そしてハリーとロンは魔法省から離れて初めてヴォルデモートの分魂箱を手にしたのでした。(全3項目)

3-1.ここにいる事にして
「移動したほうがいいと思うか?」と問いかけた後にロンは「分らないけど」と言いました。トテナム・コート通りで見つかったように今回も死喰い人たちに発見されるのではと恐れてのロンの問いかけというわけですよね。

ロンはまだ青ざめてじっとりと汗ばんでいました。上半身を起こそうともせずそれだけの力がないように見えました。ロンを動かすとなると相当に厄介だ。そこでハリーは「暫くここにいよう」とそう告げたというわけです。

ハーマイオニーはほっとしたような顔ですぐに立ち上がりました。ロンが「どこに行くの?」と訊くとハーマイオニーは「ここにいるなら周りに保護呪文をかけないといけないわ」と答え杖を上げると呪文を呟き始めました。

「サルビオ・ヘクシア・プロテゴ・トタラム・レペロ・マグルタム・マフリアート」

ハーマイオニーは同時にハリーとロンの周りに大きく円を描くように歩き始めました。ハリーの目には周囲の空気に小さな乱れが生じたように見えました。ハーマイオニーがこの空き地をまるで陽炎で覆ったような感じです。

ハーマイオニーがハリーに「テントを出して頂戴」と言いました。ハリーが「テントって?」と訊くとハーマイオニーは「バッグの中よ!」と答えてハリーはもう判っていたので今度はわざわざ手探りなどはしませんでした。

最初から「呼び寄せ呪文」を使いました。テント布や張り綱にポールなどが一包みの大きな塊になって出て来ました。猫の臭いがしたのでハリーはこのテントがクィディッチ・ワールドカップの際に使った物だと判りました。

「これ魔法省のあのパーキンズって人の物じゃないのかな?」

絡まりを解きほぐしながらハリーがこう訊くとハーマイオニーが「返して欲しいと思わなかったみたい。腰痛があんまりひどくて」と次には「8」の字を描く複雑な動きをしながら答えました。そしてこう言ったんですよね。

「だからロンのパパが私に使ってもいいっておっしゃったの」

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目を開けるとハリーは森の中に横たわっていてロンとハーマイオニーは少し離れた所にいました。どうしてここにいるのかも一体ここがどこなのかもハリーは全く分りませんでした。しかしやがてハーマイオニーと話して厳しい現実を知る事になったというわけなんですよね。(全3項目)

3-1.気がつくと3人とも
目を開けると金色と緑が目に眩しく感じました。ハリーは何が起こったのか全く分からずただ木の葉や小枝らしい物の上に横たわっている事だけが判りました。肺がぺしゃんこにつぶれてしまったような感じがしたのでした。

そこに息を吸い込もうともがきながらハリーは目を瞬きました。すると眩しい輝きはずっと高い所にある木の葉の天蓋から射し込む太陽の光だと気づきました。ハリーは何やら顔の近くでピクピクと動いていると感じました。

小さいながらも獰猛な生き物と顔を合せる事を覚悟しながらハリーは両手両膝で身を起こしました。しかしそれはロンの片足でした。見回してみるとロンとハーマイオニーもまた森の中に横たわっていたというわけですよね。

どうやら他には誰もいないようです。ハリーはまず最初に「禁じられた森」を思い浮かべました。そしてホグワーツの構内に3人が姿を現すのは愚かで危険な事と判ってはいてもハリーは心が躍ったというわけなんですよね。

森をこっそり抜けてハグリッドの小屋に行く事を考えるとほんの一瞬心が躍りました。しかしその直後に低い呻き声を上げたロンのほうに這って行く間にハリーはここが「禁じられた森」ではない事が判ったというわけです。

樹木は随分若く木の間隔も広がっていて地面の下草が少なかったからです。ロンの頭の所でハリーと同様に這って来たハーマイオニーと顔を合わせました。ロンを見た途端ハリーは頭から他の一切の心配事が吹き飛びました。

ロンの左半身は血まみれでその顔は落ち葉の散り敷かれた地面の上で際立って白く見えました。ポリジュース薬が切れかかっていてロンはレッジ・カターモールとロン自身の混じった姿になっていたというわけなんですよね。

ますます血の気が失せて行く顔とは対照的に髪は段々赤くなって来ました。ハリーが「どうしたんだろう?」と訊くとハーマイオニーは「ばらけたんだわ」と答えながら既に血の色が一番濃く濡れている所を探っていました。

ハーマイオニーがロンのシャツを破るのをハリーは恐ろしい思いで見つめました。ハリーは「ばらけ」を何か滑稽なものとずっとそう思っていましたがロンの状態を見ると「しかしこれは」と思わずにはいられませんでした。

ハーマイオニーが剥き出しにしたロンの二の腕を見てハリーは腸がザワッとしました。肉がごっそり削がれていてナイフでそっくり抉り取ったかのようでした。ここでハーマイオニーはハリーに頼み事をして来たんですよね。

それは自分のバッグから急いで「ハナハッカのエキス」というラベルが貼ってある小瓶を取って来る事でした。

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