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被告側の証人として出廷したダンブルドアの尽力で無事懲戒尋問で無罪放免を勝ち取ったハリーでしたが実はシリウスがその結果を心底喜んではいないというハリーにとっては悩ましい憂いを抱える事になってしまいました。そして夏休み最終日に学校からようやく手紙が届いて・・・(全3項目)

3-1.シリウスの事で
実はシリウスは自分が無罪放免になった事を喜んでいない。それを知ったハリーが自分の気持ちの一端をロンとハーマイオニーに打ち明けると2人の意見は分かれました。ハーマイオニーは厳しくもこう応えたというわけです。

「自分を責める事はないわ!あなたはホグワーツに帰るべきだしシリウスはそれを知ってるわ。個人的に言わせて貰うとシリウスはわがままだわ」

一方ロンは指にこびりついた黴を取ろうと躍起になって顔をしかめながら「それはちょっときついぜハーマイオニー。君だってこの屋敷に独りぼっちで釘づけになってたくないだろう」と反論をしたというわけなんですよね。

「独りぼっちじゃないわ!ここは不死鳥の騎士団の本部じゃない?シリウスは高望みしてハリーがここに来て一緒に住めばいいと思ったのよ」

ロンにこう言葉を返すハーマイオニーにハリーは雑巾を絞りながら「そうじゃないと思うよ。僕がそうしてもいいかって訊いた時シリウスははっきり答えなかったんだ」とそう言いましたがハーマイオニーはこう応えました。

「自分であんまり期待しちゃいけないと思ったんだわ。それにきっと少し罪悪感を覚えたのよ。だって心のどこかであなたが退学になればいいって願っていたと思うの。そうすれば2人とも追放された者同士になれるから」

ハーマイオニーは明晰でした。でもあまりと云えばあまりにも情け容赦ないとも言えるでしょうね。そのためハリーとロンは同時に「辞めろよ!」と言いました。しかしハーマイオニーは肩をすくめるとこう言ったのでした。

「いいわよ。だけど私時々ロンのママが正しいと思うの。シリウスはねえハリーあなたがあなたなのかそれともあなたのお父さんなのか混乱してる時があるわ」

これにハリーは「じゃ君はシリウスが少しおかしいって言うのか?」と熱くなって言いました。これに対しハーマイオニーは「違うわ。ただシリウスは長い間独りぼっちで寂しかったと思うだけ」とさらりと言い切りました。

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無罪放免になった喜びも束の間で地下9階で魔法大臣コーネリウス・ファッジと死喰い人のルシウス・マルフォイ氏が親密に話しているのをハリーは見てしまいました。アーサー氏に送られてハリーはグリモールド・プレイス12番地に帰って来て出迎えた一同はそれはもう大喜びだったのですが・・・(全3項目)

3-1.エレベーターでアトリウムに
魔法省の地下9階に魔法大臣コーネリウス・ファッジとルシウス・マルフォイ氏がいるのを見てハリーがアーサー氏に「2人の私的な事って一体何があるの?」と訊くとアーサー氏は「金貨だろう」と怒ったように言いました。

アーサー氏が言う所によればルシウス・マルフォイ氏は長年あらゆる事に気前よく寄付して来たんだそうです。いい人脈が手に入る。そうすれば都合の悪い法律の通過を遅らせるなど有利な計らいを受けられるのだそうです。

ルシウス・マルフォイって奴はいいコネを持っているそうです。アーサー氏がそんな事を話しているとエレベーターが来ました。メモ飛行機の群れ以外は誰も乗っていません。アーサー氏はアトリウムのボタンを押しました。

扉が閉まる間メモ飛行機が頭の上をハタハタと飛ぶのでアーサー氏は煩わしそうに払い退けていました。ハリーは考えながらアーサー氏にこう訊きました。もしファッジがマルフォイみたいな死喰い人と1人で会っていたら?

ファッジが死喰い人たちに「服従の呪文」をかけられていないと言えるのか?ハリーのこの問いにアーサー氏は「我々もそれを考えなかったわけではないよ」とひっそりと答えました。今の所はそれはないとの事だそうです。

ダンブルドアはファッジは自分の考えで動いていると考えているそうです。しかしダンブルドアが言うにはそれだから安心というわけではないんだそうです。しかしアーサー氏はこれでハリーへの説明を打ち切ったのでした。

今はこれ以上話さないほうがいいとの事です。エレベーターの扉が開いてハリーとアーサー氏はアトリウムに出ました。今はほとんど誰もいませんでした。守衛のエリックは「日刊予言者新聞」の陰に埋もれていたのでした。

金色の噴水をまっすぐに通り過ぎた途端にハリーは思い出しました。ホグワーツを退学にならなかったら「魔法族の和の泉」に10ガリオン入れようとそう考えていたのです。ハリーはアーサー氏に「待ってて」と言いました。

そしてポケットから巾着を取り出し噴水に戻りました。

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あっという間にダンブルドアがいなくなってしまいショックを受けたハリーでしたがそれでも無罪放免を勝ち取った喜びで格別の気分でした。ところがアーサー氏と階段を上がって地下9階に来るとコーネリウス・ファッジと話しているルシウス・マルフォイ氏と出くわして・・・(全3項目)

3-1.懲戒尋問が終了して
ダンブルドアがあっという間にいなくなったのはハリーにとっては全くの驚きでした。鎖つきの椅子に座ったままハリーはほっとした気持ちとショックの間で葛藤していました。その一方ウィゼンガモットの裁判官たちは?

ウィゼンガモットの裁判官たちは全員立ち上がってしゃべったり書類を集めたりして帰り支度をしていました。ハリーは立ち上がりました。ハリーの事など誰も全く気にかけていないようでした。ただ1人だけは違いました。

ファッジの右隣のガマガエル魔女つまりドローレス・アンブリッジ上級次官だけ今度はダンブルドアではなくハリーを見下ろしています。その視線を無視しハリーはファッジかマダム・ボーンズの視線を捕えようとしました。

もう法廷を出てもいいのかどうかを訊きたかったのです。しかしファッジは意地でもハリーを見ないようにしているようでした。マダム・ボーンズのほうは自分の書類カバンの整理で忙しくしていたというわけなんですよね。

そこでハリーは試しに一歩そして二歩と遠慮がちに出口に向かって歩いてみました。呼び止める人がいないと判るとハリーは早足になりました。最後の数歩は駆け足になり扉を開けるとアーサー氏に衝突しそうになりました。

アーサー氏は心配そうな青い顔で法廷のすぐ外に立っていました。ハリーの顔を見るとアーサー氏は「ダンブルドアは何も言わなかった」と言おうとしました。しかしその言葉の途中でハリーがこう言って吉報を伝えました。

「無罪だよ。無罪放免!」

ハリーが扉を閉めながらこう言うとアーサー氏は笑ってハリーの肩を掴むと「ハリーそりゃよかった!まあもちろん君を有罪にできるはずはないんだ。証拠の上では。しかしそれでも正直言うと私はやっぱり」と言いました。

そうは言ってもアーサー氏も一抹の不安を抱いていたというわけです。しかしアーサー氏は突然口をつぐみました。法廷の扉が開いてウィゼンガモットの裁判官たちが続々と出て来たからでした。それを見てアーサー氏は?

アーサー氏は「何てこった!」と言うとハリーを脇に引き寄せ一同をやり過ごしながら愕然として「大法廷で裁かれたのか?」とハリーに訊きました。アーサー氏のその問いにハリーは小声で「そうだと思う」と答えました。

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ハリーにとってはまさかという感じの展開で懲戒尋問は「吸魂鬼は本当に存在したのか?」が最大にして唯一の争点になりました。しかしその議論を主にしたのはファッジとダンブルドアの2人でした。そしてハリーには意外なほどに早くダンブルドアが評決を促して・・・(全3項目)

3-1.吸魂鬼の存在を巡って
自分はきっと誤解している。愚かにも自分はほんの一瞬だがまるでダンブルドアが魔法省が命令してハリーを襲わせたと言っているように聞こえた。ファッジの右手に座っていたドローレス・アンブリッジはこう言いました。

その時ドローレス・アンブリッジは愛想笑いを浮かべていましたが大きな丸い目は冷ややかでした。アンブリッジ上級次官にそう言われてダンブルドアはこう言葉を返したんですよね。あくまでも礼儀正しく述べたのでした。

「吸魂鬼が魔法省からしか命令を受けない事が確かだとなればそして1週間前二体の吸魂鬼がハリーといとこを襲った事が確かだとなれば論理的には魔法省の誰かが襲うように命令したという事になるじゃろう」

こう述べた上でダンブルドアは「もちろんこの二体の吸魂鬼が魔法省の制御できない者だったという可能性は」と続けて言ったのでした。ダンブルドアのこの言葉を聞きファッジは真っ赤になってこう噛みついたんですよね。

「魔法省の統制外にある吸魂鬼はいない!」

するとダンブルドアは軽く頭を下げ「それなれば魔法省は必ずや徹底的な調査をなさる事でしょう。2人の吸魂鬼が何故アズカバンからあれほど遠くにいたのか。何故承認も受けず襲撃したのか」とそう言ったというわけです。

「魔法省が何をするかしないかはダンブルドアあなたが決める事ではない」

ファッジはこう言ってダンブルドアに再び噛みつきました。今度のファッジはバーノン叔父さんも感服をするような赤紫色の顔でした。それを受けてダンブルドアはあくまでも穏やかにこう言ったというわけなんですよね。

「もちろんじゃ。わしはただこの件は必ずや調査がなされるものと信頼しておると述べたまでじゃ」

こう言うとダンブルドアはマダム・ボーンズをちらりと見ました。そのマダム・ボーンズは片メガネを掛け直し少し顔をしかめてダンブルドアをじっと見返したのでした。するとファッジが一同にこう述べたというわけです。

「各位に改めて申し上げる。これら吸魂鬼がもし本当にこの少年のでっち上げでないとしたならだがその行動は本件の審理事項ではない!」

ファッジは続けて「本法廷の事件はハリー・ポッターの尋問であり未成年魔法使いの妥当な制限に関する法令の違反事件である!」と言いました。要は吸魂鬼がいたのかいなかったのかと今回の尋問は関係ないという事です。

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ファッジにしてみればハリーが吸魂鬼に襲われたというのが到底考えられない事なので目撃者がいるというダンブルドアの話は衝撃以外の何物でもありませんでした。こうしてハリーの懲戒尋問に出廷して証言をする事になったフィッグばあさんだったのですが・・・(全3項目)

3-1.フィッグばあさんの証言
「あたしはウィステリア・ウォークの奥にある角の店までキャット・フーズを買いに出かけてました。8月2日の夜9時頃です」フィッグばあさんは以上の言葉をまるで暗記して来たかのように早口で一気にまくし立てました。

「そんときにマグノリア・クレセント通りとウィステリア・ウォークの間の路地で騒ぎを聞きました。路地の入口に行ってみると見たんですよ。吸魂鬼が走ってまして」

するとマダム・ボーンズが「走って?吸魂鬼は走らない。滑る」と鋭く言いました。そう突っ込みを入れられてしまいフィッグばあさんは「そう言いたかったんで」と急いで言いました。頬の所々がピンクになっていました。

「路地を滑るように動いてどうやら男の子2人のほうに向かってまして」

フィッグばあさんがこう言うとマダム・ボーンズは「どんな姿をしていましたか?」と訊きました。眉をひそめたので片メガネの端が瞼に食い込んで見えなくなっていました。この問いにフィッグばあさんはこう答えました。

「えー1人はとても大きくてもう1人はかなり痩せて」

これを聞いてマダム・ボーンズは「違う違う。吸魂鬼のほうです。どんな姿か言いなさい」と性急に言いました。するとフィッグばあさんは「あっ」と言った後に「でっかかった。でかくてマントを着てまして」と言いました。

ハリーは胃の腑がガクンと落ち込むような気がしました。フィッグばあさんは吸魂鬼を見たと言いました。しかしせいぜい吸魂鬼の絵を見た事しかないように思えなかったからでした。絵では吸魂鬼の本性は伝わりません。

地上から数センチの所に浮かんで進むあの気味の悪い動き方。あの腐ったような臭い。周りの空気を吸い込む時のガラガラという恐ろしい音。吸魂鬼はこれらの特徴を備えていますがその恐ろしさは絵では伝わらないのです。

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ハリーは8月2日の夜に起った出来事をありのままに正直に話しましたが魔法大臣コーネリウス・ファッジは何度も練習して来た嘘話などと言って決して信じようとはしません。ところがずっと沈黙を守っていたダンブルドアの口からファッジにとっては衝撃の内容が飛び出して来たのでした。(全3項目)

3-1.ハリーが創り出した守護霊を巡って
ハリーの懲戒尋問はこうして始まりましたが魔法大臣コーネリウス・ファッジは矢継ぎ早に質問をして来るばかりでハリーに反論の機会を全く与えてくれません。ハリーが「はい。でも」を4回も繰り返したその後の事です。

ハリーが腹が立って来て今度こそはとばかりに「はい。でも魔法を使ったのは僕たちがあの時」とまで言ったその時でした。今度はファッジの左手に座っていた片メガネの魔女が低く響く声でハリーの言葉を遮ったのでした。

「完全な守護霊を創り出したのか?」

こう訊く片メガネの魔女にハリーは「はい」と答えた後「何故なら」とその理由を説明しようとしました。それを再び遮ると魔女は「有体守護霊か?」と訊いて来てハリーは意味が分からず「ゆ。何ですか?」と訊きました。

「創り出した守護霊ははっきりとした形を持っていたか?つまり霞か雲か以上のものだったか?」

魔女はこう訊いて来ました。何度も自分の言葉を途中で遮られ苛立っていたハリーはやけくそ気味でした。そこで「牡鹿です。いつも牡鹿の姿です」と答えるとその魔女つまりはマダム・ボーンズはハリーにこう訊きました。

「いつも?前にも守護霊を出した事があるのか?」

この問いにハリーは「はい。もう1年以上やっています」と答えました。するとマダム・ボーンズは「しかし15才なのだね?」と訊いてハリーが「そうです。そして」と答えるとその次は「学校で学んだのか?」と訊きました。

「はい。ルーピン先生に3年生の時に習いました。何故なら」

ハリーが「何故なら」とまで言った所でハリーの言葉をまたも途中で遮りマダム・ボーンズはハリーをずいっと見下ろして「驚きだ。この歳で本物の守護霊とは。まさに驚きだ」と感嘆の言葉を漏らしたというわけですよね。

周りの魔法使いや魔女は再びざわつきました。しかし何人かは頷いていたもののそれ以外は顔をしかめ頭を振っています。するとそんなハリーとマダム・ボーンズのやり取りを聞いていたファッジが苛立ってこう言いました。

「どんなに驚くべき魔法かどうかはこの際問題ではない」

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急ぎに急いでハリーはようやく地下の10号法廷に到着しました。男性の冷たい声に「遅刻だ」と怒られて思わず「すみません」と謝ったハリーでしたが直後に被告人側の証人として姿を現した人物を見てハリーの胸には力強い感情が湧き上がったのでした。その人物とは?(全3項目)

3-1.不気味なほどに見覚えのある法廷
ハリーは思わず息を呑みました。この広い地下牢は不気味なほどに見覚えがある。以前に見た事がある所ではない。ここに来た事がある。昨年度ハリーは校長室に行った際ダンブルドアの「憂いの篩」でこの場所に来ました。

そしてここでバーテミウス・クラウチ・ジュニアやベラトリックス・レストレンジたちがアズカバン監獄での終身刑を言い渡されるのを目撃したのでした。この法廷は黒ずんだ石壁を松明がぼんやりと照らしていたのでした。

ハリーの両側のベンチには誰も座ってはいませんでした。正面の一際高いベンチに大勢の影のような姿がありました。一同は低い声で話していましたがハリーの背後で重い扉が音を立てて閉まると不吉な静けさが漲りました。

法廷の向こうから男性の冷たい声が「遅刻だ」と鳴り響きました。ハリーは緊張して「すみません」と謝り時間が変更になった事を知りませんでしたと遅れた理由を説明しました。するとその冷たい声がこう言ったのでした。

「ウィゼンガモットのせいではない。今朝君の所へふくろうが送られている。着席せよ」

ハリーは法廷の真ん中に置かれた椅子に視線を移しました。肘掛けに鎖がびっしり巻きついています。椅子に座る者をこの鎖が生き物のように縛り上げるのをハリーは前に見ました。ハリーはその椅子に向かって歩きました。

石の床を歩くハリーの足音が大きく響き渡りました。恐る恐るその椅子の端に腰掛けると鎖がジャラジャラと脅すように鳴りはしましたがハリーを縛りはしませんでした。吐きたいような気分でハリーは前を見たのでした。

50人ぐらいはいるとハリーはそう思いました。ハリーの見える範囲では全員が赤紫のローブを着ています。胸の左側に複雑な銀の飾り文字で「W」の印がついています。その中には厳しい表情をしている者もいたんですよね。

率直に好奇心を露にしている者もいて全員がハリーを見下ろしていたというわけなんですよね。

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ハリーは2階でエレベーターを降りると闇祓い本部のキングズリー・シャックルボルトの小部屋に立ち寄ってからアーサー氏の職場の「マグル製品不正使用取締局」にやって来ました。ところがアーサー氏の同僚のパーキンズ氏が出勤して来たと思ったら尋問の開始時間と場所が変わったと告げられて・・・(全3項目)

3-1.アーサー氏の職場に到着
ハリーはアーサー氏についてキングズリー・シャックルボルトの小部屋から出ると何度も曲がって幾つもの廊下を通ってようやく箒置き場の隣にあるアーサー氏の職場の「マグル製品不正使用取締局」へと到着したのでした。

アーサー氏の「未処理」の箱は書類で溢れ一番上に座り込んだ古いトースターは気の滅入るようなしゃっくりをしていましたし革の手袋は勝手に両方の親指をくるくる回して遊んでいました。その隣に家族写真がありました。

ウィーズリー家の家族の写真でハリーはそこからパーシーがいなくなったらしい事に気づきました。アーサー氏は「窓がなくてね」と済まなそうに言いながらボマージャケットを脱いで椅子の背に掛けるとこうも言いました。

「要請したんだが我々には必要ないと思われているらしい。さあハリー掛けてくれ。パーキンズはまだ来てないようだな」

ハリーは体を押し込むようにパーキンズ氏の机の後ろの椅子に座りました。アーサー氏はキングズリーから渡された羊皮紙の束をパラパラとめくり「ああ」と言うと「ザ・クィブラー」という雑誌を引っ張り出したのでした。

「なるほど。なるほど。シリウスがこれを読んだら面白がるだろうと言っていたがその通りだ。おや今度は何だ?」

メモ飛行機が開けたままの扉から入って来てしゃっくりトースターの上に降りたのでアーサー氏は紙飛行機を開いて声を出して読みました。ベスナル・グリーンで3つ目の逆流公衆トイレが見つかった事による調査依頼でした。

こうなると度が過ぎるな。最後にこう言ったアーサー氏にハリーが「逆流トイレ?」と問いかけるとアーサー氏は「マグル嫌いの悪ふざけだ」と答え眉根を寄せました。3つ目という事で過去の2件は先週あったんだそうです。

ウィンブルドンで1件とエレファント・アンド・キャッスルで1件あったのだそうです。マグルが水を流そうとレバーを引くと流れて行くはずの水が逆流して来る。可哀想な被害者は助けを求めて配管工を呼ぶというわけです。

そのパイプなんかを修理する「配管工」をアーサー氏は「管配工」と言い間違えてハリーが思わず訂正する事になってしまいました。

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こうして(多分)生まれて初めて魔法省に足を踏み入れたハリーは守衛室で杖の登録を済ませると黄金のゲートをくぐってエレベーターに乗り込みました。そして2階にあるアーサー氏の職場に向かったのですがその途中でアーサー氏は寄り道をしたのでした。そこでハリーが会ったのは?(全3項目)

3-1.エレベーターに乗って
同じエレベーターに乗り合わせた人々が物珍しげに見るのでハリーは目が合わないよう足元を見つめ同時に前髪を撫でつけました。エレベーターはチェーンをガチャガチャ言わせながらゆっくりと昇り始めたというわけです。

「7階。魔法ゲーム・スポーツ部がございます。その他イギリス・アイルランド・クィディッチ連盟本部、公式ゴブストーン・クラブ、奇抜な特許庁はこちらでお降りください」

同時にハリーが電話ボックスで聞いたあの落ち着き払った女性の声がまたこう鳴り響きました。そしてエレベーターの扉が開き雑然とした廊下に壁に曲がって貼ってある色々なクィディッチ・チームのポスターがありました。

腕一杯に箒を抱えた魔法使いが1人エレベーターからやっとの事で降り廊下の向こうに消えて行きました。扉が閉まりエレベーターはまた激しく軋みながら昇って行きました。すると再び女性のアナウンスが聞こえて来ました。

「6階。魔法運輸部でございます。煙突ネットワーク庁、箒規制管理課、移動キー局、姿現わしテストセンターはこちらでお降りください」

扉が再び開き4~5人の魔法使いと魔女が降りました。同時に紙飛行機が数機飛び込んで来ました。ハリーは頭の上をのんびり飛び回る紙飛行機を見つめました。薄紫色で両翼の先端に「魔法省」とスタンプが押されています。

「省内連絡メモだよ。昔はふくろうを使っていたんだがとんでもなく汚れてね。机は糞だらけになるし」

アーサー氏が小声でハリーにこう説明しました。エレベーターが上へ昇る間メモ飛行機は天井から下がって揺れるランプの周りをハタハタと飛び回りました。扉が開くと2機のメモ飛行機が数人の人々と一緒に出て行きました。

「5階。国際魔法協力部でございます。国際魔法貿易基準機構、国際魔法法務局、国際魔法使い連盟イギリス支部はこちらでお降りください」

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魔法省の外来者用入口はハリーが期待していた感動的な所ではありませんでした。しかしそこから地下に潜ると景色は一変しました。こうしてハリーはおそらくは生まれて初めて魔法省へと足を踏み入れたというわけなんですよね。(全3項目)

3-1.一見すると故障した電話ボックス
2人が辿り着いたのは相当にみすぼらしい所でハリーは魔法省のある場所はもう少し感動的な所だろうと期待していました。一方アーサー氏は赤い古ぼけた電話ボックスを指差し「さあ着いた」と明るく言ったというわけです。

電話ボックスはガラスが数枚なくなっていましたし後ろの壁は落書きだらけでした。アーサー氏は電話ボックスの戸を開けてハリーに「先にお入りハリー」と言いました。一体全体どういう事なのかわけが分りませんでした。

しかしハリーは中に入りました。するとアーサー氏もハリーの脇に体を折り畳むようにして入り込み戸を閉めました。ぎゅうぎゅう詰めでハリーの体は電話機に押しつけられていました。電話機は斜めに壁に掛かっています。

どうやら電話機を外そうとした野蛮人がいたようでした。アーサー氏はハリー越しに受話器を取りました。ハリーが「おじさん。これも故障してるみたいだよ」と言うとアーサー氏は「いやいやこれは大丈夫」と言いました。

アーサー氏はハリーの頭の上で受話器を持ちダイヤルを覗き込みました。そして「えーと」などと言いながら何とダイヤルを回し始めました。最初は「6」で次は「2」でそれから「4」を2回と最後にはまた「2」を回しました。

ダイヤルが滑らかに回転し終わるとアーサー氏が手にした受話器ではなく電話ボックスの中から落ち着き払った女性の声が流れ出ました。まるで2人のそばに姿の見えない女性が立っているように大きくはっきり聞こえました。

「魔法省へようこそ。お名前とご用件をおっしゃってください」

アーサー氏は「えー」と言い淀んで受話器に向かって話すべきかどうか迷った挙句に受話器の口の部分を耳に当てる事で妥協する事にしました。そして聞こえて来た女性の声にこのように返事をしたというわけなんですよね。

「マグル製品不正使用取締局のアーサー・ウィーズリーです。懲戒尋問に出廷するハリー・ポッターに付き添って来ました」

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ついについに懲戒尋問の当日がやって来てしまいました。5時半に起きてハリーが着替えを済ませて厨房に下りて行くとそこにはウィーズリー夫妻にシリウスとルーピンにトンクスがハリーを待ち受けていたかのように座っていました。そしてアーサー氏と共に出発したというわけです。(全3項目)

3-1.ついに懲戒尋問当日の朝に
尋問当日の朝ハリーは5時半にそれもまるで誰かが耳元で大声を出したかのように突然はっきりと目覚めました。暫くの間ハリーはじっと横になっていました。しかし懲戒尋問の事が頭の隅々まで埋め尽くして耐えられません。

そのためついにハリーはベッドから飛び出すとメガネを掛けました。ウィーズリーおばさんがベッドの足元に洗い立てのジーンズとTシャツを置いてくれていました。ハリーはもたもたしながらそれを着込んだというわけです。

壁の絵のない絵がニヤニヤ笑いました。ロンは大の字になり大口を開け眠り込んでいました。ハリーが部屋を横切り踊り場に出てそっと扉を閉めるまでロンは全く動きませんでした。その事は考えまいとハリーは思いました。

次にロンと会う時はもはやホグワーツの生徒同士ではなくなってしまっているかもしれないという事です。ハリーはそっと階段を下りてクリーチャーの先祖たちの首の前を通り過ぎると厨房へと降りて行ったというわけです。

厨房には誰もいないだろうと思っていましたが扉の所まで来ると中から低い話し声が聞こえて来ました。扉を開けるとウィーズリー夫妻にシリウスとルーピンにトンクスがハリーを待ち受けていたかのように座っていました。

全員が着替えを済ませていましたがおばさんだけは紫のキルトの部屋着を羽織っていました。ハリーが入って行くとおばさんが勢いよく立ち上がって「朝食ね」と言うと杖を取り出し暖炉のほうに急いだというわけですよね。

トンクスが「お-お-おはようハリー」と挨拶しながら欠伸をしました。今朝はブロンドの巻き毛でした。トンクスが「よく眠れた?」と訊いて来たのでハリーは「うん」と答えました。トンクスはずっと起きていたそうです。

トンクスはもう1回ブルルッと体を震わせて欠伸をすると「ここに座りなさいよ」と言って椅子を引っ張りました。ついでに隣の椅子まで引っくり返してしまいました。するとそこにおばさんがハリーにこう呼びかけたのでした。

「何を食べる?オートミール?マフィン?ニシンの燻製?ベーコンエッグ?トースト?」

ハリーは「あの。トーストだけお願いします」と答えました。

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12番地の屋敷の除染作業は困難を極めハリーはこの屋敷に対して戦いを挑んでいるという意見でした。しかしその一方で尋問の事を考えずに済むのでハリーにとってそれはむしろ好都合でした。しかしついにハリーは尋問前夜を迎えてしまいました。(全3項目)

3-1.大掃除ではなく戦い?
午後からハリーたちはシリウスも加わって客間のガラス扉の飾り棚を片付ける作業をしました。一同が捨てる物品の数々を腰布に隠して持ち去ろうとしたためクリーチャーとシリウスの間で激しい攻防が繰り広げられました。

シリウスがブラック家の家紋が入った大きな金の指輪をその手からもぎ取るとクリーチャーは怒りでわっと泣き出し啜り泣いてしゃくり上げながら部屋を出る時にハリーが聞いた事のないひどい言葉でシリウスを罵りました。

「父の物だったんだ。クリーチャーは父に対して必ずしも母に対するほど献身的ではなかったんだがそれでも先週あいつが父の古いズボンを抱き締めている現場を見た」

シリウスは指輪を袋に投げ入れながらこう言いました。ウィーズリーおばさんはそれから数日間みんなをよく働かせました。客間の除染には丸々3日かかりました。最後に残った嫌な物の1つは例のタペストリー家系図でした。

このブラック家のタペストリー家系図は壁から剥がそうとするあらゆる手段にことごとく抵抗しました。もう1つはガタガタという文机でした。ムーディがまだ本部に立ち寄っていないので中身の確認が未だにできないのです。

中に何が入っているのかはっきりと分りません。客間の次は1階のダイニング・ルームでそこの食器棚には大皿ほどもある巨大な蜘蛛が数匹隠れているのが見つかりました。蜘蛛が苦手なロンはそれを見て逃げてしまいました。

ロンはお茶を入れると言って出て行ってしまい1時間半も戻って来ませんでした。ブラック家の紋章と家訓を書き入れた食器棚もまたシリウスが全部無造作に袋に投げ込みました。黒ずんだ銀の枠に入った古い写真類もでした。

写真の主たちは自分を覆っているガラスが割れると甲高い声を上げました。どの作業も簡単ではありません。スネイプはこの作業を大掃除と呼んだかもしれませんがハリーは屋敷に対して戦いを挑んでいるという意見でした。

屋敷はクリーチャーに煽られて中々いい戦いぶりを見せていました。クリーチャーはみんなが集まっている所に頻繁に現れてはゴミ袋から何かを持ち出そうとする時のぼやきもますます厭味ったらしくなっていたんですよね。

シリウスは洋服をくれてやるぞとまで脅しましたがクリーチャーも負けてはいませんでした。それができない事をクリーチャーは知っていたのです。

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シリウスに言わせればこのタペストリーつまりブラック家の家系図に名前が載っている連中は家族ではないんだそうです。そんな中にロドルファス・レストレンジと結ばれているベラトリックス・ブラックという人物がいました。ハリーはその人物の名前を見て・・・(全3項目)

3-1.ベラトリックス・レストレンジ
今度はハリーはアンドロメダの焼け焦げの左にある「ベラトリックス・ブラック」を見ていました。二重線でロドルファス・レストレンジと結ばれていました。この名前は何か自分の記憶を刺激する。どこかで聞いた名前だ。

しかしどこだったかとっさには思い出せない。ただ胃の腑に奇妙なぞっとするような感触が蠢(うごめ)きました。ハリーが「レストレンジ」と声に出して読むとシリウスは「この2人はアズカバンにいる」とだけ言ったのでした。

「ベラトリックスと夫のロドルファスはバーティ・クラウチの息子と一緒に入って来た。ロドルファスの弟のラバスタンも一緒だった」

ハリーがもっと知りたそうに見るとシリウスは相変わらずぶっきらぼうな声でこう言いました。シリウスのこの言葉を聞いてハリーは思い出しました。ベラトリックス・レストレンジを見たのは昨年度に校長室で見たのです。

想いや記憶を蓄えておけるあの不思議な「憂いの篩」という道具の中で見たのです。背の高い黒髪の女性で厚ぼったい瞼の半眼の魔女でした。裁判の終わりに立ち上がるとヴォルデモートへの変わらぬ恭順を誓っていました。

そしてヴォルデモートが失脚した後も探し求めた事を誇りその忠誠ぶりを褒めて貰える日が来ると宣言した魔女でした。ハリーはシリウスに「今まで一度も言わなかったね」と言いましたが「この魔女が」と言った時でした。

「私の従姉だったらどうだって言うのかね?私に言わせればここに載っている連中は私の家族ではない。この魔女は絶対に家族ではない。君ぐらいの歳の時からこの女には一度も会っていない」

シリウスはぴしゃりとこう言いました。シリウスはアズカバンでちらりと見かけた事を勘定に入れなければこのベラトリックス・レストレンジには15才の頃から一度も会っていないのだそうです。さらにはこうも言いました。

「こんな魔女を親戚に持った事を私が誇りにするとでも思うのか?」

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シリウスはクリーチャーが守ろうとしていた壁一杯に掛かるタペストリーのほうへと歩いて行きました。それはブラック家の家系図でした。しかしシリウスの名前は16才の時にシリウスが家出をした時に母親が抹消してしまったんだそうです。さらにその家系図には・・・(全3項目)

3-1.家系図から抹消されたシリウス
シリウスは壁のほうへと歩いて行きました。そこにはクリーチャーが守ろうとしていたタペストリーが壁一杯に掛かっていました。ハリーも他の面々もシリウスについて行きました。タペストリーは古色蒼然としていました。

色褪せドクシーが食い荒らしたらしい跡があちらこちらにありました。しかし縫い取りをした金の刺繍糸が家系図の広がりを未だに輝かせていました。時代はハリーの知る限り中世まで遡り一番上に大きな文字がありました。

高貴なる由緒正しきブラック家
純血よ永遠なれ


家系図の一番下をざっと見てハリーが「おじさんが載っていない!」と言いました。するとシリウスは「かつてはここにあった」と言ってタペストリーの小さな丸い焼け焦げを指差しました。タバコの焼け焦げのようでした。

「お優しい我が母上が私が家出した後に抹消してくださってね。クリーチャーはその話をブツブツ話すのが好きなんだ」

こう言うシリウスにハリーが「家出したの?」と訊くとシリウスは「16の頃だ。もう沢山だった」と答えました。ハリーは「どこに行ったの?」と訊いてシリウスをじっと見つめシリウスは「君の父さんの所だ」と答えました。

ハリーのおじいさんとおばあさんは本当によくしてくれたんだそうです。シリウスを二番目の息子のように扱ってくれたのだそうです。だから学校が休みになるとハリーのお父さんの所に転がり込んだとの事なんだそうです。

そして17才になると1人で暮らし始めた。叔父のアルファードがシリウスにかなりの金貨を残してくれていたのだそうです。その叔父もこの家系図から抹消されているそうです。理由は多分その金貨を残した事なんだそうです。

とにかくシリウスはそれ以来自分独りでやって来たのだそうです。ただし日曜日の昼食はいつでもポッター家で歓迎されたとの事でした。そんなシリウスにハリーは「だけど。どうして?」と問いかけたというわけですよね。

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正午過ぎにマンダンガス・フレッチャーが例の盗品の大鍋を持ち込んで来たためホールで一騒動が勃発する事となりました。その騒ぎをよく聞こうとフレッドが客間の扉を開けたら屋敷しもべ妖精のクリーチャーが入って来ました。するとクリーチャーはご主人様のシリウスに対して・・・(全3項目)

3-1.クリーチャー
フレッドは扉をピシャリと閉めながら大声で「おーいクリーチャー」と呼びかけました。するとクリーチャーはぱたりと止まって呟くのを辞めて大袈裟な一方で嘘臭い様子で驚いてみせました。そしてこう言ったんですよね。

「クリーチャーめはお若い旦那様に気づきませんで」

こう言うとクリーチャーは後ろを向いてフレッドにお辞儀をしました。そしてうつむいて絨毯を見たままはっきりと聞き取れる声でその後を続けて「血を裏切る者のいやらしいガキめ」とそう言ったというわけなんですよね。

「え?最後に何て言ったか分からなかったけど」

ジョージがこう訊くとクリーチャーは今度はジョージにお辞儀をしながら「クリーチャーは何も申しません」と言いました。それからクリーチャーは低い声ではっきりとこう付け加えました。またもや誹謗中傷の一言でした。

「それにその双子の片割れ。異常な野獣め。こいつら」

ハリーは笑っていいのやらどうやら分りませんでした。クリーチャーは体を起こし全員を憎々しげに見つめて誰も自分の言う事が聞こえないと信じ切っているようでした。そのためその後もブツブツ言い続けていたのでした。

「それに穢れた血め。図々しく鉄面皮で立っている。ああ奥様がお知りになったらああどんなにお嘆きか。それに1人新顔の子がいる。クリーチャーは名前を知らない。ここで何をしてるのか?クリーチャーは知らない」

するとハーマイオニーが遠慮がちに「こちらハリーよ。クリーチャー。ハリー・ポッターよ」とハリーの事を紹介しました。クリーチャーは濁った目をかっと見開き前よりもっと早口になり怒り狂ってこう呟いたんですよね。

「穢れた血がクリーチャーに友達顔で話しかける。クリーチャーめがこんな連中と一緒にいる所を奥様がご覧になったらああ奥様は何と仰せられる事か」

するとロンとジニーが黙っていませんでした。

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グリモールド・プレイス12番地の不死鳥の騎士団本部で初めて寝起きをしたハリーは客間のドクシー退治に駆り出されました。そこでフレッドとジョージから「ずる休みスナックボックス」の事を聞いたり正午過ぎにはマンダンガスが例の盗品の大鍋を持って来たりもしました。そして・・・(全3項目)

3-1.フレッドとジョージの2人から
グリモールド・プレイス12番地の不死鳥の騎士団本部で初めて寝起きをしたハリーは翌朝ジョージに起こされて客間のドクシー退治に駆り出される事になりました。そこで聞いたのが「ずる休みスナックボックス」の事です。

2色の噛みキャンディで両半分の色が暗号になっているんだそうです。ハリーが最初に聞いたのは「ゲーゲー・トローチ」でオレンジ色の半分を噛むとゲーゲー吐く。すると慌てて教室から出され医務室に急げという事になる。

しかしその道すがらで残り半分の紫色を飲み込むとたちまちあなたは元気一杯。無益な退屈さに奪われるはずの1時間をお好み通りの趣味の活動に従事できるという優れ物と広告の謳い文句にはそう書くつもりなのだそうです。

おばさんの視界からじりじりと抜け出して来たフレッドが医務室に向かってからの説明をハリーに囁きました。フレッドは床にこぼれ落ちたドクシーを2~3匹さっと拾ってポケットに入れるとハリーにこう言ったのでした。

「だけどもうちょい作業が残ってるんだ。今の所実験台にちょいと問題があってゲーゲー吐き続けなもんだから紫のほうを飲み込む間がないのさ」

ハリーが「実験台?」と訊くとフレッドが「俺たちさ。代わりばんこに飲んでる。ジョージは気絶キャンディをやったし鼻血ヌルヌル・ヌガーは2人とも試したし」と答えました。それを受けジョージがこう言ったんですよね。

「お袋は俺たちが決闘したと思ってるんだ」

ハリーはノズルの調節をするふりをしながらこっそりと「それじゃ悪戯専門店は続いているんだね?」と訊きました。この問いにフレッドがさらに声を落としてこう答えました。相変わらずおばさんを警戒していたからです。

「うーんまだ店を持つチャンスがないけど。だから今んとこ通販でやってるんだ。先週日刊予言者新聞に広告を出した」

ちょうどその時おばさんは次の攻撃に備えてスカーフで額を拭った所でした。ここでジョージが「みんな君のお陰だぜ兄弟」と言って来ました。心配は無用でお袋は「日刊予言者新聞」に載せた広告には全然気づいていない。

もう「日刊予言者新聞」を読んでいないそうです。何故ならハリーやダンブルドアの事で新聞の内容が嘘八百なんだからそうです。フレッドとジョージの悪戯専門店は続いている。それを聞いてハリーはにやっと笑いました。

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今夜は考える事があまりに色々起って到底眠れそうにない。何時間も悶々と目を覚ましているだろう。そう思ったハリーでしたがいつの間にか眠ってしまい気がついた時には朝になっていました。そんなハリーが駆り出されたのが客間のドクシー退治でした。(全3項目)

3-1.気がついた時には朝
今夜は考える事があまりに色々起って到底眠れそうにない。何時間も悶々と目を覚ましているだろう。そんなハリーでしたが思いとは裏腹にいつの間にか眠りに落ちてしまい夢の中にはハグリッドが出て来てこう言いました。

「どうだ美しいじゃねえか。え?ハリー?今学期は武器を勉強するぞ」

ハリーはその生き物が頭に大砲を持っていて自分のほうを振り向いたのを見ました。ハリーは身をかわしました。その次に気がついた時にはハリーはベッドの中でぬくぬくと丸まっていてジョージの大声が部屋中に響きました。

「お袋が起きろって言ってるぞ。朝食は厨房だ。それから客間に来いってさ。ドクシーが思ったよりどっさりいるらしい。それにソファーの下に死んだバフスケインの巣を見つけたんだって」

30分後急いで着替え朝食を済ませたハリーとロンは客間に入って来ました。2階にあり天井が高く長い部屋でオリーブグリーンの壁は汚らしいタペストリーで覆われていて絨毯は誰かが一歩踏み締める毎に埃を巻き上げました。

埃はまるで小さな雲のように巻き上がりました。モスグリーンの長いビロードのカーテンはまるで姿の見えない蜂が群がっているようにブンブンと唸っていました。その周りに総勢5人が鼻と口を布で覆って集まっていました。

そんな奇妙な格好をして手に手に黒い液体が入った噴射用ノズルつきの瓶を持っていたのはウィーズリーおばさんにハーマイオニーとジニーにフレッドとジョージでした。ハリーとロンを見るなりおばさんがこう言いました。

「顔を覆ってスプレーを持って」

紡錘形(ぼうすいけい)の脚をしたテーブルに黒い液体の瓶があと2つありおばさんはそれを指差していました。おばさんはハリーとロンに「ドクシー・キラーよ」と言った後に咎めるようにこう言ったというわけなんですよね。

「こんなにひどく蔓延(はびこ)っているのは初めて見たわ。あの屋敷しもべ妖精はこの10年間一体何をしてた事やら」

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先週まで「13週間・52回」に渡って第7巻「死の秘宝」のアルバス・ダンブルドアをやっていたので長いシリーズが続いて少々心苦しいのですが毎年7月はこれをやる事になっているので今日から「6週間・24回」に渡ってハリーが5年生の夏休みの後半をどう過ごしたのかをお伝えする事にします。(全3項目)

3-1.厨房を出て寝室に
グリモールド・プレイス12番地の不死鳥の騎士団の本部の厨房で騎士団の活動内容の説明を受けていたハリーでしたがウィーズリーおばさんの「もう沢山!今すぐベッドに行きなさい。全員です」の一言で終了したのでした。

おばさんは説明を聞いていたハリーにロンとハーマイオニーとフレッドにジョージの後からむっつりと階段を上がりました。最初の踊り場に着くと「まっすぐベッドに行くんですよ。おしゃべりしないで」と言ったのでした。

「明日は忙しくなるわ。ジニーは眠っていると思います。だから起こさないようにしてね」

さらにおばさんはこう言いましたが最後のジニーに関する言葉はハーマイオニーに向かって言いました。ハーマイオニーがお休みを言って別れ他の一同が上の階に上る時フレッドが小声でこう言ったというわけなんですよね。

「眠ってる。ああ絶対さ。ジニーは目をばっちり開けて寝てる。下でみんなが何を言ったかハーマイオニーが全部教えてくれるのを待ってるさ。もしそうじゃなかったら俺レタス食い虫並みだ」

2つ目の踊り場で2人の部屋を指差しおばさんが「さあ。ロン。ハリー。寝なさい。2人とも」と言いました。ハリーとロンはフレッドとジョージに「お休み」と挨拶してフレッドは「ぐっすり寝ろよ」と言いウィンクしました。

おばさんはハリーが部屋に入ると勢いよく扉を閉めました。まるで「おしゃべりは許しません。絶対に駄目です」と態度で示しているようですね。寝室はハリーが最初に見た時よりも一段と暗くてじめじめしていたのでした。

絵のないカンバスはまるで姿の見えない絵の主が眠っているかのようにゆっくり深い寝息を立てています。ハリーはパジャマに着替えてメガネを取りひやっとするベッドに潜り込みました。そこには2羽のふくろうもいました。

洋箪笥の上でヘドウィグとピッグウィジョンがカタカタ動き回り落ち着かない様子で羽を擦り合わせていたのでロンはおとなしくさせるために「ふくろうフーズ」を投げてやりました。それからその理由をこう説明しました。

「あいつらを毎晩狩りに出してやるわけにはいかないんだ。ダンブルドアはこの広場のあたりであんまり沢山ふくろうが飛び回るのはよくないって。怪しまれるから」

こう言った後にロンは「あそうだ。忘れてた」と言うと扉の所まで行って鍵を掛けました。それを見てハリーが「どうしてそうするの?」と訊くとロンは明かりを消しながらハリーに鍵を掛ける理由をこう説明したのでした。

「クリーチャーさ。僕がここに来た最初の夜クリーチャーが夜中の3時にふらふら入って来たんだ。目が覚めた時あいつが部屋の中をうろついてるのを見たらさ。まじ嫌だぜ。ところで」

ここでロンが例の話を切り出して来ました。

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