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魔法省の魔法法執行部に勤めていたオグデン氏の「記憶」を見終わってダンブルドアとハリーは校長室に戻って来ました。その場でハリーはダンブルドアから推量を含めたゴーント家のマールヴォロとメローピーのその後を聞いたというわけなんですよね。(全3項目)

3-1.メローピー・ゴーントこそが
ハリーは座ったまま身を乗り出しダンブルドアを見詰めると考えながら「それじゃメローピーは。メローピーは。先生。という事はあの人は。ヴォルデモートの母親?」と訊きました。ダンブルドアはこう答えたんですよね。

「そういう事じゃ。それに偶然にも我々はヴォルデモートの父親の姿も垣間見た。果たして気がついたかの?」

ハリーが「モーフィンが襲ったマグルですか?あの馬に乗っていた?」と言うとダンブルドアは「よくできた」と言って笑顔を見せたというわけです。若い女性がトムと呼んでいたあの黒髪の青年がそうだというわけです。

「そうじゃ。ゴーントの小屋をよく馬で通り過ぎていたハンサムなマグルあれがトム・リドル・シニアじゃ。メローピー・ゴーントが密かに胸を焦がしていた相手じゃよ」

ダンブルドアがこう説明しハリーは信じられない思いで「それで2人は結婚したんですか?」と訊きました。ダンブルドアは「忘れているようじゃの。メローピーは魔女じゃ」と答えメローピーの置かれた状況を説明しました。

父親に怯えている時にはその魔力が十分生かされていたとは思えない。マールヴォロとモーフィンがアズカバンに入って安心し生まれて初めて1人になって自由になった時にメローピーはきっと自分の能力を完全に解き放した。

そして18年間の絶望的な生活から逃れる手筈を整える事ができたとダンブルドアはハリーに後にヴォルデモートの母親になったメローピー・ゴーントについて説明してハリーに対してこう問いかけたというわけなんですよね。

「トム・リドルにマグルの女性を忘れさせ代わりに自分と恋に落ちるようにするためメローピーがどんな手段を講じたか考えられるかの?」

ハリーは「服従の呪文?それとも愛の妙薬?」と意見を述べました。

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息子のモーフィンがマグルに対して呪いもしくは呪詛をかけ非常な痛みを伴うじんましんを発疹させたという事で魔法省の魔法法執行部に勤めるオグデン氏がゴーントの家にやって来たのですが父親のゴーントも息子のモーフィンも全く反省の色を見せずやがてはオグデン氏をほったらかしにしておいて・・・(全3項目)

3-1.若い女性に若い男の声が聞こえて来て
ハリーの目に真っ青なメローピーの顔が見えて来て「おやまあ何て目障りなんでしょう!」と言う若い女性の声がまるで同じ部屋の中ですぐそばに立って話しているかのようにしてはっきりと開けた窓から響いて来たのです。

「ねえトムあなたのお父様あんな掘っ建て小屋片付けてくださらないかしら?」

若い女性がこう言うとトムと呼ばれた若い男の声が「僕たちのじゃないんだよ」と言い若い男は「谷の反対側は全部僕たちの物だけどこの小屋はゴーントという碌でなしのじいさんとその子供たちの物なんだ」と言いました。

さらに若い男が「息子は相当おかしくてね村でどんな噂があるか聞いてご覧よ」と言うと若い女性は笑いました。パカパカという蹄の音にシャンシャンという鈴の音が段々と大きくなって来たというわけですよね。するとです。

モーフィンが肘掛椅子から立ち上がりかけましたが父親のゴーントが蛇語で「座ってろ」と警告するように言いました。また若い女性の声が聞こえて来てトムと呼んだ若い男に向かってこのように言ったというわけですよね。

「ねえトム。あたくしの勘違いかもしれないけど-あのドアに蛇が釘づけになっていない?」

これだけ間近に聞こえて来るのはどうやら2人が家のすぐ脇を通っているからに違いないようです。玄関の扉に釘づけになっている蛇の死骸の事を若い女性が指摘をすると若い男はこのように言葉を返したというわけですよね。

「何て事だ!君の言う通りだ!息子の仕業だな。頭がおかしいって言っただろう?セシリアねえダーリン見ちゃ駄目だよ」

今度は蹄の音も鈴の音も段々と弱くなって行きました。するとモーフィンが妹のメローピーを見ながら蛇語で「ダーリン」と囁きました。さらにモーフィンはメローピーに向かって蛇語でこう言ったというわけなんですよね。

「ダーリンあいつはそう呼んだ。だからあいつはどうせお前を貰っちゃくれない」

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息子のモーフィンが魔法法に違反する行為をしたため魔法省の魔法法執行部に勤めるオグデン氏がゴーントの家にやって来ました。しかし父親のゴーントとオグデン氏の話し合いは互いの内容が噛み合わず全く埒が明きません。するとだったんですよね。(全3項目)

3-1.息子が魔法法を破ったと言われても
父親に痛烈に嘲られたメローピーでしたが誰の顔も見ず鍋を直してくれたオグデン氏に礼も言わずメローピーは拾い上げた鍋を震える手で元の棚へと戻しました。それから汚らしい窓と竈の壁に背中をつけたというわけです。

そしてできる事なら石壁の中に沈み込んで消えてしまいたいと言いたげにじっと動かずに立ち尽くしていたのでした。オグデン氏は改めて「ゴーントさん。既に申し上げましたように私が参りましたのは」と話し始めました。

「1回聞けば沢山だ!それがどうした?モーフィンはマグルにふさわしいものをくれてやっただけだ-それがどうだって言うんだ?」

するとゴーントがぴしゃりとこう言いました。そんなゴーントにオグデン氏は「モーフィンは魔法法を破ったのです」と厳しく言いました。ゴーントはオグデン氏の声を真似して大袈裟に節をつけるとこう言ったんですよね。

「モーフィン魔法法を破ったのです」

モーフィンはまた高笑いをしゴーントは「息子は穢らわしいマグルに焼きを入れてやったまでだ。それが違法だと?」と言いオグデン氏は「そうです。残念ながらそうです」と答え小さな羊皮紙の巻紙を取り出し広げました。

「今度は何だ?息子の判決か?」

それを見てゴーントは怒ったように声を荒げてこう訊きました。オグデン氏が「これは魔法省への召喚状で尋問は」と答えようとするとゴーントはオグデン氏に向かって高飛車な物言いでこう言い放ったというわけですよね。

「召喚状!召喚状?何様だと思ってるんだ?俺の息子をどっかに呼びつけるとは!」

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魔法省の魔法法執行部に勤めるオグデン氏がやって来たのはゴーントの家でした。その理由は息子のモーフィンが昨夜半過ぎにマグルの面前で魔法をかけたと信じるに足る根拠があったからでした。すると家の中に入って行くとそこにはもう1人女性がいて・・・(全3項目)

3-1.来たのはゴーントの家
年老いた男はモーフィンと呼んだ男の傍らで立ち止まると「魔法省だと?」と訊いてオグデン氏は顔を拭いながら怒ったように「その通り!それであなたは要するにゴーントさんですね?」と言ったというわけなんですよね。

オグデン氏の問いに年老いた男は「そうだ」と答え「こいつに顔をやられたか?」と訊きました。オグデン氏が噛みつくように「ええそうです!」と答えるとゴーントは喧嘩をふっかけるかのようにしてこう言ったのでした。

「前触れなしに来るからだ。そうだろうが?ここは個人の家だ。ずかずか入って来れば息子が自己防衛するのは当然だ」

無様な格好で立ち上がりながらオグデン氏が「何に対する防衛だと言うんです?え?」と訊くとゴーントはお節介に侵入者とマグルさらには穢れた奴らだと答えました。ここでオグデン氏は杖を自分の鼻へと向けたのでした。

大量に流れ出ていた黄色い膿のような物が即座に止まりました。ゴーントはほとんど唇を動かさずに口の端でモーフィンに蛇語で「家の中に入れ。口答えするな」とそう言いました。今度はハリーは注意して聞いていました。

そのため蛇語を聞き取る事ができました。言葉の意味が理解できただけではなくオグデン氏の耳に聞こえたであろう「シューシュー」という気味の悪い音も聞き分ける事ができました。モーフィンは口答えをしかかりました。

しかし父親の脅すような目つきに会うと思い直したように奇妙に横揺れする歩き方でドシンドシンと小屋の中へと入って行きました。燕尾服の前にまだ残っていた膿を拭き取りながらオグデン氏はゴーントにこう言いました。

「ゴーントさん私はあなたの息子さんに会いに来たんです。あれがモーフィンですね?」

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ドラコ・マルフォイの企みを突き止めようと必死でマルフォィのいるコンパートメントに潜入するなんて事までしたハリーでしたが今学期はダンブルドア校長の個人教授を受ける事になっていました。その授業内容は「憂いの篩」で数々の人々の「記憶」を見るというもので・・・(全3項目)

3-1.夏休み中にダンブルドア校長に告げられて
そんなドラコ・マルフォイの企みが実はヴォルデモートに命じられた任務だったとは当然露ほども知らなかったハリーだったのですが今学期ハリーは夏休み中に告げられダンブルドア校長の個人教授を受ける事になりました。

その授業の内容は「憂いの篩」でダンブルドア自身を含めた数々の人々の「記憶」を見てヴォルデモートの人生を生まれる以前まで戻って見て知るというもので最初にハリーが見たのはボブ・オグデンという人の記憶でした。

ボブ・オグデンは魔法省の魔法法執行部に勤めていた人で先頃亡くなりましたがダンブルドアがその前に探し出して記憶を打ち明けるように説得してハリーはオグデン氏が仕事上訪問した場所に従いて行ったというわけです。

ダンブルドアが「先に行くがよい」と促してハリーは前屈みになって息を深く吸うと「憂いの篩」の銀色の物質の中へと顔を突っ込んだのでした。それから突然の眩しい陽の光にハリーは目を瞬いたというわけなんですよね。

目が慣れない内にダンブルドアがハリーの傍らに降り立ちました。ハリーとダンブルドアは田舎の小道に立っていて道の両側は絡み合った高い生垣に縁取られ頭上には忘れな草のように鮮やかな青い夏空が広がっていました。

2人の2~3メートル先に背の低い小太りの男が立っていました。牛乳瓶の底のような分厚い眼鏡のせいでその奥の目が小さな点になって見えます。男は道の左側にある案内板を読んでいました。その男こそオグデンに違いない。

他には人影がないしそれに不慣れな魔法使いがマグルらしく見せるために選びがちなちぐはぐな服装をしている。ワンピース型の縞の水着の上から燕尾服を羽織りその下にはスパッツを履いているからというわけなんですよね。

しかしハリーが奇妙な服装を十分観察する間もなくオグデン氏はきびきびと小道を歩き出したというわけです。

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ロンにハーマイオニーが合流した直後にハリーは招待状が届いて今年度からホグワーツの教壇に復帰する事になったホラス・スラグホーンのコンパートメントに行く事となりました。そこに同学年のスリザリン生のブレーズ・ザビニがいてハリーは思いついた事を行動に移したのですが・・・(全3項目)

3-1.マルフォイのいるコンパートメントに
こうしてネビルにルーナと共にコンパートメントを見つけたハリーだったのですがホラス・スラグホーンから招待状が届いたためロンとハーマイオニーとは合流したその直後にそのコンパートメントを離れる事となりました。

ダンブルドアが一緒だったものの事実上ハリーが説得をして今年度ホグワーツの教壇に復帰する事になったスラグホーンのコンパートメントにはハリーと同学年でスリザリン生のブレーズ・ザビニもいたというわけですよね。

それがハリーにその考えを思いつかせました。ハリーは持って行った「透明マント」を使ってドラコ・マルフォイがいるコンパートメントへの潜入を試みたのでした。マルフォイの企みが判るかもしれないと思ったからです。

ロンからマルフォイが監督生の仕事をしておらず他のスリザリン生と一緒にコンパートメントに座っているだけと聞かされた事もハリーがそういう行動を起こす動機になったのです。ハリーの試みは何とか上手く行きました。

ハリーは扉を掴んで力一杯押し開けるとコンパートメントに飛び込み空席になっていたブレーズ・ザビニの席に飛び上がり荷物棚によじ登ったのでした。マルフォイはブレーズ・ザビニにこう訊いたというわけなんですよね。

「それでザビニ。スラグホーンは何が狙いだったんだ?」

この問いにブレーズ・ザビニは「いいコネを持っている連中に取り入ろうとしただけさ。大勢見つかったわけではないけどね」とそう答えました。ブレーズ・ザビニの返答を聞いてマルフォイは何だか面白くない様子でした。

マルフォイが「スラグホーンは多分僕がこの汽車に乗っている事を聞いていなかったのだろう。そうでなければ」と言った時でした。ブレーズ・ザビニが「僕なら招待されようなんて期待は持たないだろうな」と言いました。

するとハリーが期待していた話が始まったのです。

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父親のルシウス氏が予言を封印したガラス球を手に入れる事ができなかった報復とも知らずに息子のドラコはヴォルデモートから任務を与えられて喜んでいました。一方ヴォルデモートの復活が公になった余波は当然の如くハリーにも及んでいたというわけですよね。(全3項目)

3-1.その余波はハリーにも
ドラコ・マルフォイは実は魔法省の神秘部の「予言の間」に保管をされていたハリーとヴォルデモートに関する予言を封印したガラス球を父親のルシウス氏が手に入れられなかった懲罰として任務を言い渡されたんですよね。

その余波はハリーにも及んでいました。ヴォルデモートの復活が「日刊予言者新聞」に掲載されて公になり今度は一転して新聞がハリーを褒めそやすようになりハリーが「選ばれし者」なのではないかと報道したからでした。

新学期初日ホグワーツ特急に乗るとロンとハーマイオニーは監督生なので先頭の車両に行ってしまいジニーはディーン・トーマスと落ち合う約束をしているからといなくなり気がつくとハリーは1人残されてしまったのでした。

ハリーは瞬きをしてあたりを見回しました。するとうっとりした眼差しの女の子たちに周りを取り囲まれていました。背後で聞き覚えのある声が「やあハリー」と言いハリーが振り返るとそこにはネビルとルーナがいました。

ルーナは胸に雑誌を抱き締めていました。表紙には大きな文字で「めらめらメガネ」の付録付きと書いてある「ザ・クィブラー」でした。ハリーはルーナに「それじゃザ・クィブラーはまだ売れてるの?」と訊いたのでした。

先学期の3月「日刊予言者新聞」に先駆けてヴォルデモートの復活を見たというハリーのインタビュー記事が載ったこの雑誌にハリーは何だか親しみを覚えたというわけです。ルーナはうれしそうにこう答えたというわけです。

「うんそうだよ。発行部数がぐんと上がった」

ハリーが「席を探そう」と促してハリーにネビルとルーナは無言で見詰める生徒たちの群れの中を歩き始めました。ようやく空いているコンパートメントを見つけるとハリーは有難いとばかりに急いで中へと入ったのでした。

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母ナルシッサは息子のドラコの事でスピナーズ・エンドのスネイプの自宅を訪れスネイプに「破れぬ誓い」を結ばせました。そしてまさに親の心を子供は知らないとはこの事で息子のドラコはダイアゴン横丁で母ナルシッサ
を撒いたかと思うと・・・(全3項目)

3-1.ダイアゴン横丁にて
こうして闇の帝王ことヴォルデモートが息子ドラコに命じた任務の事でナルシッサはスピナーズ・エンドのスネイプの自宅を訪れナルシッサが申し出てスネイプは「破れぬ誓い」を結びました。そしてだったというわけです。

そんなナルシッサ・ドラコ母子とハリーにロンとハーマイオニーの3人は8月になって最初の週末の土曜日に学用品などを買いにダイアゴン横丁に行った際マダム・マルキンの洋装店で偶然にも出くわす事になったんですよね。

そんなドラコ・マルフォイが1人でフレッドとジョージの経営するウィーズリー・ウィザード・ウィーズの前を通り過ぎて行くのをハリーたちが見たのもまた偶然でした。ハリーはこう言うと眉をひそめたというわけですよね。

「あいつの母上はどこへ行ったんだろう?」

ロンが「どうやら撒いたらしいな」と答えてハーマイオニーは「でもどうして?」と訊いてハリーは考えるのに必死で何も言いませんでした。ナルシッサ・マルフォイは大事な息子からそう簡単に目を離したりしないはずだ。

マルフォイは固いガードから脱出するためには相当頑張らなければならなかったはずだ。ハリーは素早く周りを見るとロンとハーマイオニーに「ここに入って早く」と言いバックパックから「透明マント」を取り出しました。

ハーマイオニーは「あ-私どうしようかしらハリー」と言うと心配そうにウィーズリーおばさんを見ました。するとロンが「来いよ!さあ!」と呼びました。ハーマイオニーはもう一度躊躇しましたが結局マントに入りました。

幸いハリーたち3人が消えた事には誰も気づきませんでした。ハリーたちはできるだけ急いで混み合った店内をすり抜け外に出ました。しかし通りに出た時には既にもうマルフォイの姿はなくハリーは低い声でこう言いました。

「こっちの方向に行った。行こう」

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「たまたまではあるが我輩はあの方の計画を知っている」スネイプがこう言って満足気な表情だったベラトリックスは一瞬の後に再び顔を怒りの表情に戻す羽目になりました。ナルシッサはそれを聞いて少しだけ息遣いを楽にする事ができましたが・・・(全3項目)

3-1.知っていると聞かされて
「たまたまではあるが我輩はあの方の計画を知っている」スネイプはこう言うと続けて「闇の帝王が打ち明けた数少ない者の1人なのだ」と言ったその後ナルシッサに向かってこのように言って暗に咎めたというわけですよね。

「それはそうだがナルシッサ我輩が秘密を知る者でなかったならあなたは闇の帝王に対する重大な裏切りの罪を犯す事になったのですぞ」

ナルシッサは「あなたはきっと知っていると思っていましたわ!」と言い少しだけ息遣いを楽にしました。さらに続けてナルシッサは「あの方はセブルスあなたの事をとてもご信頼で」とそう言ったというわけなんですよね。

一方ベラトリックスは一瞬浮かべた満足気な表情を怒りに変えると「お前が計画を知っている?お前が知っている?」と訊きスネイプは「いかにも」と答えてナルシッサに対して助ける事などできないとこう言ったのでした。

「しかしナルシッサ我輩にどう助けて欲しいのかな?闇の帝王のお気持ちが変わるよう我輩が説得できると思っているなら気の毒だが望みはない。全くない」

ナルシッサは囁くように「セブルス」と言い蒼白い頬を涙が滑り落ちました。そして「私の息子。たった1人の息子」と言いました。ところがベラトリックスはそんなナルシッサに対し非情にもこう言い放ったというわけです。

「ドラコは誇りに思うべきだ。闇の帝王はあの子に大きな名誉をお与えになった」

さらにベラトリックスは「それにドラコのためにはっきり言っておきたいが」と前置きをした上であの子は任務に尻込みなどしていない。自分の力を証明するチャンスを喜び期待に心を躍らせているとそう言ったんですよね。

ナルシッサはすがるようにスネイプを見詰めたまま今度は本当に泣き出したというわけなんですよね。

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スネイプに対するベラトリックスの追及は続きましたがどうやら訊ける事は全て訊いてしまったようでベラトリックスは黙り込んでしまいました。その沈黙に乗じてスネイプは妹のナルシッサに水を向けたというわけです。しかしスネイプからは意外な言葉が返って来ました。(全3項目)

3-1.何故ハリーを生かしておいた?
闇の帝王は騎士団については我輩がお伝えした情報で満足していらっしゃる。ご明察の事と思うがその情報が過日エメリーン・バンスを捕えて殺害する事に結びついたしシリウス・ブラックを始末するのにも役立ったはずだ。

もっともシリウス・ブラックを片付けた功績は全て君のものだが。こう言うとスネイプは頭を下げてベラトリックスに杯を上げました。しかしベラトリックスは硬い表情を変えずにスネイプに最後の質問の答えを求めました。

最後の質問を避けているぞ。ハリー・ポッターだ。この5年間いつでも殺害できたはずだ。お前はまだやっていない。何故だ?ベラトリックスがこう言うとスネイプは「この件を闇の帝王と話し合ったのかね?」と訊きました。

ベラトリックスは動揺したように言葉を途切れがちにして「あの方は。最近私たちは-お前に訊いているのだスネイプ!」と言いました。するとスネイプはハリーを殺害しなかった理由の説明をようやく始めたというわけです。

もし我輩がハリー・ポッターを殺害していたら闇の帝王はあやつの血を使って蘇る事ができず無敵の存在となる事もできなかった。スネイプがこう言うとベラトリックスはスネイプの事をこう嘲ったというわけなんですよね。

「あの方が小僧を使う事を見越していたとでも言うつもりか!」

これにスネイプは「そうは言わぬ。あの方のご計画を知る由もなかった」と言葉を返しました。既に白状した通りスネイプは闇の帝王が死んだと思っていました。ただここでスネイプが言うのはそういう事ではないそうです。

ここでスネイプが説明しているのは闇の帝王が少なくとも1年前まではハリーの生存を残念に思っていない理由なんだそうです。そこでベラトリックスは「それなら何故小僧を生かしておいた?」とスネイプに訊いたのでした。

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お前の事など信用できないとベラトリックスが7つもの疑問を列挙したのでスネイプはその1つ1つに答え始めました。しかし既にもう闇の帝王に答えてしまった後だったからなのか?スネイプはいずれの疑問にもすらすらと答えて行ったのでした。(全3項目)

3-1.ホグワーツに居残った事で
スネイプは気のない声で「なるほど。見上げたものだ。もちろん牢屋の中では大してあの方のお役には立たなかったがしかしその素振りはまさにご立派」と言いベラトリックスは「素振り!」と甲高く叫んだというわけです。

「私が吸魂鬼に耐えている間お前はホグワーツに居残ってぬくぬくとダンブルドアに寵愛されていた!」

ベラトリックスは怒りで狂気じみた表情になりこう言いました。するとスネイプは「少し違いますな」と冷静に言いました。ダンブルドアはスネイプに「闇の魔術に対する防衛術」の仕事を与えようとはしなかったそうです。

何故ならスネイプが昔に引き戻されてぶり返しに繋がるからかもしれないとダンブルドアがそう思ったからなんだそうです。スネイプのその言葉を聞いてベラトリックスはスネイプの事をこう嘲ったというわけなんですよね。

「闇の帝王へのお前の犠牲はそれか?好きな科目が教えられなかった事なのか?」

ここでベラトリックスは改めてスネイプに「では何故それからずっとあそこに居残っていたのだ?死んだと思ったご主人様のためにダンブルドアのスパイを続けたとでも?」と訊いてスネイプは「いいや」と答えたのでした。

スネイプが言うには我輩が職を離れなかった事を闇の帝王はお喜びになっているのだそうです。あの方が戻られた時には我輩はダンブルドアに関する16年分の情報を持っていた。ご帰還祝いの贈り物としてはかなり役に立つ。

それはアズカバンの不快な思い出の垂れ流しよりとの事だそうです。ベラトリックスは「しかしお前は居残った」と言いスネイプは声に初めて苛立ちの色を覗かせて「そうだベラトリックス居残った」とそう言ったのでした。

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とにもかくにもベラトリックスがスネイプは絶対に信用できないと言い張るのでスネイプはまずはベラトリックスの質問に答える事になりました。本当はスネイプの問いかけだけで十分だったのですがスネイプはベラトリックスの1つ1つの質問に答え始めました。(全3項目)

3-1.もう1人の男
スネイプは「それでどういう用件ですかな?」と言うとベラトリックスとナルシッサの前にある肘掛椅子に腰掛けました。するとナルシッサが小声で「ここには。ここには私たちだけですね?」と確認するように訊きました。

「無論そうです。ああワームテールがいますがね。しかし虫けらは数に入らんでしょうな?」

スネイプはこう答えると背後の壁の本棚に杖を向けました。するとバーンという音と共に隠し扉が勢いよく開いて狭い階段が現れました。そこには小男が立ちすくんでいてスネイプは面倒臭そうにこう言ったというわけです。

「ワームテールお気づきの通りお客様だ」

小男は背中を丸めて階段の最後の数段を下りて部屋に入って来ました。小さく潤んだ目に尖った鼻にそして間の抜けた不愉快なニタニタ笑いを浮かべています。左手で右手をさすっていますがその右手には特徴がありました。

まるで輝く銀色の手袋を嵌めているかのようでした。小男はキーキー声で「ナルシッサ!それにベラトリックス!ご機嫌麗しく」と呼びかけました。スネイプはナルシッサとベラトリックスに向かってこう言ったんですよね。

「ワームテールが飲み物をご用意しますよ。よろしければ。その後こやつは自分の部屋に戻ります」

ワームテールはスネイプに何かを投げつけられたようにたじろぎ「私はあなたの召し使いではない!」とスネイプの目を避けながらキーキーと文句を言いました。そんなワームテールにスネイプはこう言ったというわけです。

「ほう?我輩を補佐するために闇の帝王がお前をここに置いたとばかり思っていたのだが」

これにワームテールは「補佐というならそうです-でも飲み物を出したりとか-あなたの家の掃除とかじゃない!」と反論をしました。こう言うワームテールに対してスネイプはさらりとこう言葉を返したというわけですよね。

「それは知らなかったなワームテール。お前がもっと危険な任務を渇望していたとはね」

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廃墟になった製糸工場の名残の巨大な煙突がそそり立つスピナーズ・エンドという所に2人の魔女が姿を現わしました。ナルシッサが訪ねようとしている男の事をベラは信用できないと言いました。しかしナルシッサは闇の帝王は信用していらっしゃるとそう言って・・・(全3項目)

3-1.2人のフード姿が現れて
首相執務室の窓に垂れ込めていた冷たい霧はそこから何キロも離れた場所の汚れた川面にも漂っていました。草ぼうぼうでゴミの散らかった土手の間を縫うようにして暗い川が囁くように流れる他には物音もしませんでした。

廃墟になった製糸工場の名残の巨大な煙突が黒々と不吉にそそり立っていました。あわよくば丈高の草に埋もれているフィッシュ・アンド・チップスのおこぼれでも嗅ぎ当てたいと足音を忍ばせて土手を下るキツネがいます。

その痩せたキツネの他は生き物の気配もありません。その時です。ポンと軽い音がしてフードを被ったすらりとした姿が忽然と川辺に現れました。キツネはその場に凍りつきその不思議な現象をじっと油断なく見詰めました。

そのフード姿は暫くの間は方向を確かめている様子でしたがやがて軽やかに素早い足取りで草むらに長いマントを滑らせながら歩き出しました。そこに二度目の少し大きいポンという音と共にまたもやフード姿が現れました。

鋭い声の「お待ち!」に驚いてそれまで下草にぴたりと身を伏せていたキツネは隠れていた場所から飛び出して土手を駆け上がりました。緑の閃光が走ってキャンという鳴き声と共にキツネは川辺に落ちて絶命していました。

2人目の人影がキツネの亡骸を爪先で引っくり返して「ただのキツネか」と軽蔑したように言いました。それからその女は「闇祓いかと思えば」と言うと1人目のフード姿に向かって「シシーお待ち!」と言ったというわけです。

しかし2人目の女が追う獲物は一瞬立ち止まり振り返って閃光を見はしましたが今キツネが転がり落ちたばかりの土手を既に登り出していました。2人目の女が追いついて1人目の腕を掴みましたが1人目はそれを振り解きました。

「シシー-ナルシッサ-話を聞きなさい」
「帰ってベラ!」
「私の話を聞きなさい!」

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コーネリウス・ファッジは実は3日前に魔法大臣を首になったんだそうです。今夜マグルの首相の執務室を訪れたのは最近の出来事を首相に説明し後任を紹介するためだったのだそうです。そして新たに魔法大臣に就任したルーファス・スクリムジョールがやって来たのでした。(全3項目)

3-1.新魔法大臣来訪
3日前まで魔法大臣だったファッジは振り返ると醜い小男の肖像画を見ました。ファッジの視線を捉えると肖像画は「まもなくお見えになるでしょう。ちょうどダンブルドアへのお手紙を書き終えた所です」と言ったのでした。

ファッジは初めて辛辣な口調になり「ご幸運を祈りたいですな」と言いました。ファッジはここ2週間ダンブルドアに何と毎日2通も手紙を書いたというのにダンブルドアは頑として動こうとはしなかったとの事なんだそうです。

ダンブルドアがあの子をちょっと説得する気になってくれていたら自分はもしかしたらまだ。ここでファッジは一旦言葉を切って「まあスクリムジョールのほうが上手くやるかもしれないし」と言って再び言葉を切りました。

そして口惜しげにむっつりと黙り込みました。しかし沈黙はほとんどすぐに破られました。肖像画が突然事務的な切り口上でこう告げたというわけです。ファッジの後任の新しい魔法大臣が来訪するとそう告げたんですよね。

「マグルの首相閣下。面会の要請。緊急。至急お返事のほどを。魔法大臣ルーファス・スクリムジョール」

首相は他の事を考えながら「はいはい結構」と生返事をしました。火格子の炎がエメラルド色になって高く燃え上がりその炎の中心部で独楽のように回っている今夜2人目の魔法使いの姿が見えて来たというわけなんですよね。

やがてその魔法使いが炎から吐き出されるようにして年代物の敷物の上へと現れた時にも首相はぴくりともしませんでした。ファッジが立ち上がりました。暫く迷ってから首相もそれに倣ったというわけです。そしてでした。

首相は到着したばかりの人物が身を起こして長く黒いローブの灰を払い落とし周りを見回すのを見詰めたというわけなんですよね。

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マグル・キラーで通っている男が脱獄しただのヴォルデモートの印が打ち上げられただのドラゴンにスフィンクスを外国から入れるだの集団脱走があっただのと姿を現わす毎に悪い知らせばかり持って来るファッジがついに最悪中の最悪の知らせを持って来たと思ったら今度はそのファッジ自身が・・・(全3項目)

3-1.激しい言い合いになり
ファッジはますます早口になって山高帽子を目まぐるしく回転させるものだから帽子はライムグリーン色にぼやけた円になっていました。連中は存在があからさまになって以来破壊騒動を引き起こしているとの事だそうです。

ブロックデール橋が真っ二つに折れたのは「あの人」つまりはヴォルデモートの仕業なんだそうです。ヴォルデモートはファッジに対して魔法大臣の席を譲らなければマグルを大量虐殺すると脅しをかけて来たのだそうです。

何とそれでは何人かが殺害されたのはあなたつまりファッジのせいだと。それなのに自分は橋の張り線や伸縮継ぎ手の錆とかその他に何が飛び出すか分らないような質問に答えなければならないと首相は声を荒げたのでした。

ファッジは顔に血を上がらせながら「私のせい!あなたならそういう脅しに従ったかもしれないとおっしゃるわけですか?」と言い首相は立ち上がって部屋の中を往ったり来たりしながらこう言ったというわけなんですよね。

「多分脅しには屈しないでしょう。しかし私なら脅迫者がそんな恐ろしい事を引き起こす前に逮捕するよう全力を尽くしたでしょうな!」

首相にこう言われてファッジは熱くなり「私がこれまで全力を尽くしていなかったと本気でそうお考えですか?」と問い質しました。魔法省の闇祓いは全員がヴォルデモートを見つけ出してその一味を逮捕するべく頑張った。

今でもそうですとファッジは言いました。しかし相手は何しろ史上最強の魔法使いの1人でほぼ30年に渡り逮捕を免れて来た奴ですぞとファッジは言いました。そんなファッジに向かって首相はこう言ったというわけですよね。

「それじゃ西部地域のハリケーンもそいつが引き起こしたとおっしゃるのでしょうな?」

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「向こうの大臣」こと魔法大臣コーネリウス・ファッジは最初に会った時にマグルの首相に「二度と会う事はないでしょう」と請け合いました。しかしそんな言葉とは裏腹に2人は頻繁に顔を合わせていたというわけです。そしてついには最悪中の最悪の知らせをファッジは持って来て・・・(全3項目)

3-1.願いとは裏腹に
シリアス・ブラック(首相にはそう聞こえた)脱走の件の詳細を説明する際に魔法大臣コーネリウス・ファッジはとある魔法使いの名前を口にする事を拒み代わりに羊皮紙に名前を書いて首相の手に押しつけたというわけです。

ファッジが帰ろうとした時に首相が左手に押しつけられた羊皮紙を見て「このヴォルデモート」と言おうとしたらファッジは「名前を言ってはいけないあの人!」と唸り首相は「失礼」と言わなくてはならなかったのでした。

首相が「名前を言ってはいけないあの人」がまだ生きているとお考えなのですねと訊くとファッジは細縞のマントの紐を首の下で結びつつ「まあダンブルドアはそう言うが」と答えた後ヴォルデモートの事をこう答えました。

「しかし我々は結局その人物を発見してはいない」

ファッジに言わせればヴォルデモートは配下の者がいなければ危険ではないんだそうです。そこで心配すべきなのは今回脱走したブラックというわけなのだそうです。最後にファッジは首相にこう言ったというわけですよね。

「では先程話した警告をお出しいただけますな?結構。さて首相閣下願わくばもうお目にかかる事がないよう!お休みなさい」

ところが首相とファッジはまたも会う事になりました。これで三度目でした。それから1年も経たない内に困り切った顔のファッジがどこからともなく今度は執務室ではなく閣議室に姿を現し首相にこう告げたというわけです。

何でもクウィディッチ(そんな風に聞こえた)のワールドカップでちょっと問題があって数人のマグルが巻き込まれたが首相は心配しなくてよい。ヴォルデモートの印が再び目撃されたと言っても何の意味もない事だそうです。

他とは関連のない特殊な事件だと確信しておりこうしている間にも「マグル連絡室」が必要な記憶修正措置を取っているとファッジは言いました。そしてファッジは「ああ忘れる所だった」と言うとこう付け加えたのでした。

「三校対抗試合のために外国からドラゴンを三頭とスフィンクスを入国させますがね。なに日常茶飯事ですよ」

何でも非常に危険な生き物をこの国に持ち込む時には首相にお知らせしなければならないと規則にそう書いてあると「魔法生物規制管理部」から言われたとの事でした。首相は急き込んでファッジにこう訊き返したのでした。

「それは-えっ-ドラゴン?」

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魔法大臣コーネリウス・ファッジはマグルの首相に言いました。魔女や魔法使いは未だに世界中に隠れ住んでいるがあなたを煩わす事はないから安心するように。そして多分二度と会う事はないと言いました。ところがだったというわけなんですよね。(全3項目)

3-1.初めて会った時から
痩せても枯れても自分は首相だ。何にも知らないガキみたいな気持ちにさせられるのは面白くない。しかしそう言えば最初からずっとこうなのだ。首相になった最初の夜ファッジと初めて会ったその時からこうなんですよね。

昨日の事のように覚えている。そしてきっと死ぬまでその思い出につきまとわれるというわけですよね。まさにこの部屋でした。長年の夢と企てで手に入れた勝利を味わいながらこの部屋に1人で佇んでいたその時の事でした。

ちょうど今夜のように背後で咳払いが聞こえて振り返ると小さい醜い肖像画が話しかけていた。魔法大臣がまもなく挨拶にやって来るという知らせでした。長かった選挙運動や選挙のストレスで頭がおかしくなったと思った。

当然の事ながら首相はそう思った。しかし肖像画が話しかけているのだと知った時のぞっとする恐ろしさもその後の出来事の恐怖に比べればまだましだった。暖炉から飛び出した男が魔法使いだと名乗り自分と握手したのだ。

ファッジはご親切にもこう言いました。魔女や魔法使いは未だに世界中に隠れ住んでいる。しかし首相を煩わせる事はないから安心するように。魔法省が魔法界全体に責任を持ち非魔法界の人に気取られないようにしている。

ファッジが説明するその間首相は一言も言葉を発しませんでした。さらにファッジはこうも言いました。魔法省の仕事は難しくて責任ある箒の使用法に関する規制からドラゴンの数を増やさないようにする事まで含んでいる。

つまりはありとあらゆる仕事を含んでいるんだそうです。この時点で首相は机に捕まって体を支えたのを憶えている。そしてファッジは呆然としている首相の肩を父親のような雰囲気で叩きファッジはその時こう言いました。

「ご心配めさるな。多分二度と私に会う事はないでしょう」

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大晦日が誕生日という事でここ数年12月はヴォルデモートを巻毎に取り上げるのが恒例になっています。首相にとってコーネリウス・ファッジの訪問はお世辞にも歓迎する事とは到底言い難い出来事でした。大概は悪い知らせを聞かされるのが落ちだからです。(全3項目)

3-1.憂鬱な首相
まもなく夜中の12時になろうとしていました。執務室に1人座り首相は長ったらしい文書に目を通していましたが内容はさっぱり頭に残らないまま素通りしていました。実は首相はさる遠国の元首からの電話を待っていました。

しかし一体いつになったら電話をよこすつもりなのかと訝ってみたりやたら長くて厄介だったこの1週間の不愉快な記憶の数々を頭の隅に追いやるのに精一杯だったために他にはほとんど何も頭に入って来なかったんですよね。

開いたページの活字に集中しようとすればするほど首相の目には政敵の1人がほくそ笑んでいる顔がありありと浮かんで来るのです。今日も今日とてこの政敵殿はニュースに登場しこの1週間の出来事をあげつらってくれました。

そればかりか政敵殿はこの1週間に起きた恐ろしい出来事をまるで傷口に塩を塗るかのようにどれもこれも政府のせいだとぶち上げてくださいました。何のかんのと非難された事を思い出すだけで首相の脈拍は早くなりました。

連中の言う事と来たらフェアじゃないし真実でもない。あの橋が落ちた事だってまさか政府がそれを阻止できたとでも言うつものなのか。政府が橋梁に十分な金をかけていないなどと言う奴の面が見たいと首相は思いました。

あの橋はまだ十年と経っていないし何故それが真っ二つに折れて十数台の車が下の深い川に落ちたのかは最高の専門家でさえ説明のしようがないのです。それに散々世間を騒がせたあの二件の残酷な殺人事件にしてもでした。

警官が足りないせいで起こったなどとよくも言えたものだ。一方西部地域に多大な人的そして物的被害を与えたあの異常気象のハリケーンだが政府が何とか予測ができたはずだって?その上にだったというわけなんですよね。

政務次官の1人であるハーバート・チョーリーがよりによってこの1週間かなり様子がおかしくなり「家族と一緒に過ごす時間を増やす」という体のいい理由をつけて辞職となった事までも首相である自分の責任だと言うのか。

「我が国はすっぽりと暗いムードに包まれている」と締めくくりながらあの政敵殿はにんまり顔を隠し切れないご様子だった。しかし残念ながらその言葉だけは紛れもない真実で人々はこれまでになく惨めな思いをしている。

首相自身もまたそう感じていました。天候までもが落ち込んでいました。7月半ばだというのにこの冷たい霧は変だ。どうもおかしい。

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