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こんなに素晴らしい誕生日は初めてでした。しかしそれでも必要な物を全て揃えて帰路に着いたハリーは黙りこくってしまったのです。それは自分は魔法の事なんか何も知らない。それなのにみんなが僕の事を特別だと思ってる。偉大な事をするに違いないと言う。そんなハリーにハグリッドは・・・(全3項目)

3-1.オリバンダーの店
薬問屋から出るとハグリッドはもう一度ハリーのリストを調べました。残っているのは杖だけとの事でした。するとハグリッドは「まだ誕生祝いを買ってやってない」と言い出しました。ハリーは顔が赤くなるのを感じました。

「そんな事しなくていいのに」とハリーは言いました。そもそも日付が変わった直後にバースデーケーキを貰っているのですからハリーにしてみればそれでもう十分なのですが、ハグリッドは「動物をやろう」と言って来ました。

だいぶ前から流行遅れになっているのでヒキガエルは駄目だ。猫はくしゃみが出るので俺は好かん。そこでハグリッドは子供はみんな欲しがるし郵便などを運んでくれたりして役に立つからふくろうを買ってやると言うのです。

イーロップふくろう百貨店から出て来たハリーは大きな鳥籠を下げていました。籠の中には雪のように白くて美しいふくろうが羽に頭を突っ込んでぐっすり眠っていました。後にそのふくろうはヘドウィグと名付けられました。

魔法の杖。これこそがハリーが本当に欲しかった物だったのです。ハグリッドは「杖はここに限る。最高の杖を持たにゃいかん」と言ってハリーをオリバンダーの店に連れて行きました。最後に買い物に寄ったその店は・・・

狭くてみすぼらしい店でした。剥がれかかった金色の文字で扉に店の名前と創業年そして末尾に「高級杖メーカー」と書かれていました。埃っぽいショーウィンドウには色褪せた紫色のクッションに杖が1本置かれていました。

中に入るとどこか奥の方でチリンチリンとベルが鳴りました。小さな店内には古くさい椅子が1つだけ置かれていてハグリッドはそれに腰掛けて待ちました。ハリーは妙な事に規律の厳しい図書館にいるような気がしました。

天井近くまで整然と積み重ねられた何千という細長い箱の山を見ていると何故か背中がぞくぞくしました。埃と静けさそのものが密かな魔力を秘めているようでした。するとそこに「いらっしゃいませ」と柔らかい声がしました。

目の前に老人が立っていました。

3-2.兄弟杖との出会い
店の薄明かりの中で大きな薄い色の目が2つの月のように輝いていました。ハリーがぎこちなく「こんにちは」と挨拶をするとオリバンダー翁は「おおそうじゃ」と言った後即座にハリーの名前を口にしました。そして・・・

ここでオリバンダー翁が口にしたのが「杖の方が持ち主の魔法使いを選ぶ」という言葉だったのです。オリバンダー翁は銀色の目盛りが入った長い巻尺をポケットから取り出すとハリーに「拝見しましょうか」と言って・・・

「どちらが杖腕ですかな?」と訊きました。ハリーが「右利きです」と答えるとオリバンダー翁は「腕を伸ばして。そうそう」と言ってハリーの肩から指先に手首から肘に肩から床さらには膝から腋の下に頭の周りの寸法を・・・

測りました。そしてオリバンダーの杖は1本1本が強力な魔力を持った物を芯に使っている。ユニコーンのたてがみ。不死鳥の尾の羽根。ドラゴンの心臓の琴線。どれも皆それぞれに違うので自分の店には1つとして同じ杖はない。

そのため他の魔法使いの杖を使っても決して自分の杖ほどの力は出せないと説明したのでした。そう言いながらオリバンダー翁は棚の間を飛び回り箱を取り出していました。そしてオリバンダー翁が最初に持って来たのが・・・

ぶなの木にドラゴンの心臓の琴線。23センチ。良質でしなりがよい。

ハリーは杖を取り何だか気恥ずかしく思いながら杖を少し振ってみました。するとオリバンダー翁はあっという間にその杖をハリーの手からもぎ取ってしまいました。そしてその次にハリーが試したのはこの杖だったのです。

楓(かえで)に不死鳥の羽根。18センチ。振り応えがある。

ハリーは再び試してみました。ところがオリバンダー翁はハリーがその杖を振り上げるか上げない内にひったくってしまいました。オリバンダー翁は「駄目だ。いかん」と言うとさらに3本目の杖を出して来ました。それは?

黒檀とユニコーンのたてがみ。22センチ。バネのよう。

ハリーは次々と試してみました。オリバンダー翁は一体何を期待しているのかさっぱり分りません。試し終わった杖の山が古い椅子の上にどんどん高く積み上げられて行きます。でもオリバンダー翁はむしろうれしそうなのです。

オリバンダー翁は「難しい客じゃの」と言いました。しかし「心配なさるさ。必ずピッタリ合うをお探ししますでな」とも言いました。そしてオリバンダー翁が「滅多にない組み合わせじゃが」と言って持って来たのが・・・

柊と不死鳥の羽根。28センチ。良質でしなやか。

ハリーがこの杖を手に取ると急に指先が暖かくなりました。杖を頭の上まで振り上げ埃っぽい店内の空気を切るように振り下ろすと杖先から赤と金色の火花が流れ出し光の玉が踊りながら壁に反射しました。やっとの事で・・・

ハリーに合う杖が見つかったのです。ところがオリバンダー翁が何度も何度も「不思議じゃ」と言うので、ハリーが「何がそんなに不思議なんですか」と訊いてみるとオリバンダー翁はハリーの杖は「あの人」のあの杖と・・・

ハリーは息を呑みました。ハリーの額に稲妻形の傷をつける事になったヴォルデモートの杖とハリーの杖は同じ不死鳥の羽根を芯に持つ。つまり2人の杖は兄弟杖なんだそうです。オリバンダー翁はヴォルデモートもまた・・・

恐ろしい事だったがある意味では偉大な事をした。だからハリーも偉大な事をするに違いない。そう言われてハリーは身震いしオリバンダー翁の事を「あまり好きになれない」と思ったのでした。ハリーは杖の代金として・・・

7ガリオンを払うとオリバンダー翁のお辞儀に送られて店を出ると帰路に着いたのでした。

3-3.買い物を終えて
オリバンダーの店を出てからというものハリーは黙りこくっていました。変な形の荷物をどっさり抱えたその上に膝の上には雪のように白いふくろうが眠っているので地下鉄の乗客が唖然として自分を見つめている事にも・・・

ハリーは全く気づきませんでした。地下鉄を降りてエスカレーターで駅の構内に出た所でハグリッドに肩を叩かれて「電車が出るまで何か食べる時間があるぞ」と言われてハリーはようやく自分がいる場所に気づいたのでした。

「大丈夫か?何だか随分静かだが」

ハグリッドにこう言われてハリーは何と説明すればいいのか分りませんでした。こんなに素晴らしい誕生日は初めてでした。それなのにハリーの心を支配していたのはうれしさや喜びよりも不安や戸惑う気持ちが強かったのです。

「みんなが僕の事を特別だって思ってる」

でも自分は魔法の事は何も知らない。なのにどうして僕に偉大な事を期待できるというの?有名だって言うけど何が僕を有名にしたのかさえ覚えていない。僕の両親が死んだ夜の事も自分は何が起こったのか全く覚えていない。

そう言うハリーにハグリッドは「心配するな。すぐに様子が判って来る。みんながホグワーツで一から始めるんだ。大丈夫。ありのままでええ。そりゃ大変なのは判る。お前さんは選ばれたんだ。大変な事だ」それでもなお・・・

ホグワーツは楽しい。俺も楽しかった。実は今も楽しいと言ってハリーが電車に乗り込むのを手伝ってくれたのでした。

最後に
プリベット通り4番地に戻ってからの1ヵ月間はハリーにとって楽しいものではありませんでした。ダドリーはハリーを怖がって一緒の部屋にいようとはしませんでした。ダーズリー夫妻もハリーを物置に閉じ込めもせず・・・

嫌な事を無理強いしたり怒鳴ったりもしませんでした。それ以上にハリーとは一言も口を利きませんでした。ハリーがどの椅子に座っていても存在しないかのように振舞っていました。当初はその方が都合がいいと思いました。

がしかしそれもしばらく経つと気が滅入って来ました。しかし9月1日にホグワーツ特急に乗って行ったホグワーツ魔法魔術学校でハリーは生まれて初めて2人の友達もできたその上にめくるめく大冒険が待ち受けていたのでした。
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