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ハリポタ通の館(やかた)

ここではハリーポッター・シリーズに関する様々な情報や私の推測(妄想?)をお届けしています。毎週、日曜・月曜・水曜・木曜更新。

ヴォルデモートはポッター一家の住居に足を踏み入れ「忠誠の術」は破られました。ジェームズもリリーも杖も持たず容易にヴォルデモートの手にかかって倒れて行きました。ところが息子のハリーに「死の呪文」を放った時でした。無でした。痛みと恐怖しかない無でした。喜びに沸き返る魔法界の人たちでしたが・・・(全3項目)

3-1.ジェームズとリリー・ポッターの場合、その4
死とはどんなものかを知る一歩手前まで行った。死ぬ事すなわちそれは激しい痛みだった。肉体から引き裂かれて。しかし肉体がないのなら何故こんなにも頭が痛いのか。死んだのなら何ゆえこんなに耐え難い痛みを感じるのか。

痛みは死と共に終わるのではないか。

その夜は雨で風が強かった。かぼちゃの姿の2人の子供が広場をよたよたと横切って行く。店の窓は紙製の蜘蛛で覆われている。信じてもいない世界の扮装でごてごてと飾り立てるマグルたち。そんな中ヴォルデモートは・・・

滑るように進んでいた。自分には目的があり力があり正しいのだと。自分がこういう場合には必ず感じるあの感覚。怒りではない。そんなものは自分より弱い魂にふさわしい。そうではない。勝利感なのだ。この時を待っていた。

この事を望んでいたのだ。

「おじさん凄い変装だね!」と言いながらそばまで駆け寄って来た小さな男の子の笑顔がマントのフードの中を覗き込んだ途端に消えるのをヴォルデモートは見た。絵の具で変装した顔が恐怖で翳るのをヴォルデモートは見た。

子供はくるりと向きを変えて走り去った。ローブの下でヴォルデモートは杖の柄をいじった。たった一度簡単な動きをしさえすれば子供は母親の所まで帰れない。しかし無用な事だ。全く無用だ。そしてヴォルデモートは・・・

別のより暗い道を歩いていた。目的地がついに目に入った。あいつらはまだそれを知らないが「忠誠の術」は破れた。黒い生垣まで来るとヴォルデモートは歩道を滑る落ち葉ほどの物音さえ立てずに生垣の向こうをじっと窺った。

そこにいたのが・・・

3-2.ジェームズとリリー・ポッターの場合、その5
カーテンが開いていたのでヴォルデモートは小さな居間にいるメガネを掛けた長身の男つまりジェームズ・ポッターが杖先から色とりどりの煙の輪を出してブルーのパジャマを着たハリーをあやしている所を見る事ができました。

ハリーは笑いながら小さな手で煙を掴もうとしていました。扉が開くと深みのある赤い長い髪の母親のリリーが入って来ました。ジェームズがハリーを抱き上げリリーに渡しました。そして杖をソファに投げ出し伸びをしました。

門を押し開けると微かに軋みました。しかしジェームズ・ポッターには聞えませんでした。ヴォルデモートが蝋のような青白い手でマントの下から杖を出して扉に向けるとパッと開きました。ヴォルデモートは敷居を跨ぎました。

ジェームズが走って玄関ホールに出て来ました。ジェームズは杖を持っていませんでした。杖も持たず「ハリーを連れて逃げろ!あいつだ!行くんだ!早く!僕が食い止める」と呼びかけるのを聞いてヴォルデモートは・・・

「食い止めるだと?杖も持たずにか!」

呪いをかける前にヴォルデモートは高笑いをしました。ヴォルデモートが「死の呪文」を唱え緑の閃光が狭い玄関ホールを埋め尽くし壁際に置かれた乳母車を照らし出して階段の手すりがまるで避雷針のように光を放つと・・・

ジェームズ・ポッターは糸の切れた操り人形のように倒れて行きました。そして二階からは逃げ場を失ったリリーの悲鳴が聞えて来ました。しかしおとなしくさえしていればリリーは恐れる必要はないのです。何故かと云えば?

事前にスネイプが「リリーの命だけは助けて欲しい」と申し入れていたからです。バリケードを築こうとしている音を微かに楽しんで聞きながらヴォルデモートは階段を上って行きました。リリーも杖を持っていませんでした。

「愚かな奴らめ。友人を信じて安全だと思い込むとは。一瞬たりとも武器を手放してはならぬものを」

そう思いながらヴォルデモートは扉の陰に大急ぎで積み上げられた椅子や箱を杖の軽い一振りで難なく押し退けて扉を開けました。そこにはハリーを抱き締めたリリーが立っていました。リリーはヴォルデモートを見ると・・・

ハリーを後ろのベビーベッドに置き両手を広げて立ち塞がりました。それが助けになるとでもいうように。ハリーを見えないように守れば代わりに自分が選ばれるとでもいうようでした。実際にリリーはこう言って来たのでした。

「ハリーだけはどうかお願い。私を、私を代わりに」
さらには
「ハリーだけは!お願い・・・助けて・・・許して・・・ハリーだけは!ハリーだけは!お願い-私はどうなっても構わないわ-」

母親をベッドから引き離す事もできる。さらに私が思うには失神させる事だって全身金縛りにする事だってできる。しかしヴォルデモートはスネイプが事前に命を助けてくれるよう懇願したのにも関わらずリリーに対しても・・・

部屋に緑の閃光が走りました。リリーもまたジェームズと同じように倒れて行きました。ヴォルデモートは慎重に杖をハリーの顔に向けました。ハリーは泣き出しました。目の前にいるのがジェームズではない事が判ったのです。

「アバダ ケダブラ!」

ヴォルデモートは壊れました。無でした。痛みと恐怖しかない無でした。しかも身を隠さなくてはなりませんでした。取り残された赤子つまりハリーが泣きわめいていました。こうしてジェームズとリリーは死んだものの・・・

ハリーは生き残りヴォルデモートは消え去ったのです。

3-3.ジェームズとリリー・ポッターの場合、その6
こうしてジェームズとリリー・ポッターの命と引き換えに魔法界に平和がもたらされました。喜びに沸き返る魔法界の人たちでしたが1人だけ愛するリリーの死に接して嘆き悲しんでいたのがセブルス・スネイプその人でした。

スネイプは校長室でぐったりと前屈みになって椅子に掛け傷ついた獣のような恐ろしい呻き声を上げていました。そしてダンブルドアが立ったまま暗い顔でそんなスネイプを見下ろしていました。スネイプは顔を上げると・・・

「あなたなら・・・きっと・・・あの女(ひと)を・・・守ると思った」

それに対してダンブルドアは「リリーもジェームズも間違った人間を信用したのじゃ」と言いました。それについてはスネイプもまた同罪だ。ヴォルデモート卿がリリーを見逃すと期待しておったのでは?とも言ったのでした。

苦しそうな息遣いのスネイプにダンブルドアはリリーの息子は生きている。その男の子はリリーの目を持っている。そっくり同じ目だ。リリー・エバンズの目の形も色もお前は覚えているじゃろうな?と問いかけました。すると?

スネイプは「辞めてくれ!」と大声で言った後に「もういない。死んでしまった」と言いました。ダンブルドアが「後悔か?」と言うとスネイプは「私も死にたい」と言ったのでした。そんなスネイプにダンブルドアは・・・

「お前の死が誰の役に立つというのじゃ?リリー・エバンズを愛していたなら本当に愛していたならこれからのお前の道ははっきりしておる」

リリーがどのようにして何故死んだか判っているだろう。ダンブルドアはリリーの死を無駄にしない事だ。リリーの息子ハリーを自分が守るのを手伝うようスネイプに告げたのでした。そんなダンブルドアにスネイプは・・・

「守る必要などありません。闇の帝王はいなくなって-」

ところがダンブルドアは闇の帝王は戻って来る。そしてその時ハリーは非常な危険に陥ると言うのです。長い沈黙の後にスネイプは「この事は私たち2人の間だけに留めて欲しい」とダンブルドアに約束をさせたその上で・・・

リリーの息子ハリーを守る事を誓ったのでした。

今日の最後に
事前にスネイプが命乞いをしていたのにも関わらずヴォルデモートは全く躊躇する事なくリリーを殺害してしまいました。スネイプはこうなる事を恐れて敵方のトップのダンブルドアの所に飛び込んだというわけなんですよね。

しかしこれではスネイプがダンブルドアに「リリーの命を助けて欲しい」と頼みたくなる気持ちも痛いほどよく判りますね。こうしてリリーに対する思いが結果としてスネイプを二重スパイにして行く事になったというわけです。

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