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ハリーがいくら何度も繰り返し「いいから優勝杯を取れよ!」と言ってもセドリックは「できない」とそう言い張るのです。一瞬ハリーの脳裏には優勝杯を持って迷路から出て行く自分の姿が浮かびました。がしかしハリーは決心しました。ところがハリーのその決断が結果として・・・(全3項目)

3-1.クリスマス・ダンスパーティの後で
このようにして何とか辛うじて「第1の課題」をクリアする事ができたセドリックだったのですが、この人の性格を考えると課題終了後に「後悔の念が湧き起こって来たのでは?」と私はそう思いますね。それというのも・・・

ハリーは本当の事を言っていたのに疑ってしまった。それにもしハリーが教えてくれなかったら自分は最初の課題で挫折してただろう。当然セドリックは「ハリーに貸しを作ってしまった。返さないと」と思ったというわけです。

そこでクリスマス・ダンスパーティが終わった後にセドリックはハリーを呼び止めました。一緒にいたロンが階段を上がって姿を消した所でセドリックはハリーに声を落として「いいか」と切り出した後にこう言ったのでした。

「君にはドラゴンの事を教えてもらった借りがある。あの金の卵だけど開けた時。君の卵は咽び泣くか?」

ハリーが「ああ」と答えると何とセドリックはハリーに「風呂に入れ」と言うのです。そしてそこに金の卵を持って行けとそう言うのです。とにかくお湯の中でじっくり考えるんだ。そうすれば考える助けになる。信じてくれ。

ハリーがまじまじと見るとセドリックはこう言って来ました。監督生の風呂場がある。そしてセドリックはその風呂場の場所と合言葉をハリーに教えて笑顔を見せると急いで階段を下りてチョウ・チャンの所に戻って行きました。

ハリーは「とっても変な助言だったなあ。風呂が何で泣き卵の謎を解く助けになるんだろう?」と思いました。さらにハリーはチョウに思いを寄せていたので「そんな奴の助けは借りたくない」と妙な意地を張ってしまいました。

しかし半巨人だという事を「日刊予言者新聞」で暴露されたハグリッドに真顔で「お前さんに勝って欲しい」と言われて「本当に大丈夫さ」と答えたハリーは心を決めました。プライドを一時忘れセドリックのヒントを試そう。

こうしてハリーは金の卵の謎を解き屋敷しもべ妖精のドビーの助けも加わって何とか「第2の課題」をクリアできたのでした。

3-2.一緒に取ろう!
「第1の課題」の時にはハリーが「ドラゴンを出し抜かないといけない」と教えてセドリックは課題をクリアする事ができました。そして「第2の課題」の時にはセドリックがヒントをくれてハリーは謎を解く事ができました。

最後の課題の時も2人は力を合わせて巨大蜘蛛を倒しました。1つの呪文ではできなかった事が2つの呪文が重なる事で効果を上げたのです。蜘蛛は横倒しになり近くの生垣を押しつぶして毛むくじゃらの脚を投げ出していました。

セドリックが優勝杯のすぐそばに立っていました。優勝杯はセドリックの背後で輝いています。ハリーが息を切らしながら「さあそれを取れよ」と言いました。君が先に着いたんだから。しかしセドリックは動きませんでした。

ただそこに立ってハリーを見ていました。振り返って優勝杯を見ました。金色の光に浮かんだセドリックの顔がどんなに欲しいのかを語っていました。しかしセドリックはもう一度振り向き深く息を吸った後こう言ったのでした。

「君が取れよ。君が優勝するべきだ。迷路の中で君は僕を二度も救ってくれた」

そんなセドリックにハリーは「そういうルールじゃない」と言いました。優勝杯に先に到着した者が得点するんだ。こんな足じゃどんなに走ったって勝てるわけがない。しかしそれでもセドリックは「できない」とそう言うのです。

君はドラゴンの事を教えてくれた。あの時に前もって知らなかったら僕は「第1の課題」で落伍していた。君は「第2の課題」の時もっと高い点を取るべきだった。君は人質全員が助かるよう後に残った。僕もそうすべきだった。

セドリックは頑固でした。本当は優勝杯が欲しくて堪らないのにハリーがいくら何度繰り返し「いいから優勝杯を取れよ」と言っても「できない」と言うばかりです。ハリーはまじまじとセドリックを見ました。本気なんだ!

ハッフルパフがこの何百年間というもの手にした事のないようなそんな栄光から身を引こうとしている。セドリックは「さあ行くんだ」と言いました。ありったけの意志を最後の一滴まで振り絞って言った言葉のようでした。

断固とした表情で腕組みをして決心は揺るがないようでした。一瞬ハリーの脳裏に優勝杯を持って迷路から出て行く自分の姿が浮かびました。高々と優勝杯を掲げ観衆の歓声が聞こえてチョウの顔が賞賛で輝く。がしかし・・・

「2人ともだ」
「えっ?」

驚くセドリックにハリーは「2人一緒に取ろう。ホグワーツの優勝に変わりない。2人引き分けだ」と言いました。セドリックはハリーをじっと見ました。組んでいた腕を解きました。そして「それでいいのか?」と訊きました。

ハリーは「僕たち助け合ったよね。2人ともここにたどり着いた。一緒に取ろう」と言いました。一瞬セドリックは耳を疑うような顔をしたもののニッコリと笑って「話は決まった。さあここへ」と言いました。そして・・・

セドリックはハリーの肩を抱くように抱えて優勝杯の載った台まで足を引きずって歩くのを支えました。そして優勝杯の輝く取っ手にそれぞれ片手を伸ばして「いちにのさん」でセドリックとハリーは同時に取っ手を掴みました。

その途端ハリーはお腹の裏側のあたりがぐいと引っ張られるように感じました。両足が地面を離れました。優勝杯の取っ手から手が外れません。優勝杯はセドリックとハリーを引っ張って風が唸る色の渦の中を飛んで行きました。

3-3.あまりにも理不尽な死
到着した所はホグワーツからは完全に離れていました。ホグワーツ城を取り囲む山々さえ見えませんでした。2人は暗い草ぼうぼうの墓場に立っていました。セドリックは優勝杯を見下ろしそれからハリーを見てこう言いました。

「優勝杯が移動キーになっているって君は誰かから聞いていたか?」

ハリーは墓場を見回しながら「全然」と答えました。深閑として薄気味が悪い。ハリーが墓場を見回していたのは「誰かに見られている」という奇妙な感覚があったからです。セドリックが先に言って2人は杖を取り出しました。

ハリーが突然「誰か来る」と言いました。暗がりでじっと目を凝らすと墓石の間を間違いなく2人のほうに近づいて来る人影があります。歩き方や腕の組み方で何かを抱えている事だけは判りました。ところがその人影が・・・

2人から僅か2メートルほど先の丈高の大理石の墓石のそばで止まり互いに見つめあった時に事は起こりました。何の前触れもなしにハリーの額の傷痕に激痛が走りました。これまでかつて一度も感じた事がない激しい痛みでした。

両手で顔を覆ったハリーの指の間から杖が滑り落ちハリーはがっくりと膝を折りました。地面に座り込み痛みで全く何も見えず今にも頭が割れそうな痛みでした。ハリーの頭の上で遠くから聞こえるような冷たい甲高い声が!

「余計な奴は殺せ!」
「アバダ ケダブラ!」

緑の閃光がハリーの閉じた瞼の裏で光りました。何か重たい物がハリーの脇の地面に倒れる音がします。あまりの傷痕の痛さに吐き気がしました。その時ふと痛みが薄らぎました。目を開けるのさえ恐ろしかったのですが・・・

一瞬が永遠に感じられました。セドリックがハリーの足下に倒れていました。死んでいる。ハリーは虚ろに見開かれた廃屋の窓ガラスのように無表情な目と少し驚いたように半開きになったセドリックの口を顔を見つめました。

信じられませんでした。受け入れる事などできませんでした。しかしセドリックは復活を果たしたヴォルデモートのイチイの木の杖先から再びその姿を現してハリーに「頑張れ」と声援を送ってくれたというわけなんですよね。

最後に
こうして改めて振り返ってみてつくづく思うのは「そもそもどうしてセドリックは三大魔法学校対抗試合の代表選手に名乗りを上げたんだろう?」という事ですね。クィディッチ・ワールドカップの切符代がかかったので・・・

それを回収しようとしたんでしょうか?父親のエイモス氏は魔法省の「魔法生物規制管理部」に勤めています。しかしどう見ても高級官僚とは思えないのでそんな高給取りではないでしょうからね。やはりそうなんでしょうか?

あるいはハッフルパフ生で名乗りを上げる事ができそうなのは自分ぐらいしかいない。その使命感からだったのかもしれませんね。
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