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闇の帝王に「死の呪文」を撃たれて倒れているハリーの検死役に指名されたのはナルシッサ・マルフォイでした。持ち主の意に逆らい激しく脈打つ心臓を抱えてハリーは待ちました。そして起き上がったナルシッサが叫んだ言葉を聞いてハリーはその事態を理解したのでした。(全3項目)

3-1.検死に来たのは?
闇の帝王に「死の呪文」を撃たれたハリーは「禁じられた森」の地面にうつ伏せになって倒れていました。ハリーは倒れたままのその位置で左腕は不自然な角度に曲がり口はぽかんと開けたままでじっと動かずにしていました。

ハリーが死んだ事を祝う勝利の歓声が聞こえると思いきや周囲は慌しい足音に囁き声や誰かを気遣う呟き声に満ち溢れていました。どうやら「死の呪文」を撃ったその瞬間に何事かが起き闇の帝王もまた倒れていたようでした。

「我が君。どうか私めに」と言うベラトリックス・レストレンジに闇の帝王は「手助けは要らぬ」と冷たく言っていました。ハリーには見えませんでしたがベラトリックスが差し出したその手を引っ込める様子が想像できました。

「あいつは・・・死んだか?」

その場は完全に静まり返っていました。誰もハリーに近づこうとしません。全員の目が自分に注がれるのを感じハリーはますます強く地面に押し付けられているような気がしました。指1本いや瞼の片方が動いてしまうのでは?

「お前」

闇の帝王のこの声と共にバーンという音がして痛そうな小さい悲鳴が聞こえて来ました。誰かがハリーの検死役に指名されたようです。持ち主の意に逆らい激しく脈打つ心臓を抱えてその場に横たわったままハリーは待ちました。

「あいつを調べろ。死んでいるかどうか。俺様に知らせるのだ」

検死に来たのは?

ナルシッサ・マルフォイでした。

3-2.ナルシッサの質問
誰が検死に来るのか?もちろんこの時点ではハリーはまだ知りません。しかしハリーは闇の帝王が全てが計画通りに運ばなかった事を疑って用心して自分に近づかないのだと気づいて僅かではありましたがほっとしたのでした。

思っていたよりも柔らかい両手がハリーの顔に触れると片方の瞼をめくり上げシャツの中にそろそろと入って来て胸に下ると心臓の鼓動を探りました。ハリーは女性の早い息遣いを聞き長い髪が顔をくすぐるのを感じていました。

その女性はハリーの胸板を打つ狂おしいほどに力強い命の鼓動を感じ取ったはずです。するとほとんど聞き取れないほどの微かな声が聞こえて来ました。女性は唇を耳につくほど近づけその長い髪でハリーの顔を隠していました。

「ドラコは生きていますか?城にいるのですか?」

ハリーが「ええ」と囁き返すと胸に置かれた手が縮んでハリーは女性の爪が肌に突き刺さるのを感じました。その手が引っ込められると女性は体を起こし見守る人たちに向かって叫びました。その時ハリーは初めて知ったのです。

「死んでいます!」

ナルシッサ・マルフォイがこう叫ぶと今度こそ歓声が上がりました。死喰い人たちは勝利の叫びを上げ足を踏み鳴らしました。ハリーは閉じた瞼を通して赤や銀色の祝いの閃光が一斉に空に打ち上げられているのを感じました。

地面に倒れて死んだふりをしながらハリーはその事態を理解しました。ナルシッサは息子を探すためには勝利軍としてホグワーツ城に入るしかない事を知っていたのです。闇の帝王が勝とうが負けようがそんな事はどうでもいい。

それがナルシッサの考えだったのです。

3-3.ナルシッサの誤算
貴様が運ぶのだ。貴様の腕の中なら嫌でもよく見えるというものだ。そうではないか?貴様の可愛い友人を拾え。闇の帝王はハリーの遺体の運び役にハグリッドを指名するとホグワーツ城に向けて勝利の行軍を始めたのでした。

しかしそれは実は死への行軍だったという事を闇の帝王は知りませんでした。さらには検死役のナルシッサ・マルフォイが自分より息子ドラコの事を優先して真っ赤な嘘をついているという事すら全く気づいていなかったのです。

ところが「ドラコを探すためには勝利軍としてホグワーツ城に入るしかない」というナルシッサの目算は外れてしまいました。ハリーの遺体を見せつけてもホグワーツの防衛軍の士気は下がりはしませんでした。そして・・・

遥かに離れた校庭の境界からどよめきが聞こえて来ました。それは何百人という人々が押し寄せ雄叫びを上げて城に突進して来る音でした。さらにハグリッドの異父兄弟で巨人のグロウプが「ハガー!」と叫びながら現れました。

ネビルもまた素早い滑らかな動きで闇の帝王にかけられた金縛りの術を解くと、頭に被せられていた炎上する組分け帽子からグリフィンドールの剣を取り出しました。そしてまさに一刀両断でナギニの首を切り落としたのでした。

最後の分霊箱が破壊されて闇の帝王は怒りの叫びを上げましたがその声は誰の耳にも届きませんでした。何もかもが混沌としていました。突撃するケンタウルスが死喰い人たちを蹴散らして闇の陣営側の巨人も乱入して・・・

もはや敵味方の区別なく魔法使いたちは城の中に退却する事を余儀なくされたのでした。さらに戦いの場が大広間に移るとクリーチャー率いる屋敷しもべ妖精も参戦して来て圧倒的な数に押されて闇の陣営は総崩れ状態でした。

そんな中ナルシッサは夫のルシウス氏と戦おうともせずに息子ドラコの名前を叫びながら戦闘の中を走り回っていました。そして闇の帝王との最後の戦いに勝利したハリーが「透明マント」を被って大広間を歩いていると・・・

ナルシッサにルシウス氏それにドラコの3人が「ここにいてもいいのだろうか?」という表情を浮かべて小さくなっているのが見えました。しかし誰もが皆そんな3人の事は全く気にもかけていなかったというわけなんですよね。

最後に
最初からそうと決めていたわけではないのですが、途中からそうしようと決めて今週は「ヴォルデモート」という呼称は止めて「闇の帝王」で統一させていただきました。本来ならハリーは「闇の帝王」とは呼びませんからね。

ハリーはホグワーツ魔法魔術学校に入学してからホグワーツの戦いが勃発するまでの6年半余りの間にナルシッサ・マルフォイと会話を交わしたのは「たったの二度」でした。一度目が昨日取り上げた6年生の夏休みで・・・

二度目が今回取り上げたまさに鬼気迫る場面でした。一度目の時のハリーとナルシッサの会話は「もうこれ以上はない!」というぐらいそれはそれは半端ないぐらいの極めて険悪な雰囲気の会話だったんですよね。それが・・・

二度目は母ナルシッサの息子ドラコに対する愛情が溢れ出ていました。この落差の大きさを知って貰いたくて今回この2つの場面を取り上げました。それにしても当初意図していたのとは大きく内容が違ってしまいました。(汗)

実は書き始めてから気づいたのですが、主役のはずのドラコの影がすっかり薄くなってナルシッサのほうがメインの記事になってしまいました。やはり「母は強かった!」という事が改めて立証されたという事なんですかね?
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