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当初ハリーは他の誰よりもひどい状態つまり気を失ってしまうほど吸魂鬼の事が苦手でした。そこで今週は「ハリーはその極めて苦手だった吸魂鬼をどう克服したのか?」の過程を振り返ってみる事にしました。ハリーが初めて吸魂鬼に遭遇したのは3年生の新学期初日でした。(全3項目)

3-1.3年生の新学期初日に
今さら説明するまでもない事かもしれませんがハリーが初めて吸魂鬼と遭遇したのは3年生の新学期初日にホグワーツ特急が吸魂鬼の捜索を受けた時でした。列車が速度を落とすのでホグズミード駅に近づいたと思いきや・・・

「腹ペコだ。宴会が待ち遠しい」と言うロンにハーマイオニーが時計を見ながら「まだ着かないはず」と言いました。そのためロンが「じゃ何で止まるんだ?」と言っている間にもホグワーツ特急はますます速度を落としました。

汽車が止まったと思ったら何の前触れもなく明かりが一斉に消えて真っ暗闇になりました。ハリーたち3人にルーピン先生のいるコンパートメントにジニーとネビルが入って来て押し問答をしていると突然しわがれ声が・・・

「静かに!」

ずっと眠っていたルーピン先生がついに目を覚ましたようです。ルーピン先生がいる奥のほうで何か動く音がしてみんなが黙りました。柔らかなカチリという音の後に灯りが揺らめいてコンパートメント全体を照らしたのでした。

ルーピン先生は手の平一杯に炎を持っているようです。炎がルーピン先生の疲れたような灰色の顔を照らしました。目だけが油断なく鋭く警戒しています。ルーピン先生はさっきと同じしわがれ声で「動かないで」と言うと・・・

ゆっくりと立ち上がり手の平の灯りを前に突き出しました。ルーピン先生が辿り着く前に扉がゆっくりと開きました。そこに立っていたのはマントを着た天井までも届きそうな黒い影でした。顔はすっぽりと頭巾に覆われ・・・

ハリーは上から下へとその影に目を走らせました。そして胃が縮むような物を見てしまったという感じでした。マントから突き出しているその手は灰白色に冷たく光り穢らわしいかさぶたに覆われ水中で腐敗した死骸のような手。

その手が見えたのはほんの一瞬でした。まるでその生き物がハリーの視線に気づいたかのように突如引っ込められました。その頭巾に覆われた得体の知れない何者かがガラガラと音を立てて長くゆっくりと息を吸い込みました。

まるでその周囲から空気以外の何かを吸い込もうとしているようです。ぞっとするような冷気が全員を襲いました。ハリーの目玉が引っくり返りました。何も見えない。ハリーは冷気に溺れて行きました。そしてハリーは・・・

気を失ったのでした。

3-2.ルーピン先生から
弱いかどうかとは全く関係ない。吸魂鬼が他の誰よりもハリーに影響するのはハリーの過去に誰も経験した事がない恐怖があるからだ。君の最悪の経験はひどいものだった。君のような目に遭えば箒から落ちても不思議ではない。

クィディッチの開幕戦でもハリーは吸魂鬼のために箒から落ちてしまいました。試合後最初の授業の時ルーピン先生はハリーを呼び止めてハリーが箒から落ちた原因についてこう説明したのでした。そんなルーピン先生に・・・

「先生は汽車の中であいつを追い払いました」

ハリーにこう言われてルーピン先生は「防衛の方法がないわけではない」と答えました。しかし汽車に乗っていた吸魂鬼は1人だけだった。数が多くなればなるほど抵抗するのは難しくなると言うルーピン先生にハリーは・・・

「どんな防衛法ですか?教えてくださいませんか?」

私は決して吸魂鬼と戦う専門家ではない。それは全く違う。ルーピン先生はハリーの思いつめた顔を見つめ少し迷った様子でこう言いました。しかしまたクィディッチの試合の時に吸魂鬼が現れたら奴らと戦わないといけない。

ハリーがそう言うのでルーピン先生は今はやっておかなければならない事が山ほどある。だからクリスマス休暇明けからハリーに吸魂鬼防衛術を教えようと約束してくれたのてした。それが守護霊の呪文だったというわけです。

呪文が上手く効けば守護霊が出て来る。これがハリーと吸魂鬼との間で盾になってくれる。守護霊は一種のプラスのエネルギーで吸魂鬼はまさにそれを貪り食らって生きる。ところが守護霊は本物の人間なら感じる絶望を・・・

感じる事ができない。だから吸魂鬼は守護霊を傷つける事もできない。ただルーピン先生が言うにはこの「守護霊の呪文」はふくろうレベルを遥かに越える非常に高度な魔法なので、3年生のハリーには難し過ぎるかもしれない。

創り出す方法は何か1つ一番幸せだった想い出を渾身の力で思いつめた時に初めてその呪文が効く。呪文はエクスペスト・パトローナス守護霊よ来たれ。こうして週に1回始まったルーピン先生の課外授業だったのですが・・・

訓練はルーピン先生が城の中からまね妖怪を見つけて来て吸魂鬼に変身させて行ないました。何回か訓練を重ねる内ハリーはもやもやした銀色の影を創り出せるようになりました。しかしハリーの守護霊はあまりに儚げで・・・

せいぜい半透明の雲のような物が漂うだけで何とかその形を留めようと頑張るとハリーはすっかりエネルギーを消耗してしまいます。4週目の訓練の時ルーピン先生が「高望みしてはいけない」とハリーを厳しくたしなめました。

「13才の魔法使いにとってはたとえぼんやりとした守護霊でも大変な成果だ。もう気を失ったりはしないだろう?」

本物の守護霊なら吸魂鬼を追い払うか連中を消してくれる。しかしハリーは短い間に随分できるようになった。クィディッチの試合の時に吸魂鬼が現れても暫く遠ざけておいてその間に地上に下りる事ができるはずとの事でした。

そしてグリフィンドール対レイブンクロー戦の時に実際に試すチャンスが訪れたのです。ハリーが杖を取り出して「エクスペクト・パトローナム!守護霊よ来たれ!」と唱えると白銀色の何か大きな物が杖先から噴き出しました。

ルーピン先生が言うには「立派な守護霊だったよ」との事でした。しかしルーピン先生は混乱したようなうれしそうな複雑な表情を浮かべていました。さらには吸魂鬼はドラコ・マルフォイにクラッブとゴイルに加えて・・・

スリザリン・チームのキャプテンのマーカス・フリントが頭巾を被っていた偽物だったというオチがついていたというわけなんですよね。皮肉な事にスリザリン寮生の4人がハリーの格好の練習台になってくれたというわけです。

3-3.百体の吸魂鬼を
こうしてハリーはふくろうレベルを遥かに越える高度な「守護霊の呪文」を習得する事ができました。そしてその事が学期末試験終了後の夜に大いに役立ちハリー自身を含む多くの命を救う事に繋がったというわけなんですよね。

シリウス・ブラックがアズカバンを脱獄したのは実はむしろハリーを助けるためだった。世間では死んだと思われていたピーター・ペティグリューが生きていてロンのペットのスキャバーズとしてハリーと一緒にいたのでした。

ハリーの両親を裏切りヴォルデモートに居場所を教えたのはピーター・ペティグリューだった。ペティグリューがポッター夫妻の「秘密の守人」だったのです。ハリーたちとルーピン先生がそれを知ったのはその日の事でした。

「シリウスあいつが逃げた。ペティグリューが変身した!」

ところがシリウスを追ってハリーとハーマイオニーが湖のほとりに着いた時シリウスは人の姿に戻っていました。そこでハリーが見たのは吸魂鬼でした。少なくとも百体の吸魂鬼が真っ黒な塊になり湖の周りから近づいて来ます。

いつもの氷のように冷たい感覚が体の芯を貫き目の前が霧のように霞んで来ました。ハリーは杖を上げ「ハーマイオニー、何か幸せな事を考えるんだ!」と叫ぶと必死でシリウスの事だけを考えようとしました。そして・・・

「エクスペクト・パトローナム、守護霊よ来たれ!エクスペクト・パトローナム!」

僕は名付け親と暮らすんだ。ダーズリー一家と別れるんだ。シリウスは大丈夫だ。僕はシリウスと行く。シリウスと暮らすんだ。ハーマイオニーも囁くように唱えました。しかし流石のハーマイオニーもいきなりはできません。

ハーマイオニーが気を失ってハリーは1人になりました。形にならない守護霊の弱々しい光でハリーは吸魂鬼が立ち止まるのを見ました。しかし恐怖がハリーの全身を麻痺させ動く事も声を出す事もできなくなってしまいました。

ハリーの守護霊も揺らぐと消えてしまいました。それでもハリーは戦おうとしていました。ハリーは手探りでシリウスを探しその腕に触れました。あいつらにシリウスを連れて行かせてなるものか!しかしその時吸魂鬼が・・・

ハリーの顔を無理やり仰向けにしました。僕を最初に始末するつもりなんだ。ところがその時でした。目も眩むような光があたりの草むらを照らしていました。冷気は徐々に退いて行きます。何かが吸魂鬼を追い払っています。

吸魂鬼が去って行く。暖かさが戻って来ました。在らん限りの力を振り絞りハリーは顔をほんの少しだけ持ち上げました。そして光の中に疾駆して行く動物を見ました。ハリーは一瞬それを誰かが迎えているのを見たのでした。

それは逆転時計で3時間前に戻ったハリー自身だったというわけなんですよね。

今日の最後に
グリフィンドール対レイブンクロー戦の時にルーピン先生はハリーが創り出した守護霊を見てうれしそうだったものの同時に複雑な表情を浮かべていました。どうしてなのかと云うとハリーの守護霊が巨大だったからのようです。

通常の守護霊の標準サイズは猫が子犬程度の大きさのようなんですよね。ハリーの守護霊はとてつもなく大きかった。ハーマイオニーもまた百体もの吸魂鬼を追い払う事ができるなんてハリーの守護霊は凄いと思ったようです。

そのためハーマイオニーも「あの吸魂鬼を全部追い払うような守護霊をあなたが創り出したなんて信じられない!それってとっともとっても高度な魔法なのよ」とそれはそれは感心する事しきりだったというわけなんですよね。
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