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ダンブルドアが作った「移動キー」でハリーが運ばれて来たのは何とホグワーツのそれも校長室でした。僕をここから出してくださいと何度訴えてもダンブルドアは「駄目じゃ」と言うばかりでした。それは自分の話が済むまでだとそう言うのです。先生の話なんか聞きたくないと言うハリーにダンブルドアは・・・(全3項目)

3-1.三度目の校長室
ダンブルドアが作った「移動キー」でハリーが運ばれて来たのは何とホグワーツの校長室でした。校長が留守の間に全てが何もかも元通りに修復されたようでした。ハリーにとってはいつもと変わらない普段通りの校長室でした。

窓から外を見ると夜明けが近いようです。動く物とてない静寂。歴代校長の肖像画が時折立てる鼻息や寝言しか破らない静寂はハリーにとっては耐え難いものでした。考えたくない。しかし考えてしまう。逃れようがありません。

シリウスが死んだのは僕のせいだ。それも全部僕のせいだ。ヴォルデモートの策略に嵌まるような馬鹿な真似をしなかったらシリウスは死ななかった。夢で見た事をあれほど現実だと思い込まなかったらシリウスは死ななかった。

僕の「英雄気取り」をヴォルデモートが利用している可能性があるとハーマイオニーが言った事を素直に受け入れていたらシリウスは死ななかった。耐えられない。考えたくない。我慢できない。感じたくない。確かめたくない。

「ああ・・・ハリー・ポッター・・・」

最初に目覚めハリーが来ている事に気づいたのはフィニアス・ナイジェラスでした。こんなに朝早く何故ここに来たのかね?この部屋は正当なる校長以外は入れない事になっている。ダンブルドアが君をここによこしたのかね?

もしかして私の碌でなしの曾々孫に伝言じゃないだろうね?フィニアス・ナイジェラスがこう言うのを聞いてハリーは返す言葉がありませんでした。フィニアス・ナイジェラスはシリウスが死んだ事をまだ知らないからです。

ハリーには言えませんでした。口に出してしまえばそれが決定的になり絶対に取り返しがつかない事になってしまう。他の肖像画も動き始めたので質問攻めに遭うのが恐ろしくハリーは部屋を横切って扉の取っ手を掴みました。

取っ手は回りません。ハリーは校長室に閉じ込められていました。すると歴代校長の内の1人が「もしかしてこれはダンブルドアがまもなくここに戻るという事かな?」と期待を込めた口調でハリーに問いかけて来たのでした。

後ろを向くとその魔法使いが興味深げにハリーを見ていました。ハリーは頷きました。するとその魔法使いは「それは有難い。あれがおらんと全く退屈じゃったよ。いや全く」と言って人の良さそうな笑顔を浮かべたのでした。

そして「ダンブルドアは君の事をとても高く評価しておるぞ。判っておるじゃろうが。ああそうじゃとも。君を誇りに思っておる」と言ったのでした。しかしハリーの胸には恐ろしい罪悪感が重苦しくのしかかっていたのでした。

自分が自分である事にもはや耐えられませんでした。誰でもいいから別人になりたいとこんなに激しく願った事はありませんでした。

3-2.帰って来たダンブルドア
そんなハリーがこれまで経験した事のない激しい自己嫌悪に陥っていると火の気のない暖炉にエメラルド色の炎が上がりました。ハリーは思わず扉から飛び退き火格子の中で回転している姿を見つめました。そこに現れたのは?

ダンブルドアが暖炉からするりと姿を現しました。すると歴代校長の肖像画が突然目を覚まして口々に「お帰りなさい」と歓声を上げたのでした。ダンブルドアはそれに「ありがとう」と穏やかに答えたというわけなんですよね。

まずダンブルドアはヴォルデモートが放った「死の呪文」を丸呑みして雛鳥になったフォークスをいつも止まっている止まり木の下にある盆にそっと載せました。そしてフォークスから目を離すとハリーにこう言って来ました。

「さてハリー。君の学友じゃが昨夜の事件でいつまでも残るような障害を受けた者は誰もおらん。安心したじゃろう」

ダンブルドアにこう言われてハリーは「良かった」と言おうとしましたが言葉が出ませんでした。ハリーがもたらした被害がどれほど大きかったのかという事をダンブルドアが改めて思い出させようとしている気さえしました。

ダンブルドアが今学期初めてハリーをまっすぐ見ているその上に非難しているというよりも気遣ってくれているといった表情なのにも関わらずハリーはダンブルドアと目を合わせる事ができませんでした。そんなハリーに・・・

「マダム・ポンフリーがみんなの応急手当をしておる。ニンファドーラ・トンクスは少しばかり聖マンゴで過ごさねばならぬかも知れんが完全に回復する見込みじゃ」

魔法省の神秘部に馳せ参じた不死鳥の騎士団の面々のその後の経緯を聞かされながらもハリーは何も言えず、ただ頷く事しかできませんでした。そんなハリーにダンブルドアは引き続き気遣うようにそっとこう言ったのでした。

「ハリー。気持ちはよく判る」

こう言うダンブルドアにハリーは声を大きくそして強くして「分かってなんかいない」と答えました。焼けるような怒りが突き上げて来ました。ダンブルドアは僕の気持ちなんかちっとも分かってくれてなんかいないじゃないか。

「どうだい?ダンブルドア?生徒を理解しようとするなかれ。生徒が嫌がる。連中は誤解される悲劇のほうがお好みでね」

こう口を挟んで来たフィニアス・ナイジェラスの言葉を途中で「もうよい」と言って遮るとダンブルドアはハリーに「君の今の気持ちを恥じる事はない」それどころかそのように痛みを感じる事が君の最大の強みだと言うのです。

「僕の最大の強み。そうですか?何も分からないくせに。知らないくせに」

こう言うハリーにダンブルドアは「わしが何を知らないと言うのじゃ?」と静かに訊いて来ました。ダンブルドアの静かな口調にハリーはむしろ白熱した怒りが込み上げて来るのを感じました。ダンブルドアを傷つけてやりたい。

「ハリー。そのように苦しむのは君がまだ人間だという証じゃ!この苦痛こそ人間である事の一部なのじゃ」

それなら僕は人間でいるのは嫌だ!ハリーは吼え猛り脇のテーブルにあった繊細な銀の道具を掴むと部屋の向こうに投げつけました。望月鏡を暖炉に投げ入れました。もうとにかく怒りに任せて手にする物全部を破壊しました。

物を破壊するだけでは気持ちが収まらず喉が張り裂けたかと思うほどの大声でハリーは絶叫しました。それでもダンブルドアはたじろぎもせずハリーを全く止めようとはしませんでした。静かでほとんど超然とした表情でした。

その痛みで君の心は死ぬほどに血を流しているのじゃ。君にとっては初めての両親に一番近い者として慕っていた人までも失ったのじゃ。気にせぬはずがあろうか。ダンブルドアは言葉を尽くしてハリーに訴え続けたのでした。

走りたい。二度と振り向かないでダンブルドアのいない所に行きたい!そう思ったハリーは再び扉の取っ手を掴んで捻りましたが扉は相変わらず開きません。ハリーは全身を震わせて「出してください」と訴えたのですが・・・

「駄目じゃ」

3-3.説明させておくれ
数秒間見つめ合った後ハリーは再び「出してください」と言いました。しかしダンブルドアも再び「駄目じゃ」と言いました。出してくれないと。僕をここに引き止めておくならとハリーが言うとダンブルドアはこう言いました。

「構わぬ。わしの持ち物を破壊し続けるがよい。持ち物がむしろ多すぎるのでな」

ダンブルドアは自分の机まで歩いて行き腰掛けてハリーを眺めました。ハリーがまた「出してください」と冷たく言い放つとダンブルドアは「わしの話が済むまでは駄目じゃ」と言いました。するとハリーは再び激高しました。

先生の言う事なんかどうでもいい!先生の言う事なんか何も聞きたくない!こう言うハリーにダンブルドアは「聞きたくなるはずじゃ」と今までと変わらぬ静かな口調で言ったのでした。何故なら君がもっと怒るのは当然じゃ。

君が攻撃寸前の状態なのは判っている。しかしもし自分を攻撃するつもりならそれに値する者として十分にそれを受けたいとダンブルドアはそう言うのです。そしてきっぱりと「シリウスが死んだのはわしのせいじゃ」と・・・

それともほとんど全部わしのせいだと言うべきだろう。全責任があるなどと言うのは傲慢だとダンブルドアは言うのです。シリウスは勇敢で賢くエネルギー溢れる男だった。そういう人間は他の者たちは身を危険にさらしている。

それなのに自分が家の中にじっと隠れているなんて通常は満足できない。だから今夜ハリーは「神秘部にシリウスを助けに行かなければならない」と考えてしまった。もしあの事を打ち明けていたならそうは思わなかっただろう。

だからハリーがヴォルデモートの仕掛けた罠に嵌まったのは自分のせいだとダンブルドアは言うのです。そしてダンブルドアはハリーに対して「腰掛けてくれんかの」と言いました。命令しているのではなくて頼んでいるのです。

ハリーは躊躇したもののゆっくりと部屋を横切りダンブルドアの机の前の椅子に腰掛けたのでした。そこでやっとフィニアス・ナイジェラスはブラック家の最後の1人だったシリウスが死んだ事を知ったというわけなんですよね。

自分の犯した間違いの説明をさせておくれ。15年前に君の額の傷痕を見た時に自分はそれが何を意味するのかを推測した。それが君とヴォルデモートとの間に結ばれた絆の印ではないかと思った。これは以前に説明した事でした。

ヴォルデモートがハリーの近くにいる。あるいは強い感情に駆られている時には傷痕がハリーに警告を発する事が明らかになった。そしてハリーのその能力がヴォルデモートが復活して体を取り戻した事でますます顕著になった。

そしてクリスマス休暇の直前ハリーはアーサー・ウィーズリー氏が襲われた所を目撃した。そこでダンブルドアは「ハリーはヴォルデモートの心と頭に深く入り込み過ぎたのでは?」とそれはそれは大変心配したというわけです。

ヴォルデモートがハリーの存在に気づいたのでは?そこでダンブルドアはスネイプにハリーに「閉心術」を教えるようにと命じた。しかしそれなら何ゆえダンブルドアは自分ではなくてスネイプに「閉心術」教えさせたのか?

何故その事を訝しく疑問に思わなかったのか?何故ダンブルドア自身がハリーに「閉心術」を教えなかったのか?何故自分が今学期ずっとハリーと視線を合わせようとはしなかったのか?ダンブルドアの説明はまだまだ続きます。

今日の最後に
怒りで吼え猛るハリーに対してダンブルドアは終始一貫して静かな口調で語りかけているんですよね。そして言葉を尽くして何度も繰り返しシリウスを失った悲しみで痛みを感じ君の心は死ぬほど血を流していると言っています。

私はこの場面を読み返して「ダンブルドアならハリーがいくら何を壊してもあっという間に元通りに修復してしまうんだろうな」と思いました。しかしそれでも暖炉に望月鏡を投げ入れたのは無理なのでは?とそう思いましたね。

でも望月鏡ぐらいはまた買えばいいのです。(笑)
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