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今日から七週間に渡る超ロングランの「28回」で第6巻「謎のプリンス」上巻のアルバス・ダンブルドアをお届けする事にしました。ヴォルデモート卿の復活が明らかになって魔法界の人々の怒りは凄まじくコーネリウス・ファッジは魔法大臣を辞任する事になりました。後任の魔法大臣になったのは?(全3項目)

3-1.向こうの大臣
首相はその場に凍りつき目の前の暗い窓ガラスに映る自分の怯えた顔を見つめました。その背後で無人の執務室から軽い咳払いが聞こえたからです。体の向きをゆっりと変えて声だけは気丈に「誰かね?」と呼びかけると・・・

「マグルの首相閣下。火急にお目にかかりたし。至急お返事のほどを。草々。ファッジ」

答える者などいはしないと首相はほんの一瞬虚しい望みを抱きました。しかしたちまちこう返事が来ました。それは部屋の一番隅にある長い銀色の鬘(かずら)を着けた姿の蛙顔の小男の油絵でした。答えが来るのを待っています。

そこで首相が今はとある国の元首からの電話を待っている所なので都合が悪いと答えると絵が「その件は変更可能」と即座に答えました。首相は落胆しました。そうなるのではと恐れていたからです。絵の小男はこう言いました。

「その元首が電話するのを忘れるように我々が取り計ろう。その代わりその元首は明日の夜電話するであろう」

ネクタイを直しながら首相は急いで机に戻りました。椅子に座り泰然自若とした表情を何とか取り繕った途端に薪もない空の暖炉に突然明るい緑の炎が燃え上がりました。その男は高級な年代物の敷物の上に這い出して来ました。

「おお首相閣下。またお目にかかれてうれしいですな」

頭の中では首相が「向こうの大臣」と呼んでいるコーネリウス・ファッジがこう言うと片手を差し出しながら進み出て来ました。同じ挨拶を返す気にはなれず首相は何も言いませんでした。大概悪い知らせを持って来るからです。

ファッジは目に見えて憔悴していました。やつれてますます禿げ上がり白髪も増えげっそりとした表情でした。首相は「何か御用ですかな?」と言うとファッジとそそくさと握手を済ませ机の前にある一番硬い椅子を勧めました。

ファッジのほうも首相と同じ一週間だったんだそうです。

3-2.ヴォルデモート卿は復活した
首相はファッジに「あなたのほうもそうだったわけですな?」とつっけんどんに言いました。そちらからこれ以上何か聞かせていただくまでもなく当方は既に手一杯なのだという事がこの一言で伝われば良いのだがと思いました。

ファッジは「ええ。そういう事です」と言うと疲れた様子で両目をこすり陰気くさい目つきで首相を見ました。ブロックデール橋の落下事故にボーンズとバンスの殺人事件に言うまでもなく西部地域の惨事もそうだったそうです。

魔法界で何が起こっているなんて私に判るはずがないでしょう?私には国政という仕事がある。今はそれだけで十分頭痛の種なのに。ここでファッジが「同じ頭痛の種ですよ」と口を挟んで来ました。全ての元凶は魔法界だった。

ブロックデール橋は古くなったわけじゃない。殺人事件もマグルの仕業じゃない。西部地域に多大な人的及び物的被害を与えた異常気象も実はハリケーンではなかった。政務次官のハーバート・チョーリーがおかしくなったのも。

「首相閣下。こんな事を言うのは非常に遺憾だがあの人が戻って来ました」

全ては「名前を言ってはいけないあの人」つまりヴォルデモート卿が戻って来たからなのだそうです。戻った?戻ったとおっしゃるからには生きていると?首相は3年前にファッジと交わしたあの恐ろしい会話を思い出しました。

魔法界の中では誰よりも恐れられているあの魔法使い。数え切れないほどに恐ろしい罪を犯したその後15年前に謎のように姿を消したという魔法使い。首相にそう問われてファッジは「左様。生きています」と答えたのでした。

つまり何と言うか?殺害する事ができなければ生きているという事になりますかな?ファッジはよく分らないんだそうです。それにダンブルドアはちゃんと説明してくれない。でもともかくヴォルデモート卿は肉体を持っている。

歩いたりしゃべったり殺人事件を起こしたりしてるんだそうです。だから他に言いようがなければ「左様。生きている」という事になるのだそうです。そして要は我々は戦争状態にあるという事で態勢を整えなければならない。

「戦争?まさか。それはちょっと大げさじゃありませんか?」

こう言う首相にファッジはヴォルデモートは1月にアズカバンを脱獄した配下と今や合流した。さらに存在があからさまになってからは連中は転覆に騒動を引き起こしている。ブロックデール橋が落ちたのもあの人の仕業だった。

自分がヴォルデモートに魔法大臣の座を譲らなければマグルを大量虐殺すると脅しをかけて来たのだそうです。西部地域のハリケーンは巨人が絡んでいる。ヴォルデモートは目立つ事をやりたい時には巨人を使ったんだそうです。

「誤報局」が24時間体制で動いているそうです。現実の出来事を見たマグル全員に記憶修正をかけるのに忘却術士たちが何チームも動き「魔法生物規制管理部」の大半がサマセット州を駆けずり回ったが巨人は見つからなかった。

魔法省の士気は相当落ちている。その上魔法法執行部の部長のアメリア・ボーンズもヴォルデモート自身の手にかかって死んだ。吸魂鬼はアズカバンを放棄してあちら側についた。そこで首相はファッジにこう言ったのでした。

「いいですかファッジ大臣。あなたは手を打つべきです!魔法大臣としてのあなたの責任でしょう!」

するとファッジはこんなに色々あったその後で自分がまだ大臣の座に留まっているなどと本気でそう思うのかと言うのです。3日前に首になったのだそうです。魔法界全体がこの二週間ファッジの辞任要求を叫び続けたそうです。

自分の任期中にこれほど国がまとまった事はなかったんだそうです。今夜は最近の出来事についてマグルの首相に説明し後任の魔法大臣を紹介する役目で来たのだそうです。ファッジの視線を捉え肖像画がこう言ったのでした。

「まもなくお見えになるでしょう。ちょうどダンブルドアへのお手紙を書き終えた所です」

3-3.コーネリウス・ファッジの恨み節に新魔法大臣
ここでファッジは初めて辛辣な口調になって「ご幸運を祈りたいですな」と言うとダンブルドアに対して恨み節を口にしたのでした。私はここ二週間ダンブルドアに毎日二通も手紙を出したというのに頑として動いてはくれない。

ダンブルドアがあの子をちょっと説得する気になっていたら。私はもしかしてまだ。まあスクリムジョールのほうが上手くやるかもしれないし。こう言うとファッジは口惜しげにむっつりと黙り込みました。しかしその沈黙は?

「マグルの首相閣下。面会の要請。緊急。至急お返事のほどを。魔法大臣ルーファス・スクリムジョール」

肖像画のこの事務的な切り口上でほとんどすぐに破られました。首相は他の事を考えながら「はいはい結構」と生返事をしました。暖炉にエメラルド色の炎が燃え上がるとこの日2人目の魔法使いが執務室に姿を現したのでした。

バカバカしい印象だが年老いたライオンのようだ。スクリムジョールを一目見て首相はそう思いました。たてがみのような黄褐色の髪やふさふさした眉毛は白髪交じりで細縁メガネの奥には黄色味がかった鋭い目がありました。

僅かに足を引きずっていたものの手足は細長く軽やかで大きな足取りには一種の優雅さがありました。俊敏で強靭な印象がすぐに伝わって来ます。魔法界の指導者としてファッジより好まれたその理由が判るような気がしました。

ここで新魔法大臣のルーファス・スクリムジョールは執務室の隣の事務室にいる新しい秘書官のキングズリー・シャックルボルトは実は魔法省から派遣された闇祓いで首相が「服従の呪文」にかけられぬようにと配備された事。

さらに公衆の面前でアヒルに扮して道化ていた政務次官のハーバート・チョーリーは明らかに「服従の呪文」をかけ損ねた結果で危険人物になる可能性がまだある。だからこの男は暫くの間はマグル社会から遠ざけたほうがいい。

これからの動きはお伝えする。私自身は忙しくて伺えないかもしれないが顧問の資格で留まる事に同意したのでこのファッジを派遣すると言ったのでした。ファッジは微笑もうとしてしくじり歯が痛むような顔をしただけでした。

「そんな馬鹿な。あなた方は魔法使いでしょうが!魔法が使えるでしょう!それなら間違いなく処理できるでしょう。つまり。何でも!」

首相は癇癪を爆発させて2人の魔法使いにこう言いました。スクリムジョールはその場でゆっくり振り向きファッジと顔を見合わせて「信じられない」という顔をしました。ファッジは今度は微笑み損ねず優しくこう言いました。

「閣下。問題は相手も魔法が使えるという事ですよ」

今日の最後に
魔法大臣を辞職する事になったコーネリウス・ファッジはダンブルドアに対して2つの不満を持っていたようですね。まず1つ目は13年も沈黙していた闇の魔法使いヴォルデモート卿は何故その沈黙を破り復活を果たしたのか?

ダンブルドアはその件に関してはファッジに対し何らの説明もしなかったようです。しかしこの事を知らされたのはハリーにロンとハーマイオニーの3人だけで不死鳥の騎士団のメンバーにすら秘密にされた事だったんですよね。

だからファッジに教えないのは当然というわけです。2つ目は自分が魔法大臣の座に留まれるようハリーを説得して欲しいと頼んだのにダンブルドアはそれに応えなかった。後にハリーもダンブルドアからその事を聞きました。

でもそれもホグワーツにドローレス・アンブリッジを派遣した挙句にした事を考えれば随分と身勝手な願いというわけです。ハリーもダンブルドアにそれを聞かされた時にはかなり怒ったというわけなんですよね。当然の事です。
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