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それは話がうま過ぎる。何かが上手く行かなくなるようなそんな感じがハリーは拭えませんでした。その理由は夏休みに入って僅か二週間後にダンブルドアがハリーを「隠れ穴」に連れて行くために迎えに行くとの手紙が届いたからです。するとハリーにとっては意外な事に・・・(全3項目)

3-1.プリベット通り4番地に
ハリー・ポッターは眠り込んでいました。この4時間ほとんどずっと部屋の窓際に椅子を置いて座り暗くなって行く通りを見つめ続けていましたがとうとう寝入ってしまったのです。一体窓際に座って何をしていたのでしょう?

それは3日前にダンブルドア校長から手紙が届いて午後11時に「隠れ穴」にハリーを連れて行くために迎えに行くと書かれていたからというわけです。そのため今夜は7時に窓際に陣取りダンブルドアを待ち受けていたのでした。

その手紙はハリーが内容を暗記するほど何度も読み返したせいで固く巻かれていた羊皮紙が今では真っ平らになっていました。しかしハリーは荷物をまとめてはいませんでした。たったの二週間でダーズリー一家と別れられる。

それは話がうま過ぎる。何かが上手く行かなくなるようなそんな感じが拭えませんでした。ダンブルドアへの返事が行方不明になってしまうかもしれない。ダンブルドアが何らかの都合で自分を迎えに来れなくなるかもしれない。

この手紙がダンブルドアからではなくて悪戯や冗談あるいは罠だったと判明するかもしれない。荷造りをしたその後にがっかりして再び荷を解かなければならないような状況には耐えられない。そうハリーは思ったからでした。

唯一出かける素振りにハリーはヘドウィグを安全に鳥籠に閉じ込めておきました。そして時刻が午後11時になったかと思うと窓の外の街灯が消えました。それがまるで引き金になったかのようにハリーは目を覚ましたのでした。

急いでメガネをかけ直しハリーは目を細めて歩道を見つめました。背の高い人物が長いマントを翻し庭の小道を歩いて来るのが見えました。ハリーは飛び上がると椅子を蹴飛ばして床に散らばる物をトランクに入れ始めました。

そうしている内にも玄関の呼び鈴が鳴りました。

3-2.ハリーを見て
「こんな夜遅くに訪問するとは一体何奴だ?」一階の居間でバーノン叔父さんがこう叫びました。ハリーは片手に望遠鏡をもう一方の手にスニーカーを持ったままその場に凍りつきました。ダンブルドアが訪問するかもしれない。

ダーズリー一家にそう警告するのを完全に忘れていたからです。大変だという焦りと吹き出したい気持ちの両方を感じながらハリーは部屋を出たのでした。するとその途端に下からダンブルドアの深い声が聞こえて来たのでした。

「こんばんは。ダーズリーさんとお見受けするが?わしがハリーを迎えに来る事はハリーからお聞き及びかと存ずるがの?」

玄関口に旅行用の長い黒マントを着たアルバス・ダンブルドアその人が立っていました。赤紫の部屋着姿のバーノン叔父さんはまさに自分の目が信じられないかのように突然訪問して来たダンブルドアを見つめていたのでした。

「あなたの唖然とした疑惑の表情から察するにハリーはわしの来訪を前以て警告しなかったのですな」

そんなバーノン叔父さんを見てダンブルドアは機嫌よくこう言いました。そしてしかしながらあなたがわしを暖かく迎え入れたという事にいたしましょう。この危険な時代にあまり長く玄関口にぐずぐすしてるのは賢明ではない。

こう言うとダンブルドアは素早く敷居を跨いで中に入り玄関扉を閉めました。長身のダンブルドアはバーノン叔父さんを見下ろし「前回お訪ねしたのは随分昔じゃった。アガバンサスの花が実に見事ですのう」と言ったのでした。

一方バーノン叔父さんは全く何も言いませんでした。しかしこめかみのピクピクが危険な沸騰点に達しているのを見てハリーは叔父さんが言葉を取り戻すのは時間の問題だと思いました。何ゆえ叔父さんは黙り込んでいるのか?

ダンブルドアの持つ何かが叔父さんの息を一時的に止めてしまったかのようでした。あるいはもしかしたらダンブルドアの格好がすばり魔法使いそのものなので「この人物には脅しが利かない」と感じたのかもしれませんでした。

しかしダンブルドアが大満足の表情でハリーを見上げ「ああハリー。こんばんは」と言ったその後に「上々。上々」と言うのを聞いてバーノン叔父さんはついに奮い立ったようでした。こいつはハリーを見て「上々」と言った。

叔父さんにしてみればハリーを見て「上々」などと言うような人物とは絶対に意見が合うはずがないのです。バーノン叔父さんはその一言一言に失礼さをちらつかせながら「失礼になったら申し訳ないが」と切り出したのでした。

「しかし悲しいかな。意図せざる失礼が驚くほど多いものじゃ。なれば何も言わぬが一番じゃ」

ダンブルドアはこう言って重々しく文章を完結させました。するとそこにキッチンの扉が開いてペチュニア叔母さんが姿を現しました。何やらショックを受けているペチュニア叔母さんに向かってダンブルドアはこう言いました。

「アルバス・ダンブルドアじゃ。お手紙をやり取りいたしましたのう」

夫のバーノン叔父さんが紹介する気配がないのでダンブルドアは自己紹介しました。しかし「吼えメール」を送った事をペチュニア叔母さんに思い出させるにしてはこういう言い方は変わっているとハリーはそう思ったのでした。

「そしてこちらは息子さんのダドリーじゃな?」

手紙のやり取りについてペチュニア叔母さんは何も反論しませんでした。そして次に居間の扉から顔を覗かせたのがダドリーでした。ダドリーもまた父親と同様驚きと恐れで口を開けダンブルドアを見て何も言えないようでした。

ダンブルドアはどうやらダーズリー一家の誰かが口を利くのかどうかを確かめているようで僅かの間待っていました。しかし沈黙が続くと微笑みました。するとここでハリーにとっては意外な事にダンブルドアはこう言いました。

「わしが居間に招き入れられた事にしましょうかの?」

3-3.居間に
ダドリーはダンブルドアが前を通り過ぎて行くので慌てて道を空けました。ハリーは望遠鏡とスニーカーを持ったまま従いて行きました。ダンブルドアは暖炉に一番近い肘掛椅子に座ると無邪気な顔であたりを観察していました。

ハリーが「出かけるんじゃありませんか?」と心配そうに訊くとダンブルドアは「そうじゃ。出かける」と答えました。しかしまず幾つか話し合っておかなければならない事があるのだそうです。おおっぴらにしないほうがいい。

そこでもう少しの時間叔父さんと叔母さんのご好意に甘えさせていただくとしよう。すると「させていただく?そうするんだろうが?」と言いながらバーノン叔父さんがベチュニア叔母さんとダドリーを従えて入って来ました。

そんなバーノン叔父さんに「いや。そうさせていただく」とあっさり言うとダンブルドアは素早く杖を取り出しました。あまりに速くてハリーにはほとんど杖が見えないほどでした。するとソファが飛ぶように前進をしました。

そしてダーズリー一家3人の膝を後ろからすくい3人は束になってソファに倒れました。ダンブルドアが再び杖を振るとソファは瞬時に元の位置まで後退しました。ダンブルドアは「居心地よくしようのう」と朗らかに言いました。

杖をしまう時。その手が黒く萎びているのにハリーは気づきました。肉が焼け焦げて落ちたかのようです。ハリーが「どうなさったのですか?」とためらいがちに訊くとダンブルドアは「後でじゃ」の後「お掛け」と言いました。

ハリーは残っている肘掛椅子に座りましたが驚いて口も利けないダーズリー一家のほうは見ないようにしました。するとダンブルドアがバーノン叔父さんに「普通なら茶菓でも出してくださるものじゃが」と言い出したのでした。

「しかしこれまでの様子から察するに。そのような期待は楽観的過ぎてバカバカしいと言えるじゃろう」

こう言うとダンブルドアは三度目の杖を動かしました。突如として空中から埃っぽい瓶とグラスが5個現れました。瓶が傾いて5個のグラスに蜂蜜色の液体をたっぷりと注ぎ入れグラスはふわふわと5人の所に飛んで行ったのでした。

「マダム・ロスメルタの最高級オーク樽熟成蜂蜜酒じゃ」

ダンブルドアはハリーに向かってグラスを挙げました。ハリーは自分の所に飛んで来たグラスを捕まえ飲みました。初めて飲む物でしたがとてもおいしいと思いました。一方ダーズリー一家は互いに恐々顔を見合わせていました。

そしてこんな魔法使いの出す飲み物は完全に無視をすると決め込んだようでした。しかしそれは至難の業でした。何しろグラスが「飲め!」と言わんばかりに3人の頭を脇から軽く小突いていたからです。3人の様子を見て・・・

「ダンブルドアは大いに楽しんでいるのではないか?」という気持ちをハリーは打ち消す事ができなかったのでした。

今日の最後に
11才の誕生日にハグリッドがハリーの前に姿を現わした時バーノン叔父さんはダンブルドアの事をじじい呼ばわりしているんですよね。という事はつまりバーノン叔父さんはダンブルドアが相当の高齢だという事を知っている。

ここから「バーノン叔父さんはどうやら以前にダンブルドアと会った事があるらしい」という事が推測できるというわけです。そして今回ハリーを迎えにプリベット通り4番地にやって来たダンブルドアはこう言っていますよね。

「前回お訪ねしたのは随分昔じゃった」

その一方ダンブルドアはバーノン叔父さんが紹介してくれないのでペチュニア叔母には自己紹介をしています。つまりダンブルドアはバーノン叔父さんが1人でいる時にここプリベット通り4番地を訪問したという事になりますね。

したがってダンブルドアが前回ここを訪れたのはハリーの両親がちょうど結婚をした頃だと私はそう思いますね。
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