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こうしてようやくプリベット通り4番地を後にしたダンブルドアとハリーだったのですが願いとは裏腹にハリーの心中は複雑でした。そして「付き添い姿現わし」で2人が到着したのはバドリー・ババートンという村でした。ダンブルドアは何故ここにハリーを連れて来たのかというと・・・(全3項目)

3-1.切なる願いとは裏腹に
3日前に手紙が届いてからというものハリーは目覚めている時は一瞬も休まずダンブルドアが迎えに来てくれますようにと必死に願い続けていました。にも関わらずこうして2人きりになってみると気詰まりな思いがしました。

それというのもシリウスを失った悲しみに打ちひしがれ自暴自棄になったハリーは散々怒鳴ったばかりか校長室で所狭しとばかり暴れ回ったからです。その時の記憶が脳裏に蘇り気まずい思いをいやが上にも強めていたのでした。

しかしダンブルドアのほうは全くゆったりとしたもので学期末にハリーがしたそういった一連の行為の事を気にする素振りはありませんでした。ダンブルドアは朗らかにハリーに「杖を準備しておくのじゃ」と言ったのでした。

でも先生。僕は学校の外で魔法を使ってはいけないのではありませんか?ハリーがこう訊くとダンブルドアは襲われた場合はわしが許可すると言いました。しかしその一方で今夜はそんな事は心配しなくてもいいとも言うのです。

ハリーが「どうしてですか?」と訊くとダンブルドアは「わしと一緒じゃからのう」と答えました。そしてプリベット通りの端に到着した所で突然立ち止まりダンブルドアはハリーに「このあたりでよかろう」と言ったのでした。

君はまだ当然「姿現わし」テストに合格しておらんの?こう訊くダンブルドアにハリーは「はい」と答えた後「それは17才にならないと駄目なのではないですか?」と訊きました。ダンブルドアは「その通りじゃ」と答えました。

そこで「付き添い姿現わし」で移動するという事でダンブルドアはハリーに気づいておろうが杖腕のほうは脆くなっているので左腕のほうにしっかり掴まるようにと言いました。ハリーは差し出された左腕をしっかり掴みました。

そして「それでよい。さて参ろう」と言って姿現わし術が開始されました。ハリーはダンブルドアの腕が捻れて抜けて行くような感じがしてますます固く握り締めました。気がついてみると全てが闇の中でした。息ができない。

四方八方から押さえつけられています。まるで鉄のベルトで胸を締め付けられているかのようでした。目の玉が顔の奥に押しつけられ鼓膜が頭蓋骨深く押し込められて行くようでした。そしてようやく目的地に到着したようです。

到着したその場所は?

3-2.付き添い姿現わしでやって来たのは?
ハリーは冷たい夜気を胸一杯吸い込み涙目になった目を開けました。まるで細いゴム管の中を無理やり通り抜けて来たようでした。到着したのはどこか寂れた村の小さな広場でした。真ん中には古ぼけた戦争記念碑が建ち・・・

ベンチが幾つか置かれています。遅ればせながら理解が感覚に追いついて来ました。たった今ハリーは生まれて初めて「姿現わし」したのです。ダンブルドアが気遣わしげに「大丈夫かな?」と言ってハリーを見下ろしました。

この感覚には慣れが必要なのだそうです。ハリーは「大丈夫です」と言って耳をこすりました。何だか耳が前いた所を離れるのをかなり渋ったような感覚でした。ハリーは「箒のほうがいいような気がします」と言ったのでした。

ダンブルドアは微笑んで旅行用マントの襟元をしっかり合わせ直し「こっちじゃ」と言いました。ダンブルドアはきびきびとした歩調で空っぽの旅籠や何軒かの家を通り過ぎました。近くの教会の時計を見るとほぼ真夜中でした。

するとダンブルドアが額の傷痕は近頃痛むかなと訊いて来ました。ハリーは思わず額に手を上げると稲妻形の傷痕をさすりました。ヴォルデモートがまたとても強力になったのだから頻繁に焼けるように痛むようになるのでは?

それがおかしな事に痛まなくなった。ハリーが「いいえ」と答えた後に見てみるとダンブルドアは満足気な表情をしていました。そして「わしはむしろその逆を考えておった」と言うのです。何故痛まなくなったんでしょうか?

君はこれまでヴォルデモート卿の考えや感情に接近するという経験をして来た。ヴォルデモート卿はやっと「それは危険だ」という事に気づいた。だからヴォルデモート卿はどうやら君に対して「閉心術」を使っているようじゃ。

ダンブルドアにそう言われてハリーは「なら僕は文句ありません」と言ったのでした。それはヴォルデモートの心を覗き込む事ができてもハリーにとっては1つも喜ばしい事や見えて良かったと思う情景がなかったからでしょう。

だから見られなくなっても全然惜しくなどないというわけです。そして歩きながらハリーはダンブルドアに「ここは一体どこですか?」と訊きました。するとバドリー・ババートンという素敵な村だという答えが返って来ました。

それでここで何をするのですか?ハリーがこう訊くとダンブルドアは「君にまだ話してなかったのう」と答えました。ここに来たのは近年何度これと同じ事を言ったか数え切れないほどだが今年もまたしても先生が1人足りない。

そこでダンブルドアの古い同僚を引退生活から引っ張り出しホグワーツに戻るよう説得するためここに来たのだそうです。それなら一体全体自分はどんな役に立つと言うのか?ハリーのその問いにダンブルドアはこう答えました。

「ああ。君が何に役立つかは今に判るじゃろう」

ダンブルドアは曖昧にこう答えました。そしてハリーに「ここを左じゃよ」と言いました。ハリーとダンブルドアは両側に家の立ち並んだ狭い急な坂を登りました。真夜中という事で窓という窓は明かりが消えて真っ暗でした。

3-3.その道すがらで
目的地に到着してから結構な距離を歩いているのでハリーはダンブルドアに「どうしてその古い同僚の方の家に直接姿現わしなさらなかったんですか?」と訊きました。するとダンブルドアからはこういう言葉が返って来ました。

「それはの玄関の戸を蹴破ると同じぐらい失礼な事だからじゃ」

入室を拒む機会を与えるのが我々魔法使いの間では礼儀というものなんだそうです。それにいずれにせよ魔法界の建物は大概は好ましくない「姿現わし」に対して魔法で護られている。例えばホグワーツの敷地内ではできない。

ハーマイオニーが教えてくれましたとハリーが言うとダンブルドアは「まさにその通り」と言葉を返しました。その時2人の背後で教会の時計が12時を打ちました。昔の同僚をこんな時間に訪問するのは失礼にはならないのか?

ハリーはそんなダンブルドアの考えを訝しく思いました。しかしせっかく会話が上手く成り立つようになったのでハリーにはもっと差し迫って質問したい事があったのです。それは新たに就任する事になった魔法大臣の事でした。

「日刊予言者新聞」でファッジが首になったという記事を見ましたがとハリーが言うとダンブルドアは「そうじゃ」と答えたその後に君も読んだだろうが後任者は闇祓い局の局長だった人物でルーファス・スクリムジョールじゃ。

「その人。適任だと思われますか?」とハリーが訊いてみるとダンブルドアは「面白い質問じゃ」と言ったその上で「確かに能力はある。コーネリウスよりは意思のはっきりした強い個性を持っておる」とそう答えたのでした。

でもハリーが訊きたかったのは新聞に書かれていたスクリムジョールとの意見の食い違いの事だったのです。ルーファスは行動派の人間で人生の大半を闇の魔法使いと戦って来たのだからヴォルデモート卿を過小評価していない。

ハリーは続きを待ちましたがそれはなく勇気がなかったのでその話題を追及するのは辞めて話題を変えました。ハリーが(魔法法執行部の部長の)マダム・ボーンズの死亡記事を読みましたと言うとダンブルドアはこう答えました。

「手痛い損失じゃ。偉大な魔女じゃった」

多分この奥じゃと言いながらダンブルドアが怪我をした手で指差しているのでハリーは思わず「その手はどうしたのですか?」と訊こうとしました。しかしダンブルドアはその理由を説明するのは今ではないとそう言うのです。

「今は説明している時間がない。スリル満点の話じゃからそれにふさわしく語りたいでのう」

こう言うとダンブルドアはハリーに笑いかけました。すげなく拒絶したわけではない。つまりこれは質問を続けてもいいという意味だとハリーは解釈しました。そこで今度は魔法省が届けて来たパンフレットの事を訊きました。

あまり役には立たないという事で意見は一致しましたがここでダンブルドアは言うのです。君はわしのジャムの好みを聞いておらんのう。それは自分が本当にダンブルドア先生で騙り者ではない事を確かめるためだと言うのです。

「それは。でも」とハリーが返答に困っているとダンブルドアは「君の後学のために言うておくがラズベリーじゃょ。もっともわしが死喰い人ならわしに扮する前に必ずジャムの好みを調べておくがのう」とそう言うのです。

そう言っている内にどうやらダンブルドアの古い同僚の方の家に到着したようでした。

今日の最後に
昨年度ダンブルドアは敢えてハリーと距離を取り極力接触を避けるという措置を取りました。それは魔法省の神秘部にはハリーとヴォルデモート卿に関する予言を封印したガラス球があるという事をハリーに伝えないためでした。

最終的な目標はヴォルデモート卿を魔法省に誘き寄せて魔法大臣コーネリウス・ファッジを筆頭に多数の職員にそれを目撃させてヴォルデモート卿の復活を公にする事でした。そして事はダンブルドアの目論見通りになりました。

それが達成されたのでダンブルドアはハリーに対する対応を一転させてプリベット通り4番地にハリーを迎えに来たというわけです。私はダンブルドアは普段よりも手前に「姿現わし」をしてハリーと話す時間を長めに取った。

そう思いますね。(笑)
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