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ダンブルドアとハリーはかつてトム・リドルが孤児院の子供たちと遠足で来て2人を脅した海辺の洞穴にやって来ました。2人は泳いで洞穴の入口に到着し通行料を払って中に入りました。そこにはこの世のものとは思えない光景が広がっていました。(全3項目)

3-1.到着したのは?
潮の香と打ち寄せる波の音がしました。月光に照らされた海と星を散りばめた空を眺めるハリーの髪を肌寒い風が軽く乱しました。厳しさを和らげる草も木も砂地さえもなく2人が到着した所は荒涼たる光景が広がっていました。

「孤児院の子供たちをここに連れて来たのですか?」

ダンブルドアに「どう思うかの?」と訊かれてハリーがこう答えると「正確にはここではない」という言葉が返って来ました。後ろの崖沿いに半分ほど行った所に村らしきものがあって孤児たちはそこに連れて来られたらしい。

この場所そのものを訪れたのはトム・リドルと幼い犠牲者たちだけだっただろう。並外れた登山家でなければここに辿り着く事はできない。この周りの海は危険過ぎて船も崖には近づけない。魔法がロープより役に立っただろう。

おそらく脅す楽しみのためだ。小さな子供を2人連れて来るだけで目的は十分果たされただろうとダンブルドアは言うのです。そう言われハリーはもう一度崖を見上げて鳥肌が立つのを覚えました。するとダンブルドアが・・・

「しかしリドルの最終目的地は。我々の目的地でもあるが。もう少し先じゃ。おいで」

ダンブルドアはハリーを岩の先端に招き寄せました。片手が萎えている事もありダンブルドアはゆっくりと下りて行きました。杖先に灯りを点すとダンブルドアは杖を少し高く掲げて「見えるかの?」とハリーに問いかけました。

崖の割れ目に黒い水が渦を巻いて流れ込んでいるのが見えました。何とここから目的地まで泳いで行くのだそうです。だから今は「透明マント」は必要ない。ダンブルドアは年寄りとは思えない俊敏さで平泳ぎで泳ぎ始めました。

割れ目のすぐ奥は暗いトンネルになっていて満潮時には水没する所だろうと察しがつきました。両壁の間隔は狭くて1メートルほどしかありませんでした。少し入り込むとトンネルは左に折れて崖のずっと奥まで伸びていました。

やがて先のほうでダンブルドアが水から上がるのが見えました。そこに辿り着くと大きな洞穴に続く階段が見えました。ダンブルドアは洞穴の真ん中に立っていました。ゆっくり回りながら杖を高く掲げ壁や天井を調べています。

「左様。ここがその場所じゃ」

ここに分霊箱が隠されているようです。

3-2.行く手を阻むのは?
ハリーが囁き声で「どうして判るのですか?」と訊くとダンブルドアは「魔法を使った形跡がある」と答えました。体の震えが骨までも凍るような寒さのせいなのか?その魔法を認識したからなのか?ハリーには分りませんでした。

「ここは入口の小部屋に過ぎない。内奥に入り込む必要がある。これからは自然の作り出す障害ではなくヴォルデモート卿の罠が行く手を阻む」

暫くの間その場を回り続けた後にダンブルドアはこう言いました。ハリーには見えない何かに神経を集中しているのは明らかでした。ダンブルドアは洞穴の壁に近づくとハリーには理解できない不思議な言葉を唱えていました。

時々立ち止まって指を前後に走らせていましたが何かが見つかったように岩壁に手の平を押しつけてダンブルドアは立ち止まり「ここじゃ。ここを通り抜ける。入口が隠されておる」と言いました。ハリーは質問しませんでした。

こんな風にただ見たり触ったりするだけで物事を解決する魔法使いをハリーは見た事がありませんでした。ダンブルドアは壁から離れると杖を岸壁に向けました。するとアーチ型の輪郭線が現れ隙間の向こう側が白く輝きました。

ハリーは「先生やりましたね!」と喜びました。しかし喜びも束の間で輪郭線は消えて何の変哲もない元の固い岩に戻ってしまいました。ダンブルドアは振り返り「すまなかった。忘れておった」と言い杖をハリーに向けました。

ハリーの服を乾かすとダンブルドアは再び壁をじっと見つめました。するときっちり2分後に「ああまさかそんな事とは。何と幼稚な」と言うのです。何と通行料を払わなくてはならないのだそうです。それは血なんだそうです。

「君にも推測できた事と思うが侵入する敵は自らその力を弱めなければならないという考えじゃ。またしてもヴォルデモート卿は肉体的損傷よりも遥かに恐ろしいものがある事を把握し損ねておる」

ダンブルドアが取り出した銀の小刀を振り上げたのでハリーは「先生!僕がやります。僕なら」と慌てて飛び出して止めようとしました。岩の表面に黒く光る血が点々と飛び散りました。ところが腕の深い傷を杖先でなぞると?

「ハリー気持ちはうれしいが。しかし君の血はわしのよりも貴重じゃ。ああこれで首尾よく行ったようじゃな」

ダンブルドアの傷はたちまち癒えて岩肌には銀色に燃えるアーチ型の輪郭が再び現れて今度は消えませんでした。ダンブルドアは「後からおいで」と言うとアーチ型の入口を通って行きました。ハリーは言われた通りにしました。

目の前にはこの世のものとは思えない光景が現れました。

3-3.巨大な黒い湖
2人は巨大な黒い湖の辺に立っていました。向こう岸が見えないほどの広い湖でした。洞穴は天井も見えないほどに高く遠く湖の真ん中と思われるあたりに緑色に霞んだ光が見えました。その光は漣1つない湖に反射しています。

暗闇を破るのは緑色に霞んだその湖中央の光とダンブルドアとハリーの杖灯りだけでした。ダンブルドアはハリーに「歩こうかのう。水に足を入れぬように気をつけるのじゃ。わしのそばを離れるでないぞ」と静かに言いました。

ダンブルドアは湖の縁を歩き始めました。ハリーはぴったりとその後に従いて歩きました。湖を狭い岸壁が囲んでいるので2人の足音が反響しました。この静けさはハリーにとって重苦しく言い知れぬ不安を掻き立てたのでした。

「先生?分霊箱はここにあるのでしょうか?」

重苦しい不安に耐え切れずハリーはとうとう口を利くとダンブルドアにこう言いました。ダンブルドアは「ああいかにも」と答えました。ある事は確かだ。問題はどうすれば分霊箱に辿り着ける事ができるのかなのだそうです。

「もしかしたら呼び寄せ呪文を使ってみてはどうでしょう?」

愚かな提案だとハリーは思いました。しかしできる限り早くこの場所から出たいという思いが自分でも認めたくないほどに強かったのです。するとダンブルドアは立ち止まって「確かに使ってみる事はできる」とそう言うのです。

しかもハリーがやってみてはと言うのです。こんな事になるとは思いませんでしたがハリーは咳払いをして杖を掲げて大声で「アクシオ。ホークラックス!分霊箱よ来い!」と叫びました。すると爆発音が聞こえたかと思うと?

何か大きくて青白い物が5か6メートル先の暗い水中から噴き出しました。ハリーが見定める間もなく噴き出した物は恐ろしい水音を上げて鏡のような湖面に大きな波紋を残して再び水中に消えました。ハリーは驚くあまり・・・

飛び退いて岩壁にぶつかってしまいました。動悸が止まらないままハリーはダンブルドアのほうを見て「何だったのですか?」と訊きました。ハリーのこの問いに対してダンブルドアはこう答えてくれたというわけなんですよね。

「多分。分霊箱を取ろうとする者を待ち構えていた何かじゃな」

「呼び寄せ呪文」では分霊箱は手に入りませんでした。

今日の最後に
ダンブルドアは「君にも推測できた事と思うが侵入する敵は自らその力を弱めなければならないという考えじゃ。またしてもヴォルデモート卿は肉体的損傷よりも遥かに恐ろしいものがある事を把握し損ねておる」と言ってます。

ハリーが感じた所によるとダンブルドアはヴォルデモートのこの考えは幼稚で軽蔑すべきものでありヴォルデモートは自分が期待する水準に達する事がなくてむしろ失望したという事のようでした。つまりこういう事のようです。

この世には肉体的損傷よりも遥かに恐ろしいものがある。それをヴォルデモート卿は分っていないというわけなんですよね。
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