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摩訶不思議な事に湖を渡るための小舟を発見してダンブルドアとハリーは湖の中央にある小島に到着しました。そこには台座の上に置かれた水盆があり燐光を発するエメラルド色の液体で満たされていました。ここに分霊箱はあるようです。一体どうすれば取り出せるのか?それが問題だったのです。(全3項目)

3-1.結論はただ1つ
小島はせいぜいダンブルドアの校長室ほどの大きさで平らな黒い石の上に立っているのは緑がかったあの光の源だけでした。近くで見るとずっと明るく見えました。最初はランプのような物かと思いきや光は石の水盆からでした。

水盆は台座の上に置かれダンブルドアがまず近づきハリーが後に続きました。2人は並んで中を覗き込みました。水盆は燐光を発するエメラルド色の液体で満たされていました。ハリーは小声で「何でしょう?」と訊きました。

「よく分らぬ。ただし血や死体よりももっと懸念すべき物じゃ」

ダンブルドアはこう答えると怪我をしたほうの手を伸ばしエメラルド色の液体を触ろうとしました。それを見てハリーは「先生。止めて!触らないで!」と言いましたがダンブルドアは微笑み「触れる事はできぬ」と言いました。

「ご覧。これ以上は近づく事ができぬ。やってみるがよい」

ダンブルドアにこう言われてハリーは目を見張り水盆に手を入れて液体に触れようとしました。しかしダンブルドアの言う通りで液面から数センチの所で見えない障壁に阻まれどんなに強く押しても液面に触れる事ができません。

指に触れるのは硬くてびくともしない空気のような物でした。ダンブルドアはハリーに「離れていなさい」と言うと杖を取り出して無言で呪文を唱えました。しかし何事も起きません。暫くするとダンブルドアは杖を引きました。

ハリーが「分霊箱はここにあるのでしょうか?」と訊くとダンブルドアは「ああ。ある」と答えました。ここで問題なのは「一体どうやって手に入れるのか?」という事なんだそうです。この液体は手では突き通す事ができない。

分ける事もすくう事も吸い上げる事もできない。さらに「消失呪文」も効かないし「変身呪文」やその他の呪文でも一切この液体の正体を変える事はできない。それなら一体どうすればいいのか?ダンブルドアはこう言うのです。

「結論は唯1つ。この液体は飲み干すようになっておる」

これを聞いてハリーは?

3-2.誓ったはずじゃな?警告したはずじゃな?
ハリーは驚愕し「ええっ?駄目です!」と言いました。しかしそれでもダンブルドアは頑固に「左様。そのようじゃ」と言い張るのです。飲み干す事によってのみ水盆の底にある物を見る事ができるとダンブルドアは言うのです。

でももし劇薬だったら?そう懸念の言葉を漏らすハリーにダンブルドアは「いや。そのような効果を持つ物ではなかろう」とそれも気軽に言うのです。ヴォルデモート卿はこの島に辿り着くほどの者を死なせたくはないだろう。

ダンブルドアはこうも言いました。ハリーは信じられない思いでした。またしても誰に対しても善良さを認めようとするダンブルドアの異常な信念なのだろうかと思わずにいられない言葉でした。そこでハリーはこう言いました。

「先生。相手はヴォルデモートなのですよ」

するとダンブルドアは「言葉が足りなかったようじゃ」と言い出しました。こう言うべきだった。ヴォルデモートはこの島に辿り着くほどの者をすぐさま死なせようとは思わないだろう。ダンブルドアはこう言い直したのでした。

ヴォルデモートはその者がいかにしてここまで防衛線を突破する事ができたのかが判るまでは生かしておきたいだろう。さらには最も重要な事はその者が何故これほど熱心に水盆を空にしたがっているのかを知りたい事だろう。

ダンブルドアはこう言うのです。そしてここで忘れてならぬのはヴォルデモート卿が分霊箱の事は自分しか知らないと信じているという事だとダンブルドアは言うのです。ハリーは反論しかけましたが止められてしまいました。

暫く考えを巡らせていたダンブルドアでしたが口を開くと「間違いない」と言いました。そしてこの薬について「この薬はわしが分霊箱を奪うのを阻止する働きをするに違いない」とダンブルドアはハリーに言って聞かせました。

自分を麻痺させるか?何故ここにいるのかを忘れさせるか?気を逸らさなくてはならないほどの苦しみを与えるか?もしくはその他のやり方で自分の能力を奪うだろうとダンブルドアは言うのです。それならばハリーの役目は?

それは何とエメラルド色のこの薬を自分に飲み続けさせる事だとダンブルドアは言うのです。無理に薬を流し込まなくてはならない事になっても飲ませ続ける。それがハリーに課された役目だとダンブルドアはそう言うのです。

ハリーは何も言えませんでした。一緒に連れて来られたのはこのためだったのだろうか?ダンブルドアに耐え難い苦痛を与えるかもしれない薬を無理やり飲ませるために自分はここに連れて来られた。そういう事なのだろうか?

「覚えておるじゃろうな?君を一緒に連れて来る条件を」

こう言われてハリーはダンブルドアの目を見つめながら躊躇しました。ハリーが「でも。もし?」と言うとダンブルドアは「誓ったはずじゃな?わしの命令には従うと」と言い「はい。でも」と言うと「さあそれなら」と・・・

ダンブルドアは「わしの命令じゃ」と言いました。ハリーが絶望的な思いで「僕が代わりに飲んではいけませんか?」と訊くとダンブルドアは「いや。わしのほうが年寄りでより賢くずっと価値がない」と答えたその後に・・・

「一度だけ聞く。わしが飲み続けるよう君が全力を尽くすと誓えるか?」

しばしの押し問答の末にハリーが言い返せなくなるとダンブルドアはクリスタルのゴブレットを下ろし薬の中に入れました。一瞬ハリーはゴブレットが薬に触れる事ができないようにと願いました。でもそれは叶いませんでした。

薬を飲み始めたダンブルドアは?

3-3.苦悶するダンブルドア
「君の健康を願って。ハリー」こう言うとダンブルドアはゴブレットを飲み干しました。ハリーは指先の感覚がなくなるほどに水盆の縁を強く握り締めて恐々見守りました。この後ダンブルドアは無言で三杯を飲み干しました。

四杯目の途中でダンブルドアはよろめき前屈みに倒れて水盆に寄り掛かりました。目は閉じたままで息遣いは荒くハリーは声を緊張させて「ダンブルドア先生?僕の声が聞こえますか?」と訊きましたが答えはありませんでした。

ゴブレットを握った手が緩み薬がこぼれそうになっていました。ハリーは手を伸ばしてゴブレットを掴むとしっかりと支えました。ハリーは大声で「先生。聞こえますか?」と繰り返しました。その声が洞窟にこだましました。

「やりたくない。わしにそんな事を」

ダンブルドアは喘ぎました。その声は恐怖に駆られ到底ダンブルドアとは思えません。そんな声をハリーが聞いたのは初めてでした。ダンブルドアの顔は蒼白でした。ダンブルドアは呻くと「嫌じゃ。辞めたい」と言いました。

「先生。辞める事はできません。先生。飲み続けなければならないんです。そうでしょう?先生が僕に飲み続けなければならないっておっしゃいました。さあ」

まさに痛恨の極みでした。ついにその時がやって来てしまったのでした。自分自身を憎み自分のやっている事を嫌悪しながらハリーはゴブレットを無理やりダンブルドアの口元に戻して傾け中に残っている薬を飲み干させました。

「駄目じゃ。嫌じゃ。嫌なのじゃ。行かせてくれ」

ハリーがダンブルドアに代わってゴブレットを薬で満たしているとダンブルドアが呻くようにこう言いました。そんなダンブルドアにハリーは「先生。大丈夫ですから。大丈夫です。僕がついています」と言って聞かせました。

「辞めさせてくれ。辞めさせてくれ」

すると今度はダンブルドアはこう呻きました。ハリーは「ええ。さあ。これで辞めさせられます」と嘘をついて薬をダンブルドアの開いている口に流し込みました。そして次にはダンブルドアは呻くのではなくて叫んだのでした。

「駄目じゃ。駄目。駄目。駄目じゃ。わしには出来ん。出来ん。させないでくれ。やりたくない」

ハリーは大声で「大丈夫です。先生。大丈夫ですから!何にも起こっていません。先生は無事です。夢を見ているんです。絶対に現実の事ではありませんから。さあこれを飲んで。飲んで」と言いながら薬をすくい上げました。

ハリーの手は激しく震えていました。するとダンブルドアはハリーが差し出しているのが解毒剤であるかのように従順に飲みました。しかし飲み干した途端にがっくりと膝をつき激しく震え出したかと思うと啜り泣き始めました。

「わしのせいじゃ。わしのせいじゃ。止めさせてくれ。わしが悪かったのじゃ。ああどうか止めさせてくれ。わしはもう二度と。決して」

ハリーは「先生。これで辞めさせられます」と涙声で言い薬をダンブルドアの口に流し込みました。ダンブルドアは見えない拷問者に囲まれているように身を縮めて呻き手を振り回してゴブレットを払い落としそうになりました。

「あの者たちを傷つけないでくれ。頼む。お願いだ。わしが悪かった。代わりにわしを傷つけてくれ」

こう言うダンブルドアにハリーは「さあこれを飲んで。飲んで。大丈夫ですから」と必死で言うとダンブルドアは目は固く閉じたまま全身を震わせていましたが再び従順に口を開きました。ダンブルドアはさらに倒れこみました。

「頼む。お願いだ。お願いだ。駄目だ。それは駄目だ。それは駄目だ。わしが何でもするから」

今度はダンブルドアは拳で地面を叩きながら悲鳴を上げたかと思うとこう言いました。ところがハリーが「先生。いいから飲んで。飲んで」と言うとダンブルドアはまるで渇きで死にかけている子供のように薬を飲みました。

「もうそれ以上は。お願いだ。もうそれ以上は」

しかしダンブルドアは薬を飲み干すと内臓に火がついたように叫び声を上げました。ハリーは「もうすぐです。先生。これを飲んで。飲んでください」と言ってダンブルドアの肩を支えました。すると今度もそうだったのでした。

不思議にもダンブルドアはまたしても薬を飲み干しました。ハリーはまた立ち上がりゴブレットを薬で満たしました。するとダンブルドアはこれまで以上に激しい苦痛の声を上げ始めました。ダンブルドアはこう叫んだのでした。

「わしは死にたい!止めさせてくれ!止めさせてくれ!死にたい!」

ハリーは「飲んでください。先生これを飲んでください」と言いました。するとダンブルドアは飲みました。そして飲み干すや否や「殺してくれ!」と叫びました。そして今度のが最後の一杯でした。ハリーは喘ぎながら・・・

「飲むんです。終りますから。全部終りますから!」

ダンブルドアはゴブレットをぐいと傾けると最後の一滴まで飲み干しました。そして大きく最後の息を吐き転がってうつ伏せになりました。

今日の最後に
この燐光を発するエメラルド色の液体は何なのか?飲み干さなければ分霊箱を手に入れる事はできない。ハリーが「劇薬だったら?」との懸念を示すのに対してダンブルドアは「そのような効果を持つ物ではない」と言いました。

その考えもまた誰に対しても善良さを認めようとするダンブルドアの異常な信念なのだろうか?そう思ったハリーでしたが実はダンブルドアには「飲んでも死に至らない」という絶対的な自信があったからこそこう言えたのです。

何故ダンブルドアが湖を渡る小舟を見つける事ができたのか?それを含めて理由が明らかになりハリーがその事を知るのは第7巻「死の秘宝」なんですよね。それはこの日から僅か数ヵ月後の事になるというわけなんですよね。
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