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ハリポタ通の館(やかた)

ここではハリーポッター・シリーズに関する様々な情報や私の推測(妄想?)をお届けしています。毎週、日曜・月曜・水曜・木曜更新。

死んじゃ駄目です。先生は毒薬じゃないって言った。目を覚ましてください。ハリーは精魂尽き果てたという感じのダンブルドアにこう呼びかけました。辛うじてダンブルドアが口にした言葉は「水」でした。ところがここでハリーは一番やってはいけない事をしてしまったのです。するとダンブルドアは?(全3項目)

3-1.何度唱えても
ハリーは「先生!」と叫んでダンブルドアの脇に膝をつき力一杯抱きかかえて仰向けにしました。ダンブルドアはメガネは外れ口は開き目は閉じていました。ハリーは精魂尽き果てたという感じのダンブルドアを揺さぶり・・・

「先生しっかりして。死んじゃ駄目です。先生は毒薬じゃないって言った。目を覚ましてください。目を覚まして」

ハリーは杖をダンブルドアの胸に向けると「リナベイト!蘇生せよ!」と叫びました。何の変化もありません。もう一度「リナベイト!」と唱えるとダンブルドアの瞼が微かに動きました。それを見てハリーは心が踊りました。

ハリーが「先生。大丈夫?」と訊くとダンブルドアはかすれ声で「水」と言いました。ハリーは弾かれたように立ち上がると駆け寄る際に水盆に落としたゴブレットを掴んで突きながら「アグアメンティ!水よ!」と叫びました。

すると水がゴブレットを満たしました。ハリーはダンブルドアの脇にひざまずいて頭を起こすと唇にゴブレットを近づけました。ところがゴブレットは空になっていました。ダンブルドアは呻き声を上げると喘ぎ出したのでした。

「先生。僕頑張ってます。頑張っているんです」

ハリーは絶望的な声を上げました。しかし聞こえているとは思えませんでした。ダンブルドアは転がって横になり苦しそうに末期の息を吐いていました。そして次には虫の息になっていました。しかし何度やっても駄目でした。

ハリーの頭の中はパニック状態で目まぐるしく動いていました。しかし直感的に水を得る最後の手段は判っていました。ヴォルデモートがそのように仕組んでいたはずだ。残念ながらそれ以外には水を得る方法はないようでした。

ハリーは身を投げ出すようにしてゴブレットを湖に突っ込むと冷たい水を一杯に満たしました。今度こそは水は消えませんでした。ハリーは「先生。さあ!」と叫ぶとダンブルドアに飛びついて不器用にゴブレットを傾けました。

水はダンブルドアの顔にかかりました。やっとの思いでハリーができたのはそれだけでした。するとゴブレットを持っていないほうの腕にひやりとする感触がありました。当然の如くの結果がそこにやって来たというわけです。

それは亡者でした。

3-2.最後の力を振り絞って
湖面はもはや滑らかな鏡のようではなく激しく揺れ動いていました。ハリーの目の届く限り暗い水から白い頭や手が突き出ています。男に女に子供。落ち窪んだ見えない目が岩場に向かって近づいて来ます。死人の軍団でした。

ハリーは必死で呪文を叫びましたが何せ多勢に無勢でした。ハリーは背後から幾つもの腕で締め付けられるのを感じました。痩せこけた薄っぺらな腕がハリーを吊るし上げゆっくりとそして確実に水辺に引きずり込んで行きます。

逃れる道はないとハリーは覚悟しました。自分はここで溺れ引き裂かれたヴォルデモートの魂のひと欠けらつまり分霊箱を護衛する死人の1人になってしまうのか?しかしその時の事でした。暗闇の中から炎が燃え上がりました。

紅と金色の炎の輪が岩場を取り囲みハリーをあれほどまでにがっしりと掴んでいた亡者たちは怯みました。火をかいくぐって湖に戻る事さえできません。亡者はハリーを放しました。地面に落ちたハリーは岩で滑って転びました。

その際に両腕をすりむきましたが何とか立ち上がって杖を構えるとあたりに目を凝らしました。炎を起こしたのはダンブルドアでした。再び立ち上がっていました。顔色こそ包囲をしている亡者と同じく蒼白かったものの・・・

背の高いその姿はすっくと抜きん出ていました。瞳に炎を躍らせ杖を松明のように掲げていました。杖先から噴出する炎が巨大な投げ縄のように周囲の全てを熱く取り囲んでいました。亡者は炎の包囲から逃れようとして・・・

ぶつかり合い闇雲に逃げ惑っていました。ダンブルドアは水盆の底からロケットをすくい上げローブの中に仕舞い込みました。そして無言のままハリーを自分のそばに招き寄せました。ダンブルドアはハリーを小舟へ導きました。

炎に撹乱された亡者たちは獲物のハリーとダンブルドアが去って行く事には気づきません。ダンブルドアが移動をすると炎の輪も一緒に2人を取り巻き動いて行きました。うろたえた亡者たちは我先に湖に滑り落ちて行きました。

全身震えながらもハリーは一瞬ダンブルドアが自力で小舟に乗れないのではと思いました。乗り込もうとしてダンブルドアは僅かによろめきました。持てる力の全てを2人を囲む炎の輪の護りの維持に注ぎ込んでいるようでした。

ハリーはダンブルドアを支え小舟に乗るのを助けました。2人が再びしっかり乗り込むと舟は小島を離れ炎の輪に囲まれたまま湖を戻り始めました。亡者たちはどうやら二度と浮上できないようです。ハリーは喘ぎながら・・・

「先生。僕忘れていました。炎の事を。亡者に襲われて。僕パニックしてしまって」

「当然の事じゃ」

3-3.脱出!
呟くように言うその声があまりに弱々しいのにハリーは驚きました。弱い衝撃と共に小舟は岸に着きました。ハリーは舟から飛び降り急いでダンブルドアを介助しました。岸に降り立った途端にダンブルドアは杖を下ろしました。

炎の輪は消えましたが亡者は二度と水から現れませんでした。小舟は再び水中に沈んで行きました。ダンブルドアは大きな溜め息をつくと洞窟の壁に寄りかかり「わしは弱った」と言いました。そんなダンブルドアにハリーは?

「大丈夫です先生。大丈夫です。僕が先生を連れて帰ります。先生。僕に寄り掛かってください」

ハリーはダンブルドアの傷ついていないほうの腕を肩に回し重みをほとんど全部背負って湖の縁を歩くと元の場所へとダンブルドアを導きました。先生をこんなにも弱らせたのは僕のせいだ。そんなハリーを慰めるように・・・

「防御は最終的には巧みなものじゃった。1人ではできなかったであろう。君はよくやった。ハリー非常によくやった」

ダンブルドアの言葉があまりに不明瞭で足取りも弱々しいのがハリーには心配でなりませんでした。ハリーは「今はしゃべらないでください。お疲れになりますから。もうすぐここを出られます」とダンブルドアに言いました。

「入口のアーチはまた閉じられているじゃろう。わしの小刀を」

こう言うダンブルドアにハリーは「その必要はありません。僕が岩で傷を負いましたから」と答え「どこなのかだけ教えてください」と言いました。ダンブルドアが「ここじゃ」と言った所にすりむいた腕をこすりつけて・・・

ハリーの血の貢ぎ物を受け取り岩は瞬時に再び開きました。2人は外側の洞窟を横切りハリーはダンブルドアを支えながら海に入りました。ハリーは何度も「大丈夫ですよ」と声をかけました。とにかくどうあっても心配でした。

弱々しい声も心配でしたがダンブルドアが無言でいる事のほうがもっと心配でした。もうすぐです。僕が一緒に「姿現わし」します。心配しないでください。こう言うハリーに凍るような海の中で声を僅かに力強くさせて・・・

「わしは心配しておらぬハリー。君と一緒じゃからのう」

ダンブルドアはこう言いました。

今日の最後に
我々が分霊箱を手に入れた時には死体つまり亡者は静かではなくなるだろう。しかし冷たく暗い所に棲む生き物の多くがそうなのだが死体すなわち亡者は光と暖かさを恐れる。だから必要となれば我々はそうした物を味方にする。

だからダンブルドアはハリーに亡者が動き出した時には「火じゃよ」と事前に言っていました。ところがハリーがパニック状態で忘れてしまったがために結局は疲労困憊のダンブルドアが代わりに出す事態になってしまいました。

そのダンブルドアが杖から出した炎は実に巧みな炎でした。2人がいた岩場を取り囲んでいたので亡者は火をかいくぐって湖に戻る事ができずハリーをその場で放しました。お陰でハリーは湖に引きずりこまれないで済みました。

瀕死の状態だというのにダンブルドアはそこまで考えて炎を出したのです。とてつもなく凄かったと言うしかありませんよね。

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