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大勢の参列者が見守る中ハグリッドがダンブルドアの亡骸を持って椅子の間に設けられた通路をゆっくりと歩いて来ました。弔辞が述べられている間もハリーの脳裏にはダンブルドアに関する様々な思いが込み上げて来ました。そして葬儀が終わった時にハリーはジニーに自分の決意を告げたのでした。(全3項目)

3-1.ダンブルドアの亡骸
ハリーが水中人の歌に聞き入っているとジニーがハリーを小突いて振り返らせました。椅子の間に設けられた一筋の通路をハグリッドがゆっくりと歩いて来ました。顔中を涙で光らせてハグリッドは声を出さずに泣いていました。

その両腕に抱かれ金色の星を散りばめた紫のビロードに包まれているのがそれと判るダンブルドアの亡骸でした。ハリーの喉元に熱いものが込み上げて来ました。不思議な音楽に加えてダンブルドアの亡骸がこれほど身近にある。

その思いが一瞬その日の暖かさを全て奪い去ってしまったようなそんな気がしました。ロンは衝撃を受けたように蒼白な顔でした。ジニーとハーマイオニーも大粒の涙をこぼしながらダンブルドアの亡骸を見つめていたのでした。

正面で何が行われているのか4人にはよく見えませんでした。どうやらハグリッドがダンブルドアの亡骸を台の上にそっと載せたようでした。通路を引き返して来るハグリッドを咎めるような目で見ていた人が何人かいました。

その中にはアンブリッジもいました。ダンブルドアなら自分を運んだのがハグリッドだという事を微塵も気にしなかっただろう。そうに違いないとハリーは思いました。ハグリッドがそばを通った時にハリーは合図を送りました。

しかしハグリッドの泣き腫らした眼では自分の行き先が見えている事さえ不思議でした。ハグリッドが向かっている先には巨人のグロウプがいました。驚く事に頭を下げおとなしくほとんど普通の人間のように座っていました。

ハグリッドが隣に座るとグロウプはハグリッドの頭をポンポンと叩きました。その強さでハグリッドの座った椅子の脚が地中にめり込みました。その光景を見てハリーはほんの一瞬だけ愉快になり笑い出したくなるほどでした。

しかしその時に音楽がやんでハリーは正面に向き直ったのでした。

3-2.込み上げる思い
黒いローブの喪服を着た髪がふさふさの小柄な魔法使いが立ち上がりダンブルドアの亡骸の前に進み出ました。弔辞を述べているようで「高貴な魂」とか「知的な貢献」とか「偉大な精神」といった言葉が時折聞こえて来ました。

あまり意味がなくハリーの知っているダンブルドアとはほとんど無縁の言葉でした。この時ハリーが思い出したのは込み上げる笑いを堪えなければならないような言葉でした。ここぞという時には冗談を飛ばす人だったからです。

ハリーの左手の湖で軽い水音がして水中人が水面に姿を現し聞き入っているのが見えました。2年前三大魔法学校対抗試合の「第2の課題」の時にダンブルドアは水辺に屈み込みマーミッシュ語で水中人の女長と話していました。

ダンブルドアはどこでマーミッシュ語を習ったのだろう?ついに聞かずじまいになってしまった事があまりに多い。そう思った途端に全く突然に恐ろしい真実がこれまでになく完璧に否定しようもなくハリーを打ちのめしました。

ダンブルドアは死んだ。逝ってしまった。冷たいロケットをハリーは痛いほど強く握り締めました。それでもなお熱い涙がこぼれ落ちるのを止める事はできませんでした。ハリーは隣に並ぶ3人に涙を見せまいと顔を背けました。

すると木々の間に何かが動きました。ケンタウルスたちもまたダンブルドアに最後の別れを惜しみに出て来たのです。ケンタウルスたちは人目に触れる所には姿を現さず弓を脇に抱えて半ば森の影に隠れて参列者を見ていました。

「禁じられた森」に最初に入った時ハリーは仮の姿のヴォルデモートと初めて遭遇しました。そしてヴォルデモートとの対決の事や勝ち目のない戦いについてダンブルドアと話し合いました。ハリーはその事を思い出しました。

何度も何度も戦って戦い続ける事が大切だとダンブルドアは言いました。そうする事でたとえ完全に根絶できなくとも悪を食い止める事が可能なのだ。ハリーははっきりと気づきました。自分を愛した人々が敵に立ちはだかった。

そうしてあくまでも自分を護ろうとしたのだ。父さんに母さんにシリウス。そしてついにダンブルドアまでも。しかし今やそれは終わったんだ。自分とヴォルデモートの間にはもはや他の誰をも立たせるわけにはいかないのだ。

自分を傷つけるものは何もないなどという幻想は未来永劫に捨て去らなければならない。いや1才の時に既に捨てるべきだったのだ。この悪夢から醒める事はない。本当は安全なのだなどと考えるのは全ては思い込みに過ぎない。

そんな事を闇の中で囁く慰めの声もない。最後のそして最も偉大な庇護者が死んでしまった。ハリーがそんな思いを巡らせていると弔辞を述べていた魔法使いがようやく話すを辞めて席に戻りました。そしてその時は訪れました。

何人かは悲鳴を上げました。ダンブルドアの亡骸とそれを載せた台の周りに眩い白い炎が燃え上がりました。炎は段々高く上がり白い煙が渦を巻いて立ち昇ると不思議な形を描きました。その次の瞬間には炎は消えたのでした。

その後には白い大理石の墓が残されていました。

3-3.ハリーの決意
天から雨のように矢が降り注ぎ再び衝撃の悲鳴が上がりました。しかし矢は参列者から遥かに離れた所に落ちました。それがケンタウルスの死者への表敬の礼なのだとハリーには判りました。水中人もまた去って行ったのでした。

ハリーはジニーにロンとハーマイオニーを見ました。ロンは太陽が眩しいかのように顔をくしゃくしゃにしかめていました。ハーマイオニーは顔を涙で光らせていました。それに対しジニーのほうはもう泣いてはいませんでした。

ハリーの視線をジニーは燃えるような強い眼差しで受け止めました。その瞬間ハリーは2人が完全に理解し合った事を知りました。ジニーは今自分が何を言っても何をしようとしているのかを告げてもそれを受け入れるだろう。

「気をつけて」とか「そんな事をしないで」などとは言わないだろう。何故ならジニーがハリーに期待をしていたのはそれ以外の何物でもないからです。これは言わなければならないんだとハリーは自分を奮い立たせたのでした。

「ジニー話があるんだ。君とはもう付き合う事ができない。もう会わないようにしないといけない。一緒にはいられないんだ」

こう言うハリーにジニーは奇妙に歪んだ笑顔を浮かべながら「何か馬鹿げた気高い理由のせいね。そうでしょう?」と言ったのでした。そんなジニーにハリーは君と一緒だったこの数週間は他の人の人生を生きていたようだった。

でも自分はもう1人でやらなければならない事があるんだ。ヴォルデモートは敵の親しい人たちを利用する。既に君を囮にした事がある。しかもその時は親友の妹だという事だけだった。僕たちの関係がこのまま続けば・・・

君がどんなに危険な目に遭うかを考えてみてくれ。あいつは嗅ぎつけるだろう。あいつには判ってしまうだろう。あいつは君を使って僕を挫こうとするだろう。だからハリーはもうジニーと付き合う事はできないというわけです。

するとジニーはそんなハリーに・・・

今日の最後に
1年生の時ハリーはハグリッドが法律に違反して飼っていたドラゴンのノーバートをウィーズリー家の次男チャーリーに引き渡す事に成功したものの「透明マント」を天文台塔の屋上に忘れるという大失態を演じてしまいました。

そのためフィルチに捕まってしまいホグワーツに入学して初めて罰則を食らってハグリッドと共に「禁じられた森」に足を踏み入れケンタウルスに出会いました。その際にハグリッドはケンタウルスについてこう言っていますね。

「ただの一度もケンタウルスからはっきりした答えを貰ったためしがない。いまいましい夢想家よ。星ばかり眺めて月より近くのものには何の興味も持っとらん」

その一方でハグリッドはケンタウルスについて「俺が何か訊きたい時はちゃんと現れる親切さはある」とも言っています。ケンタウルスたちは心が深いのだそうです。しかし実はケンタウルスたちは本音を隠し持っていたのです。

ダンブルドアがフィレンツェを「占い学」の教師として雇い入れたためケンタウルスたちは激怒しハーマイオニーが画策してアンブリッジを外に連れ出した時に目論見通りに現れたケンタウルスのマゴリアンがこう言っています。

「ヒトに近い知能?人間!我々はそれが非常な屈辱だと考える!我々の知能は有り難い事にお前たちのそれを遥かに凌駕している」

このようにしてダンブルドアがフィレンツェを雇った事でケンタウルスたちが本音を吐露する事になったんですよね。しかしそれでもなおケンタウルスたちはダンブルドアの葬儀には姿を現し礼を尽くしてくれたというわけです。
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