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今回ハリーが2年ぶりに「隠れ穴」にやって来たのはクィディッチ・ワールドカップの決勝戦を見るためでした。でも前夜に夕食を取ったり夜明け前に起きたりキャンプ場に移動して水を汲みに行ったり顔見知りや魔法省の役人など沢山の人々に会ったりと色んな事があった末にようやく試合開始を迎えたのでした。(全3項目)

3-1.ようやく試合開始!
両チームのマスコットによるマスゲームが終わるとようやく選手の入場という事になりました。まず最初にサポーターたちの熱狂的な拍手に迎えられてピッチに現れたのは真っ赤なローブ姿のブルガリア・チームだったのでした。

最後にビクトール・クラムが紹介されるとロンは万眼鏡で姿を追いながら「クラムだ。クラムだ!」と叫びました。ハリーも急いで万眼鏡の焦点を合わせて見ました。その風貌はとても18才とは思えない。ハリーはそう思いました。

次に紹介されたのがアイルランド・チームです。7つの緑の影が素早く横切りピッチに飛びました。ハリーは万眼鏡横の小さなつまみを回し選手の動きをスローモーションにし何とか「ファイアボルト」の文字を読み取りました。

ハリーは昨年の夏休みにダイアゴン横丁の高級クィディッチ用具店で初めてファイアボルトを見た時にアイルランド・ナショナルチームがこの美人箒を買い揃えた事を聞いて知っていました。だから万眼鏡で見たというわけです。

「そして皆さん。はるばるエジプトからおいでの我らが審判。国際クィディッチ連盟の名チェア魔ン。ハッサン・モスタファー!」

最後は審判の紹介でした。とても華奢で小柄な魔法使いでした。スキンヘッドに立派な口髭という風貌でした。競技場にマッチした純金のローブを着て堂々とピッチに歩み出て来ました。大きな木箱を片方の腕に抱えていました。

もう一方の腕で箒を抱えています。モスタファーが箒に跨り木箱を蹴って開けると真っ赤なクアッフル4個と黒いブラッジャーが2個そして金のスニッチが飛び出して行きました。ハリーはほんの一瞬スニッチを目撃しました。

しかしあっという間に見失ってしまいました。そしてバグマン氏が試合開始を告げていよいよ決勝戦が始まったのでした。

3-2.こんな試合は見た事がない!
ハリーはこんなクィディッチの試合を見た事がありませんでした。万眼鏡を持つ手に力が入ったのでメガネの縁が鼻柱に食い込みました。それはもう選手の動きが信じ難いほど速いのです。チェイサーの速さも半端ありません。

クアッフルを投げ合うスピードが速過ぎてバグマン氏は名前を言うのが精一杯でした。ハリーは万眼鏡の「スロー」のつまみをもう一度回し上についている「一場面ずつ」のボタンを押しました。スローモーションになりました。

レンズに文字が明滅し「ホークスヘッド攻撃フォーメーション」と表示されました。ところが個々の細かいプレイに気を取られている内にアイルランドが先取点を取る瞬間を見逃してしまいました。バグマン氏がこう言いました。

「トロイ先取点!10対0。アイルランドのリード!」

「えっ?だってレブスキーがクアッフルを取ったのに!」こう言うハリーにハーマイオニーは「普通のスピードで観戦しないと試合を見逃すわよ!」と注意されました。ハリーは自分に腹を立てながらスピードを元に戻しました。

ハリーが知らない内にトロイが点を入れてアイルランドが先制していたのです。ハリーがふと気づいてみたら先取点を挙げたトロイがピッチをウイニング飛行していたというわけです。これでは試合の見かたが本末転倒ですよね。

ハリーも1年生時からグリフィンドール・チームに所属していたのでクィディッチについてはいささかの知識がありました。そのためアイルランドのチェイサーたちが飛びきり素晴らしい事が判りました。一糸乱れぬ連携プレー。

まるで互いの位置関係で相手の考えを読み取っているようでした。最初の十分でアイルランドは2回点を加え「30対0」と点差を広げました。緑一色のサポーターたちからは雷鳴のような歓声と嵐のような拍手が湧き起りました。

試合運びがますます速くなり加えて荒っぽくなりました。ブルガリアのビーターがアイルランドのチェイサーに向かって思いっ切り激しくブラッジャーを叩きつけて得意技を封じ始めたからです。その結束が二度も崩されました。

その結果ブルガリアが十点を返しました。アーサー氏が大きな声で「耳に指で栓をして!」と言いました。ヴィーラが祝いの踊りを始めていたからです。ハリーはもうゲームに集中をしていたかったので目さえも細めたのでした。

数秒後ハリーがピッチをちらりと見るとヴィーラはもう踊りを止めていてクアッフルは再びブルガリアが持っていました。するとここでバグマン氏が唸り声を上げました。十万人の観衆は息を呑んでいます。その視線の先には?

両チームのシーカーがチェイサーたちの真ん中を割って一直線に急降下していたからです。その速さと言ったら飛行機からパラシュートなしで飛び降りたかのようです。ハリーは万眼鏡でスニッチの行方を探したのですが・・・

3-3.ウロンスキー・フェイント
「地面に衝突するわ!」こう言ったハーマイオニーの指摘が半分当たっていました。ビクトール・クラムは最後の1秒で辛うじて箒を引き上げると螺旋を描きながら飛び去りました。しかしアイルランドのシーカーは駄目でした。

地面に衝突してしまったのです。バグマン氏が声を張り上げ「タイムです!」と言った後「エイダン・リンチの様子を見るため専門の魔法医が駆けつけています!」と知らせたのでした。そうなる事がクラムの狙いだったのです。

アーサー氏に言わせればエイダン・リンチは馬鹿者だそうです。クラムはフェイントをかけたのです。ハリーは急いで「再生」と「一場面ごと」のボタンを押してスピード・ダイアルを回すと再び万眼鏡を覗き込んだのでした。

ウロンスキー・フェイント。シーカーを引っかける危険技

間一髪で急降下から上昇に転じる時にクラムが全神経を集中させるあまり顔を歪ませるのが見えました。ハリーはようやく判りました。クラムはスニッチを見つけたのではない。ただリンチについて来させたかっただけなのだ。

こんな風に飛ぶ人をハリーは今まで見た事がありませんでした。クラムはまるで箒に乗っていないかのようだ。自由自在に軽々と無重力で何の支えもなく空中を飛んでいるようだ。再びクラムを見るとスニッチを探していました。

30メートル下のピッチを隅々まで走っていました。リンチが蘇生するまでの時間を利用して邪魔される事なくスニッチを探しているのです。リンチがようやく立ち上がるとアイルランドのサポータたちがワッと湧いたのでした。

リンチが回復した事でアイルランドは心機一転したようです。モスタファーが再びホイッスルを鳴らすとチェイサーが今までハリーの見たどんな技も比べ物にならないような素晴らしい動きを見せて点差を広げて行ったのでした。

130対10とアイルランドが大量リードを奪いました。

今日の最後に
あの副読本「クィディッチ今昔」によると「ホークスヘッド攻撃フォーメーション」というのは3人のチェイサーが矢じりの形を組みゴールめがけて一緒に飛ぶ。敵に恐怖を与え他の選手を蹴散らすのに極めて効果的だそうです。

次に「ウロンスキー・フェイント」というのはシーカーが遥か下方にスニッチを見つけたふりをして地上に向かって急降下するが競技場の地面にヒットする寸前に上昇に転じる。敵のシーカーに真似をさせておいた上で・・・

地上に激突するよう仕向ける作戦と説明されています。何でもポーランドのシーカーのヨセフ・ウロンスキーにちなんでこう命名されているんだそうです。当然ハリーは「スリザリン戦で試したい!」とそう思ったでしょうね。

でもそれは実現しませんでした。何故なら三大魔法学校対抗試合の開催に伴いクィディッチの試合がなくなってしまったからです。
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