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自分たちのほうに誰かがやって来る。最初に気づいたのはハーマイオニーでハリーとロンも急いで振り返りました。ところがハリーがいくら呼びかけても返事がないのです。すると突然聞き覚えのない声が聞こえたかと思うと空に巨大な髑髏が現れて・・・(全3項目)

3-1.闇の印
ようやく安全な所まで逃げて来れた。そんな安心感もあって色々と話し込んでいたハリーたち3人だったのですがハーマイオニーが突然言葉を切って後ろを振り向きました。それを見てハリーとロンも急いで振り返ったのでした。

誰かがこの空き地に向かってやって来る音がしたからです。3人は暗い木々の陰から聞こえる不規則な足音に耳を澄ませました。突然その足音が止まりました。ハリーが「誰かいますか?」と呼びかけましたが返事はありません。

ハリーは立ち上がって木の陰から向こうを窺いました。暗くて遠くまでは見えません。それでも目の届かない所に誰かが立っているのが感じられます。そしてハリーが「どなたですか?」と問いかけた次の瞬間の事だったのです。

「モースモードル!」

すると何の前触れもなくこの森で聞き覚えのない声が静寂を破りました。その声は恐怖に駆られた叫びではなく呪文のような音でした。そして音が発せられたあたりから巨大な緑色に輝く何かか立ち上がり空に舞い上がりました。

ロンが弾けるように立ち上がり息を呑んで空に現れたものを凝視しました。一瞬ハリーは「レプラコーンの描いた文字か?」と思いました。しかしすぐに違うと気づきました。巨大な髑髏で口からは蛇が這い出していたのでした。

突然周囲の森から爆発的な悲鳴が上りました。ハリーには何故悲鳴が上がるのか分りませんでした。唯一の原因は目の前に上ったこの髑髏です。しかしハリーがいくら闇に目を走らせても髑髏を出した主は見当たりませんでした。

ハリーはもう一度「誰かいるの?」と問いかけました。するとハーマイオニーが上着の背を掴んでハリーを引き戻しました。ハーマイオニーが蒼白な顔で震えているのでハリーは驚き「一体どうしたんだい?」と訊いたのでした。

ハーマイオニーはあれは「闇の印」すなわちヴォルデモートの印だと言うのです。ハリーたち3人は空き地を出ようとしました。ところが急いだ3人がほんの数歩も歩かない内に20人の魔法使いが現れて包囲されてしまいました。

そしてぐるりと周りを見回した瞬間でした。

3-2.誰が「闇の印」を出した?
ハリーは包囲した20人の魔法使いが手に手に杖を持って一斉に杖先を自分たち3人に向けている事に気づきました。考える間もなくハリーは「伏せろ!」と叫ぶとロンとハーマイオニーの2人を掴んで地面に引き下ろしたのでした。

「ステューピファイ!麻痺せよ!」

20人の声が轟き目の眩むような20本の閃光が杖先から発射され空き地をまるで突風が吹き抜けたかのようでした。ハリーは髪の毛が波立つのを感じました。ハリーが僅かに頭を上げると発せられたのは炎のような赤い閃光でした。

「辞めろ!辞めてくれ!私の息子だ!」

髪の波立ちが収まり聞き覚えのある声でこう叫ぶのが聞こえて来たのでハリーは頭をもう少し上げてみました。叫んだのはアーサー氏でした。顔は真っ青で大股でこちらにやって来て3人に「みんな無事か?」と言ったのでした。

すると無愛想な冷たい声で「どけアーサー」と声がしました。魔法省の役人たちと一緒に3人の包囲網を縮めながらこう言って来たのは顔を怒りで引きつらせたクラウチ氏でした。刺すような目で見ながらこう言って来ました。

「誰がやった?お前たちの誰が闇の印を出したのだ?」

ハリーは髑髏を指差しながら「僕たちがやったんじゃない!」と言いロンも憤然として「僕たち何にもしてないよ!」と言って父親のアーサー氏を見ました。さらにロンは「何のために僕たちを攻撃したんだ?」と抗議しました。

そのロンに杖を突きつけたままでクラウチ氏は「白々しい事を!お前たちは犯罪の現場にいた!」と狂気じみた顔で叫びました。あくまでもハリーにロンとハーマイオニーの内の誰かが「闇の印」を出したと言いたいようでした。

すると1人の魔女がクラウチ氏に「みんな子供じゃないの。あんな事ができるはずは」と言って来ました。すると機転を利かせるようにしてアーサー氏が3人に「あの印はどこから出て来たんだね?」と素早く訊いたのでした。

木立の陰に誰かがいた。何か呪文を叫んだ。ハーマイオニーが「あそこよ」と声の聞こえたあたりを指差して震え声でこう答えるとクラウチ氏は「あそこに誰かが立っていたと言うのかね?」とハーマイオニーに言ったのでした。

「呪文を唱えたと言うのかね?お嬢さん。あの印をどうやって出すのか大変よくご存知のようだ」

顔中にありありと「誰が信じるものか」と書いてあります。今度はクラウチ氏はハーマイオニーこそが「闇の印」を出したと言いたいようでした。しかしそう信じて疑わない人はこの場でクラウチ氏だけのようだったんですよね。

先ほどの魔女が頭を振ってこう言いました。遅すぎる。もう「姿くらまし」しているでしょう。すると「そんな事はない」と言って来たのがエイモス・ディゴリー氏でした。あの木立を「失神光線」が突き抜けたからだそうです。

だから犯人に当たった可能性は大きいと言うのです。エイモス氏はハーマイオニーが指差したあたりの木立に入って行きました。数秒後「よし!捕まえたぞ。ここに誰かいる。気を失ってるぞ」と叫ぶのが聞こえて来たのでした。

「誰か捕まえたって?誰だ?一体誰なんだ?」

信じられないという声でクラウチ氏がこう叫びました。木立の中から姿を現わしたエイモス氏は両腕に小さなぐったりした何かを抱えていたのでした。何と驚くべき事にエイモス氏が木立の中で捕まえ腕に抱えて来たものとは?

屋敷しもべ妖精のウィンキーだったのです。

3-3.ウィンキーを巡って
エイモス氏がその足下にウィンキーを置いた時クラウチ氏は身動きもせず無言のままでした。顔は蒼白で激しく動揺している様子でクラウチ氏はウィンキーを見下ろしたままで立ちすくんでいました。ようやく我に返ると・・・

途切れ途切れに「こんなはずはない。絶対に」と言うとエイモス氏の後ろに回り荒々しい歩調でウィンキーが見つかったあたりへと歩き出しました。そして茂みを掻き分けて探し始めたのでした。そんなクラウチ氏に対し・・・

「無駄ですよ。クラウチさん。そこには他に誰もいない」

しかしクラウチ氏はエイモス氏のこの言葉を鵜呑みにはできないようでした。あっちこっちと動き回って探す音が聞こえて来ました。エイモス氏は気を失っているウィンキーを見下ろしながら強張った表情でこう言ったのでした。

「何とも恥さらしな。バーティ・クラウチ氏の屋敷しもべとは。何ともはや」

エイモス氏のこの言い方はまるでウィンキーが「闇の印」を出したと言いたげでした。そこでアーサー氏が「闇の印」は魔法使いの合図だ。創り出すのには杖がいると言うとエイモス氏からは何とこんな言葉が返って来たのです。

「そうとも。そしてこの屋敷しもべは杖を持っていたんだ」

アーサー氏が「何だって?」と訊くとエイモス氏は「ほらこれだ」と言って杖を持ち上げアーサー氏に見せました。これは杖の使用規則の第3条の「人にあらざる生物は杖を携帯し又はこれを使用する事を禁ず」の違反だそうです。

するとそこに再び「姿現わし」でルード・バグマン氏が現れました。バグマン氏は「闇の印」を見上げて喘ぎ魔法省の役人たちに何か訊こうとしました。しかし顔を向けた拍子に危うく足下のウィンキーを踏みそうになりました。

「一体誰の仕業だ?捕まえたのか?バーティ!一体何をしてるんだ?」

バグマン氏がこう言っているとクラウチ氏が手ぶらで戻って来ました。顔は蒼白のままで両手と口髭は激しく痙攣していました。屋敷しもべ妖精が席を取っていたのにどうして来なかった?バグマン氏はこう問い質したのでした。

ここでバグマン氏はようやく足下に横たわるウィンキーに気づきました。バグマン氏が「この屋敷しもべは一体どうしたんだ?」と訊くとクラウチ氏は自分は忙しかった。それにウィンキーは失神術にかかっていると答えました。

「失神術?ご同輩たちがやったのかね?しかしどうしてまた?」

こう言った後バグマン氏の顔に「そうか!」という表情が浮かびました。しかしバグマン氏はウィンキーが「闇の印」を創り出したとは考えられないとそう言うのです。やり方も知らないだろう。それにそもそも杖がいるだろう。

そんなバグマン氏にエイモス氏が「ああまさに持っていたんだ。杖を持った姿で私が見つけたんだよ」と言ったのでした。そこでエイモス氏はクラウチ氏に異議がなければウィンキーの言い分を訊いてみたいと進言したのでした。

今日の最後に
バーティ・クラウチ氏と云えばパーシーがまさに神様のように崇拝又は尊敬しています。そしてハリーも初めて会った時にはその完璧な身なりを見てパーシーが惚れ込むのは当然だとそう思わしめるほどの人物だったんですよね。

ところがハリーたちが「闇の印」の下で発見されると態度を一変させ「誰がやった?お前たちの誰が闇の印を出したのだ?」などと言い出す有り様でしかもそう思ったのは駆けつけた20人の内のクラウチ氏1人だけのようでした。

でもハーマイオニーを犯人扱いしたりロンに杖を突きつけたりしてもクラウチ氏はハリーに向かって「お前が闇の印を出したんだろう」とは言っていませんよね。つまりクラウチ氏は最後の一線だけは超えてはいなかったのです。

冷静さを失っていてもクラウチ氏も流石にハリー・ポッターが「闇の印」を創り出したとは言えなかったというわけなんですよね。しかしハリーと一緒にいたロンとハーマイオニーを疑うのも「何だかなぁ」という感じですよね。
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