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ハリポタ通の館(やかた)

ここではハリーポッター・シリーズに関する様々な情報や私の推測(妄想?)をお届けしています。毎週、日曜・月曜・水曜・木曜更新。

あれから2年の歳月が流れてハリーがプリベット通り4番地を去りダーズリー一家に別れを告げる日がやって来ました。ところがハリーはダドリーから思ってもみなかった言葉を聞かされる事になったのです。そして去り際にダドリーはハリーに対して・・・(全3項目)

3-1.ダドリー・ダーズリー2つ目、その1
ハリーは血を流していました。怪我した右手を反対の手で押さえ小声で悪態をつきながら2階の寝室の扉を肩で押し開けました。すると今度は陶器の割れる音がしてハリーは扉の外に置かれていた紅茶カップを踏んでいました。

ハリーは「一体何だ?」と言うとあたりを見回しました。プリベット通り4番地の2階の階段の踊り場には誰もいませんでした。紅茶カップはダドリーの仕掛けた罠だったのかもしれない。賢い「間抜け落とし」と考えたのだろう。

出血している右手を上げて庇いながらハリーは左手で陶器の欠けらを掻き集めてゴミ箱に投げ入れました。それから腹立ち紛れに足を踏み鳴らしてバスルームに行くと怪我した指を蛇口の下に突き出して血を洗い流したのでした。

それからハリーはトイレットペーパーを分厚く巻き取ってこぼれた紅茶をできるだけきれいに拭き取り部屋に戻って扉を閉めました。その日ハリーは午前中一杯かけ学校用のトランクを完全に空にするという作業をしていました。

ハリーがこの作業をしたのは初めての事でした。これまではトランクの上から四分の三ほどを学期が始まる前に入れ替えただけで一番下の四分の一には手をつけませんでした。その万年床に右手を突っ込んで怪我をしたのでした。

薬指に鋭い痛みを感じ引っ込めるとひどく出血していたのです。ハリーは今度はもっと慎重に取り組もうとトランクの脇に膝をついて底のほうに探りを入れました。切り傷の犯人は名付け親のシリウスがくれた「両面鏡」でした。

もう欠けらは残っていないかと注意深く手探りをしましたが粉々になったガラスが一番底にあった物にくっついて光っているだけでシリウスの最後の贈り物は他には何も残ってはいませんでした。辛い思い出が蘇って来ました。

ハリーはトランクの整理に専念する事で胸の痛みを堰き止めようとしました。無駄な物を捨てて残りを必要な物と不必要な物とに分けて積み上げトランクを完全に空にするのに一時間かかりました。最後は新聞の山の整理でした。

「おいこら!」

下からバーノン叔父さんがハリーをこう呼ぶ声が聞こえて来ました。でもハリーはすぐには返事をしませんでした。今ほんの一瞬だけ名付け親のシリウスの形見の「両面鏡」にダンブルドアの青い目が見えたような気がしたのです。

3-2.ダドリー・ダーズリー2つ目、その2
ハリーはとっさの判断で持って行く荷物を詰め込んだリュックサックにシリウスの「両面鏡」も入れました。ハリーが階段の上に姿を現すとバーノン叔父さんは大声で「ぐずぐずするな!下りて来い。話がある!」と言いました。

ハリーが居間に入るとダーズリー一家3人が揃っていました。全員旅支度でした。ハリーが椅子に座ると叔父さんは往ったり来たりを始めました。ペチュニア叔母さんとダドリーは心配そうな顔で叔父さんの動きを見ていました。

不機嫌そのものの紫色の面持ちでようやくハリーの前で立ち止まると叔父さんは「気が変わった」と言いました。ハリーが「そりゃあ驚いた」と言うとペチュニア叔母さんは「そんな言い方はお辞めなさい」と言おうとしました。

「戯言も甚だしい。一言も信じないと決めた。わしらはここに残る。どこにも行かん」

ペチュニア叔母さんの言葉を途中で手を振って制すると叔父さんはこう言いました。ハリーは怒るべきか笑うべきか複雑な気持ちになりました。この4週間というものバーノン叔父さんは24時間毎に気が変わっていたんですよね。

そのたびに車に荷物を積んだり降ろしたりを繰り返していました。ある時はダドリーが自分の荷物に新たにダンベルを入れたのに気づかなかったため押しつぶされ痛い思いをしました。これはハリーのお気に入りの一場面でした。

お前つまりハリーが言うには自分たち一家が狙われている。そう言うがそれはこの家を乗っ取る罠だと言うのです。このあたりは住宅の値段がうなぎ上りだから権利書がハリーの名前になって邪魔な自分たちは追い出されてしまう。

そう言い張る叔父さんにハリーは「僕にはもう家がある。名付け親が遺してくれた家だよ」と反論しました。そしてとどめの一言を浴びせかけたのです。どうして僕がこの家を欲しがると言うんだ?楽しい思い出が一杯だから?

何故この4週間こうもバーノン叔父さんは激しく気持ちを揺れ動かしているのか?それはその4週間前に前触れもなくこの家にアーサー・ウィーズリーとキングズリー・シャックルボルトという2人の魔法使いが訪問したからです。

「そうだとも。あいつが一番だ!」

実はダーズリー一家はキングズリー・シャックルボルトの事を気に入っていました。3人は病院を公式見舞いするマグルの首相の背後にぴったり従いてさり気なく歩くキングズリーの姿をテレビのニュースで見つけたのでした。

キングズリーはマグルの洋服を着こなすコツを心得ている。さらにはゆったりとした深い声は何かしら人を安心させるものがある。それやこれやでダーズリー一家は「自分たちに付き添うならあの男だ」とそう思っているのです。

「でもキングズリーの役目は決まってる。だけどヘスチア・ジョーンズとディーダラス・ディグルなら十分にこの仕事を」

こう言うハリーに叔父さんは「履歴書でも見ていれば」と食い下がろうとしました。しかしハリーは立ち上がって叔父さんに詰め寄ると言ったのでした。衝突とか爆発とか脱線だとかテレビでやっているのはただの事故じゃない。

人が行方不明になったり死んだりしている裏にはヴォルデモートがいるんだ。あいつはマグルを殺害するのを楽しんでいるんだ。霧が出る時だって吸魂鬼の仕業なんだ。吸魂鬼が何なのか思い出せなかったら息子に訊いてみろ!

するとダドリーの両手がびくっと動いて口を覆いました。両親とハリーが見つめているのに気づくとダドリーはゆっくりと手を下ろしてハリーに「いるのか。もっと?」と訊いたのでした。その問いにハリーはこう答えました。

「もっと?僕たちを襲った二体の他にもっといるかって?もちろんだとも。何百いや今はもう何千かもしれない。恐れと絶望を食い物にして生きる奴らの事だ」

それでも叔父さんは自分の仕事はどうなる?ダドリーの学校は?などと言って来ましたがハリーがまだ判っていないのか?奴らは僕の父さんや母さんとおんなじように叔父さんたちを拷問して殺害するんだと怒鳴ったのでした。

「パパ。パパ。僕騎士団の人たちと一緒に行く」

ダトリーがこう言って話は決着しました。ハリーはダドリーに「生まれて初めてまともな事を言ったぜ」と言ってその言葉を絶賛しました。ダドリーが怖気づいて騎士団の助けを受け入れるなら親も従いて行くと思ったからです。

3-3.ダドリー・ダーズリー2つ目、その3
こうしてダドリーの鶴の一声でダーズリー一家は騎士団の保護下に入る事になりました。ところがあのハリー・ポッターに対してダーズリー一家があまりに冷淡な事にヘスチア・ジョーンズがショックを受ける事になったのです。

「私たちの仲間と一緒に行く?」

バーノン叔父さんの言葉を聞いてヘスチアは憤慨したようです。ハリーはヘスチアに「気にしないで。本当に何でもないんだから」と言いましたがヘスチアは声を高く険悪にして「何でもない?」と聞き返した後こう言いました。

「この人達はあなたがどんな経験をして来たか判っているのですか?あなたがどんなに危険な立場にあるか知っているの?反ヴォルデモート運動にとってあなたが精神的にどんなに特別な位置を占めているか認識しているの?」

こう言うヘスチアにハリーは「この人たちには分っていません。僕なんか粗大ゴミだと思われているんだ。でも僕慣れてるし」と答えました。すると何とダドリーが「お前。粗大ゴミじゃないと思う」と言うではありませんか。

ハリーにとっては信じ難い言葉でした。実際にダドリーが言うのをこの目で見ていなかったら耳を疑った事でしょう。今その言葉を発したのがダドリーだと納得をするのに数秒を要しました。間違いなくダドリーがそう言った。

ダドリーは赤くなっていました。ハリーはきまりが悪くなりましたし意表を衝かれて驚いていました。ハリーは言葉を途切れがちにして「えーと。あの。ありがとうダドリー」と言いました。するとこんな言葉が返って来ました。

「お前は俺の命を救った」

ハリーはダドリーのこの言葉に「正確には違うね。吸魂鬼が奪い損ねたのは君の魂さ」と応えました。ハリーは不思議なものを見るようにダドリーを見ました。そしてたった今はたと思い当たりました。あの紅茶カップの事です。

今朝ハリーが踏んづけたあの冷めた紅茶カップは悪戯ではなかったかもしれない。ハリーはそれに気づいて胸が熱くなりかけました。ダドリーは母親からそっと離れるとハリーのほうに歩いて来ました。ハリーは驚いたのでした。

「驚いたなぁダドリー。吸魂鬼に別な人格を吹き込まれたのか?」

ダドリーが手を差し出して来たのでハリーはそれを見てこう言いました。ダドリーは「分んない。またなハリー」と小声で言いました。ハリーは差し出されたダドリーの手を取って握手をしました。そしてこう言ったのでした。

「ああ多分ね。元気でなビッグD」

今日の最後に
自分が魔法使いだと知りホグワーツに入るまではハリーが一番憎かったのはダドリー・ダーズリーでした。それが11才になり魔法界に足を踏み入れホグワーツに入ってからは最も憎むべき存在はドラコ・マルフォイになりました。

マルフォイに比べればダドリーなんて心優しい少年に思えてくる。それがハリーの偽らざる気持ちでした。マルフォイもまたホグワーツの戦いの時にハリーに命を助けられました。でもマルフォイは歩み寄っては来ませんでした。

19年後にキングズ・クロス駅のホームで会っても頭を下げただけでした。やはりダドリーのほうが「いい奴だった」というわけなんですよね。

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