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今週はドローレス・アンブリッジの登場シーンで私が気に入っている4つの場面を紹介してみる事にしました。ハリーがアンブリッジと初めて会ったのは魔法省で懲戒尋問を受けた時でした。その第一印象はハリーにとってはむしろ衝撃的と言えるものでした。(全3項目)

3-1.ファッジの右隣
4年生の学期末にヴォルデモートの復活を見届け夏休みにプリベット通り4番地に帰って来たハリーは日々苛立ちを募らせていました。それと言うのも「日刊予言者新聞」に全くヴォルデモート復活の記事が載らなかったからです。

ところがそんな事など吹き飛ぶ出来事が起きてしまったのでした。4番地近くのマグノリア・クレセント通りとウィステリア・ウォークを結ぶ狭い路地に何と吸魂鬼が現れました。そしてハリーとダドリーに襲いかかったのです。

実はハリーには不死鳥の騎士団の誰かが交替で密かに護衛についていました。ところがこの時に限っては当番だったマンダンガス・フレッチャーが任務を放り出してその場にいませんでした。最悪のタイミングだったんですよね。

そのためハリーは自分で守護霊を創って吸魂鬼を追い払わなくてはなりませんでした。魔法省からはハリーはホグワーツを退校処分になるとの公式警告状が一旦届きました。しかしすぐにそれを取り消すという手紙が届きました。

その代わりに8月12日に懲戒尋問が行なわれ公式決定はその日に下されるとの事でした。ハリーはそれから3日後にプリベット通り4番地からロンドンのグリモールド・プレイス12番地の不死鳥の騎士団の本部に移動したのでした。

そして魔法省に勤めるアーサー氏が付き添ってハリーは初めて魔法省に足を踏み入れました。アーサー氏も外来者用の入口を使うのは初めてでした。ところがこの日も予想外の出来事が起きてアーサー氏は慌てる事となりました。

その日の朝に手紙が届いて懲戒尋問が行なわれる法廷が変更され開始時間が3時間繰り上がったのです。ハリーが入ったのは地下にある10号法廷でした。ハリーが入って行くとおよそ50人もの赤紫のローブを着た人々がいました。

胸の左側に複雑な銀の飾り文字で「W」の印がついています。厳しい表情をしている者もいれば率直に好奇心を露わにしている者もいました。全員がハリーを見下ろしています。そしてその中央の最前列に問題の人物がいました。

ハリーの目の前でヴォルデモートの復活を真っ向から否定した魔法大臣コーネリウス・ファッジです。そしてそのファッジの右隣にいたのがハリーにとっては初対面になるドローレス・アンブリッジその人だったというわけです。

3-2.想像した声と違う
ファッジの左隣に座っていたのが本来ならハリーを1人で尋問するはずだった魔法法執行部部長のアメリア・ボーンズでした。右隣のアンブリッジはぐっと後ろに身を引いて座っているので顔が陰になっていて見えませんでした。

「懲戒尋問8月12日開廷。未成年魔法使いの妥当な制限に関する法令と国際機密保持法の違反事件。被告人ハリー・ジェームズ・ポッター。住所サレー州リトル・ウィンジング、プリベット通り4番地」

ファッジが朗々とこう述べてハリーの懲戒尋問が始まりました。この夏からファッジの秘書になったロンの兄で家族と仲違いをした三男のパーシーが最前列の一番端に座っていてすぐさま記録を取り始めました。ところがでした。

3人の尋問官とその法廷書記のパーシーの名前が読み上げられた所でウィゼンガモットのメンバーたちが騒然となりました。ハリーもあまりに急に振り向いたので首が音を立てて捻れました。法廷にもう1人入って来たからです。

「被告側証人アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア」

濃紺のゆったりと長いローブを着たダンブルドア校長がこの上なく静かな表情で部屋の向こうから粛々と大股に歩いて来ました。ハリーの胸には力強い感情が湧き上がる一方でファッジのほうは完全に落ち着きを失っていました。

ダンブルドアの出廷を阻止するために懲戒尋問の開始を3時間繰り上げたのにダンブルドアが来てしまったからでした。この懲戒尋問に於ける最大の焦点は吸魂鬼に襲われたと主張するハリーの証言の信憑性だったんですよね。

ダンブルドアは目撃証人としてフィッグばあさんを連れて来ていました。しかしファッジの頭の中は「ハリーの言う事は全て嘘だ」という固定観念で満たされていたので「あまり信用できない証人だった」と高飛車に言いました。

ハリーの主張に沿う証言など一切信用できないというわけです。だからろくに聞いてもいませんでした。一方魔法法執行部部長アメリア・ボーンズはそんな先入観もなく聞いていたので「いやどうでしょうね」と言ったのでした。

「おお。吸魂鬼が偶然そこにいたと信じる者はここには誰もおらんじゃろう」

ハリーの言う通り吸魂鬼は本当にいたのか?ファッジとアメリア・ボーンズがそう話し合っているとダンブルドアがこう言いました。するとファッジの右隣に座っているアンブリッジがこの言葉を聞いて少し身動きをしました。

「それは連中が命令を受けてそこにいたという事じゃ」

ファッジが「それはどういう意味かね?」と訊くとダンブルドアはこう答えました。しかしファッジは誰かが命令をして吸魂鬼がリトル・ウィンジングに行ったのなら魔法省つまり我々のほうに記録が残っていると反論しました。

「それなれば我々は自らに問うてみんといかんじゃろう。魔法省内の誰かが何故2人の吸魂鬼に8月2日にあの路地に行けと命じたのか」

ダンブルドアのこの言葉で全員が完全に黙り込みました。そんな中で1人だけ違う行動を取る人物がいました。それがファッジの右隣に座っていたアンブリッジでした。身を乗り出して来たのでハリーは初めてその顔を見ました。

「わたくしきっと誤解してますわね。ダンブルドア先生」

ファッジに「発言を許す」と言われてアンブリッジはこう言いました。アンブリッジが女の子のような甲高い声でひらひらと話し出したのでハリーはびっくり仰天しました。見た目から嗄(しわが)れ声だとそう思ったからでした。

「愚かにもわたくしほんの一瞬ですけどまるで先生が魔法省が命令してこの男の子を襲わせた!そうおっしゃってるように聞こえましたの」

アンブリッジは冴えた金属音で笑いました。その笑い声を聞いてハリーは後頭部の毛がぞっと逆立つような気がしました。そのぐらいアンブリッジの話し声も笑い声も外見からは全く想像ができず違和感があったというわけです。

「吸魂鬼が魔法省からしか命令を受けない事が確かだとなればそして1週間前2体の吸魂鬼がハリーといとこを襲った事が確かだとなれば論理的には魔法省の誰かが襲うように命令したという事になるじゃろう」

こう言った上でダンブルドアはさらに2体の吸魂鬼が魔法省が制御できない状態だった可能性もあるとそう言うのです。しかしファッジは魔法省の統制外にある吸魂鬼はいないとダンブルドアのこの説を真っ向否定したのでした。

3-3.法廷を出る時にも
結局ハリーは圧倒的多数が手を挙げ無罪放免という事になりました。アメリア・ボーンズが「有罪に賛成の者?」と言って手を挙げたのはファッジとそれ以外には5人ないし6人でした。それを見てダンブルドアはこう言いました。

「結構。結構。無罪放免。上々」

ダンブルドアは軽快な声でこう言うと即座に立ち上がって杖を取り出し自分とフィッグばあさんが座るために出した2つの椅子を消して「さてわしは行かねばならぬ。さらばじゃ」と言ってアッという間に法廷を出て行きました。

それを見てハリーは驚愕しました。ハリーの心はホッとした気持ちとショックとの間で葛藤していました。ウィゼンガモットの裁判官たちは全員立ち上がり話したり書類を集めたりと帰り支度をしていたというわけなんですよね。

ハリーは立ち上がりました。しかし誰もハリーの事など全く気にかけていないようでした。ハリーは「もう行ってもいいんですか?」と訊きたくてファッジかアメリア・ボーンズの視線を捕らえようとしましたが全く駄目でした。

何故ならファッジは意地でもハリーを見ないようにしているようでアメリア・ボーンズのほうは自分の書類カバンの整理で忙しくしていたからです。ただしファッジの右隣にいたアンブリッジだけがハリーを見下ろしていました。

ハリーは試しに遠慮がちに出口に向かって歩いてみました。呼び止める人がいなかったため今度は早足で最後は駆け足になってハリーは法廷を出ました。ハリーが無罪放免を告げると外で待っていたアーサー氏はこう言いました。

「ハリーそりゃ良かった!まあもちろん君を有罪にできるはずはないんだ。証拠の上では。しかしそれでも正直言うと私はやっぱり」

ここまで言った所でアーサー氏は突然話すのを辞めました。法廷の扉が開きウィゼンガモットの裁判官たちが出て来たからです。今度はアーサー氏が驚愕する番でした。アーサー氏は愕然として「何てこった!」と言うと・・・

ハリーに「大法廷で裁かれたのか?」と訊きました。ハリーは小声で「そうだと思う」と答えました。ファッジはアーサー氏とハリーが壁の一部であるかのように振舞っていましたが違っていたのはまたもやアンブリッジでした。

アンブリッジは通りがかりにまたしてもハリーをまるで値踏みするかのような目つきで見ました。そんなドローレス・アンブリッジをハリーは新学期初日にホグワーツの教職員テーブルでまたも見るという事になったんですよね。

今日の最後に
私がこの場面を気に入っているのは第1にはドローレス・アンブリッジの「本当はこの場に来たくなかった」という思いが透けて見えるからです。そんな思いだったので懲戒尋問が始まった時にはファッジの陰に隠れていました。

第2には「これって私が吸魂鬼を派遣しましたって告白しているようなものじゃないか」という事からです。少なくともダンブルドアは「このドローレス・アンブリッジが吸魂鬼を派遣したんだな」とそう思ったんでしょうね。

この「ずっと黙っていれば良かったのに」と思わせる小心者ぶりを発揮しているアンブリッジを見るのが私は楽しいんですよね。(笑)
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