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ドローレス・アンブリッジが「闇の魔術に対する防衛術」の教職に就いた事でハリーとの関係は裁判官と被告人から教師と生徒という事になりました。そしてその初授業はアンブリッジにとっては自分の意に背く波乱の幕開けという事になってしまったのでした。(全3項目)

3-1.初授業
こうしてドローレス・アンブリッジとハリーの関係はウィゼンガモットの裁判官と被告人からホグワーツの教師と生徒になりました。ハリーを含めたグリフィンドールの5年生が教室に入って行くとアンブリッジはもういました。

生徒は静かに「闇の魔術に対する防衛術」の教室に入りました。アンブリッジ先生はまだ未知数でした。この先生がどのくらい厳しいのかが分らないので生徒は様子見というわけです。生徒が座るとまずは挨拶から始まりました。

アンブリッジが「さあこんにちは!」と挨拶をすると何人かが「こんにちは」とボソボソ挨拶を返しました。するとアンブリッジは気に入らないと言いたげに「チッチッ」と舌を鳴らすと生徒たちにこう言ったというわけです。

「それではいけませんね。皆さんどうぞこんな風に。こんにちはアンブリッジ先生。もう一度行きますよ。はいこんにちは皆さん!」

すると生徒たちは一斉に「こんにちはアンブリッジ先生」と唱えました。それを聞いてアンブリッジは「そうそう難しくないでしょう?」と言いました。ところがその後に言ったアンブリッジの言葉が問題だったというわけです。

「杖をしまって羽根ペンを出してくださいね」

これを聞いて大勢の生徒が暗い目を見交わしました。杖をしまった後の授業が面白かった事がなかったからです。アンブリッジはハンドバッグから異常に短い自分の杖を取り出しました。そしてその杖で黒板を強く叩きました。

闇の魔術に対する防衛術
基本に返れ


するとたちまち黒板にこう文字が現れました。アンブリッジが言うにはこの科目の授業はかなり乱れてバラバラだった。先生が頻繁に変わった上にその先生方の多くが魔法省の指導要領に従っていなかった。しかしご安心なさい。

こうした問題がこれからは是正されるんだそうです。今年は慎重に構築した理論中心の魔法省指導要領通りの防衛術を学んで行くのだそうです。いかにもお役所の上級次官というお偉いさんが言いそうな文言という感じですよね。

1.防衛術の基礎となる原理を理解すること
2.防衛術が合法的に行使される状況認識を学習すること
3.防衛術の行使を実践的な枠組みに当て嵌めること


この3項目がアンブリッジが言う所のこの科目に於ける「授業の目的」との事なんだそうです。要はアンブリッジが今年度の教科書に指定したウィルバート・スリンクハード著の「防衛術の理論」を読めという事なんですよね。

3-2.ハーマイオニーと
アンブリッジが読めと言ったウィルバート・スリンクハード著の「防衛術の理論」は圧倒的につまらない本でした。集中力が抜け落ちて行くのが判りました。そしてハリーはハーマイオニーを見て驚愕して麻痺状態から醒めました。

ハーマイオニーは「防衛術の理論」を開いてもいません。手を挙げてアンブリッジをじっと見つめていました。一方アンブリッジのほうはと云えばハーマイオニーと同じくらい頑固に別の方向を見つめ続けて無視をしていました。

それから数分が経つとハーマイオニーを見つめているのはハリーだけではなくなりました。読みなさいと言われた本があまりにも退屈だったし読み続けようと格闘するよりもハーマイオニーを見ているほうがいいというわけです。

生徒の半数以上が教科書よりもハーマイオニーを見つめるようになるとアンブリッジも「もはや状況を無視するわけにはいかない」と判断したようでした。アンブリッジはたった今気がついたかのようにこう話しかけたのでした。

「この章について何か訊きたかったの?」

アンブリッジのこの問いにハーマイオニーは「この章についてではありません。違います」と答えました。するとアンブリッジは微笑んで「おやまあ今は読む時間よ」と言ったその後ハーマイオニーにさらにこう言ったのでした。

「他の質問ならクラスが終わってからにしましょうね」

するとハーマイオニーは「授業の目的に質問があります」と言いました。それを聞いてアンブリッジは眉を吊り上げて「あなたの名前は?」と訊いて来ました。ハーマイオニーが名前を言うとアンブリッジはこう言ったのでした。

「さあミス・グレンジャー。ちゃんと全部読めば授業の目的ははっきりしていると思いますよ」

アンブリッジはこの言葉をわざとらしい優しい声で言いました。それに対してハーマイオニーは「でも分りません。防衛呪文を使う事に関しては何も書いてありません」と言葉を返しました。それにアンブリッジはこう答えました。

「防衛呪文を使う?」

アンブリッジが言うにはこの授業でハーマイオニーが防衛呪文を使う必要があるような状況が起るとは考えられないとの事でした。それを聞いてロンは思わず「魔法を使わないの?」と声を張り上げました。それが始まりでした。

3-3.自分の意に背く授業になって
「わたくしのクラスで発言したい生徒は手を挙げること」アンブリッジがこう言ったのでロンは手をそれも高く挙げました。しかしアンブリッジはますますにっこりと微笑みながらそれを無視しました。ハリーをも無視しました。

さらに火に油を注いだのがアンブリッジの「あなた方が防衛呪文について学ぶのは安全で危険のない方法で」という発言でした。これを聞いてハリーは思わず「そんなの何の役に立つ?」と大声で抗議してしまう事となりました。

アンブリッジはハリーに発言したいのなら手を挙げろと言いましたがハリーが「これでどうだ!」と言わんばかりに拳を宙に突き上げるとまたもやそれを無視してそっぽを向きました。すると他の生徒も手を挙げ始めたのでした。

「ええとハリーの言う通りでしょう?もし僕たちが襲われるとしたら危険のない方法なんかじゃない」

ディーン・トーマスがこう言ってハリーが言いかけてアンブリッジが途中で遮った言葉を完結させました。するとアンブリッジは人を苛立たせるような笑顔を向けて「このクラスで襲われるのか?」と同じ言葉を繰り返しました。

「さて試験に合格するためには理論的な知識で十分足りるというのが魔法省の見解です。結局学校というものは試験に合格するためにあるのですから」

アンブリッジのこの発言を聞いて手を挙げたのはパーバティ・バチルでした。それじゃ「闇の魔術に対する防衛術」のふくろう試験には実技はないのですか?実際に反対呪文とかやって見せなくてもいいんですかと抗議しました。

「理論を十分に勉強すれば試験という慎重に整えられた条件の下で呪文がかけられないという事は有り得ません」

アンブリッジはパーバティの問いに同じ事を繰り返しこう答えました。これを聞いてパーバティは信じられないという顔をして「初めて呪文を使うのが試験場だとおっしゃるんですか?」とこう反論したというわけなんですよね。

こうしてハリーたちが初めて受けたアンブリッジの授業は当のアンブリッジの意に背いて激しい質疑応答の場になってしまったのでした。

今日の最後に
魔法省内部からの情報によれば魔法大臣コーネリウス・ファッジは君たちつまりホグワーツの生徒に闘う訓練をさせたくないらしい。それはダンブルドアが私設軍団を組織して魔法省と抗争するつもりだろうと考えているからだ。

シリウスがハリーが出した手紙に返事をするためグリフィンドール寮の談話室の暖炉から顔を出してハリーたち3人にこう教えてくれました。つまり「授業の目的」なんていうのは真っ赤な嘘で本当の目的はこれというわけです。

真の目的を隠して授業を行なう。これでは生徒たちが反発して抗議をするのは当然ですよね。何と性格のおとなしいパーバティ・パチルまでも抗議の声を上げた。この事こそが事態の深刻さを切に訴えているという感じですよね。
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