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ハリーが今朝届いた「日刊予言者新聞」を力任せに投げつけたその直後の事でした。ハリーはバーノン叔父さんに呼ばれて居間に下りて来ました。叔父さんが話があるとそう言うのです。その話とはハリーにとっては予想できる内容だったのです。それと言うのも・・・(全3項目)

3-1.呼ばれて居間に
「日刊予言者新聞」に掲載されたリータ・スキーターのインタビュー記事を読み終えたハリーは呆然とその紙面を睨みつけていました。嫌悪感と怒りが反吐のように込み上げて来てハリーはその新聞を力任せに投げつけました。

新聞はゴミ箱の周りに散らばっているゴミの山に加わりました。ハリーは部屋の中を無意識に大股で歩き回りました。怒りで何をしているのかの自覚もないほどでスキーターの言葉が怒涛のようにハリーの脳裏を駆け巡りました。

ハリーは大声で「嘘だ!」と叫びました。窓の向こうで芝刈り機の手を休めていた隣の住人が不安げに見上げました。ところがその時の事でした。明るい鮮やかなブルーがきらりと光るのがハリーの目に飛び込んで来たのでした。

気のせいだ。気のせいに違いない。ハリーは振り返りました。しかし背後にあったのはペチュニア叔母さん好みの気持ちの悪い桃色だ。鏡に映るようなブルーの物はどこにもない。ハリーはもう一度「両面鏡」を覗き込みました。

しかし明るい緑色の自分の目が見つめ返しているだけでした。やはり気のせいだ。それしか説明のしようがない。亡くなったダンブルドア校長の事を考えていたから見えたような気がしただけだとハリーはそう思ったのでした。

アルバス・ダンブルドアの明るいブルーの目が自分を見透かすように見つめる事はもう二度とない。それだけは確かだ。ハリーがそんな事を考えていると玄関の扉が閉まる音がしてバーノン叔父さんが叫ぶ声が聞こえて来ました。

バーノン叔父さんが自分を呼んでいる。しかしそれが判ってもハリーはすぐには返事をしませんでした。今しがたほんの一瞬だけシリウスの形見の「両面鏡」にダンブルドアのブルーの目が見えたようなそんな気がしたからです。

今度はバーノン叔父さんの声が怒鳴り声になったのでハリーはようやくゆっくりと立ち上がり部屋の扉に向かいました。しかし途中で足を止めて持って行く予定の物を詰め込んだリュックサックに両面鏡の欠片を入れたのでした。

「ぐずぐずするな!下りて来い。話がある!」

ハリーが階段の上に姿を現わすとバーノン叔父さんが大声でこう言いました。ハリーが居間に入るとダーズリー一家3人全員が旅支度の服装で揃っていました。ハリーが「何か用?」と訊くと叔父さんが「座れ!」と言いました。

ハリーが眉を吊り上げると叔父さんは「座ってくれないか」と言い換えましたが言葉が鋭く喉に突き刺さったかのように顔をしかめたのでした。ハリーは腰掛けました。次に何が来るのか判るようなそんな気がハリーはしました。

予想は的中しました。

3-2.24時間毎に
バーノン叔父さんは往ったり来たりをし始めペチュニア叔母さんとダドリーはその動きを心配そうな顔で追っていました。叔父さんは意識を集中するあまりその顔を紫色のしかめっ面にしてようやく立ち止まるとこう言いました。

「気が変わった」

ハリーが「そりゃあ驚いた」と言葉を返すとペチュニア叔母さんが「そんな言い方はお辞めなさい」と甲高い声で言いかけましたが叔父さんは手を振って制しました。叔父さんはハリーを睨みつけるとこう言って来たのでした。

「戯言も甚だしい。一言も信じないと決めた。わしらはここに残る。どこにも行かん」

ハリーは叔父さんを見上げて怒るべきか笑うべきか複雑な気持ちになりました。この4週間というもの叔父さんは24時間毎に気が変わっていました。そのたびに車に荷物を積んだり降ろしたりを何度も何度も繰り返していました。

ある時にはダドリーが自分の荷物に新たにダンベルを入れたのに気づかなかったため叔父さんはその荷物を積み直そうと持ち上げた途端に押しつぶされ痛みに大声を上げて悪態をついていました。ハリーお気に入りの場面でした。

「お前が言うには。わしらが。ペチュニアとダドリーとわしだが。狙われるとか。相手は。その」

叔父さんは再び居間の往復を始めると言葉を途切れがちにしながらこう言いました。これにハリーは「僕たちの仲間。そうだよ」と言いました。すると叔父さんはまたもハリーの前で立ち止まってこう言い放ったというわけです。

「うんにゃわしは信じないぞ。昨夜はその事を考えて半分しか寝とらん。これは家を乗っ取る罠だと思う」

これにハリーは「家?どの家?」と訊きました。すると叔父さんは声を上ずらせこめかみの青筋を痙攣させながらプリベット通り4番地のこの我が家を後にするのを辞める事にした理由をとうとうとこのように述べたんですよね。

「この家だ!わしらの家だ!このあたりは住宅の値段がうなぎ上りだ!お前は邪魔なわしらを追い出してそれからちょいとチチンプイプイをやらかしてあっという間に権利証はお前の名前になってそして」

こう言う叔父さんにハリーは「気は確かなの?この家を乗っ取る罠?叔父さん顔ばかりか頭までおかしいのかな?」と問い質したのでした。するとまたもペチュニア叔母さんが「何て口の利き方をするの!」と言おうとしました。

しかしまたしても叔父さんが手を振って制止しました。顔をけなされる事など自分が見破った危険に比べれば何でもないというわけです。留守にしている隙に我が家を乗っ取るつもりなのでは?この叔父さんの懸念に対し・・・

「忘れちゃいないとは思うけど僕にはもう家がある。名付け親が遺してくれた家だよ。なのにどうして僕がこの家を欲しがるってわけ?楽しい思い出が一杯だから?」

ハリーがこう言うと叔父さんは言葉に詰まりました。ハリーは「この一言は叔父さんにはかなり効いた」と思いました。何故バーノン叔父さんはこんなにも激しく気持ちが揺れ動いているのか?それは夏休みに入った直後でした。

2人の魔法使いが我が家を訪れたからだったのです。

3-3.懸命の(?)説得
お前の言い分はその何とかがと言いまたしても歩き始める叔父さんにハリーは苛立ちながら「ヴォルデモート」と言いました。もう百回も話し合ったはずだ。自分の言い分なんかじゃない。事実だとハリーはそう言ったのでした。

叔父さんは怒ったように肩を聳やかしました。ハリーには叔父さんの考えている事が想像できました。ハリーがキングズリー・シャックルボルトとアーサー・ウィーズリー氏の名前を出したからです。前触れもありませんでした。

叔父さんは夏休みに入って間もなく正真正銘の魔法使いが2人この家にやって来たという記憶を振り払おうとしているのです。それがキングズリー・シャックルボルトとアーサー・ウィーズリー氏だったというわけなんですよね。

2人が我が家の戸口に現れたこの事件はダーズリー一家にとって不快極まりない衝撃でした。アーサー氏はかつてこの居間の半分を吹き飛ばした事があったのだから再度の訪問に叔父さんがうれしい顔をするはずなどないのです。

それでもハリーは手加減せずに話をぐいぐい進めました。2人が全部説明したはずだ。自分が17才になれば自分の安全を保って来た守りの呪文が破れるんだ。そしたら叔父さんたちも自分も危険にさらされる。そういう事になる。

騎士団はヴォルデモートが必ず叔父さんたちを狙うと見ている。自分の居場所を見つけ出そうと拷問するためかさもなければ叔父さんたちを人質に取れば自分が助けに来るだろうと考えての事だ。こう言ってハリーは思いました。

それは叔父さんもそうだったようです。その瞬間2人の目が合って「果たしてそうだろうか?」と互いに訝っているのが判ったからです。それから叔父さんはまたしても歩き出してハリーも話し続けたというわけなんですよね。

「叔父さんたちは身を隠さないといけないし騎士団はそれを助けたいと思っているんだよ。叔父さんたちには厳重で最高の警護を提供するって言ってるんだ」

叔父さんは今度は何も言わず居間の往復を繰り返していました。すると唐突に「魔法省とかいうものがあると思ったのだが?」と訊いて来ました。ハリーは驚いて「あるよ」と答えました。そして叔父さんはこう言って来ました。

「さあそれならどうしてそいつらがわしらを守らんのだ?わしらはお尋ね者を匿っただけのそれ以外は何の罪もない犠牲者だ。当然政府の保護を受ける資格がある!」

ハリーはついに我慢ができなくなって声を上げて笑いました。叔父さん自身が軽蔑し信用もしていない世界の政府だというのに既成の権威に期待をかけるなんてとそう思ったからです。そこでハリーはこう答えたというわけです。

2人の言った事を聞いたはずだ。魔法省にはもう敵が入り込んでいるんだ。ハリーがこう答えると叔父さんは暖炉まで行ってまた戻って来ました。息を荒げているので口髭は小刻みに波打ち意識は集中しているので顔は紫色です。

バーノン叔父さんの思いは?

今日の最後に
魔法省にはもう敵が入り込んでいるから駄目なんだ。ハリーにこう告げられるとバーノン叔父さんは暖炉まで行ってまた戻って来ました。息を荒げているので口髭は小刻みに波打ち意識は集中しているのでその顔は紫色でした。

叔父さんの胸中には激しい葛藤が渦巻いていたんでしょうね。魔法界の政府機関の魔法省にも頼る事ができない。もはや自分たちが生き延びるためにはアルバス・ダンブルドアが創設した不死鳥の騎士団の保護下に入るしかない。

1年前の夏休みにダンブルドアは「付き添い姿くらまし」でハリーを「隠れ穴」に送り届けるためにプリベット通り4番地にやって来ました。その時もダーズリー一家3人はダンブルドアにもてあそばれて散々な目に遭いました。

だからそのアルバス・ダンブルドアが創設したという不死鳥の騎士団の世話には絶対になりたくないというのがバーノン叔父さんの本音というわけです。バーノン叔父さんにとってはそれは耐え難い屈辱というわけなんですよね。
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