アルバス・ダンブルドア「死の秘宝」編、その1(18)(52回シリーズ)

ハーマイオニーが「帰って来たわ!」と喜びの声を上げました。ロンがようやく戻って来たからです。そして最後に戻って来たのはビルとフラーでした。しかし待ちかねていた一同を一気に奈落の底に突き落とす知らせを持って戻って来たのでした。それは?(全3項目)

3-1.ハーマイオニー待望の?
待つ時間はとてつもなく長く感じられました。全員が聞こえて来る全ての音に神経を研ぎ澄ましていました。やがて1本の箒がみんなの真上に現れて地上に向かって急降下して来ました。ハーマイオニーが喜びの声を上げました。

「帰って来たわ!」

箒で戻って来たのはロンとトンクスでした。箒から下りるとトンクスは「リーマス!」と叫びながらルーピンの腕に抱かれました。ルーピンは何も言う事ができずに真っ青で硬い表情をしていました。ロンは呆然としていました。

ロンはよろけながらハリーとハーマイオニーのほうに歩いて来ました。そして「君たち無事だね」と呟きました。ハーマイオニーは飛びついてロンをしっかりと抱き締めると「心配したわ。私心配したわ」とそう言ったのでした。

ロンはハーマイオニーの背中を叩きつつ「僕大丈夫。僕元気」と言いました。するとトンクスがルーピンから離れたと思うと「ロンは凄かったわ」とロンを誉めそやし始めました。トンクスはロンについてさらにこう言いました。

「素晴らしかった。死喰い人の頭に失神呪文を命中させたんだから。何しろ飛んでいる箒から動く的を狙うとなると」

トンクスのこの言葉を聞いてハーマイオニーはロンの首に両腕を巻きつけたまま「本当?」と言ってロンの顔をじっと見上げました。するとロンはハーマイオニーから離れながら少しむっとしたようにこう言ったというわけです。

「意外で悪かったね」

3-2.悪い知らせを持って
そして「僕たちが最後かい?」と訊くロンにジニーが「違うわ」と答え続けてビルとフラーにマッド・アイとマンダンガスがまだだと言ってジニーは両親のウィーズリー夫妻に知らせて来ると告げると家に駆け込んで行きました。

「それでどうして遅くなった?何があったんだ?」

ルーピンはまるでトンクスに腹を立てているかのようにこう訊きました。この問いにトンクスは「ベラトリックスなのよ」と答えました。ハリーを狙うのと同じくらいしつこく自分の事を狙っていたとトンクスはそう答えました。

躍起になっていたのだそうです。でもベラトリックスには借りがあったのでやっつけたかったんだそうです。それでもロドルファスには確実に傷を負わせてやったとの事です。それからミュリエルおばさんの家に行ったそうです。

すると「移動キー」の時間に間に合わずミュリエルおばさんに散々やきもきされたのだそうです。ルーピンは頷くだけで何も言えないようでした。そして今度はトンクスがハリーにハーマイオニーとキングズリーに訊く番でした。

トンクスが「それでみんなのほうは何があったの?」と訊くとそれぞれが今夜の旅の事を語りました。でもまだビルにフラーとマッド・アイにマンダンガスが戻っていない事が霜が降りたように全員の心にのしかかっていました。

その冷たさは次第に無視できない辛さになっていました。暫くしてキングズリーが「私はダウニング街の首相官邸に戻らなければならない。1時間前に戻っていなければならなかったのだが」と言い最後に隅々まで空を見ました。

キングズリーは一同に「戻って来たら報せをくれ」と告げるとみんなに手を振りながら門へと歩いて行きました。ルーピンが頷く事で「判った」と返事をしました。それと入れ替わるようにウィーズリー夫妻とジニーが来ました。

ルーピンが「ジョージの様子は?」と訊いたのでロンが「ジョージがどうかしたの?」と口を挟みました。そこでおばさんが説明しようとしましたがその言葉は途中で歓声に呑み込まれてしまいました。セストラルが見えました。

乗っていたのはビルにフラーでした。おばさんが「ビル!ああよかった。ああよかった」と言って駆け寄りましたがビルはおばさんをおざなりに抱き締めただけで父親をまっすぐに見ました。悪い知らせを持って来たからでした。

「マッド・アイが死んだ」

3-3.マッド・アイ・ムーディの訃報を聞いて
それを聞いた瞬間誰も声を上げず動く者もいませんでした。ハリーは体の中から何かが抜け落ちて自分を置き去りにしたまま地面の下にどんどんと落ちて行くようなそんな気がしました。ビルの言った言葉にフラーが頷きました。

「僕たちが目撃した。僕たちが敵の囲みを抜けた直後だった。マッド・アイとダングがすぐそばにいてやはり北を目指していた。ヴォルデモートが。あいつは飛べるんだ。まっすぐあの2人に向かっていった」

「ダングが動転して。僕は奴の叫ぶ声を聞いたよ。マッド・アイが何とか止めようとしたけれどダングは姿くらまししてしまった。ヴォルデモートの呪いがマッド・アイの顔にまともに当たって」

「マット・アイは仰向けに箒から落ちてそれで。僕たちは何もできなかった。何にも。僕たちも6人に追われていた」

フラーも泣いていました。ビルも涙声になりました。何もできなかった。そう言ったビルにルーピンが「当然だ。君たちには何もできはしなかった」と言って慰めたのでした。全員が顔を見合わせて立ち尽くしてしまいました。

ハリーにはマッド・アイ・ムーディが死んだと言われてもまだ納得できませんでした。そんなはずはない。あんなにタフで勇敢で死地をくぐり抜けて来たマッド・アイが死ぬだなんて。到底信じる事などできないというわけです。

やがて誰も口に出しては言いませんでしたが誰もが「もはや庭で待ち続ける意味がなくなった」と気がついたようでした。全員が無言でウィーズリー夫妻を先頭に「隠れ穴」の中の居間へと戻って行ったというわけなんですよね。

そこではフレッドとジョージが笑い合っていました。入って来た一同の顔を次々に見回しフレッドが「どうかしたのか?何があったんだ?誰かが?」と訊いて父親のアーサー氏がそれに「マッド・アイだ。死んだ」と答えました。

フレッドとジョージの笑顔が衝撃で歪みました。トンクスはハンカチに顔を埋めて無言で泣いていました。トンクスはムーディと親しく魔法省ではマッド・アイの秘蔵っ子として目をかけられていた事をハリーは知っていました。

ハグリッドも部屋の隅の一番広く空いている場所に座り込んでテーブルクロス大のハンカチで目を拭っていました。

今日の最後に
マンダンガス・フレッチャーと云えば不死鳥の騎士団のメンバーの中では群を抜いて信頼されておらず信用できない人の事を称して騎士団内では「マンダンガス並みに信用できない」などと言われてしまったりもするんですよね。

これまでもハリーがプリベット通り4番地近くの路上でダドリーと共に吸魂鬼に襲われた時に護衛任務をサボってしまったりシリウスの死後にグリモールド・プレイス12番地から金目の物を盗み出すという悪行を働いていますね。

ハリーもシリウスに「どうしてあの人が騎士団に入ってるの?」と訊いています。その際にシリウスはマンダンガスはダンブルドアに忠実で自分たちの耳に入って来ないような事を聞き込んで来るので価値があると答えています。

何でも一度危ない所を救われた事があるのだそうです。でもマンダンガスがハリーの護衛任務をサボったからこそハリーは最後にダドリーと握手をして別れる事ができました。こういう役目を担うために騎士団員になったのです。

とことん信用できない奴だ。騎士団のメンバーはほとんどの人がそう思っています。でもアルバス・ダンブルドアがメンバーにしたからこそ何でこんな奴をと思いつつもマンダンガス・フレッチャーを受け入れているんですよね。
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