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当サイトでは毎年ここ数年の7月は「ハリーは夏休みをどう過ごしたか?」をお届けする事になっています。今年は第5巻「不死鳥の騎士団」つまり15才になるハリーは夏休みの前中盤をどう過したかを紹介する事にします。その日ハリーは庭の花壇に寝転がって・・・(全3項目)

3-1.庭の花壇に寝転がって
この夏一番の暑い日が暮れようとしていました。プリベット通りの角張った大きな家々はけだるい静けさで覆われていました。普段ならピカピカに光っている車は家の前の路地で埃を被っている。そういう有り様だったのでした。

芝生もカラカラになって黄ばんでいます。日照りのせいでホースで散水する事が禁止されたからです。洗車や芝生を刈ったりする常日頃の趣味を奪われたプリベット通りの住人は日陰を求めて涼しい屋内に引きこもっていました。

そして吹きもしない風を誘い込もうとばかりに窓を広々と開けていました。そんな屋外にただ1人取り残されているのは十代の少年でした。プリベット通り4番地の庭の花壇に仰向けに寝転んでいました。一体全体何故なのか?

痩せて黒い髪のメガネを掛けたその少年は短い間にぐんと背丈が伸びたようで少し具合の悪そうなやつれた顔をしていました。汚いジーンズはボロボロで色の褪せたTシャツはだぶだぶでスニーカーの底は剥がれかけていました。

こんな格好のハリー・ポッターがご近所のお気に召すはずなどありません。何しろみすぼらしいのは法律で罰するべきだと考えているからです。しかしこの日のハリーは紫陽花の大きな茂みの陰に隠れて道からは全く見えません。

もし見つかるとすればダーズリー夫妻が居間の窓から首を突き出して真下の花壇を見下ろした場合だけです。色々考え合わせるとここに隠れるというアイデアは我ながら天晴れとハリーは珍しく自画自賛していたというわけです。

熱くて固い地面の上に寝転がるというのは確かにあまり快適とは言えない。でもここなら誰かさんが睨みつけて来てニュースが聞こえなくなるほどの音で歯噛みしたり意地悪な質問をぶつけられるという事もないというわけです。

何しろダーズリー夫妻と一緒に居間でテレビを見ようとすると必ずそういう事になるのです。つまりハリーが家の外の花壇で寝転んでいるのはテレビのニュースを聞くためというわけです。すると家からこんな声が聞こえました。

「あいつめ割り込むのを辞めたようでよかったわい。ところであいつはどこにいるんだ?」

最後のあいつはどこにいるという叔父さんの問いにペチュニア叔母さんはどうでもいいという口調で「知りませんわ。家の中にはいないわ」と答えました。何故ハリーはここまでしてテレビのニュースを聞きたがっているのか?

それはどこからも情報が入って来ないからなんですよね。

3-2.テレビのニュースに耳を傾け
バーノン叔父さんはウーッと唸ると「ニュース番組を見てるだと」と痛烈にハリーの事を嘲りました。奴つまりハリーの本当の狙いを知りたいもんだ。まともな男の子供はニュースなんぞ興味を持たないと叔父さんは言うのです。

ダドリーなんか世の中がどうなっているのかこれっぽっちも知らん。おそらく首相の名前も知らないと叔父さんは言うのです。いずれにしろわしらのニュースにあの連中つまりは魔法界の事など出て来るはずがないのだそうです。

するとここでペチュニア叔母さんが「バーノン。シーッ!窓が開いてますよ!」と言ってプリベット通り4番地の居間は静かになりました。テレビはまだコマーシャル中でしたがそこに姿を現わしたのはフィッグばあさんでした。

フィッグばあさんは近くのウィステリア通りに住む猫好きで変わり者のばあさんでした。1人で顔をしかめ何やら呟いています。ハリーはフィッグばあさんが通り過ぎるのを見ながら茂みの陰に隠れていてよかったと思いました。

どういうわけかフィッグばあさんは最近ハリーに道で出会う毎にしつこく夕食に誘って来るのです。フィッグばあさんが角を曲がって姿が見えなくなった時にバーノン叔父さんがこう言うのがまたも窓から聞こえて来たのでした。

「ダッダーは夕食にでも呼ばれて行ったのか?」

この問いにペチュニア叔母さんは口調を一変させて愛しそうに「ポルキスさんの所ですよ。あの子は良いお友達が沢山いて本当に人気者で」と答えていました。その言葉を聞いてハリーは吹き出したいのをぐっと堪えたのでした。

この夏休みの間ダドリー軍団の仲間に夜な夜な食事に招かれているという真っ赤な嘘を呆れるほど親馬鹿のダーズリー夫妻は鵜呑みにして来ました。ダドリーは夕食になど招かれておらず毎晩悪行三昧の日々というわけですよね。

ワルガキどもと一緒になって公園で物を壊し街角で煙草を吸い通りがかりの車や子供たちに石をぶつけているのです。ハリーは夕方リトル・ウィンジングを歩き回っている時にダドリーが悪さをしているのを目撃しているのです。

夏休みに入ってからハリーは毎日のように通りをぶらぶら歩いて道端のゴミ箱から新聞を漁っていたのです。ようやくコマーシャルが終わって7時のニュースを告げるテーマ音楽が聞こえて来てハリーは今夜こそはと思いました。

しかし聞こえて来るのはスペインの空港のバゲージ係のストライキが2週目に入り空港に足止めされた夏休みの旅行客の数が最高を記録したとか南東部の旱魃のニュースとかサレー州ではヘリコプターが畑に墜落しそうになった。

最後のニュースはセキセイインコのバンジー君が夏を涼しく過ごす新しい方法を見つけた。それは水上スキーを覚えた事です。それを聞きハリーは「もう聞く価値のあるニュースはないだろう」とそう思ったというわけですよね。

3-3.バシッという大きな音
今年の夏休みは毎日が同じ事の繰り返しでした。緊張に期待と束の間の安堵感。しかもその都度同じ疑問が前にも増して強くなるのです。どうしてまだ何も起らないのだろう。テレビのニュースも最後の最後まで気が抜けません。

もしかしたらマグルには真相が掴めないような謎の失踪事件とか奇妙な事故とか些細なヒントがあるかもしれない。そう思うと最後のニュースまでついつい耳を傾けてしまうというわけなんですよね。そしてその直後の事でした。

ハリーは寝返りを打って腹這いになり窓の下から這い出す用意をしました。その時矢継ぎ早に色々な出来事が起こりました。まるで鉄砲でも撃ったかのような「バシッ」という大きな音が眠たげな静寂を破って鳴り響きました。

駐車中の車の下から猫が1匹飛び出しあっという間に姿をくらましました。プリベット通り4番地の居間からは悲鳴と悪態をつく喚き声と陶器の割れる音が聞こえて来ました。ハリーは飛び起きると同時に杖を取り出したのでした。

ところがハリーが立ち上がり切らない内にバーノン叔父さんが窓から顔を出し2人の頭がぶつかってしまいました。涙目でよろめきながらハリーが何とかまっすぐ立つと叔父さんがハリーの首を絞めながら耳元でこう言いました。

「そいつをしまえ!すぐにだ!誰にも見られない内に!」

ハリーは「放して!」と言いながら喘ぎました。2人は数秒間揉み合いました。ハリーは上げた杖をしっかり握り締めたままもう片方の手で叔父さんの指を引っ張りました。ハリーの頭のてっぺんがひときわ激しく疼きました。

その途端に叔父さんはまるで電気ショックを受けたかのようにギャッと叫んで手を離しました。何か目に見えないエネルギーがハリーの体から迸り叔父さんはハリーを掴んでいられなくなった。だから手を離したというわけです。

ハリーは息を切らして紫陽花の茂みに前のめりに倒れましたが体勢を立て直して周りを見回すと近所のあちらこちらの窓から顔が覗いていました。そのためハリーは急いで杖をしまうと何食わぬ顔をしたというわけなんですよね。

バシッという大きな音を立てた何者かの気配は全くありませんでした。

今日の最後に
実は今回第5巻「不死鳥の騎士団」を開いてみたら何とハリーの夏休みは冒頭章の1ページ目1行目から始まっていて第9章までととてつもなく長いんですよね。そこで前半の5章と後半の4章を分けて2年がかりでやる事にしました。

ハリーは魔法界で起きた出来事がマグルのテレビのニュースで流れはしないかと耳を傾けていました。しかしバーノン叔父さんはそんな事など到底考えられないというそういう意見のようですがペチュニア叔母さんは違いました。

わしらのニュースにあの連中つまりは魔法界の事など出て来るはずがない。こう言うバーノン叔父さんの言葉をペチュニア叔母さんは途中で遮っています。何と2年前に魔法界の出来事がマグルのテレビのニュースで流れました。

それはシリウスが魔法界の監獄アズカバンから脱走したというニュースでした。何せシリウスはペチュニア叔母さんの妹リリーの夫ジェームズ・ポッターの無二の親友だった人です。ペチュニア叔母さんはシリウスを知っていた。

その可能性は十分にあると当サイトは以前にそう指摘しました。ハリーもその事が念頭にあったからこそマグルのテレビのニュースで魔法界の出来事が報道されるかもしれないとそう考えて耳を傾けていたと私はそう思いますね。

マグルのテレビのニュースではシリウスがどこから脱獄したのかという事は報道されませんでした。でもペチュニア叔母さんはアズカバンだと知っていた。この事でハリーは後に驚愕させられる事になるというわけなんですよね。
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