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あの「バシッ」という音は何なんだ?ダーズリー夫妻は当然ハリーが音の主だとそう思ったようです。あれは誰かが「姿くらまし」か「姿現わし」をした音なのでは?ハリーは当初はそう考えましたがすぐにその考えは変ってしまいました。ハリーは激しく苛立っていたのでした。(全3項目)

3-1.あの音を巡って
バーノン叔父さんはレースのカーテン越しに睨みつけている向かいの7番地の奥さんに手を振りながら「気持ちのよい夜ですな!」と大声で挨拶をしました。さらにこう言って暗に大きな音の主は自分たちじゃないと示しました。

「今しがた車がバックファィアしたのをお聞きになりましたか?わしもペチュニアもびっくり仰天で!」

詮索好きのご近所さんたちの顔があちらこちらの窓から全て引っ込むまで叔父さんは狂気じみた恐ろしい顔でにっこりと笑い続けました。それから表情を一変させて怒りのしかめっ面にするとハリーに向かって手招きをしました。

ハリーは数歩近寄りましたが叔父さんが両手を伸ばして再び首を絞めないように用心して距離を保って立ち止まりました。例によって例の如く叔父さんはあの音の主はハリーだと考えているようでこう言って来たというわけです。

「小僧。一体全体あれは何のつもりだ?」

怒りで声を震わせながらこう訊く叔父さんにハリーは「あれって何のこと?」と冷たく訊き返しました。それと同時に通りの左右に目を走らせて「あの音の主が見えるかもしれない」とそう思いハリーはまだ期待をしていました。

「よーいドンのピストルのような騒音を出しおって。我が家のすぐ前で」

相変わらず叔父さんが犯人扱いして来るのでハリーは叔父さんの言葉を途中で遮り「あの音を出したのは僕じゃない」ときっぱり言いました。すると今度はペチュニア叔母さんが叔父さんの隣に姿を現わすとこう言って来ました。

「お前はどうして窓の下でこそこそしていたんだい?」

叔母さんがひどく怒った顔でこう訊くと叔父さんが「そうだペチュニアいい事を言ってくれた」と言うとハリーに向かって「小僧。我が家の窓の下で何をしとった?」と問い詰めて来ました。ハリーはしかたなくこう答えました。

「ニュースを聞いてた」

それを聞いてダーズリー夫妻は?

3-2.ハリーの中に渦巻く葛藤と絶望感
ダーズリー夫妻は苛立った顔を見合わせました。そして叔父さんが「ニュースを聞いてただと!またか?」と言いました。ハリーはそれに「だってニュースは毎日変るもの」と答えました。すると叔父さんはこう言ったのでした。

「小僧わしをごまかす気か?何を企んでおるのか本当の事を言え。ニュースを聞いてたなんぞ戯言は聞き飽きた!お前にははっきり判っとるはずだ。あの輩は」

叔父さんがここまで言った所でペチュニア叔母さんが「駄目よ」と囁きました。叔父さんは声を落としハリーに聞き取れないほどになりました。叔父さんは「あの輩の事はわしらのニュースには出てこん」と言い終えたのでした。

「叔父さんの知ってる限りではね」

そんな叔父さんにハリーはこう言葉を返しました。ダーズリー夫妻はほんの一瞬だけハリーをじろじろ見ていましたがやがてペチュニア叔母さんが口を開くと「お前って子は嫌な嘘つきだよ。それじゃああの」と言ったのでした。

叔母さんもここで声を潜めてハリーはほとんど読唇術で続きの言葉を読み取らなくてはなりませんでした。叔母さんはハリーに「ふくろうたちは何してるんだい?お前にニュースを運んで来ないのかい?」と訊いて来たのでした。

すると叔父さんが勝ち誇ったように「はっはーん!参ったか小僧!お前らのニュースは全てあの鳥どもが運んで来るという事ぐらいわしらが知らんとでも思ったか!」と囁きました。叔父さんにこう言われハリーは逡巡しました。

ここで本当の事を言うのは自分にとっては辛い事だ。もっともそれを認めるのがどれだけ辛いのかという事はバーノン叔父さんにもペチュニア叔母さんにも分りはしない。そのためハリーはその事実を認める事にしたのでした。

「ふくろうたちは僕にニュースを運んで来ないんだ」

辛い事を悟られないようハリーはこの言葉を無表情な声で言いました。すると叔母さんが「信じないよ」と即座に言い叔父さんも「わしもだ」と力んで言いました。2人はハリーに何らかの企みがあっての事だとそう言うのです。

叔母さんが「お前がへんてこりんな事を企んでるのは判ってるんだよ」と言うと叔父さんも「わしらは馬鹿じゃないぞ」と続きました。それを聞きハリーは2人に「あ。それこそ僕にはニュースだ」とそう言ったというわけです。

ハリーは気が立っていました。ダーズリー夫妻が呼び止める間も与えずハリーはくるりと背を向けると前庭の芝生を横切って低い塀を跨ぐと通りに出て歩き出しました。厄介な事になったとハリーにはそう判っていたのでした。

後でダーズリー夫妻とまた顔を会わせた時に話を途中で打ち切った無礼のつけを払う事になる。でも今はあまり気になりませんでした。もっと差し迫った問題のほうがハリーの頭に引っかかっていたからというわけなんですよね。

あの「バシッ」という音は誰かが「姿現わし」か「姿くらまし」をした音に違いない。かつて屋敷しもべ妖精のドビーが姿を消した時に聞いたあの音そのものだったからです。もしかしたらドビーがプリベット通りにいるのか?

今この瞬間ドビーが自分を追跡しているなんて事があるのだろうか?そう思いついた途端にハリーは突然後ろを振り返ってプリベット通りをじっと見つめました。しかし通りには人の気配がないようでした。そうではないらしい。

何故ならそれはドビーが透明になる方法を知らないのが確かだからです。ハリーはどこを歩いているのかの意識もほとんどなく歩き続けました。足が勝手に気に入った道へと運んでくれるからです。でも今夜だけは違いました。

数歩歩く毎にハリーは振り返りました。自分の近くに魔法界の誰かがいた。間違いない。どうして自分に話しかけて来ないんだ?何故接触して来ない?どうして今も隠れているんだ?ハリーの脳裏に次々と疑問が湧き起りました。

ところが苛立ちが最高潮に達すると一旦は確かだと思った事が崩れて来るのです。結局あれは魔法の音ではなかったのかもしれない。ほんのちょっとでいいから魔法界からの接触が欲しいと願うあまりに過剰反応をしてしまった。

近所の家で何かが壊れた音だったのかもしれない。そうではないと自信を持って言い切れるのか?ハリーは胃に鈍く重苦しい感覚を覚えました。知らず知らずの内にこの夏ハリーを苦しめて来た絶望感がまた押し寄せて来ました。

3-3.苛立つハリー
明日もまた目覚まし時計で5時に起こされるだろう。そして「日刊予言者新聞」を配達して来るふくろうにお金を払うのだ。しかし購読を続ける意味があるのだろうか?それはハリーが待っている記事が掲載されないからです。

近頃は一面記事に目を通すと新聞を捨ててしまう日々が続いています。新聞を発行している間抜けな連中は一体いつになったらヴォルデモートが戻って来た事に気づいて大見出しにするのだろうかとハリーは苛立っていました。

運が良ければ他のふくろうがロンやハーマイオニーからの手紙を運んで来る。もっとも残念な事に2人の手紙がハリーに何かニュースをもたらすかもしれないという期待はとっくの昔に打ち砕かれていたというわけなんですよね。

以前にハーマイオニーから届いた手紙によれば行方不明になる事も考えて重要な事は書かないようにと言われている。自分たちはとても忙しくしているけど詳しい事はここには書けないと言う趣旨の文面が綴られていたのでした。

随分色んな事が起こっているの。会った時に全部話すわ。でもいつ自分に会うつもりなのだろう?ハーマイオニーは誕生祝いのカードに「私たちもうすぐ会えると思うわ」と走り書きして来たけど「もうすぐ」っていつなんだ?

ロンとハーマイオニーから送られて来る手紙の内容から漠然と察するに2人は同じ所にいるようなのです。多分それは「隠れ穴」だろう。自分はプリベット通りに釘づけになっているのに2人は「隠れ穴」で楽しくやっている。

そう思うとやり切れない気持ちでした。あんまり腹が立ったのでハリーは誕生日に2人が贈ってくれたハニーデュークスのチョコレート2箱を開けもせず捨ててしまいました。しかしその日の夕食を見て後悔する事になりました。

それにロンもハーマイオニーも何が忙しいのだろう?どうして自分は忙しくないのか?2人より自分のほうが対処能力がある事は証明済みじゃないか?セドリックの死を見届け復活したヴォルデモートは自分を殺害しようとした。

でもハリーは生きてホグワーツに戻って来たというわけです。しかしハリーはこの夏の間に何百回も自分に厳しく「考えるな」とそう言い聞かせて来ました。あの事は悪夢の中で繰り返すだけで十分だ。今考え込まなくてもいい。

今日の最後に
私たちもうすぐ会えると思うわ。何でもハーマイオニーは誕生祝いのカードに走り書きでこう書いて来たんだそうです。という事はおそらくハーマイオニーは誕生祝いのカードを書き終えたその直後にダンブルドアから言われた。

それはきっとダンブルドアに直接か手紙の両方の可能性がありますが「近い内にハリーをここに呼び寄せるつもりだ」とそう言われたので誕生祝いのカードに「もうすぐ会えると思うわ」と急遽書き加えたんだとそう思いますね。

でももちろん「いつなのか?」の具体的な日付については教えられなかった。そんな所だったと私は思いますね。
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