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ハリポタ通の館(やかた)

ここではハリーポッター・シリーズに関する様々な情報や私の推測(妄想?)をお届けしています。毎週、日曜・月曜・水曜・木曜更新。

ルーピンの「第2の合図だ。出発!」の号令でハリーは地面を蹴りついにプリベット通り4番地を離れました。そして一行はマッド・アイ・ムーディの指示で何度も何度もコースを変えおそらくは1時間以上をかけてやっとこさ目的地に到着したのでした。着いた所はどうやらロンドンのようでした。(全3項目)

3-1.ついに出発!
そんなに威勢のいいこと言わないでよ。それじゃ私たちが真剣にやってないみたいにハリーが思うじゃない。こう激しく抗議するトンクスにマッド・アイ・ムーディは「わしはこの子に計画を話していただけだ」と反論しました。

次にマッド・アイが「わしらの仕事はこの子を無事本部へ送り届ける事でありもしわれらが使命途上で殉職しても」と言った所でキングズリー・シャックルボルトが人を落ち着かせる深い声でこう言ったというわけなんですよね。

「誰も死にはしませんよ」

ルーピンが空を指して「箒に乗れ。最初の合図が上がった!」と言いました。遥かに高い空に星に混じって明るい真っ赤な火花が噴水のように上がっていました。それが杖から出る火花だという事がハリーには即座に判りました。

ハリーはファイアボルトに跨るとしっかりと柄を握りました。柄が微かに震えるのを感じました。また空に飛び立つ事ができるのをハリーと同じく待ち望んでいるかのようでした。するとルーピンが大声でこう号令したのでした。

「第2の合図だ。出発!」

今度は緑の火花が真上に高々と噴き上げました。ハリーは地面を強く蹴りました。冷たい夜風が髪に当たりました。プリベット通りの小奇麗な四角い庭たちかがどんどん遠退いて瞬時に縮むと暗い緑と黒のまだら模様になりました。

魔法省の尋問などまるで風が吹き飛ばしてしまったかのように跡形もなくハリーの頭から吹っ飛びました。ハリーはうれしさに心臓が爆発しそうでした。夏中胸に思い描いていたようにまた飛んでいるんだとハリーは思いました。

プリベット通りを離れて飛んでいるんだ。家に帰るんだ。この僅かな瞬間。この輝かしい瞬間。ハリーの抱えていた問題は無になりこの広大な星空の中ではそんな事は取るに足らないものになっていました。するとその時でした。

「左に切れ。左に切れ。マグルが見上げておる!」

ハリーの背後でマッド・アイがこう叫びました。トンクスが左に急旋回しハリーも続きました。マッド・アイが「もっと高度を上げねば。400メートルほど上げろ!」と言いました。上昇する時の冷気でハリーは目が潤みました。

3-2.数多のコース変更の末に
眼下にはもう何も見えず車のヘッドライトや街灯の明かりが針の先で突いたように点々と見えるだけです。その小さな点の内の2つがダーズリー一家の乗る車かもしれない。ありもしない芝生コンテストに怒り狂っているだろう。

そして今頃は空っぽの自宅に向かう途中だろう。そう思うとハリーは大声で笑いました。しかしその声はみんなのローブがはためく音やトランクと鳥籠をトンクスの箒に括りつけた器具の軋む音などに呑み込まれてしまいました。

この1ヵ月ハリーはこんなに生きていると感じた事はありませんでした。こんなに幸せだった事はありませんでした。ここでまたしてもマッド・アイが「南に進路を取れ!前方に町!」と叫んで一行は右へと上昇したのでした。

ハリーたち一行は蜘蛛の巣状に輝く光の真上を飛ぶのを避けました。次にマッド・アイは「南東を指せ。そして上昇を続けろ。前方に低い雲がある。その中に隠れるぞ!」と号令しました。するとトンクスがこう言って来ました。

「雲の中は通らないわよ!ぐしょ濡れになっちゃうじゃないマッド・アイ!」

ハリーはこれを聞いてほっとしました。ファイアボルトの柄を握った手がかじかんで来ていたからです。オーバーを着て来れば良かったとハリーは思いました。震え始めていたからです。そんな高さまで上昇したというわけです。

一行はマッド・アイの指令に従って時々コースを変えました。氷のような風を避けてハリーは目を細めていました。耳まで痛くなって来ました。箒に乗っていてこんなにも冷たく感じたのは3年生の時にたった一度だけありました。

クィディッチのハッフルパフ戦で嵐の中での試合でした。護衛隊はハリーの周りを巨大な猛禽類のように絶え間なく旋回していました。ハリーは時間の感覚がなくなっていました。もうどのくらい飛んでいるだろうと思いました。

「南西に進路を取れ!高速道路を避けるんだ!」

少なくとも1時間は過ぎたような気がする。ハリーがそう思っているとマッド・アイがまたこう叫びました。ハリーは体が冷え切って眼下を走る車の心地よい乾いた空間を羨ましく思いました。煙突飛行粉を懐かしく思いました。

暖炉の炎の中を回転して移動するのは快適ではないかもしれないが少なくとも炎の中は暖かい。キングズリー・シャックルボルトがハリーの周りをバサーッと旋回しました。今度はエメリーン・バンスがハリーの右側に来ました。

杖を構えて左右を見回しています。それからハリーの上を飛び越すとスタージス・ポドモアと交代しました。またマッド・アイが「少し後戻りするぞ。跡を追けられていないかどうか確かめるのだ!」とそう叫んだ時の事でした。

「マッド・アイ気は確か?みんな箒に凍りついちゃってるのよ!こんなにコースを外れてばかりいたら来週まで目的地には着かないわ!もうすぐそこじゃない!」

トンクスがこう言ってまたもマッド・アイに抗議しました。そこにルーピンの声が聞こえて来て「下降開始の時間だ!トンクスに続けハリー!」と言われハリーはルーピンの指示通りトンクスに続いて急降下したというわけです。

一行はハリーが今まで見て来た中でも最大の光の集団に向かっていました。縦横無尽に広がる光の線と網。そのところどころに真っ黒な部分が点在していました。下へ下へと一行は飛びました。そしてついに見えて来たのでした。

車のヘッドライトや街灯に煙突やテレビのアンテナの見分けがつく所まで降りて来ました。ハリーは早く地上に着きたいと思いました。ただしきっと箒に凍りついたハリーを誰かが解凍しなければならないかもしれませんでした。

トンクスが「さあ着地!」と叫びました。

3-3.ようやく目的地に到着!
次の瞬間トンクスが着地しました。その直後には小さな広場の芝生の上にハリーが降り立ちました。着地するや否やトンクスはもうハリーのトランクを外しにかかっていました。寒さに震えながらハリーはあたりを見回しました。

周囲の家たちの煤けた玄関はあまり歓迎ムードには見えませんでした。あちらこちらの家の割れた窓ガラスが街灯の明かりを受けて鈍い光を放っています。ペンキが剥げかけた扉が多く何軒かの玄関先にはゴミが置いてあります。

「ここはどこ?」というハリーの問いかけにルーピンは答えず小声で「後で」と言いました。マッド・アイはかじかんだ手が上手く動かずマントの中を探っていましたが「あった」と言うとライターのような物を取り出しました。

それは「灯消しライター」でした。マッド・アイは何度か「カチッ」と鳴らし広場の街灯を全部消しました。残る明かりはカーテンから漏れる窓明かりと頭上の三日月だけになりました。マッド・アイはそれをしまいつつ・・・

「ダンブルドアから借りた。これで窓からマグルが覗いても大丈夫だろうが?さあ行くぞ。急げ」

こう言うとマッド・アイはハリーの腕を掴んで芝生から道路を横切り歩道へと引っ張って行きました。ルーピンとトンクスが2人でハリーのトランクを持って続きました。他の護衛は全員杖を掲げてこの4人の脇を固めたのでした。

マッド・アイは「ほれ」と呟くと目くらましのかかったままのハリーの手に1枚の羊皮紙を押しつけました。そして自分の杖明かりを掲げて照明で羊皮紙に書いてある文字を読めるようにしました。次にハリーにこう言いました。

「急いで読め。そして覚えてしまえ」

ハリーは羊皮紙を見ました。縦長の何とはなしに見覚えのある文字でした。こう書かれていました。

「不死鳥の騎士団の本部はロンドン、グリモールド・プレイス12番地に存在する」

今日の最後に
わしはこの子に計画を話していただけだ。わしらの仕事はこの子を無事本部へ送り届ける事でありもしわれらが使命途上で殉職してもと言った所でキングズリー・シャックルボルトが人を落ち着かせる深い声でこう言っています。

「誰も死にはしませんよ」

ハリーは今日というこの日から2ヵ月と経っていない6月24日の三大魔法学校対抗試合の「第3の課題」が行なわれた日にセドリック・ディゴリーが死ぬ所を見ました。そのために悪夢に悩まされる事になってしまったんですよね。

ハリーが何よりも嫌がるのは自分のせいで誰かが死ぬ事だ。自分が優勝杯を一緒に握ろうと言ったからセドリックは死んだんだ。この事をハリーはとっても悔やんでいました。だからこんな事はもう二度と起こって欲しくはない。

キングズリー・シャックルボルトはハリーのこういう気持ちを知っていたからこそ「誰も死にはしませんよ」と言ったんでしょうね。

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