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改めてヴォルデモートについて「炎のゴブレット」編(11)(13回シリーズ)

ヴォルデモートはハリーに戦いを挑んで来ました。決闘が始まって最初の内はハリーは何もできずヴォルデモートのして来る事に対して全くの無抵抗で無防備でした。しかしハリーは決心したのでした。命乞いなどしない。戦って死ぬんだ。そしてハリーは真正面からヴォルデモートに向き合うと・・・(全3項目)

3-1.杖を返されて
ワームテールがハリーに近づいて来ました。縄目が解かれる前に何とか自分の体を支えようとハリーは足を踏ん張りました。ワームテールはハリーの口を塞いでいた布を引っ張り出すと手の一振りで縄目を切り離したのでした。

ほんの一瞬の隙がありました。その隙に逃げようと思えば逃げる事ができたかもしれません。しかし立ち上がるとハリーの傷ついた足がぐらつきました。死喰い人の輪がハリーとヴォルデモートを囲んで小さくなったのでした。

これで現れなかった死喰い人の空間も埋まってしまいました。ワームテールが輪の外に出てセドリックの亡骸が横たわっている所まで行きハリーの杖を持って戻って来ました。そして杖をハリーの手に乱暴に押し付けたのでした。

ワームテールは杖を渡す時にはハリーの目を避けるようにしました。それから見物をしている死喰い人の輪に戻って行ったのでした。闇の中で赤い目を不敵に光らせながらヴォルデモートは低い声でハリーにこう言って来ました。

「ハリー・ポッター決闘のやり方は学んでいるな?」

この言葉でハリーは2年前に参加したホグワーツの決闘クラブの事をまるで前世の出来事のように思い出しました。当時の「闇の魔術に対する防衛術」の教師ギルデロイ・ロックハートが主宰をしてたった1つの呪文を学びました。

それは「エクスペリアームス!武器よ去れ!」という武装解除の呪文でした。それが何になると言うのか?例えヴォルデモートから杖を奪ったとしても死喰い人に取り囲まれていて少なく見積もっても30人の大所帯なんですよね。

とてつもなく圧倒的な多勢に無勢というわけです。こんな場面に対処できるような魔法は一切何も学んではいない。これぞ今学期の「闇の魔術に対する防衛術」の教師マッド・アイ・ムーディが常に警告していた場面なんですよね。

防ぎようのない「死の呪文」というわけです。それにヴォルデモートの言う通りというわけです。ここにはもはや自分のために死んでくれる母さんはいない。したがってハリーはそれはもう半端ないほどの無防備というわけです。

3-2.決闘
「ハリー互いにお辞儀をするのだ」ヴォルデモートはこう言って軽く腰を折りましたが蛇のような顔はまっすぐハリーに向けたままでした。けれどもハリーがお辞儀を返して来ないのでヴォルデモートはハリーにこう言いました。

「さあ儀式の次第には従わねばならぬ。ダンブルドアはお前に礼儀を守って欲しかろう。死にお辞儀するのだハリー」

死喰い人たちもまた笑いヴォルデモートの唇のない口も笑っていました。ハリーは頭を下げませんでした。殺害される前にヴォルデモートに弄ばれてなるものか。そんな楽しみを与えてやるものか。ハリーはそう思ったからです。

「お辞儀しろと言ったはずだ」ヴォルデモートはこう言い杖を上げました。すると巨大な見えない手がハリーを容赦なく前に折り曲げるように背中が丸まりました。ヴォルデモートが魔法でハリーに無理やりお辞儀させたのです。

死喰い人がさらに大笑いしてヴォルデモートはまた杖を上げながら低い声で「よろしい」と言いました。ハリーの背中を押していた力がなくなりました。そしてヴォルデモートがこう言っていよいよ決闘の開始となったのでした。

「さあ今度は男らしく俺様のほうを向け。背筋を伸ばし誇り高くお前の父親が死んだ時のように。さあ決闘だ」

ヴォルデモートは杖を上げハリーが何ら身を護る手段を取る間もなく身動きすらできない内に「磔の呪い」をかけて来ました。あまりに激しい全身を消耗させる痛みにハリーはもはや自分がどこにいるかさえも分りませんでした。

白熱したナイフが全身の皮膚を一寸刻みにしました。頭が激痛で爆発しそうだ。ハリーはこれまでの生涯でこんな大声で叫んだ事がないというほど大きな悲鳴を上げていました。すると突然痛みが止まりハリーは倒れていました。

よろよろと立ち上がりましたがハリーはどうしようもなく体が震えていました。見物している死喰い人の輪にハリーはふらふらと横ざまに倒れ込みましたが死喰い人はそんなハリーをヴォルデモートのほうへと押し戻しました。

「一休みだ。ほんの一休みだ。ハリー痛かったろう?もう二度として欲しくないだろう?」

ヴォルデモートの鼻の穴は興奮で膨らんでいました。ハリーは答えませんでした。自分もセドリックと同じように死ぬのだ。ヴォルデモートの情け容赦のない赤い目がそう語っていました。自分は死ぬんだとハリーは思いました。

しかも何もできずに。でも弄ばせはしない。ヴォルデモートの言うなりにはならない。命乞いなどしない。ハリーがそう思っているとヴォルデモートが「もう一度やって欲しいかどうか聞いているのだが?」と静かに言いました。

そして「答えるのだ!」と言ったかと思うと「インペリオ!服従せよ!」と唱えハリーは生涯で三度目のあの状態を感じました。全ての思考が停止し頭が空っぽになり「ああ考えないのは何という至福」という感覚だったのです。

嫌だと答えればいいのだ。嫌だと言え。嫌だと言いさえすればいいのだ。しかしハリーの頭の片隅で「僕は言わないぞ。答えるものか」と強い声がしました。嫌だと言えばいいのだ。答えない。答えないぞとまたも声がしました。

「僕は言わないぞ!」

この言葉がハリーの口から飛び出し墓場中に響き渡りました。そして冷水を浴びせられたかのように突然夢見心地が消え去り同時に体中に残っていた「磔の呪い」の痛みが戻って来てハリーは今どこにいるのかを思い出しました。

さらに何が自分を待ち構えているのかもハリーは思い出したのです。

3-3.真正面から
「言わないだと?嫌だと言わないのか?ハリー従順さは徳だと死ぬ前に教える必要があるな。もう一度痛い薬をやったらどうかな?」ヴォルデモートは静かにこう言いました。もはや死喰い人は笑ってなどいなかったのでした。

ハリーがヴォルデモートの「服従の呪文」を破ったからでした。こんなに早く破られたのはおそらく初めてだったんでしょうね。ヴォルデモートは杖を上げましたが今度は用意ができていてハリーは横っ飛びに地上に伏せました。

クィディッチで鍛えた反射神経というわけです。ヴォルデモートの父親の墓石の裏側に転がり込むとハリーを捕え損ねた呪文が墓石を割る音が聞こえました。ヴォルデモートは冷たい猫なで声でこう言いながら近づいて来ました。

「隠れんぼじゃないぞハリー。俺様から隠れられるものか。もう決闘は飽きたのか?ハリー今すぐ息の根を止めて欲しいのか?出て来いハリー。出て来て遊ぼうじゃないか。あっという間だ。痛みもないかもしれぬ」

さらに続けてヴォルデモートは「俺様には分るはずもないが。死んだ事がないからな」と言いながらハリーに近づいて来ました。一方ハリーは墓石の陰でうずくまりながら最期が来た事を悟りました。望みはない。助けは来ない。

ヴォルデモートがさらに近づく気配を感じながらハリーは恐れも理性をも超えた1つの事だけを思い詰めていました。ヴォルデモートの足下にひざまずいて死ぬものか。たとえ防衛が不可能でも身を護るために戦って死ぬのだ。

ヴォルデモートが墓石の向こうから覗き込むその前にハリーは立ち上がり杖をしっかり握り締めると体の前に構え墓石をくるりと回り込んでヴォルデモートと向き合いました。そして「エクスペリアームス!」と叫んだのでした。

ヴォルデモートも用意ができていて同時に「アバダ ケダブラ!」と叫びました。ヴォルデモートの杖から緑の閃光が走ったのとハリーの杖から赤い閃光が飛び出したのが同時でした。2人の放った閃光が空中でぶつかりました。

そして突然ハリーの杖が電流が貫いたかのように振動し始めました。ハリーの手は杖を握ったまま動きませんでした。というより手を離したくても離せなくなったのです。さらにこの後は全く予想外の展開が待ち受けていました。

今日の最後に
「ハリー・ポッター決闘のやり方は学んでいるな?」ヴォルデモートにこう訊かれたハリーは後にも先にも1回だけ2年生の時に「闇の魔術に対する防衛術」の教師だったギルデロイ・ロックハートに決闘のやり方を習いました。

その一度限りの「決闘クラブ」の際に覚えたのが今回ヴォルデモートに放った「武装解除の術」だったんですよね。一方この「学んでいるな?」という言い方からしてヴォルデモートも学生時代に決闘の仕方を習ったんでしょうね。

ハリーは6年生の時に知ったのですが以前はガラテア・メリィソートという人がほぼ半世紀に渡ってホグワーツで「闇の魔術に対する防衛術」を教えていたそうです。その人はロックハートとは違って名教師だったんでしょうね。

だからロックハートとは違って1回限りではなく定期的に決闘のやり方を教えていたんでしょう。それにきっとヴォルデモートはワームテールから聞いてハリーが2年生の時にロックハートから習った事を聞いていたんでしょう。

メリィソート先生に決闘のやり方を学んでいた。だからヴォルデモートは「決闘をする時は最初にお辞儀をする」と知っていたんでしょうね。

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