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セブルス・スネイプ語録集「謎のプリンス」編(16)(28回シリーズ)

マルフォイは何かを企んでいる。マルフォイは「必要の部屋」で何かをしている。そこまでは判ったもののハリーはその詳細を突き止める事はできませんでした。そうこうする内に時は流れてハリーは「忍びの地図」で思ってもみなかった組み合わせを発見して・・・(全3項目)

3-1.有り得ない組み合わせ
ハリーはクリスマス休暇明けから「忍びの地図」でドラコ・マルフォイを探すのが習慣になっていました。マルフォイを示す点が忽然と消えてしまう事があったためにハリーはそれは何故なんだろうと訝しく思っていました。

でもそれはマルフォイが「必要の部屋」にいたからでした。昨日の記事でも言ったようにマルフォイを尾行した屋敷しもべ妖精のドビーが報告してくれたそのお陰でハリーはその事を知る事ができたというわけなんですよね。

それはクィディッチの最終戦グリフィンドール対レイブンクロー戦を間近に控えた日の事でした。ハリーはつい習慣でいつものように回り道をして「必要の部屋」のほうに向かいながら「忍びの地図」をチェックしました。

最初はざっと見たので見つかりませんでしたがハリーはマルフォイと記された点が下の階の男子トイレに佇んでいるのを発見しました。一緒にいたのはクラッブでもゴイルでもなく驚く事に「嘆きのマートル」だったのです。

あまりに有り得ない組み合わせだったので大理石の階段を駆け下りマルフォイのいる男子トイレに向かいました。トイレの外で扉に耳を押しつけましたが何も聞こえません。そこでハリーは扉を静かに開けたというわけです。

マルフォイが扉に背を向けて立っていました。両手で洗面台の両端を握りプラチナ・ブロンドの髪の頭を垂れていました。感傷的な「嘆きのマートル」の声が小部屋の1つから聞こえて来ていてマートルはこう言っていました。

「辞めて。辞めて頂戴。困ってる事を話してよ。私が助けてあげる」

こう言うマートルにマルフォイは「誰にも助けられない」と言いました。さらにマルフォイは体中を震わせながら自分にはできない。上手く行かない。それにすぐやらないとあの人は自分を殺害すると言うんだと言いました。

あまりの衝撃でハリーはその場に根が生えてしまったような気がしました。マルフォイが泣いている。本当に泣いている。ところがここで顔を上げたマルフォイは鏡でハリーが自分を見つめている事に気がついたんですよね。

マルフォイは振り向き杖を取り出しました。

3-2.憤怒の形相で飛び込んで来たのは?
ハリーも杖を取り出し2人の激しい攻防が始まりました。マートルは甲高い声で「駄目!駄目よ!辞めて!」とか「辞めて!辞めて!」などと言って2人に戦いを辞めさせようとしました。しかし2人とも辞めはしませんでした。

ハリーは「足縛りの呪い」をかけましたが水槽タンクに当たり水が一面に溢れ出しハリーは足を滑らせました。マルフォイは顔を歪めて「クルー」と叫びました。ハリーに対して「磔の呪い」をかけようとしたんですよね。

床に倒れながらもハリーは夢中で杖を振り大声で「セクタムセンプラ!」と唱えました。するとマルフォイの顔や胸からまるで見えない刀で切られたかのように血が噴き出しました。マルフォイはよろよろと後退りしました。

そして水浸しの床に倒れて右手がだらりと垂れて杖が落ちました。床の水に滑ったりよろめいたりしながらハリーはようやく立ち上がりマルフォイの側に急ぎました。マルフォイの顔はもう血で真っ赤に光っていたのでした。

蒼白な両手が血染めの胸を掻きむしっています。こんな事になってしまいハリーは「そんな。僕はそんな」と言いながら自分が何を言っているのか分りませんでした。マルフォイは自分自身の血の海で激しく震えていました。

どうしていいのか全く分からずハリーはがっくりと両膝をつきました。マートルが耳を劈く叫び声を上げていました。するとここでハリーの背後の扉が開きました。目を上げて入って来た人物を見たハリーはぞっとしました。

スネイプが憤怒の形相で飛び込んで来ました。ハリーを荒々しく押し退けるとスネイプはひざまずいてマルフォイの上に屈み込んで杖を取り出すとハリーの呪いでできたその深い傷を杖でなぞりながら呪文を唱えたのでした。

まるで歌うような呪文でした。出血が緩やかになったようです。スネイプはマルフォイの顔から残りの血を拭うと呪文を繰り返しました。今度は傷口が塞がって行くようでした。ハリーは自分のした事に愕然としていました。

そのため自分も血と水でぐしょ濡れでしたがほとんど気づかずスネイプのする事を見つめ続けていました。スネイプは三度目の反対呪文を唱え終わるとマルフォイを半分抱え上げて立たせました。そしてこう言ったのでした。

「医務室に行く必要がある。多少傷痕を残す事もあるがすぐにハナハッカを飲めばそれも避けられるだろう。来い」

スネイプはマルフォイを支え扉の所まで歩くと振り返り冷たい怒りの声で「そしてポッター。ここで我輩を待つのだ」と言いました。ハリーは逆らおうなどとは全く考えませんでした。震えながらゆっくり立ち上がりました。

スネイプは10分後に戻って来ました。入って来るなりスネイプは扉を閉めました。スネイプが「去れ」と一言言うとマートルは便器の中に戻って行きました。その後には痛いほどの静けさが残りハリーはこう言ったのでした。

「そんなつもりはありませんでした。あの呪文がどういうものなのか知りませんでした」

そんなハリーの言葉を完全に無視するとスネイプは「我輩は君を見くびっていたようだなポッター。君があのような闇の魔術を知っていようとは誰が考えようか?あの呪文は誰に習ったのだ?」とそう訊いて来たのでした。

3-3.ハリーの嘘を見抜くと
ハリーが「どこかで読んだんです」と答えるとスネイプは「どこで?」と訊いて来ました。ハリーは破れかぶれにでっち上げ「図書室の本です」と答え何という本だったのか思い出せないと言うとスネイプはこう言いました。

「嘘をつくな」

ハリーは喉がからからになりました。スネイプが何をしようとしているのか判ったからです。開心術で自分の心を覗き込んでいる。しかしハリーは閉心術が苦手でした。全ての考えを締め出そうと努力しましたが駄目でした。

もがけばもがくほど「半純血のプリンス」の手書き入りの「上級魔法薬」の教科書が頭に浮かんでぼんやり漂いました。そして次の瞬間ハリーは再びスネイプを見つめていました。スネイプはハリーに静かにこう言いました。

「学用品のカバンを持って来い。それと教科書を全部だ。全部だぞ。ここに我輩の所へ持って来るのだ。今すぐ!」

議論の余地はありませんでした。ハリーは廊下に出るや否やグリフィンドール塔に向かって駆け出しました。ほとんどの生徒が反対方向に歩いていて血だらけな上にぐしょ濡れのハリーを唖然として見つめていたのでした。

すれ違う時に投げかけられる質問にも一切答えずハリーは走りました。ハリーは衝撃を受けていました。あんな呪文を教科書に書き込むなんて一体全体プリンスは何を考えていたんだ?スネイプが見たらどうなるんだろう?

スラグホーンに言いつけるだろうか。ハリーは胃がよじれる思いでした。今学期ハリーが魔法薬であんなに良い成績だったのは何故なのかをスラグホーンにばらすのだろうか?あの教科書は多くの事を自分に教えてくれた。

指南役でもあり友達でもあったあの教科書をスネイプは取り上げるか破壊をしてしまうのか?そんな事はあってはならない。そんな事はとても受け入れる事はできない。ロンはハリーを見ると当惑顔でこう言ったんですよね。

「どこに行って?何でそんなにぐしょ濡れ?それ血じゃないのか?」

ハリーは息を弾ませこう言いました。

「君の教科書が必要だ。君の魔法薬の本。早く。僕に渡して」

今日の最後に
スネイプは夏休み中にナルシッサ・マルフォイと「破れぬ誓い」を結び息子ドラコに危害が及ばぬよう力の限り護るとそう誓いました。だからこそ今回スネイプはその誓いを履行して駆けつけて来たというわけなんですよね。

ハリーと私たち読者はクリスマス休暇中に「隠れ穴」で「破れぬ誓い」は破れない。もし破ると死ぬとロンから教えられました。何でもロンはフレッドにジョージとこの「破れぬ誓い」を結びかけた事があるんだそうですね。

でも父親のアーサー氏が見つけめっちゃ怒ったのだそうです。つまり命を賭けて誓うのですからそうそう軽々しく誓う事ではないというわけです。だからスネイプが誓うと言ったらベラトリックス・レストレンジは驚愕した。

そして唖然茫然としたというわけです。自分の命がかかっている。だからこそスネイプはドラコ・マルフォイを助けに駆け付けたというわけなんですよね。

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