土曜日となりハリーがスネイプに言い渡された罰則を受ける日となりました。時計は遅々として進まずスネイプが魔法で遅くしているのではと思うほどでした。罰則は1時10分にようやく終わりハリーはスネイプの気が変わらない内にと急いで部屋を出ました。そして気になる試合の結果は?(全3項目)

3-1.土曜日になり
次の日ハリーはスリザリンの嘲りに耐えなければなりませんでしたしそればかりか仲間のグリフィンドール生の怒りも大変でした。何とキャプテンともあろう者がシーズン最後の試合に出場を禁じられてしまったからでした。

ハーマイオニーには強気で言い張ったものの土曜日の朝が来てみるとハリーはロンにジニーや他の選手たちと一緒にクィディッチ競技場に行けるのならば世界中のフェリックス・フェリシスを熨斗をつけて差し出してもいい。

そういう気持ちになっていました。みんながロゼットや帽子を身につけ旗やスカーフを振りながら太陽の下に出て行くというのに自分だけが大勢の流れに背を向け石の階段を地下牢教室に下りて行くのは耐え難いものでした。

遠くの群衆の声がやがて全く聞こえなくなり一言の歓声も呻き声も聞こえないだろうと思い知らされるのは辛いものでした。ハリーが扉をノックして入って行くと不愉快な思い出の詰まった研究室は変わっていませんでした。

教える科目が変わってスネイプが上の階で教えるようになってもここは明け渡されてはおらずいつものように薄暗く以前と同じように様々な色の魔法薬の瓶が壁一杯に並んで中にはどろりとした死骸が浮遊していたのでした。

「ああポッター。フィルチさんがこの古い書類の整理をする者を捜していた」

明らかにハリーのために用意されているテーブルには不吉にも蜘蛛の巣だらけの箱が積み上げられ退屈で骨が折れてしかも無意味な作業だというオーラが漂っていました。スネイプはハリーに猫なで声でこう言ったのでした。

「ご同類のホグワーツの悪童どもとその悪行に関する記録だ。インクが薄くなっていたりカードが鼠の害を被っている場合犯罪と刑罰を新たに書き写していただこう。さらにアルファベット順に並べて元の箱に収めるのだ」

最後にスネイプは「魔法は使うな」と告げました。ハリーは「判りました先生」と応えつつ最後の「先生」に出来る限りの軽蔑を込めて言いました。こうしてスネイプによるハリーの罰則が始まったというわけなんですよね。

3-2.無益でつまらない作業
スネイプは悪意たっぷりの笑みを唇に浮かべながら「最初に取りかかるのは1012番から1056番までの箱がよろしかろう。幾つかお馴染みの名前が見つかるだろうから仕事がさらに面白くなるはずだ。それ」と言ったのでした。

スネイプは一番上にある箱の中の1つから仰々しく1枚のカードを取り出して読み上げました。まさにスネイプの言っていた通りだったんですよね。ハリーにとってはお馴染みの2人の名前が出て来たというわけなんですよね。

「ジェームズ・ポッターとシリウス・ブラック。バートラム・オーブリーに対し不法な呪いをかけた廉で捕まる。オーブリーの頭は通常の2倍。2倍の罰則」

スネイプはにやりと笑い「死んでも偉業の記録を残す。そう考えると大いに慰めになるだろうねえ」と言いました。ハリーの鳩尾にいつもの煮えくり返るような感覚が走り応酬の言葉が喉まで出かかりましたが我慢しました。

ハリーは箱の山の前に腰掛け箱を1つ手元に引き寄せました。ハリーの予想した通り無益でつまらない作業でした。明らかにスネイプの狙い通りに時々父親やシリウスの名前を見つけてハリーは胃が揺さぶられる思いがしました。

大抵2人で些細な悪戯をしていました。また時々リーマス・ルーピンやピーター・ペティグリューの名前も一緒に出て来ました。どんな悪さでどんな罰を受けたのかを写し取りながらハリーの心は別の所に飛んでいたのでした。

始まったばかりの試合はどうなっているのだろう?ジニーがシーカーとしてチョウと対決している。そして時を刻んでいる壁の大時計にハリーは何度も視線を送りました。この時計は普通の2倍もかけて動いているのでは?

もしやスネイプが魔法で遅くしているのでは?まだ30分しか経っていないなんて有り得ない。遅々として時計が進んでいないようにしかハリーには思えませんでした。時計が12時半を示すとハリーの腹の虫が鳴り始めました。

作業の指示を出してから一度も口を利かなかったスネイプが1時10分過ぎになってようやく顔を上げると「もうよかろう」と冷たく言いました。そしてスネイプはハリーにこう指示をしてやっとの事で罰則は終了したのでした。

「どこまでやったか印をつけるのだ。次の土曜日10時から先を続ける」

ハリーは「はい先生」と応えると端を折ったカードを適当に箱に突っ込みスネイプの気が変わらない内にと急いで部屋を出ました。石段を駆け上がりながらハリーは競技場からの物音に耳を澄ませましたが全く静かでした。

試合はもう終わってしまったんだ。混み合った大広間の外でハリーは少し迷いましたが大理石の階段を駆け上がりました。グリフィンドールが勝っても負けても選手が祝ったり憐れむのは通常は談話室とそう決まっています。

「何事やある?クイットアジス?」

中で何が起こっているのかと考えながらハリーは恐る恐る合言葉を言いました。そんなハリーに「太った婦人(レディ」は「見れば判るわ」と何も読み取れない表情で答えました。みんなの顔をハリーは大口を開けて見ました。

3-3.試合の結果は?
婦人が扉を開けると肖像画の裏の穴から祝いの大歓声が爆発しました。ハリーの姿を見つけて一同は叫び声を上げました。何本もの手がハリーを談話室に引き込みました。ロンが目の前に躍り出て優勝杯を振って叫びました。

「勝ったぞ!勝ったんだ!450対140!勝ったぞ!」

ハリーがあたりを見回すとジニーが駆け寄って来ました。決然とした燃えるような表情でジニーはハリーに抱きつきました。ハリーは何も考えず何も構えず50人もの目が注がれているのも気にせずにジニーにキスをしました。

どのくらい経ったのだろう?30分か太陽の輝く数日間だったのかもしれない。2人が離れると談話室は静まり返っていました。それから何人かが冷やかしの口笛を吹いてあちこちでくすぐったそうな笑い声が沸き起こりました。

ジニーの頭越しに見るとディーン・トーマスが手にしたグラスを握りつぶしロミルダ・ベインは何かを投げつけたいという顔をしていてハーマイオニーは笑顔でした。しかしハリーが一番気にしたのはロンだったんですよね。

ようやく見つけたロンは優勝杯を握ったまま頭を棍棒で殴られた時にふさわしい表情をしていました。一瞬2人は顔を見合せました。それからロンは首を小さく傾けました。ハリーにはそれが「OK」という意味だと判りました。

ハリーの胸の中の生き物が勝利に吠えました。ハリーはジニーを見下ろしてにっこり笑い何も言わずに肖像画の穴から出ようと合図しました。ハリーは校庭をいつまでも歩きたいと思いました。もちろんジニーと一緒にです。

その間に時間があればだが試合の様子を話し合えるかもしれないとハリーはそう思ったというわけなんですよね。

今日の最後に
スネイプがこれまでの生涯で出会った人物の中で1番に嫌いなのはハリーの父親ジェームズ・ポッターで2番目はやはりハリーの名付け親のシリウス・ブラックで間違いないでしょうね。ハリーはその2人に深い思い入れがある。

スネイプはそんなハリーが憎くて憎くてしかたがない。だからジェームズ・ポッターとシリウス・ブラックの過去の悪行が書かれたカードをハリーに修正させるなんて残酷極まりない罰則を考えつきやらせたというわけです。

ジェームズ・ポッターにシリウス・ブラックそしてハリーに対する憎悪の気持ちがあまりに峻烈であるが故に「何でここまで?」と思うような罰則をスネイプはできてしまうというわけです。そのくらい3人が憎いんですよね。

そしてハリーもまたスネイプからそんな仕打ちを受けた事でますますスネイプに対する憎悪を増大させてしまったというわけです。まさに止まる事のない悪循環の繰り返しで2人の互いの憎悪は今回も深まったというわけです。

何ともやるせない事ですよね。
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