急ぎに急いでハリーはようやく校門の手前でスネイプに追いつきました。しかし心を閉じる事ができないハリーは呪文を唱え終わる前にスネイプに防がれてしまい全く呪いをかける事ができません。そしてついに「あの事」をスネイプに告げられてしまったのでした。(全3項目)

3-1.スネイプに見下ろされて
「命令を忘れたのか?ポッターは闇の帝王のものだ。手出しをするな!行け!行くんだ!」スネイプにこう言われアミカスとアレクトの兄妹も巨大なブロンドの死喰い人もスネイプの言葉に従い校門めがけて走り出しました。

地面が振動するのをハリーは顔の下に感じました。怒りのあまりハリーは言葉にならない言葉を喚きました。その瞬間ハリーは自分が生きようが死のうがどうでもいいと思いました。ハリーはやっとの事で立ち上がりました。

そしてよろめきながらハリーはひたすらスネイプに近づいて行きました。今やハリーのスネイプに対する憎しみはヴォルデモートと同じぐらいになっていました。ハリーはまたしてもスネイプに向けて呪文を唱えたのでした。

ハリーは今度は「セクタムセンプラ」と唱えようとしました。しかし「セクタム」と言った所でスネイプは軽く杖を振り呪いをかわしました。僅か2~3メートルの所に近づきハリーはついにスネイプの顔をはっきり見ました。

ハグリッドの小屋が赤々と燃え盛る炎が照らし出したスネイプのその顔にはもはや冷笑も嘲笑もなく怒りだけが見えました。あらん限りの力でハリーは念力を集中しスネイプに呪いをかけようとしましたがやはり駄目でした。

ハリーは今度は「レビコーパス、身体浮上」と唱えようとしましたが「レビ」と言った所までで止められてスネイプはハリーに「辞めろポッター!」と叫びました。バーンと大きな音がしてハリーはのけ反り吹き飛びました。

そしてまたしても地面に叩きつけられました。それだけではなく杖が手を離れて飛んで行きました。スネイプは近づいて来て今やダンブルドアと同様に杖もなく丸腰で横たわっているハリーを見下ろして来たというわけです。

ハグリッドの叫び声とファングの吠え声が聞こえて来ました。燃え上がる小屋の明かりに照らされた蒼白いスネイプの顔はダンブルドアに「死の呪文」をかける直前と同じく憎しみに満ち満ちていました。一体何故なのか?

その怒りの理由が問題だったのです。

3-2.ついに
「我輩の呪文を本人に対してかけるとはポッターどういう神経だ?そういう呪文の数々を考え出したのはこの我輩だ。我輩こそ半純血のプリンスだ!」スネイプはこう言いあの教科書のかつての持ち主は自分と宣言しました。

「我輩の発明したものを汚らわしいお前の父親と同じにこの我輩に向けようというのか?そんな事はさせん。許さん!」

スネイプは続けてこう言いました。しかしハリーは「半純血のプリンス」がスネイプとは知らなかったのですからそう言われてもねえという気が私はしますけどね。ハリーは更なる攻撃をするため自分の杖に飛びつきました。

ところがスネイプが呪いを発して杖は数メートル先に吹き飛び暗闇の中に見えなくなってしまいました。ハリーは喘ぎながらそれならダンブルドアを殺害したように自分も殺害しろとスネイプに向かって言い放ったのでした。

ハリーに恐れは全くなくスネイプへの怒りと侮蔑しか感じていませんでした。そしてさらに「この臆病者」と言おうとしました。臆病者呼ばわりすればスネイプが一番怒るだろうとそう思いハリーは言おうとしたんでしょう。

「我輩を臆病者と呼ぶな!」

ハリーが言い終わる前にスネイプがこう叫びました。その顔は突然異常で非人間的な形相になりました。あたかもハリーの背後で燃え盛る小屋に閉じ込められて吠えているファングと同じ苦しみを味わっているかのようです。

スネイプは杖で空を切りました。ハリーは顔面を白熱した鞭のような物で打たれたように感じ仰向けに地面に叩きつけられました。目の前に星が飛んで一瞬体中から息が抜けて行くような気がしました。スネイプは激怒した。

それはハリーの狙い通りでした。しかしハリーの命をスネイプは奪いはしませんでした。それは僅かに理性が残っていてスネイプがその手前で踏み止まったからでしょうね。その時上のほうでは羽ばたきの音がしたのでした。

何か巨大な物が星空を覆いました。ヒッポグリフのバックビークがスネイプに襲いかかっていました。剃刀のように鋭い爪に飛びかかられスネイプはのけ反ってよろめきました。ハリーはやっとの思いで上半身を起しました。

今しがたスネイプに地面に叩きつけられた時の衝撃でくらくらしていたからでした。スネイプは必死で走っていました。バックビークが巨大な翼を羽ばたかせて甲高い鳴き声を上げながらスネイプを追いかけていたのでした。

ハリーがこれまで聞いた事のないバックビークの鳴き声でした。ハリーはようやく立ち上がりふらふらしながら杖を探しました。追跡を続けたいとは思いましたが指で芝生をなぞり杖を探しながら遅過ぎると判っていました。

ハリーの思った通りで杖を見つけ出して振り返った時にはバックビークが校門の上で輪を描いて飛んでいる姿が見えるだけでした。スネイプは既に校門から出て境界線のすぐ外で「姿くらまし」をしてしまったその後でした。

3-3.スネイプに逃げられてしまい
スネイプに地面に叩きつけられまだ茫然とした顔でハリーはあたりを見回し「ハグリッド」と呟きました。そして縺れる足で燃え盛る小屋のほうに歩いて行くと背中にファングを背負ったハグリッドが炎の中から現れました。

ハグリッドは死んでいなかった。ハリーは安堵の声を上げがっくりと膝を折りました。緊張感が解けて気持ちが緩んだため手足は小刻みに震えて体中が痛んで荒い息をする毎に痛みが走りました。全力疾走したからでしょう。

それも天文台塔の屋上から校門の手前まででしたからね。ハグリッドの巨大な鬚面が星空を覆い隠しハリーの顔の上で揺れていました。木材と犬の毛が焼け焦げた臭いがしました。ハリーを心配してこう声をかけて来ました。

「大丈夫かハリー?だいじょぶか?何かしゃべってくれハリー」

ハリーは手を伸ばし震えているファングの生きた温かみを感じて安心しました。そして喘ぎながら「僕は大丈夫。ハグリッドは?」と言ってハグリッドは「ああ俺はもちろんだ。あんなこっちゃやられはしねえ」と応えました。

ハグリッドはハリーの腋の下に手を入れぐいと持ち上げました。ハリーの足は一瞬ハグリッドの怪力で地面を離れましたがハグリッドはハリーを抱き上げてまっすぐ立たせてくれました。片目の下に深い切り傷がありました。

それがどんどん腫れ上がって血が滴っているのが見えました。ハリーは「小屋の火を消そう。呪文はアグアメンティ水よ」と言いハグリッドは「そんなようなもんだったな」ともそもそ言うとピンクの花柄の傘を構えました。

「アグアメンティ!水よ!」

傘の先から水が迸り出ました。ハリーも杖を上げましたが腕は鉛のように重くなっていました。ハリーもハグリッドに続いて「アグアメンティ」と唱えてハリーとハグリッドは一緒に小屋に放水してようやく火を消しました。

この後のハグリッドの言葉が問題でした。

「大したこたぁねえ。この程度ならダンブルドアが直せる」

今日の最後に
「辞めろ!命令を忘れたのか?ポッターは闇の帝王のものだ。手出しをするな!行け!行くんだ!」スネイプはハリーに「磔の呪文」をかけた死喰い人にこう言って攻撃を辞めさせました。闇の帝王の命令なのだから辞めろ。

これはもちろんの事なんですがスネイプにはハリーを護らなくてはならないもう1つの理由があるんですよね。ハリーは怒りに任せてスネイプに対してダンブルドアをやったように丸腰の自分も殺害しろと言い放ったのでした。

しかしスネイプは杖を振ってハリーを地面に叩きつけただけで命を奪いはしませんでした。ヴォルデモートの命令の他にもスネイプにはハリーを殺害してはならない理由つまりは列記とした歯止めがあるからというわけです。

ハリーがそれを知るのは翌年の5月の事だったんですよね。それと同時にスネイプに対する認識を大きく変える事になるのです。
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