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災い転じて福と成す、その3(1)(8回シリーズ)

去年の6月から始まったこのシリーズの第3弾を今週と来週の2週間に渡ってお届けしたいと思います。ハリー13才の誕生日にホグワーツから届いた手紙の中にはホグズミード許可証が入っていました。しかしホグズミードに行くためには両親又は保護者の署名が要ります。そこでハリーが取った行動とは?(全3項目)

3-1.13才の誕生日に
ハリーはホグワーツに入学する以前はダドリー軍団が睨みを利かせていたので友達が1人もできませんでした。そのため人生で初めてうれしいと思う事ができた誕生日プレゼントは11才の時ハグリッドから貰ったケーキでした。

誰も誕生日にカードやプレゼントをくれる人などいなかったのです。翌年の12才の誕生日にはロンにハーマイオニーとハグリッドから誕生日のカードとプレゼントが届いていたようですがハリーの手元には届きませんでした。

屋敷しもべ妖精のドビーがハリーをホグワーツに戻らせてなるものかとハリーは友達から手紙が届かなければ学校に戻りたくないと考えてくれるのではとそう思いハリーに届いた手紙を全てストップさせてしまったのでした。

そんなこんなでハリーは13才の誕生日にようやく3人から誕生日カードとプレゼントを貰う事ができました。ロンがくれたのは携帯の「かくれん防止器」でスニーコスコープという胡散臭い奴を探知するという魔法用具でした。

胡散臭い奴が近くにいると光って回り出すそうです。ハーマイオニーからのプレゼントはヘドウィグがはるばるフランスまで行って持ち帰ってくれました。何でも「日刊予言者新聞」のふくろう通信販売で買ったそうです。

それはフリートウッズ社製の「高級箒磨きセット」という物でした。そしてハグリッドがくれたのは「怪物的な怪物の本」という本で手紙には「こいつは来学期役に立つぞ。今はこれ以上は言わねえ」と書かれていました。

最後にハリーが封を切ったのは学校から届いた手紙でした。いつもよりも封筒が分厚いと思いながら封を切りました。するとそこには「ホグズミード許可証」が入っていたのでした。ハリーはもう笑う事ができませんでした。

週末にホグズミードに行けたらどんなに楽しいだろう。そこが端から端まで魔法の村だという事を聞いてはいましたがハリーは一度も足を踏み入れた事がありませんでした。しかし許可証に両親又は保護者の署名が要ります。

ご存知のようにハリーは両親は既に死亡しているので署名を貰うとすればダーズリー夫妻しかいません。しかしバーノン叔父さんやペチュニア叔母さんに一体どう言ったら署名して貰えるんだとハリーはそう思ったのでした。

ハリーはホグズミードの許可証の事は目が覚めてから考えようと思いベッドに入ったというわけなんですよね。

3-2.マージ叔母さんが来る
翌朝ハリーが朝食に下りて行くとダーズリー一家の3人は既に台所のテーブルの周りに座り新品のテレビを見ていました。居間にあるテレビと台所の冷蔵庫の間が遠く歩くのが大変とダドリーが文句たらたらなので買いました。

ハリーに誕生日の祝いの1つも言う所か台所に入って来た事さえ誰も気づいた様子はありません。ハリーはもう慣れていて全く気にもしませんでした。テレビをふと見てみるとそこでは脱獄犯のニュースをやっていた所でした。

脱獄犯がどこの監獄から逃げ出したのかを言わなかったためにバーノン叔父さんはアナウンサーをはったと睨みつけて文句を言いましたが叔父さんのこの言葉でハリーは嫌な衝撃と共に現実世界に引き戻されてしまいました。

「ペチュニアわしはそろそろ出かけるぞ。マージの汽車は10時着だ」

ハリーの口から勝手に言葉が出て「マージ叔母さん?マ、マージ叔母さんがここに来る?」と言いました。マージ叔母さんはバーノン叔父さんの妹で田舎にある大きな庭付きの家に住みブルドックのブリーダーをしています。

大切な犬を放っておくわけにはいかないとプリベット通りにもそれほど頻繁に滞在するわけではありません。しかしその1回1回の恐ろしさがありありとハリーの記憶に焼き付いていました。要は露骨なダドリー贔屓なのです。

「マージは1週間ここに泊る。ついでだから言っておこう。マージを迎えに行く前にはっきりさせておきたい事が幾つかある」

叔父さんがこう言うとダドリーがにんまりしてテレビから視線を外しました。ハリーが父親に痛みつけられるのを見物するのがダドリーお気に入りの娯楽でした。そしてこの次に叔父さんはハリーにこう言って来たのでした。

「第1にマージに話す時はいいか礼儀をわきまえた言葉を話すんだぞ」

ハリーは気に入らず「いいよ。叔母さんが僕に話す時にそうするならね」と応えました。すると叔父さんはまるでハリーの答えを聞かなかったかのように言葉を続けました。この次に叔父さんはハリーにこう言ったのでした。

「第2にマージはお前の異常さについては何も知らん。何か。何かキテレツな事はマージがいる間一切起こすな。行儀よくしろ。判ったか?」

叔父さんのこの言葉にハリーは歯を食い縛ったまま「そうするよ。叔母さんもそうするなら」と答えました。すると今度は叔父さんは自分のその目をまるで切り目のように細くしたかと思うとハリーに向かいこう言いました。

「そして第3にマージにはお前がセント・ブルータス更生不能非行少年院に収容されていると言ってある」

ハリーは思わず「何だって?」と叫びました。叔父さんは吐き捨てるように「お前は口裏を合せるんだ。いいか小僧。さもないとひどい目に遭うぞ」と言いました。ハリーはあまりの事に顔を蒼白にして叔父さんを見ました。

煮えくり返るような気持ちで座ったまま動けませんでした。マージ叔母さんがここプリベット通り4番地に1週間も泊る。ダーズリー一家からの誕生日プレゼントの中でも最悪だ。ハリーはそう思わずにはいられませんでした。

ところがだったのです。

3-3.取り引き
ハリー脅しが終わるとバーノン叔父さんは立ち上がりました。叔父さんは息子のダドリーに「一緒に来るか?」と声をかけましたがダドリーの興味はテレビに戻っていて断りました。ペチュニア叔母さんは知っていました。

ダドリーのために素敵な蝶ネクタイを購入しておいたのだそうです。一方ハリーは恐怖で茫然と座り込んでいましたが急にある事を思いつきました。急いで立ち上がるとハリーは叔父さんの後を追って玄関に走ったのでした。

「お前を連れて行く気はない」

こう言う叔父さんにハリーは「僕も行きたいわけじゃない」と冷たく言い返しました。そして「お願いがあるんです」と言いました。ピンチをチャンスに変える策を思いついたのです。例のホグズミードの件というわけです。

「ホグ。学校で3年生は時々町に出かけてもいい事になっているんです」

胡散臭そうな目つきをする叔父さんにハリーはこう言いました。ホグワーツと学校の名前を言おうものならたちまち叔父さんを怒らせてしまうという事でハリーは辛うじて「ホグ」と言った所で踏み止まったというわけです。

「許可証に叔父さんの署名が要るんです」とハリーが言うと叔父さんは「何でわしがそんな事せにゃならん?」と訊いて来ました。そこでハリーが言ったのは自分が行っている事になっているあの学校の事だったのでした。

セント・ブルータス更生不能非行少年院。自分がそこに行っているふりをするのは大変な事だ。それらしく聞こえるようにしないといけない。うっかり口を滑らせたら。こう言うハリーに叔父さんは激怒しこう言いました。

「グウの音も出ないほど叩きのめされたいか?」

こう言って拳を振り上げてハリーにじりっと寄って来た叔父さんにハリーは頑として一歩も引かずに「叩きのめしたって僕が言っちゃった事をマージ叔母さんは忘れてくれるかな」と厳めしく言ったというわけなんですよね。

「でも許可証にサインしてくれるならどこの学校に行ってる事になっているか絶対忘れないって約束するよ。それにマグ。普通の人みたいにしてるよちゃんと」

ハリーは急いで言葉を続けてこう言い叔父さんは思案した末にハリーが話の辻褄を合わせればホグズミード許可証に署名をしてもいいと約束したのでした。こうしてハリーとバーノン叔父さんの間に取り引きが成立しました。

ハリーもホグズミードに行くため懸命だったというわけです。

今日の最後に
7月31日の午前2時過ぎにロンとハーマイオニーとハグリッドの誕生日カードとプレゼントが届き時を同じくして学校からホグズミード許可証が同封された手紙も届けられました。当初ハリーは考えあぐねてしまったのでした。

一体どうやったらバーノン叔父さんとペチュニア叔母さんのどちらかから署名して貰えるんだと思ったというわけです。ところがハリーは最大のピンチを最良のチャンスに変える事ができる機会を掴んだというわけですよね。

それはハリーがホグワーツに入って以来初めてマージ叔母さんが来るという出来事でした。1週間の間セント・ブルータス更生不能非行少年院に行っていると辻褄を合わせれば許可証に署名をすると叔父さんは約束をしました。

こうしてハリーの辛苦と辛酸を舐める1週間の日々が始まったというわけなんですよね。

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