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災い転じて福と成す、その3(2)(8回シリーズ)

13才の誕生日によりによってマージ叔母さんがやって来るなんて最悪だと思ったハリーでしたがホグズミード許可証にバーノン叔父さんの署名を貰うというピンチをチャンスに変える策を思いつきました。そしてハリーが極限の我慢と忍耐を強いられる1週間が始まったのでした。(全3項目)

3-1.マージ叔母さん来訪
本当のマグルらしく振る舞うのならすぐに準備を始めなければならない。ハリーは台所ではなく2階の自分の部屋に戻りました。ハリーがまず最初に取り掛かったのは3人のプレゼントと誕生祝いカードを取り片付ける事でした。

そして次にしたのはその誕生祝いカードとプレゼントを持って来たふくろうのヘドウィグとエロールを起こす事でした。ハリーは溜め息をついたその後に2羽を起こしヘドウィグに向かってこう言ったというわけなんですよね。

「1週間だけどこかに行っててくれないか。エロールと一緒に行けよ。ロンが面倒を見てくれる。ロンにメモを書いて事情を説明するから。そんな目つきで見ないでくれよ」

ヘドウィグの目が恨みがましくハリーを見ていました。そんなヘドウィグにハリーは「僕のせいじゃない。ロンやハーマイオニーと一緒にホグズミードに行けるようにするにはこれしかないんだ」と言ったというわけです。

10分後には脚にロンへの手紙が括りつけられたヘドウィグとエロールが窓から舞い上がって行きました。心底惨めな気持ちでハリーは空っぽの鳥籠を箪笥に仕舞い込みました。でもハリーにくよくよしている暇はありません。

次の瞬間ペチュニア叔母さんが1階に下りて来てお客を迎える準備をしなさいと2階に向かって叫んでいたからです。ハリーが玄関ホールに着いた途端に叔母さんは「その髪を何とかおし!」とピシャリと言い放ったのでした。

髪を撫でつけるなんて努力する意味がないとハリーは思いました。マージ叔母さんは自分にいちゃもんをつけるのが大好きなのだからだらしなくしているほうがうれしいに違いないとハリーはそう思ったというわけですよね。

そうこうする内に外の砂利道が軋む音がしました。バーノン叔父さんの車が私道に入って来たのです。車の扉が閉まる音がして庭の小道を歩く足音が聞こえて来ます。ペチュニア叔母さんがハリーに向かってこう言いました。

「玄関のドアをお開け!」

言われた通りにハリーが玄関の扉を開けると戸口にマージ叔母さんが立っていました。バーノン叔父さんそっくりで巨大ながっちりした体に赤ら顔で何と叔父さんほどではないにしろ口髭まであるという姿形だったのでした。

片手にはとてつもなく大きなスーツケースを下げていてもう片方の腕には根性悪の老いたブルドックを抱えています。こうしてマージ叔母さんはプリベット通り4番地を訪れ1週間に渡って滞在する事になったというわけです。

3-2.早々に開始
ハリーが扉を開けて家の中に迎え入れたというのにマージ叔母さんはそのハリーをものの見事に無視すると台所へと入って行きました。だからといってハリーは決して不満ではなく離れていられるのなら大歓迎と思いました。

玄関ホールにはハリーとスーツケースだけが残されました。そこでハリーはできるだけ時間をかけてスーツケースを2階の客用の寝室へと引っ張り上げ始めました。それからおもむろに台所へと戻って行ったというわけです。

ハリーが台所に戻った時にはマージ叔母さんは紅茶とフルーツケーキを振舞われていました。叔父さんが連れて来たリッパー以外の犬は誰が面倒を見ているのかと訊くとマージ叔母さんは太い声でこう答えたというわけです。

「ああファブスター大佐が世話してくれてるよ。退役したんでね。何かやる事があるのは大佐にとって好都合さ」

しかし年寄りのリッパーは可哀想で自分がそばにいないと痩せ衰えるので連れて来たのだそうです。そのリッパーがハリーが席に着くと唸り出しました。ここで初めてマージ叔母さんはハリーがいる事に気づいたんですよね。

「おんや!お前まだここにいたのかい?」

こう訊くマージ叔母さんにハリーが「はい」と答えるとマージ叔母さんは「何だいそのはいは。そんな恩知らずなものの言い方をするんじゃない」と唸るように言いました。最初に会話を交わしていきなり文句を言うのです。

「バーノンとペチュニアがお前を置いとくのは大層なお情けってもんだ。私ならお断りだね。うちの戸口に捨てられてたならお前はまっすぐ孤児院行きだったよ」

こう言うマージ叔母さんにハリーはダーズリー一家と暮らすより孤児院に行ったほうがましだと言ってやりたいとそう思いました。しかしホグズミード許可証の事を思い浮かべて踏み止まり無理やり作り笑いをしたのでした。

私に向かって小馬鹿にした笑い方をするんじゃない。この前会った時からさっぱり進歩がないじゃないか。学校でお前に礼儀の1つも叩き込んでくれればいいものを。マージ叔母さんは再びハリーに罵倒の言葉を浴びせました。

「バーノンこの子をどこの学校にやってると言ったかね?」

こう訊くマージ叔母さんに叔父さんは「セント・ブルータス。更生不能のケースでは一流の施設だよ」と素早く答えました。するとマージ叔母さんは「そうかい。セント・ブルータスでは鞭を使うかね。え?」と訊きました。

ハリーが「エーッと」と言い淀んでいると叔父さんがこくんと頷いてみせました。そこでハリーは「はい」と答えました。それならばいっその事それらしく言ったほうがいいと思って「しょっちゅうです」と付け加えました。

「そうこなくっちゃ。ひっぱたかれて当然の子を叩かないなんて腰抜け腑抜け間抜けもいいとこだ。十中八九は鞭で打ちのめしゃぁいい。お前はしょっちゅう打たれるのかい?」

最後の問いにハリーが「そりゃあなーんども」と答えるとマージ叔母さんは顔をしかめてハリーの言いようはやはり気に入らないと言い出しました。そんなに気楽にぶたれたなんて言えるようじゃ鞭の入れ方が足りないんだ。

そしてペチュニア叔母さんにハリーの場合には万力込めて叩く事を認めると手紙を書けとそう言ったのでした。とにもかくにもハリーの言う事は何から何までマージ叔母さんは全てが気に入らないというわけなんですよね。

3-3.それからというものは
こうしてマージ叔母さんと同じ屋根の下で暮らすようになるとハリーはマージ叔母さんがいなかった時のプリベット通り4番地が懐かしいとさえ思うようになりました。ダーズリー夫妻は大抵はハリーを遠ざけようとしました。

ハリーにとってそれは願ってもない事でした。ところがマージ叔母さんはハリーの躾をああだこうだと口やかましく指図するためにとハリーを四六時中自分の目の届く所に置きたがりました。それだけではありませんでした。

ハリーとダドリーを比較するのもお楽しみの1つでダドリーに高価なプレゼントを買い与えては「どうして僕にはプレゼントがないの?」とハリーが訊くのを待っているかのようにじろりと睨むのが至上の喜びだったのでした。

さらにハリーがこんなろくでなしになったのはこれこれのせいだと陰湿な嫌みを投げつけて来るのです。そしてそれは3日目の昼食の席でした。マージ叔母さんは叔父さんにこう言ってハリーはまたも我慢を強いられました。

「バーノンこの子が出来損ないになったからといって自分を責めちゃいけないよ。芯から腐ってりゃ誰が何をやったって駄目さね」

ハリーは食べる事に集中しようとしました。それでも手は震え顔は怒りで火照り始めました。許可証を忘れるな。ホグズミードの事を考えるんだ。何も言うな。挑発に乗っては駄目だとハリーは必死に自分に言い聞かせました。

「ブリーダーにとっちゃ基本原則の1つだがね。犬なら例外なしに原則通りだ。牝犬に欠陥があればその仔犬もどこかおかしくなるのさ」

マージ叔母さんがこう言った途端に手にしたワイングラスが爆発しました。ペチュニア叔母さんが金切り声で「マージ!大丈夫?」と言いましたがマージ叔母さんは「心配いらないよ」とそう応えて意には介しませんでした。

強く握り過ぎたんだろう。ファブスター大佐の所でも同じ事があったんだそうです。大騒ぎする事はない。自分は握力が強いんだとマージ叔母さんはそう言いました。しかしダーズリー夫妻はハリーに疑いの目を向けました。

ハリーはデザートを抜かしてできるだけ急いでテーブルを離れる事にしました。でも間違いなくハリーの仕業でしょうね。おそらく自分の事ではなく牝犬つまり母親の事を欠陥があるなどと言われたのが原因なんでしょうね。

今日の最後に
「バーノンとペチュニアがお前を置いとくのは大層なお情けってもんだ。私ならお断りだね。うちの戸口に捨てられてたならお前はまっすぐ孤児院行きだったよ」マージ叔母さんはハリーに対しこう言い放って来たのでした。

こう言われてハリーはダーズリー一家と暮らすぐらいなら孤児院に行ったほうがましと言いたかったが我慢した。でも実はダーズリー夫妻取り分けペチュニア叔母さんにはハリーを引き取る事で見返りがあったというわけです。

ハリーを引き取ればここプリベット通り4番地に「忠誠の術」という魔法がかけられハリーのみならずダーズリー一家も身の安全が保障される。だからこそペチュニア叔母さんはハリーを引き取る事にしたというわけですよね。

でもペチュニア叔母さん以外のハリーに夫のバーノン叔父さんと息子のダドリーはこの事を知らなかった。何と魔法で自分たちが護られているなんてペチュニア叔母さんは決してそして口が裂けても言えないというわけです。

特に夫のバーノン叔父さんは極度な魔法嫌いですからね。

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