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災い転じて福と成す、その3(7)(8回シリーズ)

こんな悪天候の中ではプレイはしたくないという事でスリザリン・チームのキャプテンのマーカス・フリントは試合の延期を申し入れて来てグリフィンドール・チームの相手は急遽ハッフルパフに変わりハリーは初めての敗北を味わいニンバス2000をも失いました。ところがだったんですよね。(全3項目)

3-1.吸魂鬼に遭った事で
マダム・ポンフリーはハリーがその週末一杯を病室で安静にしているべきだと言い張りました。ハリーは抵抗もせず文句も言いませんでした。ただマダム・ポンフリーがニンバス2000の残骸を捨てる事は承知しませんでした。

自分の愚かしさが判ってはいました。ニンバス2000はもうどうにもならない事は知っていました。それでもなお救いようのない気持ちでした。まるでそれはハリーにとっては親友の1人を失ったかのような痛手だったからです。

ジニーにハグリッドと見舞い客が次々とやって来ました。誰もがハリーを慰めようと一生懸命です。日曜日の朝グリフィンドールの選手たちが今度はオリバー・ウッドを連れてやって来ました。ハリーを少しも責めていない。

ウッドは死んだような虚ろな声で言いました。ロンとハーマイオニーは夜以外はつきっきりでハリーのベッドのそばにいました。しかし誰が何をしようと何を言おうとハリーは塞ぎ込んだままだったというわけなんですよね。

みんなにはハリーを悩ませていた事のせいぜい半分くらいしか判っていなかったのです。二度も現れていずれも危うく死ぬような目に遭った死神犬の事に考えただけで吐き気を催し自尊心を傷つける吸魂鬼の事だったのです。

吸魂鬼は恐ろしいとみんなが言う。しかし吸魂鬼に近寄る毎に気を失ったりするのは自分だけだ。両親の死ぬ間際の声が頭の中で鳴り響くのは自分だけだ。夜に眠れないまま横になっていると何度も何度も聞こえて来ました。

吸魂鬼が近づいた時ハリーは母親の最期の声を聞いたのです。ヴォルデモートからハリーを護ろうとする母リリーの声です。ハリーはまどろんでは目覚め目覚めてはまたまどろむを繰り返しました。また考えてしまうのです。

それは腐ってじめっとした手つまり吸魂鬼の事や恐怖に凍りついたような哀願の夢にうなされ飛び起きてはまたも母リリーの声の事を考えてしまうのです。試合に吸魂鬼が現れた事はハリーに多大な痛手を蒙らせたのでした。

3-2.クリスマス・プレゼントに
そんなハリーに今学期「闇の魔術に対する防衛術」の教師になったルーピン先生が声をかけてくれました。ルーピン先生は両親をヴォルデモートに殺害されて失うという最悪の経験はハリーにとってひどいものと言いました。

ハリーのような目に遭えばどんな人間でも箒から落ちても不思議はない。決して恥に思う必要はないのだそうです。そしてクリスマス休暇明けから吸魂鬼から身を護る方法つまり吸魂鬼防衛術を教えると約束してくれました。

さらに11月の末にクィディッチでレイブンクローがハッフルパフをペシャンコに負かした事もありハリーの気持ちは着実に明るくなって来ました。もう負けは許されませんがグリフィンドールにも優勝の可能性はありました。

オリバー・ウッドは再びあの狂ったようなエネルギーを取り戻し今までに増してチームをしごきました。そうこうする内にクリスマスがやって来て朝ハリーはロンに枕を投げつけられこう言われて目が覚めたというわけです。

「おい!プレゼントがあるぞ!」

ハリーがメガネを掛けるとロンはもう自分のプレゼントの包み紙を破っていました。毎年恒例のウィーズリーおばさんお手製のセーターはロンはまた栗色でハリーは胸にグリフィンドールのライオンを編み込んだ真紅でした。

それにこれもお手製のミンスパイが1ダースと小さいクリスマス・ケーキにナッツ入り砂糖菓子が一箱届いていました。全部を脇に寄せるとその下に長くて薄い包みが置いてありロンが覗き込み「それ何だい?」と訊きました。

「さあ」と言葉を濁しながら包みを破ったハリーは息を呑みました。見事な箒が輝きながらハリーのベッドカバーの上に転がり出ました。ロンは持っていた靴下を落としてもっとよく見ようとベッドから飛び出して来ました。

「本当かよ」と言うロンの声がかすれていました。その箒は「炎の雷・ファイアボルト」でした。ハリーがダイアゴン横丁で毎日通い詰めた夢の箒でした。取り上げると箒の柄が燦然と輝きました。それだけではありません。

箒の振動を感じてハリーが手を離すと箒は空中に浮かび上がりました。ハリーが跨るのにぴったりの高さです。ハリーの目は柄の端に刻まれた金文字の登録番号から完璧な流線形にすらりと伸びた小枝の尾まで動きました。

ロンが声を潜めて「誰が送って来たんだろう?」と訊いて来ました。ハリーが「カードが入っているかどうか見てよ」と言ってロンがファイアボルトの包み紙を広げましたが何もありません。一体全体誰が贈って来たのか?

色々話し合いましたが結局結論は出ませんでした。

3-3.レイブンクロー戦の直前に
こうしてハリーの所にファイアボルトが送られて来ました。ところがハリーの手元に存在したのはほんの一瞬でした。珍しくもマクゴナガル先生が談話室に姿を現したかと思うと預らせて貰うと持ち去ってしまったのでした。

食事の際にハーマイオニーがマクゴナガル先生に知らせたのでした。呪いがかけられているかもしれない。シリウス・ブラックはハリーの命を狙っているのでファイアボルトはシリウス・ブラックが送って来た可能性がある。

これもシリウス・ブラックが脱獄した事によってハリーに降り懸かった思わぬ余波というわけです。クリスマス休暇明けからルーピン先生の吸魂鬼を撃退するための課外授業も始まりましたが進捗状況は思わしくありません。

この両方がハリーを苛立たせる事になりました。ルーピン先生がハリーに教えたのは「守護霊の呪文」という相当に高度な魔法で大人の魔法使いでさえも習得が困難なんだそうです。だからそう安々とは習得できないのです。

「高望みしてはいけない。13才の魔法使いにとってはたとえぼんやりとした守護霊でも大変な成果だ。もう気を失ったりはしないだろう?」

4回目の訓練の時ルーピン先生はハリーにこう言い厳しくたしなめました。一方ファイアボルトのほうはハリーは「変身術」の授業の際に毎回のように尋ねていました。そんな事が12回もあった後こんな答えが返って来ました。

「いいえポッターまだ返すわけにはいきません。普通の呪いは大方調べ終わりました。ただしフリットウィック先生があの箒にはうっちゃりの呪いがかけられているかもしれないとお考えです」

さらにマクゴナガル先生はハリーに「調べ終わったら私からあなたにお教えします。しつこく聞くのはもういい加減にお止めなさい」とこちらも同様に厳しく諌められる事となってしまったのでした。ところがだったのです。

レイブンクロー戦が近づいて来たのでウッドはハリーに新しい箒を買えと言いました。例えばドラコ・マルフォイが持っているニンバス2001はどうかと言って来ました。でもハリーはその提案を固辞したというわけですよね。

その選択は正しかったのです。それはレイブンクロー戦を週末の土曜日に控えた木曜日でした。ハリーがルーピン先生の課外授業を受けてグリフィンドール塔に戻る途中でマクゴナガル先生がハリーを探してやって来ました。

ファイアボルトを返してくれたのです。

今日の最後に
送られて来たファイアボルトには呪いがかけられているかもしれない。何故ならそれを送って来たのはハリーの命を狙っているシリウス・ブラックかもしれないからだ。ハーマイオニーはそう推測しそれは当たっていました。

確かにファイアボルトをハリーに送ったのはシリウス・ブラックでした。でも呪いはかけられてはいませんでしたね。それはシリウスが命を狙っていたのは実はハリーではなくてピーター・ペティグリューだったからでした。

あいつはホグワーツにいる。シリウスは寝言でそう繰り返し言っていたそうです。しかしピーター・ペティグリューがロンのペットのネズミのスキャバーズとしてホグワーツにいる事はシリウス以外は誰も知りませんでした。

世間ではピーター・ペティグリューは死んだと思われていました。この事実をシリウス以外は誰も知らなかったためハリーは命を狙われていると誰もが思った。この事によりハリーには数々の災難が降り懸かる事になった。

何とも皮肉な巡り合わせですがこれがハリーにとっては思わぬ結果を導き出す事になったというわけなんですよね。

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