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アルバス・ダンブルドア「死の秘宝」編、その2(7)(52回シリーズ)

時は流れて9月1日となりハリーは失敬して来た「日刊予言者新聞」を持って12番地に帰って来ました。そこには普段より多い6人の死喰い人が見張っていました。その新聞にはロンとハーマイオニーが大声で「まさか!」と言わしめる驚きの記事が掲載されていました。(全3項目)

3-1.時は流れて9月となり
8月も残り少なくなり伸び放題だったグリモールド・プレイス広場の中央にある草花も暑さで萎びて濃茶色に干からびていました。12番地の住人は周囲の家の誰とも顔を合わせず12番地そのものも誰の目にも触れませんでした。

グリモールド・プレイスに住むマグルたちは11番地と13番地が隣り合わせになっているという間の抜けた手違いに随分前から慣れっこになっていました。にも関わらず不揃いの番地に興味を持ったらしい訪問者が現れました。

ぽつりぽつりとほとんど毎日のように1人又は2人とこのグリモールド・プレイス広場を訪れてはそれ以外には何の目的もないと少なくとも傍目にはそう見えましたが11番地と13番地に面した柵に寄り掛かっていたんですよね。

そして二軒の家の境目を眺めていて同じ人間が2日続けて来る事はなく当たり前の服装を嫌うという点では全員が共通しているようでした。突拍子もない服装を見慣れているロンドンっ子たちは大概ほとんど気にも止めません。

しかし時折振り返る通りすがりのロンドンっ子たちは「この暑いのにどうして長いマントを着ているのだろう?」と訝るような目で見ていました。見張っているその訪問者たちはほとんど満足な成果が得られない様子でした。

時々とうとう求めていた何かが見えたとでも言いたげに興奮した様子で前に進み出る事がありました。でも結局は失望し再び元の位置に戻って行くのです。9月最初の日にはこれまでより多くの人数が広場を徘徊していました。

長いマントを着た男が何と6人も押し黙って目を光らせいつものように11番地と13番地の家を見つめていました。しかし待っているものが何であれそれをまだ掴み切れてはいないようでした。夕方近くには雨が降って来ました。

ここ何週間もなかったような冷たい雨でした。何がそうさせるのか不明でしたが見張りたちがその時またも何か興味を引くものを見たような素振りを見せました。ひん曲がった顔の男が指差し一番近くの男が前に進みました。

青白いずんぐりした男は前に進みましたが次の瞬間には男たちはまた元のように動かない状態に戻り苛立ったり落胆したりしているようでした。時を同じくして12番地にはハリーがちょうど玄関ホールに入って来た所でした。

3-2.気に入らないニュース
扉の外の石段の一番上に「姿現わし」した時にバランスを崩しかけ一瞬突き出した肘を死喰い人に見られたかもしれないとハリーは思いました。玄関の扉をしっかり閉めるとハリーは「透明マント」を脱いで腕にかけました。

そして薄暗いホールを地下の入口へと急ぎました。その手には失敬して来た「日刊予言者新聞」がしっかり握られていました。いつものように「セブルス・スネイプか?」と問う低い囁きが迎えて冷たい風が吹き抜けました。

ハリーの舌が一瞬丸まり舌縛りが解けると同時にハリーはあなたを殺害したのは自分じゃないと言って人の姿を取る呪いのかかった埃が爆発をするのに備えて息を止めました。ここでは声を張り上げる事はできませんでした。

厨房への階段の途中まで下ってブラック夫人には聞こえない加えて舞い上がる埃がもう届かない所まで来て初めてハリーは声を張り上げ「ニュースがあるよ。気に入らないやつだろうけど」とそう言ったというわけですよね。

厨房は見違えるようになっていました。何もかもが磨き上げられ鍋やフライパンは赤銅色にそして木のテーブルも輝きゴブレットや皿はもう夕食用に並べられて楽しげな暖炉の炎を映し暖炉にかけられた鍋は煮えていました。

しかし厨房のそんな変化よりも格段に変わっていたのがクリーチャーでした。真っ白なタオルを着て耳の毛は清潔で綿のようにふわふわしています。その痩せた胸にはあのレギュラスのロケットが飛び跳ねていたんですよね。

「ハリー様お靴をお脱ぎください。それから夕食の前に手を洗ってください」

クリーチャーはこう言うと「透明マント」を預かって壁の洋服掛けに掛けました。壁には流行遅れのローブが何着かきれいに洗って掛けてありました。気に入らないニュースがあると聞いてロンが心配そうにこう訊きました。

「何が起こったんだ?」

ロンはハーマイオニーと2人で走り書きのメモや手書きの地図の束を長テーブルの一角に散らかして調べ物の最中でしたが2人とも気を高ぶらせて近づいて来るハリーに目を向けました。ハリーは新聞を広げて2人に見せました。

見知った鉤鼻と黒い髪の男が大写しになってハリーたち3人を見上げて睨んでいます。その上に大見出しがあってロンもハーマイオニーも大声で「まさか!」と言いハーマイオニーが新聞を素早く取り上げると読み始めました。

セブルス・スネイプ、ホグワーツ校長に確定

記事によれば歴史あるホグワーツ魔法魔術学校に於ける一連の人事異動で最重要職の1つである校長が本日任命されたんだそうです。新校長のセブルス・スネイプ氏は長年「魔法薬学」の教師として務めた人物なのだそうです。

前任者の辞任に伴い「マグル学」はアレクト・カロー女史がその後任となり空席になっていた「闇の魔術に対する防衛術」にはカロー女史の兄であるアミカス・カローが就任するとの事です。スネイプはこう言ったそうです。

「我が校に於ける最善の魔法の伝統と価値を高揚する機会を我輩は歓迎する」

記事を読み終えるとハーマイオニーは「ええそうでしょうよ。殺人とか人の耳を切り落とすとかね!スネイプが校長!スネイプがダンブルドアの書斎に入るなんて。マーリンの猿股!」と言ったかと思うと立ち上がりました。

そして「すぐ戻るわ!」と叫びながら矢のように部屋を飛び出して行きました。ロンはさも面白そうににやっと笑うと「マーリンの猿股?きっと頭に来たんだな」と言い新聞を引き寄せてスネイプの記事を流し読みしました。

3-3.スネイプ校長のニュースを受けて
ロンは「他の先生たちはこんなの我慢できないぜ」とそう言うのです。何故ならマクゴナガル先生にフリットウィック先生とスプラウト先生はダンブルドアがどんな風に死んだのか本当の事を知っているからなんだそうです。

スネイプ校長なんて受け入れない。それにカロー兄妹って誰だ?ロンのこの問いにハリーは「死喰い人だよ。中のほうに写真が出てる」と答えました。ダンブルドアが教えてくれたのでハリーはこの2人の事を知っていました。

スネイプがダンブルドアを殺害した時に天文台塔の屋上にいた死喰い人なのです。ハリーは椅子を引き寄せながら「つまり全部お友達さ」と苦々しく答えたんですよね。さらにはハリーはロンとは逆の見解を示したのでした。

他の先生は学校に残るしかないだろう。スネイプの後ろに魔法省とヴォルデモートがいるとなれば留まって教えるのかアズカバンで数年ゆっくり過ごすかの選択になる。それさえも運が良ければの話だとハリーは言いました。

だからハリーは最後に「きっと留まって生徒たちを守ろうとすると思うよ」とロンに言ったのでした。ハリーがそう言っていると大きなスープ鍋を持ったクリーチャーがまめまめしくテーブルのほうへとやって来たのでした。

そして口笛を吹きながらスープ皿にスープを分け入れました。ハリーは「ありがとうクリーチャー」と礼を言いながらスネイプの顔を見なくて済むようにと「日刊予言者新聞」を引っくり返してこう言ったというわけです。

「まあ少なくともこれでスネイプの正確な居場所が判ったわけだ」

ハリーはスープを飲み始めました。クリーチャーはレギュラスのロケットを授与されてから驚異的に料理の腕が上がりました。今日のフレンチオニオンスープなどハリーが今までに味わった中でも最高の出来だったのでした。

さらにハリーはロンにこうも言いました。死喰い人がまだ沢山ここを見張っている。いつもより多いんだ。まるで自分たちがトランクを引っ張ってここから堂々と出かけてホグワーツ特急に向かうとでも思っているみたいだ。

「僕もその事を1日中考えていたんだ。列車はもう6時間も前に出発した。乗っていないなんて何だか妙ちくりんな気持ちがしないか?」

ロンはちらりと腕時計を見てこう言いました。ハリーはかつてロンと一緒に空飛ぶ車で追いかけた紅の蒸気機関車を思い浮かべていました。今頃きっとジニーにネビルとルーナが一緒に座り自分たちの事を考えているだろう。

ハリーにロンとハーマイオニーはどこにいるだろうと心配しているに違いないというわけです。そうでなければ一体どうやったらスネイプ新体制を弱体化できるか議論している事だろうとハリーはそう思ったというわけです。

「たった今ここに戻って来たのを連中に見られる所だった。階段の一番上に上手く着地できなくてそれに透明マントが滑り落ちたんだ」

ハリーがこう言うとロンは「僕なんかしょっちゅうさ」と応えました。するとそこにハーマイオニーが戻って来ました。ロンはハリーに「あ戻って来た」と言うと椅子に掛けたままで首を伸ばすとハーマイオニーを見ました。

「それにしてもマーリンの特大猿股!そりゃ何だい?」

そしてこう訊いたのでした。

今日の最後に
この時ハリーたち3人は知るべくもなかったのですが実はセブルス・スネイプは校長室の肖像画のダンブルドアの指示を仰いで行動していました。マンダンガス・フレッチャーを影で操っていたのもスネイプだったんですよね。

マンダンガスからハリーがプリベット通り4番地を出る正確な日付を聞き出しマンダンガスに7人のハリー・ポッター作戦を提案させていたのもスネイプでその提案をさせるように指示していたのもダンブルドアだったのです。

スネイプはハリーとドラコ・マルフォイにカロー兄妹さらには狼人間のフェンリール・グレイバックら闇の陣営の側の複数が見ている目の前でアルバス・ダンブルドアを殺害して自分は闇の陣営の側だと旗幟鮮明にしました。

そのためスネイプは信用できないと声高に主張していたベラトリックス・レストレンジでさえ何も言えなくなっていました。闇の陣営の側の人間でスネイプを疑う者はもはや1人もいないのはもう火を見るより明らかですよね。

でもそれはとんでもない間違いだったのです。ここまでスネイプがヴォルデモートを含めた闇の陣営つまり死喰い人たちの絶対的な信用を得たのもスネイプがダンブルドアを殺害したという事実があったからというわけです。

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