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アルバス・ダンブルドア「死の秘宝」編、その2(9)(52回シリーズ)

魔法省への潜入計画を明日決行するとハリーが唐突に言い出してちょっとした議論になりましたがその話し合いの最中にハリーの額の傷痕が痛んでハリーはバスルームに駆け込む事を余儀なくされました。そこにやって来たロンにハーマイオニーとの間でまた別の議論になったのでした。(全3項目)

3-1.計画を実行すると決まって
ハリーの決断で計画を明日実行する事になりロンが「よーし」とゆっくり言った後「例えば明日決行するとして僕とハリーだけが行くべきだと思う」と提案するとハーマイオニーが溜め息をつきながらこう反論したのでした。

「まあまたそんな事を!その事はもう話がついていると思ったのに」

しかしロンは「透明マント」に隠れて魔法省の入口の周りをうろつく事と今回の計画とは違うと言うのです。そして10日前の古新聞に指を突きつけるとこう言ってハーマイオニーが行く事を反対したというわけなんですよね。

「君は尋問に出頭しなかったマグル生まれのリストに入っている!」

するとハーマイオニーはそれを言うならとばかりにロンは黒斑病のせいで「隠れ穴」で死にかけているはずだと言い返しました。誰か行かないほうがいい人がいるとすればそれはハリーだとハーマイオニーはそう言うのです。

何とハリーの首には一万ガリオンの懸賞金が懸っているからだそうです。そこでハリーは「いいよ。僕はここに残る。万が一君たちがヴォルデモートをやっつけたら知らせてくれる?」とジョークを飛ばして見せたのでした。

それを聞きロンとハーマイオニーは笑い出しましたが同時にハリーの額の傷痕に痛みが走りました。ハリーの手は瞬時に額に飛びましたがハーマイオニーが疑わしげに目を細めたので髪の毛を払う仕種をして誤魔化しました。

「さてと3人とも行くんだったら別々に姿くらまししないといけないだろうな。もう3人一緒に透明マントに入るのは無理だ」

ロンは3人で行くのならと今度はこう提案をしましたが傷痕はますます痛くなって来ました。ハリーは立ち上がりました。するとクリーチャーがすぐさまハリーに駆け寄って来たかと思うとハリーにこう言って来たんですよね。

「ご主人様はスープを残されましたね。お食事においしいシチューなどはいかがでしょうか。それともデザートにご主人様の大好物の糖蜜タルトをお出しいたしましょうか?」

3-2.厨房を出てバスルームに
ハリーは「ありがとうクリーチャー」と礼を言った後にトイレに行くと言って厨房を出ると急いで階段を上がり玄関ホールから2階の踊り場を通ってバスルームに駆け込むと中から閂を掛けました。ハリーは目を閉じました。

ハリーはヴォルデモートでした。夕暮れの街をヴォルデモートはするすると進んでいました。両側の建物は壁に木組みが入った高い切妻屋根で生姜クッキーで作った家のようでヴォルデモートはその中の1軒に近づきました。

ヴォルデモートは扉をノックしました。興奮が高まるのを感じました。扉が開いて女性が声を上げて笑いながらそこに立っていました。ヴォルデモートを見て女性の表情がさっと変わり楽しげだった顔が恐怖に強張りました。

ヴォルデモートが「グレゴロビッチは?」と訊くと女性は首を振って扉を閉めようとしました。ヴォルデモートはそれを手で押さえて締め出されるのを防ぎました。そして女性に「グレゴロビッチに会いたい」と言いました。

女性は首を振って外国語で叫びました。そして片言の英語でその人はここに住んでいないし自分は知らないと言いました。女性は扉を閉めるのを諦めると玄関ホールを後退りし始めました。ヴォルデモートは杖を抜きました。

そして「どこにいる?」と訊きましたが女性はその人は引っ越したとか自分は知らないと答えました。ヴォルデモートは杖を上げて女性は悲鳴を上げました。そこに小さな子供が2人走って来て女性は両手を広げたのでした。

2人の子供を庇おうとしたのです。緑の閃光が走りました。ここでハリーは目を開けました。床に座り込んでいてハーマイオニーが「ハリー!ハリー!」と名前を呼びながら扉を激しく叩いて「ハリー開けて!」と言いました。

ハリーには判っていました。叫んだに違いない。立ち上がって閂を外した途端にハーマイオニーがつんのめるように入って来ました。危うく踏み止まったハーマイオニーは探るように周りを見回したというわけなんですよね。

ロンはすぐ後ろでピリピリしながらバスルームのあちこちに杖を向けていました。ハーマイオニーが厳しい声で「何をしていたの?」と訊きハリーは「何をしていたと思う?」と言い虚勢を張りましたが見え透いていました。

ロンが「すっさまじい声で喚いてたんだぜ!」と言いハリーはきっとうたた寝したかなんかだと言って誤魔化そうとしましたがハーマイオニーは「私たちは馬鹿じゃないわ。誤魔化さないで」と言い深く息を吸い込みました。

「厨房であなたの傷痕が痛んだ事ぐらい判ってるわよ。それにあなた真っ青よ」

そしてハリーにこう言ったんですよね。ハリーはバスタブの端に腰掛けると「判ったよ」と言って今見た光景を説明したのでした。たった今ヴォルデモートが女性を殺害した。今頃はもう家族全員を殺害してしまっただろう。

そんな必要はなかったのに。セドリックの二の舞だ。あの人たちはただその場にいただけなのに。ハリーがこう言うとハーマイオニーはバスルームに響き渡る叫び声でハリーにこう言い苦言を呈したというわけなんですよね。

「ハリーもうこんな事が起こってはならないはずよ!」

3-3.グレゴロビッチを巡って
ダンブルドアはこういう絆は危険だって考えたからあなたに「閉心術」を使わせたかったのよ。ヴォルデモートはその繋がりを利用する事ができるわ。あの人が殺害をしたり苦しめたりするのを見て何かいい事でもあるの?

一体何の役に立つと言うの?さらにこう言うハーマイオニーにハリーは「それは奴が何をしているかが僕には判るという事だ」と答えました。するとハーマイオニーはそんなハリーを責めるようにこう言ったというわけです。

「それじゃあの人を締め出す努力をするつもりはないのね?」

この問いにハリーは自分は「閉心術」が下手だからできない。どうしてもコツが掴めないと答えました。するとハーマイオニーは真剣にやった事がないのよ。理解できない。ハリーは好き好んでやっていると責め立てました。

「好き好んでだって?君ならこんな事が好きだって言うのか?」

ハリーが静かにこう言うとハーマイオニーは言葉を途切れがちにして「ご免なさい。そんなつもりじゃ」などと言い謝りました。ハリーはヴォルデモートが自分の中に入り込めるなんて嫌だよとハーマイオニーに言いました。

ヴォルデモートが一番恐ろしい状態の時にその姿を見なくてはならないなんて真っ平だ。そう言う一方ハリーは「だけど僕はそれを利用してやる」と言いました。ここでハーマイオニーはダンブルドアの名前を口にしました。

「ダンブルドアの事は言うな。これは僕の選んだ事だ。他の誰でもない。僕はあいつがどうしてグレゴロビッチを追っているのか知りたいんだ」

「その人誰?」と訊くハーマイオニーにハリーは「外国の杖作りだ。クラムの杖を作ったしクラムが最高だと認めている」と答えました。するとここで今度はロンがこんな疑問をハリーに対してぶつけて来たというわけです。

ヴォルデモートはオリバンダーをどこかに閉じ込めている。杖作りを1人捕まえているのに何のためにもう1人要るんだとロンはそう言うのです。それはあの日の夜にハリーの杖が何をしたのかに起因しているというわけです。

クラムと同じ意見なのかもしれない。ヴォルデモートもグレゴロビッチのほうが優秀と思っているのかもしれない。あいつが自分を追跡した時自分の杖がした事をグレゴロビッチなら説明できると思っているのかもしれない。

正面にある鏡をちらりと見たハリーはロンとハーマイオニーが背後で意味ありげな目つきで顔を見合わせるのを見ました。そしてまたしてもハーマイオニーがハリーに向かってこんな疑問をぶつけて来たというわけですよね。

「ハリー杖が何かしたってあなたは何度もそう言うけど。でもそうさせたのはあなたよ!自分の力に責任を持つ事を何故そう頑固に拒むの?」

この問いにハリーは何故かと云えばそれは自分がやったんじゃない事が判っているからだ。ヴォルデモートにもそれが判っているんだよ。2人とも本当は何が起こったのかを知っているんだと答えたというわけなんですよね。

今日の最後に
ハリーは5年生のクリスマス休暇明けからダンブルドア校長の肝煎りで「閉心術」を習得するためにスネイプの課外授業を受けました。しかし結局は未習得のままスネイプの課外授業は打ち切りという事になってしまいました。

ダンブルドアがハリーには「閉心術」が必要と判断してスネイプに教えさせた。だからダンブルドアはハリーとヴォルデモートとの間の思考と感情を共有する絆を断ち切りたいと思っていたとハーマイオニーは考えています。

したがってハリーがその絆を利用してヴォルデモートの思考や行動を覗き込むのは反対というわけです。しかしハーマイオニーはその考えが間違っている事を後に知る事になります。してもいいとダンブルドアは思っている。

だからこそダンブルドアはハリーが「閉心術」を未習得なのにも関わらずスネイプに課外授業を再開させませんでした。だからむしろハリーに大いにさらには存分にヴォルデモートの思考と行動を覗き込めとそう思っている。

ハリーの判断は正しかった。間違ってはいなかったという事が後に判るというわけなんですよね。

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