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アルバス・ダンブルドア「死の秘宝」編、その2(12)(52回シリーズ)

ハリーたちの計画は見事に成功し3人揃って魔法省に潜入する事ができました。ところが3人がエレベーターを待っているとロンに声をかけて来る魔法使いがいました。その人物は死喰い人でハリーにとっては忘れられない人物でした。それは何故かと云うと・・・(全3項目)

3-1.少し小さめのホールに入った所で
前回とは違って見事な装飾を施した玉座に座った黒い石造りの巨大でかなり威嚇的な魔法使いと魔女の像がハリーを出迎えましたが像の台座には高さの30センチほどの「魔法は力なり」という文字が刻み込まれていました。

ハリーは両足に後ろから強烈な一撃を食らいました。次の魔法使いが暖炉から飛び出して来てぶつかったのです。禿げた魔法使いは「どけよ。ぐずぐず」と言ったかと思うと「あ。すまんランコーン!」と謝って来たのでした。

そして明らかに恐れを成した様子であたふたと行ってしまいました。ハリーが成り済ましている魔法使いはランコーンという名前でどうやら怖がられているようです。ハリーは「シーッ!」と声がするほうを振り向きました。

するとか細い魔女と魔法ビル管理部の魔法使いが像の横に立って合図をしているのが見えました。ハーマイオニーとロンでした。ハリーが急いで2人のそばに行くとハーマイオニーが小声でこうハリーに話しかけて来ました。

「ハリー上手く入れたのね?」

それに対してロンは「いーやハリーはまだ雪隠詰めだ」と言いましたがハーマイオニーは「冗談言ってる場合じゃないわ」と言ったかと思うと「これひどいと思わない?何に腰掛けているか見た?」とハリーに言いました。

よくよく見ると装飾的な彫刻を施した玉座に見えたのは折り重なった人間の姿でした。何百何千という裸の男女や子供がどれもこれもかなり間の抜けた醜い顔で捻じ曲げられて押しつぶされながら上の重みを支えていました。

支えられていたのは見事なローブを着た魔法使いと魔女というわけです。ハーマイオニーは「マグルたちよ。身分相応の場所にいるというわけね」と囁くとハリーとロンに「さあ始めましょう」とそう言ったというわけです。

ハリーたちはホール奥にある黄金の門に向かう魔法使いたちの流れに加わり極力気づかれないよう周囲を見回しました。ヴォルデモートの分魂箱スリザリンのロケットを持ち去ったドローレス・アンブリッジを探すためです。

しかしあの目立つ姿はどこにも見当たりません。3人は門をくぐり少し小さめのホールに入りました。そこには20基のエレベーターが並んでそれぞれの金の格子の前に行列ができていてハリーたちは一番近い列に並びました。

「カターモール!」

その途端にこう声をかける者がいてハリーたちは揃って振り向きました。ハリーの胃袋が引っくり返りました。

3-2.その魔法使いは?
スネイプがダンブルドアに「死の呪文」を放った時にその場にいた死喰い人の1人が大股で近づいて来たからです。脇にいた魔法省の職員たちは誰もが目を伏せ黙り込みました。恐怖が波のように広がるのをハリーは感じました。

獣がかった険悪な顔は豪華な金糸の縫い取りがある流れるようなローブといかにも不釣り合いでした。エレベーターの周りに並んでいる誰かがへつらうように「おはようヤックスリー!」と挨拶をしましたが無視されました。

「魔法ビル管理部に俺の部屋を何とかしろと言ったのだがカターモールまだ雨が降っているぞ」

ヤックスリーにこう言われてロンは誰かが何かを言ってくれないかとばかりにあたりを見回しましたが誰もしゃべりません。ロンは言葉を途切れがちにして「雨が。あなたの部屋で?それはいけませんね」と応えたのでした。

そして不安を隠すように笑い声を上げました。それを見て取ってヤックスリーは目を剥くと「おかしいのか?カタモール。え?」と言いました。並んでいた2人の魔女は列を離れるとあたふたとどこかに行ってしまいました。

ロンが「いいえ。もちろんそんな事は」と答えるとヤックスリーは自分はお前の女房の尋問に下の階まで行く所だ。判っているのか。下にいて尋問を待つ女房の手を握っているかと思えばここにいるとは驚いたと言いました。

失敗だったと女房をもう見捨てる事にしたわけか?そのほうが賢明だろう。次は純血と結婚する事だともヤックスリーは言い放ちました。ハーマイオニーは思わず小さく叫びましたがヤックスリーはじろりとそれを見ました。

そのためハーマイオニーは弱々しく咳をして顔を背けたのでした。ロンが「私は。私は」と口ごもっているとヤックスリーは万が一自分の女房が「穢れた血」と告発されるような事があれば自分の言いつけた仕事を優先する。

ヤックスリーはこう言いそれは自分が魔法法執行部の部長だからだそうです。さらには自分が結婚した女は誰であれそういう汚物と間違えられる事があるはずはないとも言いました。マグル生まれを汚物呼ばわりしたのです。

最後にヤックスリーに「俺ならその仕事を優先する。判ったか?」と言われてロンは小声で「はい」と答えました。するとヤックスリーはロンにこう言いロンはヤックスリーに命じられた仕事をしなくてはなりませんでした。

「それなら対処しろカターモール。1時間以内に俺の部屋が完全に乾いていなかったらお前の女房の血統書は今よりもっと深刻な疑いをかけられる事になるぞ」

ハリーたちの前の格子が開きました。ヤックスリーはハリーに向かって軽く頷き嫌な笑いを見せておそらくは別のエレベーターのほうへ行ってしまいました。ハリーが成り済ましているランコーンはそういう魔法使いなのだ。

カターモールがこういう仕打ちを受けるのを喜ぶべき立場にあるのだ。それが明らかでした。ハリーたち3人はエレベーターに乗り込みましたが誰も一緒に乗ろうとはしません。何かに感染するとでも思っているかのようです。

格子が閉まりエレベーターが上り始めるとロンはすぐさま2人に「僕どうしよう?僕が行かなかったら僕の妻は。つまりカターモールの奥さんは」と衝撃を受けた顔で言いました。ハリーはロンに一緒に行くとそう言いました。

3人一緒にいるべきだから。こう言うハリーにロンは激しく首を振り「とんでもないよ。あんまり時間がないんだから」と言い続けて2人はアンブリッジを探してくれ。自分はヤックスリーの部屋に行き処理をすると言いました。

だけどどうやって雨降りを止めたらいいんだとロンが言うのでハーマイオニーが即座に「フィニートインカンターテム、呪文よ終われ」を試してみてと答えました。呪いとか呪詛で降っているのならそれで雨はやむそうです。

3-3.エレベーターが1階に到着すると
もしやまなかったら「大気呪文」がおかしくなっているのでその場合は直すのがもっと難しくなるのだそうです。その時には取りあえずの処置としてヤックスリーの所有物を保護するために「防水呪文」を試すんだそうです。

ロンは「もう1回ゆっくり言って」と言い羽根ペンを取ろうと必死にポケットを探りました。するとエレベーターが停止し魔法使い2人と薄紫の紙飛行機が数機一緒に入って来て天井を飛び回り声だけの案内嬢がこう告げました。

「4階。魔法生物規制管理部でございます。動物課・存在課・霊魂課・小鬼連絡室・害虫相談室はこちらでお降りください」

2人乗って来た内の1人が「おはようアルバート」と挨拶するとハリーに笑いかけて来て「ダーク・クレスウェルか。え?小鬼連絡室の?やるじゃないかアルバート。今度は私がその地位に就く事間違いなし!」と言いました。

その魔法使いはウィンクしてハリーは「それだけで十分でありますように」と願いながら笑顔を返しました。再びエレベーターが止まり格子が開きました。ハーマイオニーがロンをちょっと押すのがハリーの目に入りました。

「2階。魔法法執行部でございます。魔法不適正使用取締局・闇祓い本部・ウィゼンガモット最高裁事務局はこちらでお降りください」

声だけの案内嬢がこう告げました。ロンは急いでエレベーターを降りて2人の魔法使いも降りたのでエレベーターはハリーとハーマイオニーの2人だけになりました。格子が閉まるや否やハーマイオニーが早口でこう言いました。

「ねえハリー私やっぱりロンの後を追ったほうがいいと思うわ。あの人どうすればいいのか分ってないと思うしもしロンが捕まったら全て」

ハーマイオニーがここまで言った所で声だけの案内嬢が「1階でございます。魔法大臣並びに次官室でございます」と告げ格子が開いた途端ハーマイオニーが息を呑みました。格子の向こうには立っている4人の姿がありました。

4人の内の1人が問題だったのです。クリップボードを胸元にしっかりと抱えて短い髪にビロードのリボンを着けたガマガエルのような顔のずんぐりした魔女がそこにいました。ハリーたちが探していた魔女だったんですよね。

今日の最後に
アルバス・ダンブルドアがスネイプに「死の呪文」を打たれる直前その場にはドラコ・マルフォイとスネイプ以外に4人の死喰い人がいました。アミカスにアレクト・カローの兄妹と狼人間のフェンリール・グレイバックです。

もう1人ダンブルドアが唯一声をかけなかったのが今回登場した魔法法執行部の部長のヤックスリーというわけです。カロー兄妹はそれぞれホグワーツの「闇の魔術に対する防衛術」と「マグル学」の教職に就任していますね。

そしてヤックスリーは魔法省で魔法大臣に次いで二番目に偉い魔法法執行部の部長になったという事をハリーは魔法省に潜入して知る事となったというわけです。ダンブルドアが託した使命を達成するために魔法省に入った。

そこでダンブルドアの死を見守ったヤックスリーに出会うなんて何とも皮肉な巡り合わせという感じですよね。

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