計画通りに魔法省への潜入に見事に成功したハリーたち3人だったのですが何とロンが魔法法執行部の部長のヤックスリーに命じられて別行動を取る事態に陥ってしまいました。ところがハーマイオニーまでもがそうなってしまいハリーは1人で1階をうろつく事となりました。(全3項目)

3-1.ハーマイオニーまでもが
探していた人物が見つかったと思ったら当のアンブリッジのほうからハーマイオニーに話しかけて来ました。アンブリッジはエレベーターに乗っているハーマイオニーに気づくとこう声をかけて来たというわけなんですよね。

「ああマファルダ!トラバースがあなたをよこしたのね?」

ハーマイオニーは声を上ずらせて「は-はい」と答えました。とっさについた嘘だったからです。アンブリッジは「結構。あなたなら十分役立ってくれるわ」と言うと黒と金色のローブ姿の魔法使いにこう話しかけたのでした。

「大臣これであの問題は解決ですわ。マファルダに記録係をやって貰えるならすぐにでも始められますわよ」

アンブリッジはクリップボードに目を通すと「今日は10人ですわ。その中に魔法省の職員の妻が1人!」と言うと激しく舌打ちをして「ここまでとは。魔法省のお膝元で!」と言い放つとエレベーターへと乗り込んで来ました。

「マファルダ私たちはまっすぐ下に行きます。必要なものは法廷に全部ありますよ。おはようアルバート降りるんじゃないの?」

アンブリッジはハーマイオニーの隣に立つとこう言いました。アンブリッジと大臣の会話を聞いていた2人の魔法使いも同じ行動を取りました。ハリーはアルバート・ランコーンの低音で「ああもちろんだ」と答えたのでした。

ハリーが降りると格子が閉まりました。ちらりと振り返ると背の高い魔法使いに挟まれたハーマイオニーの不安そうな顔がハーマイオニーの肩の高さにあるアンブリッジの髪のビロードのリボンと一緒に沈んで行く所でした。

「ランコーン何の用でここに来たんだ?」

2人だけになり魔法大臣がハリーにこう尋ねて来ました。こうしてハリーにロンとハーマイオニーは散り散りバラバラになってしまいました。

3-2.立ち止まって考えた末に
ハリーは「ちょっと話したい人がいるんでね」と答えた後ほんの一瞬迷い「アーサー・ウィーズリーだ。1階にいると聞いたんだが」と言いました。するとパイアス・シックネスはハリーにこう訊いて来たというわけですよね。

「ああ。問題分子と接触している所を捕まったか?」

ハリーは「いや。いいやそういう事ではない」と答えながら喉がからからになりました。何せ「いつ正体がバレるのか?」と冷や冷やしながら魔法大臣と会話をしているからです。シックネスはハリーにこう言ったのでした。

「そうか。まあ時間の問題だがな。私に言わせれば血を裏切る者は穢れた血と同罪だ。それじゃあランコーン」

ハリーが「ではまた大臣」と言うとシックネスは廊下を堂々と歩き去って行きました。それをじっと見守り姿が見えなくなるのを待ってハリーは「透明マント」を取り出して被ると身を屈めながら反対方向に歩き出しました。

アルバート・ランコーンは背が高いのでそうしないと足が見えてしまうからです。得体の知れない恐怖でハリーは鳩尾がズキズキ痛みました。廊下には磨き上げられた木製の扉が並びそれぞれ名前と肩書きが書いてあります。

魔法省の権力にその複雑さと守りの堅固さがひしひしと感じられこの4週間ロンにハーマイオニーと一緒に慎重に練り上げた計画は笑止千万の子供騙しのように思われました。気づかれずに入り込む事だけに集中し過ぎていた。

もし3人がバラバラになったらどうするかなんて全く考えていませんでした。今やハーマイオニーは何時間続くのか分らない裁判に関わってしまいロンはハリーの見る所ではロンには手に負えない魔法を使おうと足掻いている。

しかも1人の魔女が解放されるかどうかがロンの仕事の結果にかかっているのです。そしてハリーもまた今しがた獲物のドローレス・アンブリッジがエレベーターで降りて行った事を知りつつ1階をうろうろしているんですよね。

ハリーは歩くのを辞めると壁に寄り掛かりどうするべきかを決めようとしました。静けさが重く忙しく動き回る音も話し声も急ぐ足音も聞こえません。紫の絨毯を敷き詰めた廊下はまるで「耳塞ぎ呪文」がかかったようです。

ひっそりとしているその廊下でハリーは「あいつの部屋はこの階に違いない」と思いました。アンブリッジが宝石類を事務所に置いているとは思えませんでしたが探しもせず確認もしないのは愚かしいとハリーは思いました。

ハリーは再び廊下を歩き始めました。途中で目の前に浮かべた羽根ペンに顔をしかめて指示を呟いて長い羊皮紙に書き取らせている魔法使いとは行き違いましたが他には誰にも出会いませんでした。そしてだったんですよね。

今度は扉の名前に注意しながら歩いてハリーは角を曲がりました。その廊下の中程には広々とした場所があって十数人の魔法使いや魔女が何列か横に並んだ机に座っていました。学校の机とあまり変わらない小さな机でした。

しかしぴかぴかに磨かれて落書きもありません。ハリーは立ち止って催眠術にかかったようにその場の動きに見入りました。全員が一斉に杖を振ったり回したりすると四角い色紙が凧のようにあらゆる方向に飛んでいました。

まもなくハリーはこの作業にはリズムがあって紙が一定のパターンで動いている事に気がつきここはパンフレッドを製作している所なのだと即座に判りました。四角い紙は集められて折り畳まれまとめられていたんですよね。

そして作業者の脇にきちんと積み上げられていました。

3-3.探していた部屋が
ハリーはこっそりと近づきました。もっとも作業員は仕事に没頭していたので絨毯に吸い込まれる足音に気づくとは思えませんでした。ハリーは若い魔女の脇にある完成したパンフレットの束から一部を抜き取ったのでした。

穢れた血-平和な純血社会にもたらされる危険について

ハリーは「透明マント」の下で読みました。ピンクの表紙に金文字で表題がこう鮮やかに書かれていました。表題の下には間抜けな笑顔の一輪の赤い薔薇が牙を剥き出し睨みつける緑の雑草に絞められる絵が描かれています。

著者の名前は書かれていません。しかしパンフレットを見続けているとハリーの右手の甲の傷痕が痛むような気がしました。その推測が当たっている事は傍らの若い魔女の言葉で確認されました。その魔女はこう言いました。

「あの鬼ババア1日中穢れた血を尋問しているのかしら?誰か知ってる?」

すると隣の魔法使いが怖々あたりを見回しながら「気をつけろよ」と言いましたが若い魔女は「どうして?魔法の目ばかりじゃなく魔法の耳まで持ってるとでも言うの?」とその魔法使いの言う事に文句をつけたんですよね。

そして作業員の居並ぶ仕事場の正面にある扉をちらりと見てハリーも見ました。途端に蛇が鎌首をもたげるように怒りが湧き上がって来ました。扉のマグルの家なら覗き穴がある場所に明るいブルーの大きな目がありました。

アラスター・ムーディの魔法の目が扉に埋め込まれていたのでした。一瞬ハリーは自分がどこにいて何をしているのかも自分の姿が見えない事さえも忘れていました。ハリーはまっすぐ扉に近づくと目玉をよく見たのでした。

動いていません。明るいブルーのマッド・アイ・ムーディの魔法の目は上を睨んだままで凍りついていました。その下の名札にはこう書いてあります。ハリーが探していた部屋がこうして見つかったというわけなんですよね。

ドローレス・アンブリッジ
魔法大臣付上級次官


今日の最後に
アルバス・ダンブルドアがハリーたち3人に託したヴォルデモートの分魂箱を見つけ出して破壊するという使命を達成するためにハリーたちは魔法省に潜入をしましたが狂おしいほどに最も辛い状況に3人は陥ってしまいました。

3人揃って別行動を取る事を余儀なくされ果たして分魂箱を手に入れる事ができるのかの見通しも全く立っていません。ハリーは自分たちの立てた計画の甘さをこれでもかというぐらい痛感させられる事になってしまいました。

加えてハリーたちはレッジ・カターモール氏が尋問を受ける妻に付き添う事を妨害をしてしまいました。しかしまだまだハリーもロンもハーマイオニーも極めて苦しい状況がこれからも続いてしまうというわけなんですよね。

ここが一番辛い所の1つですよね。
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