目を開けるとハリーは森の中に横たわっていてロンとハーマイオニーは少し離れた所にいました。どうしてここにいるのかも一体ここがどこなのかもハリーは全く分りませんでした。しかしやがてハーマイオニーと話して厳しい現実を知る事になったというわけなんですよね。(全3項目)

3-1.気がつくと3人とも
目を開けると金色と緑が目に眩しく感じました。ハリーは何が起こったのか全く分からずただ木の葉や小枝らしい物の上に横たわっている事だけが判りました。肺がぺしゃんこにつぶれてしまったような感じがしたのでした。

そこに息を吸い込もうともがきながらハリーは目を瞬きました。すると眩しい輝きはずっと高い所にある木の葉の天蓋から射し込む太陽の光だと気づきました。ハリーは何やら顔の近くでピクピクと動いていると感じました。

小さいながらも獰猛な生き物と顔を合せる事を覚悟しながらハリーは両手両膝で身を起こしました。しかしそれはロンの片足でした。見回してみるとロンとハーマイオニーもまた森の中に横たわっていたというわけですよね。

どうやら他には誰もいないようです。ハリーはまず最初に「禁じられた森」を思い浮かべました。そしてホグワーツの構内に3人が姿を現すのは愚かで危険な事と判ってはいてもハリーは心が躍ったというわけなんですよね。

森をこっそり抜けてハグリッドの小屋に行く事を考えるとほんの一瞬心が躍りました。しかしその直後に低い呻き声を上げたロンのほうに這って行く間にハリーはここが「禁じられた森」ではない事が判ったというわけです。

樹木は随分若く木の間隔も広がっていて地面の下草が少なかったからです。ロンの頭の所でハリーと同様に這って来たハーマイオニーと顔を合わせました。ロンを見た途端ハリーは頭から他の一切の心配事が吹き飛びました。

ロンの左半身は血まみれでその顔は落ち葉の散り敷かれた地面の上で際立って白く見えました。ポリジュース薬が切れかかっていてロンはレッジ・カターモールとロン自身の混じった姿になっていたというわけなんですよね。

ますます血の気が失せて行く顔とは対照的に髪は段々赤くなって来ました。ハリーが「どうしたんだろう?」と訊くとハーマイオニーは「ばらけたんだわ」と答えながら既に血の色が一番濃く濡れている所を探っていました。

ハーマイオニーがロンのシャツを破るのをハリーは恐ろしい思いで見つめました。ハリーは「ばらけ」を何か滑稽なものとずっとそう思っていましたがロンの状態を見ると「しかしこれは」と思わずにはいられませんでした。

ハーマイオニーが剥き出しにしたロンの二の腕を見てハリーは腸がザワッとしました。肉がごっそり削がれていてナイフでそっくり抉り取ったかのようでした。ここでハーマイオニーはハリーに頼み事をして来たんですよね。

それは自分のバッグから急いで「ハナハッカのエキス」というラベルが貼ってある小瓶を取って来る事でした。

3-2.目の前に突きつけられた現実
ハリーは判ったと応えると急いでハーマイオニーが着地した所に行きビーズバッグを掴んで手を突っ込みました。たちまち次々と革製本の背表紙やら毛糸のセーターの袖やら靴などと色々な物が手に触れたというわけですよね。

ハーマイオニーが「早く!」と言ったのでハリーは地面に落ちていた自分の杖を掴み杖先をバッグに入れ深い奥底を狙い「アクシオ!ハナハッカよ来い!」と唱えました。すると小さい茶色の瓶がバッグから飛び出しました。

ハリーは小瓶を捕まえてハーマイオニーとロンの所に急いで戻りました。ロンの目はもはやほとんど閉じられ白目の一部が細く見えるだけでハーマイオニーも「気絶してるわ」と言いながら青ざめていたというわけですよね。

「ハリー栓を開けて。私手が震えて」

ハーマイオニーがこう言うのでハリーが小瓶の栓をひねりハーマイオニーが小瓶を受け取って出血している傷口に三滴垂らしました。緑がかった煙が上がってそれが消えた時には血が止まっているのが見えたというわけです。

ハーマイオニーはポリジュース薬の効き目はほぼ切れていて髪の所々に白髪が見えるだけでした。ハリーは「わあ」と言って感心をしましたがハーマイオニーは「安全なやり方はこれだけなの」とまだ震えながら言いました。

完全に元通りにする呪文もあるけれど試す勇気がなかったんだそうです。やり方を間違えればもっとひどくなるのが怖いのだそうです。何故ならその呪文を躊躇させたのはロンはもう随分と出血してしまったからだそうです。

「ロンはどうして怪我したんだろう?つまり僕たちどうしてここにいるんだろう?グリモールド・プレイスに戻る所だと思ったのに?」

頭をすっきりさせて今しがた起こった事に筋道をつけようとハリーは頭を振りました。ハリーのこの問いにハーマイオニーはすぐには答えず深く息を吸いました。そしてハーマイオニーは泣き出しそうな顔でこう答えました。

「ハリー私たちもうあそこへは戻れないと思うわ」

ハリーが「どうしてそんな?」と絶句するとハーマイオニーは説明を始めました。ハーマイオニーが「姿くらまし」をした時にヤックスリーが掴んだんだそうです。あまりにも強く掴んだので振り切れなかったのだそうです。

グリモールド・プレイスに着いた時ヤックスリーはまだくっついていた。ヤックスリーは扉を見たに違いないわ。それで自分たちがそこで停止すると思って手を緩めたとの事でした。だからやっと振り切る事ができたそうです。

それでハーマイオニーがハリーとロンをこの森に連れて来たんだそうです。だけどそしたらあいつはどこに?まさかグリモールド・プレイスにいるんじゃないだろうな?あそこには入れないだろう?とハリーが訊くと・・・

「ハリー入れると思うわ。私-私は引き離しの呪いでヤックスリーを振り離したの。でもその時には既に私があの人を忠誠の術の保護圏内に入れてしまっていたのよ」

「ダンブルドアが亡くなってから私たちも秘密の守人だったわ。だから私がその秘密をヤックスリーに渡してしまった事になるでしょう?」

ハリーはハーマイオニーの言う通りだと思いました。事実を欺いてもしかたがない。大きな痛手でした。ヤックスリーがあの屋敷に入れるなら自分たちはもう戻る事はできないとハリーはそう思ったというわけなんですよね。

3-3.ハリーたちがいるこの森は?
今の今でさえヤックスリーは他の死喰い人たちを「姿現わし」させてあそこに連れて来ているかもしれない。あの屋敷は確かに暗くて圧迫感はありました。しかし3人にとっては唯一の安全な避難場所になっていたんですよね。

加えてクリーチャーがあれほど幸せそうで親しくなった今は我が家のようなものでした。今頃クリーチャーは自分たちに食べては貰えないステーキ・キドニー・パイをいそいそと作っていると思うとハリーの胸は痛みました。

それは食べられない無念さとは全く別の痛みでした。ハーマイオニーはハリーに「ごめんなさい。本当にごめんなさい!」と謝りましたがハリーはハーマイオニーに謝るのは自分のほうだとばかりにこう言葉を返しました。

「馬鹿言うなよ。君のせいじゃない!誰かのせいだとしたら僕のせいだ」

ハリーはポケットに手を入れてマッド・アイ・ムーディの目玉を取り出しました。ハーマイオニーは怯えたように後退りしました。ハリーがアンブリッジの部屋の扉からこの目玉を外したために3人の侵入が露見したのです。

「アンブリッジの奴がこれを自分の部屋の扉に嵌め込んで職員を監視していた。僕そのままにしておけなかったんだ。でも奴らが侵入者に気づいたのはこれのせいだ」

ハーマイオニーが言葉を返す前にロンが呻いて目を開けました。顔はまだ青く脂汗で光っています。ハーマイオニーが「気分はどう?」と囁くとロンは「めちゃ悪」とかすれ声で答え怪我をした腕の痛みで顔をしかめました。

「ここはどこ?」と訊くロンにハーマイオニーは「クィディッチ・ワールドカップがあった森よ」と答え「どこか囲まれた所で保護されている所が欲しかったの。それでここが」まで言った所でハリーがこう引き取りました。

「最初に思いついた所だった」

ハリーがあたりを見回しながらこう言いました。林の中の空き地には見た所は人の気配はない。しかしハリーはハーマイオニーが最初に思いついた場所に「姿現わし」した前回の出来事を思い出さずにはいられませんでした。

死喰い人はあの時たった数分で自分たちを見つけた。あれは開心術だったのだろうか?ヴォルデモートか腹心の部下が今この瞬間にもハーマイオニーが自分たちを連れて来た場所を読み取っているのかとハリーは思いました。

「移動したほうがいいと思うか?」

ロンがハリーにこう問いかけました。その表情からハリーはロンが自分と同じ事を考えているとそう思いました。ロンもハーマイオニーが自分たちを連れてトテナム・コート通りに「姿現わし」したのを思い出していたのです。

今日の最後に
ハリーたち3人は8月1日に執り行われたビルとフラーの結婚式が死喰い人集団に急襲され式場の「隠れ穴」を脱出してトテナム・コート通りで2人の死喰い人に遭遇したその後にグリモールド・プレイス12番地にやって来ました。

そして魔法省に潜入するという計画を実行に移したのは9月2日の事でした。つまりグリモールド・プレイス12番地には1ヵ月滞在していたという事になりますよね。その間にここを訪れたのはリーマス・ルーピンだけでしたね。

当初はハーマイオニーがここ12番地にはセブルス・スネイプが入れるから駄目だと言って反対しました。でも結局はハリーたちが滞在している1ヵ月間の内にスネイプは姿を現さず3人にとっては安全な隠れ家になりましたね。

私は肖像画のアルバス・ダンブルドアの取り計らいでハリーたちは安全にここ12番地で過ごせたとそう思いますね。翌朝にハリーは「あの」フィニアス・ナイジェラス・ブラックの肖像画がある部屋に足を踏み入れています。

姿がなかったのでハリーはいないと思ったのですが実はいたのです。ハリーが12番地に来ている事を確認したフィニアス・ナイジェラスはホグワーツの校長室に戻り肖像画のダンブルドアに知らせたというわけなんですよね。

肖像画のダンブルドアはそれをスネイプに知らせた。そのためスネイプは自身が12番地に行く事を遠慮したのはもちろんの事で死喰い人たちに案内しろと言われても我輩はあそこの「秘密の守人」ではないと言って拒否した。

何せアルバス・ダンブルドアを殺害してヴォルデモートからも絶対的な信用と信頼を得ているセブルス・スネイプの言う事なんですから闇の陣営の面々はスネイプがそう言えば絶対に返す言葉がないというわけなんですよね。
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