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アルバス・ダンブルドア「死の秘宝」編、その2(20)(52回シリーズ)

ロンは血まみれで到底動かせる状態ではありませんでした。しかしトテナム・コート通りで2人の死喰い人に見つかった件もある。それでもハリーは「暫くここにいよう」と告げてこの森に留まる決意をしました。そしてハリーとロンは魔法省から離れて初めてヴォルデモートの分魂箱を手にしたのでした。(全3項目)

3-1.ここにいる事にして
「移動したほうがいいと思うか?」と問いかけた後にロンは「分らないけど」と言いました。トテナム・コート通りで見つかったように今回も死喰い人たちに発見されるのではと恐れてのロンの問いかけというわけですよね。

ロンはまだ青ざめてじっとりと汗ばんでいました。上半身を起こそうともせずそれだけの力がないように見えました。ロンを動かすとなると相当に厄介だ。そこでハリーは「暫くここにいよう」とそう告げたというわけです。

ハーマイオニーはほっとしたような顔ですぐに立ち上がりました。ロンが「どこに行くの?」と訊くとハーマイオニーは「ここにいるなら周りに保護呪文をかけないといけないわ」と答え杖を上げると呪文を呟き始めました。

「サルビオ・ヘクシア・プロテゴ・トタラム・レペロ・マグルタム・マフリアート」

ハーマイオニーは同時にハリーとロンの周りに大きく円を描くように歩き始めました。ハリーの目には周囲の空気に小さな乱れが生じたように見えました。ハーマイオニーがこの空き地をまるで陽炎で覆ったような感じです。

ハーマイオニーがハリーに「テントを出して頂戴」と言いました。ハリーが「テントって?」と訊くとハーマイオニーは「バッグの中よ!」と答えてハリーはもう判っていたので今度はわざわざ手探りなどはしませんでした。

最初から「呼び寄せ呪文」を使いました。テント布や張り綱にポールなどが一包みの大きな塊になって出て来ました。猫の臭いがしたのでハリーはこのテントがクィディッチ・ワールドカップの際に使った物だと判りました。

「これ魔法省のあのパーキンズって人の物じゃないのかな?」

絡まりを解きほぐしながらハリーがこう訊くとハーマイオニーが「返して欲しいと思わなかったみたい。腰痛があんまりひどくて」と次には「8」の字を描く複雑な動きをしながら答えました。そしてこう言ったんですよね。

「だからロンのパパが私に使ってもいいっておっしゃったの」

3-2.テントの中に
ハーマイオニーはぐしゃぐしゃのテント布に杖を向けて「エレクト!立て!」と唱えました。すると流れるような動きでテントが宙に昇りハリーの前に降りました。そして完全なテントが一気に立ち上がったというわけです。

ハリーの持っているテントのペグが1本あっという間に手を放れて張り綱の先端に落ちました。ハーマイオニーは「カーベ・イニミカム!敵を警戒せよ!」と唱え仕上げに天に向かって華やかに杖を打ち振るとこう言いました。

「私にできるのはここまでよ。少なくとも連中がやって来たら判るけど保証できないのは果たしてヴォル」

ここまで言った所でロンが厳しい声で「その名前を言うなよ!」と言って遮りました。それを聞いてハリーとハーマイオニーは顔を見合せました。それを見てロンは小さく呻きながら体を起こし2人に「ご免」と謝りました。

ロンは躊躇しがちにその名前は何だか縁起が悪いと言うかそんな感じがする。頼むから「例のあの人」と呼べないかと言うのです。ロンが最後に「駄目?」と言うとハリーが「ヴォルデモート」と呼ぶ理由を話し始めました。

でもハリーが「ダンブルドアは名前を恐れれば」とまで言った所でロンが念のために言うけど「例のあの人」を名前で呼んでも最終的にはダンブルドアの役に立たなかった。とにかくあの人に尊敬の欠片ぐらい示せないか?

ハリーは「尊敬?」と繰り返した後に言い返そうとしましたがハーマイオニーが「駄目よ」という目つきでハリーを見ました。ロンが弱っているこの時に議論をするべきではないとハーマイオニーはそう言いたいようでした。

ハリーとハーマイオニーの2人でロンをテントの入口から半分引きずるようにして中に運びました。中はハリーの記憶と完全に一致して狭いアパートでバスルームと小さいキッチンがついていて古い肘掛椅子があったのでした。

ハリーはその椅子を押し退けてロンを二段ベッドの下段にそっと下しました。ロンはこんな短い距離の移動でもますます血の気を失いました。ベッドに一旦落ち着くとロンは再び目を閉じて暫くの間は口も利けませんでした。

ハーマイオニーは息を切らしながら「お茶を入れるわ」と言ってバッグからヤカンとマグを取り出してキッチンに向かいました。マッド・アイ・ムーディが死んだ夜にはファイア・ウィスキーが効いたとハリーは思いました。

しかし今のハリーには温かい飲み物がそれと同じぐらい有難いと感じました。胸の中でうごめいている恐怖を熱い紅茶が少しは溶かしてくれるような気がしました。やがてロンが沈黙を破ってこう言ったというわけですよね。

「カターモール一家はどうなったかなぁ?」

ハーマイオニーが「運が良ければ逃げ遂せたと思うわ」と答え慰めを求めるようにマグを握り締めました。レッジ・カターモール氏が機転を利かせれば奥さんを「付添い姿くらまし」で運び子供たちと一緒に国外に脱出する。

今頃はそうしているはず。ハリーが奥さんにそうするように言ったわ。ハーマイオニーがこう説明するとロンは「全くさあ僕あの家族に逃げて欲しいよ」と上半身を起こして枕に寄り掛かりながらそう言ったというわけです。

しかしロンはどうやら不安のようであのレッジ・カターモール氏はあまり機転が利くとは思えないんだそうです。ロンはポリジュース薬でレッジ・カターモール氏に成り済ましていた時の事を思い出していたというわけです。

上手く行くといいのに。自分たちのせいでカターモール夫妻がアズカバンに行くなんて事になっていて欲しくないとロンは切に願っているというわけです。

3-3.無傷の分魂箱
ハリーはハーマイオニーに質問をしようとしました。カターモール夫人に杖がなかった事が夫に「付添い姿くらまし」して貰う障害になったのかどうかという事でした。しかし喉まで出かかった所で引っ込んでしまいました。

ハーマイオニーのカターモール一家の運命をさかんに心配するロンを見つめるその表情がまさに優しさそのものという感じでハリーはまるでハーマイオニーがロンにキスをしている所を見てしまったかのようだったからです。

ハリーは自分もその場にいるのだという事を思い出させる意味も込めてハーマイオニーに「それで手に入れたの?」と尋ねました。ハーマイオニーは若干ドキッとしたように「手に入れる。何を?」と訊き返して来ました。

「何のためにこれだけの事をしたと思う?ロケットだよ!ロケットはどこ?」

ハリーがこう言うとロンもまた体を少し浮かせて「手に入れたのか?」と叫びました。そして「誰も教えてくれなかったじゃないか!何だよちょっと言ってくれたって良かったのに!」とそう言ったというわけなんですよね。

「あのね私たち死喰い人から逃れるのに必死だったんじゃなかったかしら?」

こう言うとハーマイオニーは「はいこれ」と言ってロケットを引っ張り出しロンに渡しました。鶏の卵ほどの大きさでテントの天井を通して入る散光の下で小さな緑の石を沢山嵌め込んだ「S」の装飾文字が鈍く光っています。

「クリーチャーの手を離れてからあと誰かが破壊したって可能性はないか?つまりさそれはまだ確かに分魂箱か?」

ロンが期待顔でこう言うとロンから引き取ったロケットをよく見ながらハーマイオニーが「そう思うわ。もし魔法で破壊されていたら何らかの徴(しるし)が残っているはずよ」とそう答えました。これはまだ分魂箱なのです。

ハーマイオニーから渡されたロケットをハリーは手の中で裏返しました。どこも損なわれておらず全く手つかずの状態に見えハリーは自分が破壊した「リドルの日記」がどんなにズタズタの残骸になったかを思い出しました。

さらにダンブルドアに破壊された分魂箱の指輪の石がどんなにパックリ割れていたかも思い出しました。ロケットを見てハリーはロンとハーマイオニーにこう言いました。そしてロケットに息づく物を突然強く意識しました。

「クリーチャーが言った通りだと思う。破壊する前にまずこれを開ける方法を考えないといけないんだ」

今日の最後に
こうしてハリーたち3人は苦心惨憺の末にようやくヴォルデモートの分魂箱の金のロケットを手に入れました。ロンはどうやら自分たちが知らない内に他の誰かが破壊してくれていれば良かったのにと期待をしていたようです。

そうすれば自分たちか破壊する手間が省けるからというわけです。でもロンにとっては極めて残念な事にロケットは破壊されてはおらず今も分魂箱のままというわけなんですよね。ハリーも自分の手に取って確認をしました。

こうしてハリーたちはグリモールド・プレイス12番地を追われテント暮らしの流浪の旅に出る事となりました。ハリーの損失感は大きかったのですが結果としてこれが分魂箱を破壊する方法を知る事に繋がったんですよね。

ところがとてつもない代償が待ち受けていました。

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