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アルバス・ダンブルドア「死の秘宝」編、その2(22)(52回シリーズ)

「どうしてそこまで?」と思うほどにヴォルデモートが執拗に探していた杖作りのグレゴロビッチがついに見つかりました。ところがヴォルデモートはグレゴロビッチに新しい杖を作らせる事も杖の秘術を問い質す事もせず殺害してしまいました。一体それは何故なのか?(全3項目)

3-1.ついに捕まったグレゴロビッチ
グレゴロビッチは言葉を恐怖でたどたどしく激しく前後させながら「わしはない持って。もはやない持って!それは何年も前にわしから盗まれた!」と言いました。しかしヴォルデモートは信じようとはしなかったのでした。

ヴォルデモートはグレゴロビッチに自分に嘘をつくな。帝王は知っている。常に知っているのだと言いました。吊るされたグレゴロビッチの瞳孔は恐怖で大きく広がっていました。それが段々大きく膨らむように見えました。

ハリーはその瞳の黒さの中に丸ごと呑み込まれました。するとハリーは手提げランプを掲げて走る小柄で太ったグレゴロビッチの後を追い暗い廊下を急いでいました。グレゴロビッチは廊下の突き当たりの部屋に入りました。

グレゴロビッチがその部屋に勢いよく飛び込みランプが工房と思われる場所を照らし出すと出窓の縁にブロンドの若い男が大きな鳥のような格好で留まっていました。その侵入者は自分の杖から「失神呪文」を発射しました。

ハンサムな男は大喜びしていました。そして高笑いしながら後ろ向きのまま鮮やかに窓から飛び降りました。ハリーは広いトンネルのような瞳孔から矢のように戻って来ました。グレゴロビッチは恐怖で引きつった顔でした。

「グレゴロビッチあの盗人は誰だ?」

ヴォルデモートがこう訊くとグレゴロビッチは「知らない。ずっと分らなかった。若い男だ」と答え「助けてくれ。お願いだ。お願いだ!」と命乞いを始めました。しかし叫び声が長々と続いた後に緑の閃光が放たれました。

「ハリー!」

名前を呼ばれてハリーは喘ぎながら目を開けました。額が痛む。ハリーはテントに寄り掛かったまま眠りに落ちずるずると倒れて地面に大の字になっていました。見上げるとハーマイオニーの髪が夜空を覆っていたのでした。

黒い木々の枝から僅かに見えていた夜空をでした。

3-2.ベッドに横になって
ハリーは「夢だ」と言うと急いで体を起こして睨みつけているハーマイオニーに何でもないという顔をしてみせようとしながら「うたた寝したみたいだ。ご免よ」と謝りました。しかし残念ながら見え透いていたようでした。

「傷痕だって事は判ってるわ!顔を見れば判るわよ!」

こう言った後ハーマイオニーは続けてハリーがまたヴォルデモートの心を覗いていたでしょうと言おうとしましたがロンが怒った声で「その名前を言うな!」と言ったのでハーマイオニーは「例のあの人」と言い直しました。

「わざとやってるわけじゃない!夢だったんだ!ハーマイオニー。君なら夢の中身を変えられるのか?」

ハリーはこう言い返しました。確かに誰にも夢の内容など決めたり変えられたりはできませんよね。そこでハーマイオニーは「あなたが閉心術を学んでさえいたら」と言い出してまたしても説教を始めようとしたんですよね。

しかしハリーは説教される事には興味がありませんでした。今夢で見た事を話し合いたいとそう思って内容の説明を始めました。あいつはグレゴロビッチを見つけたよ。それに多分殺害したと思う。殺害する前に心を読んだ。

「あなたが居眠りするほど疲れているなら見張りを変わったほうがよさそうね」

しかしハリーが「それで僕見たんだ」とまで言った所でハーマイオニーが冷たくこう言いました。ハリーは「交代時間が来るまで見張るよ!」と言い張りましたがハーマイオニーはこう言うとテントの入口に座り込みました。

「駄目よ。あなたは間違いなく疲れているわ。中に入って横になりなさい」

ハーマイオニーが意地でも動かないという顔だったのでハリーは腹が立ちましたが喧嘩はしたくなかったのでテントに入りました。ロンはまだ青い顔で二段ベッドの下から顔を突き出しハリーは上段のベッドへと登りました。

ハリーがベッドに横になり天井を見上げていると暫くしてロンがテントの入口にいるハーマイオニーに届かないくらいの低い声で「例のあの人」つまりはヴォルデモートは何をしていたとハリーに訊いて来たというわけです。

ハリーは細かい所まで思い出そうと眉根を寄せて考えてから暗闇に向かって「あいつはグレゴロビッチを見つけた。縛り上げて拷問していた」と囁きました。するとロンはこんな疑問をハリーにぶつけて来たというわけです。

「縛られてたらグレゴロビッチはどうやってあいつの新しい杖を作るって言うんだ?」

ハリーは「さあね。変だよな?」と曖昧に答えると目を閉じて見た事と聞いた事を反芻しました。思い出せば出すほど意味を成さなくなるとハリーはそう思いました。ヴォルデモートは自分の杖の事を一言も口にしなかった。

ヴォルデモートは杖の芯が双子だという事にも触れなかった。自分の杖を打ち負かすような新しくてより強力な杖を作れとも言わなかった。ハリーは目をしっかり閉じたままロンにこのように応えたというわけなんですよね。

「グレゴロビッチの何かが欲しかったんだ。あいつはそれを渡せと言ったけどグレゴロビッチはもう盗まれてしまったと言っていた。それから。それから」

3-3.次に心配なのは?
ハリーは自分がヴォルデモートになってグレゴロビッチの目の中を走り抜けその記憶に入り込んだ様子を思い出してロンに話しました。あいつはグレゴロビッチの心を読み誰だか若い男が出窓の縁に乗っていたと話しました。

その若い男がグレゴロビッチに呪いを浴びせると飛び降り姿を消す所を見た。あの男が「例のあの人」つまりヴォルデモートが欲しがっていた何かを盗んだ。それに自分はあの男をどこかで見た事があると思うと話しました。

ハリーは高笑いをしていた若者の顔を「もう一度よく見たい」と思いました。盗まれたのは何年も前だとグレゴロビッチは言った。それなのにどうしてあの若い盗っ人の顔に見覚えがあるのだろうとハリーはそう思いました。

暫くしてロンが小声で「その盗っ人の持っていた物見えなかったのか?」と訊いて来ました。ハリーは「うん。きっと小さな物だったんだ」と答えました。ロンが体の向きを変えてベッドの下段の板が軋む音が聞こえました。

そしてロンは今度は「例のあの人」つまりヴォルデモートは分魂箱に関する何かを探しているんだとは思わないかと訊いて来ました。そう言われてハリーは「分らないよ」と答えた後に考え込むとロンにこう答えたのでした。

「そうかもしれない。だけどもう1つ作るのはあいつにとって危険じゃないか?ハーマイオニーがあいつはもう自分の魂を限界まで追い詰めたって言っただろう?」

ハリーが訊き返した疑問に対しロンは「ああ。だけどあいつはそれを知らないかも」と答えました。そしてハリーは「うん。そうかもな」と言葉を返しました。ヴォルデモートは双子の芯の問題を回避する方法を探していた。

ハリーはそう確信していました。あの年老いた杖作りにその解決策を求めたに違いない。しかし奴はどう見ても杖の秘術など1つも質す事なくその杖作りを殺害してしまった。一体ヴォルデモートは何を探していたんだろう?

魔法省や魔法界を従えておきながら一体何故遠出までして見知らぬ盗っ人に取られてしまったグレゴロビッチのかつての持ち物を必死で求めようとしたのだろうとハリーは疑問に思いました。そして新たな疑問ができました。

ハリーの目にはあのブロンドの若者の顔がまだ焼き付いていました。陽気で奔放な顔でどこかフレッドやジョージ的な策略の成功を勝ち誇る雰囲気がある。まるで鳥のように窓際から身を躍らせた。どこかで見た事がある。

しかしハリーは「どこで見たのか?」を思い出せませんでした。グレゴロビッチが死んでしまった今となっては次にはあの陽気な顔の盗っ人が危険だとハリーは思いました。ハリーはあの若者に思いを巡らせていたのでした。

そしてゆっくりと二度目の眠りへと落ちて行きました。

今日の最後に
ハリーにルシウス・マルフォイ氏から借り受けた杖を破壊されたヴォルデモートは「ニワトコの杖」という新しい杖を手に入れるため杖職人のグレゴロビッチを探し求めていました。かつてグレゴロビッチが持っていました。

そのグレゴロビッチから「ニワトコの杖」を奪って行ったのがブロンドの陽気な顔でフレッドにジョージ的な雰囲気を漂わせた若い男だったというわけなんですよね。どこかで見た事があるとハリーはそう思ったのでした。

しかし思い出せないというわけです。こうしてヴォルデモートはこの次に対決する時は必ずハリーに勝利するためにと「ニワトコの杖」を探し求めていました。それがアルバス・ダンブルドアが仕掛けた策略というわけです。

ハリーたち3人がヴォルデモートの分魂箱を探し求めて見つけたら破壊するんだという事をヴォルデモートに気づかせないためというわけです。このようにしてヴォルデモートは「ニワトコの杖」を探すのに夢中になりました。

アルバス・ダンブルドアの目論見通りというわけなんですよね。

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