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アルバス・ダンブルドア「死の秘宝」編、その2(23)(52回シリーズ)

ハリーとハーマイオニーは1ヵ所にあまり長く留まらないほうが良いだろうという意見で一致しロンも同意しました。移動した先でハリーは「透明マント」を被って食べ物を探しに出かけましたが駄目でした。吸魂鬼が現れたのに守護霊を呼び出せなかったのです。その原因は?(全3項目)

3-1.翌日の朝に
翌朝早くハリーはロンとハーマイオニーが目覚める前にテントを抜け出すと森を歩いて一番古く節くれだって反発力のありそうな木を探しました。そしてその木陰にマッド・アイ・ムーディの目玉を埋葬したというわけです。

目印として杖でその木の樹皮に小さく「+」と刻みました。大した設えではありませんでしたがマッド・アイとしてはドローレス・アンブリッジの部屋の扉に嵌め込まれているよりはうれしいだろうとハリーはそう思いました。

それからテントに戻って次の行動を話し合おうと2人が目覚めるのを待ちました。ハリーもハーマイオニーも1ヵ所にあまり長く留まらないほうが良いだろうと考えました。そしてロンもまた2人の意見に同意していたのでした。

ただ1つ次に移動する場所はベーコン・サンドイッチが容易に手に入る所という条件つきでした。ハーマイオニーは空き地の周りにかけた呪文を解きハリーとロンはキャンプした事が判るような痕跡を地上から消したのでした。

それから3人は小さな市場町の郊外に「姿現わし」しました。低木の小さな林で隠された場所にテントを張り終え新たに防衛のための呪文を張り巡らせてハリーは「透明マント」を被り思い切って食べ物を探しに出かけました。

しかし計画通りには事は進みませんでした。町に入るか入らない内に時ならぬ冷気があたりを襲い霧が立ち込めて空が急に暗くなりハリーはその場に凍りついたように立ち尽くしてしまいました。吸魂鬼が現れたからでした。

ハリーが息せき切って手ぶらで戻り声も出せずに「吸魂鬼だ」の一言を唇の動きで伝えるとロンがハリーは素晴らしい守護霊が創り出せるじゃないかと抗議しました。それにハリーは鳩尾を押えて喘ぎながらこう言いました。

「出て・・・来なかった」

唖然として失望するロンとハーマイオニーの顔を見てハリーはすまないと申し訳なく思いました。霧の中から現れた吸魂鬼を遠くに見た瞬間ハリーは身を縛るような冷気に肺を塞がれ遠い日の悲鳴が耳の奥に響いて来ました。

自らの身を守る事ができないと感じました。それはハリーにとって悪夢のような経験でした。遠い日の悲鳴という事は母リリーがヴォルデモートに対してハリーの命乞いをする時の記憶が蘇ったという事になるんでしょうね。

3-2.何故守護霊を呼び出せなかった?
マグルは吸魂鬼の姿を見る事はできなくともその存在が周囲に広げる絶望感は間違いなく感じていたはずだ。目のない吸魂鬼がマグルの間を滑るように動き回るのも放置しハリーはありったけの力を振り絞り逃げて来ました。

それがやっとだったのです。ロンが「それじゃまた食い物なしだ」と文句を言うのでハーマイオニーが「お黙りなさい」と厳しく言いました。その一方でハーマイオニーはハリーに対してこう言ったというわけなんですよね。

「ハリーどうしたって言うの?何故守護霊を呼び出せなかったと思う?昨日は完璧にできたのに!」

ハリーは「分らないよ」と答えると肘掛椅子に座り込んで小さくなりました。段々屈辱感が募って来ました。自分の何かがおかしくなったのではないかと心配でした。昨日というその日が随分と昔に思えてしまったのでした。

今日はホグワーツ特急の中で唯一1人だけ気絶した13才の時の自分に戻ってしまったような気がしました。ロンは椅子の脚を蹴飛ばして「何だよ?」とハーマイオニーに食ってかかりました。そしてこう言い放ったんですよね。

「僕は飢え死にしそうだ!出血多量で半分死にかけた時から食った物と云えば毒茸2本だけだぜ!」

ハリーは癇に障って「それなら君が行って吸魂鬼と戦えばいい」と言いロンは「そうしたいさ。だけど気づいてないかもしれないけど僕は片腕を吊っているんだ!」と言い返してハリーは「そりゃ好都合だな」と言いました。

それにロンが「どういう意味だ?」と返してまさにハリーとロンの間で口喧嘩が始まったその時でした。ハーマイオニーが額を強く叩いて「判った!」と叫びました。ハリーもロンも驚いて2人とも口を閉じたというわけです。

「ハリー。ロケットを私に頂戴!さあ早く」

ハリーがぐずぐずしているとハーマイオニーはハリーに向かって指を鳴らしながらもどかしそうに「分魂箱よハリー。あなたまだ下げているでしょう!」と言って両手を差し出しました。ハリーは金の鎖を持ち上げました。

ロケットがハリーの肌を離れた瞬間ハリーは解放されたように感じ不思議に身軽になりました。それまでじっとり冷や汗をかいていた事も胃を圧迫する重さを感じていた事もそういう感覚が消えた今まで気づきませんでした。

ハーマイオニーが「楽になった?」と訊いてハリーは「ああずっと楽だ!」と答えました。ハーマイオニーはハリーの前に身を屈めると重病人を見舞う時の声とはまさにこうだろうと思うような声でこう話しかけたのでした。

「ハリー取り憑かれていた。そう思わない?」

3-3.分魂箱を巡って
ハリーは「えっ?違うよ!」と答えるとむきになってこう反論しました。それを身につけている時に何をしたか全部覚えているもの。もし取り憑かれていたら自分が何をしたか分からないはずだろう?ジニーが教えてくれた。

時々何にも覚えていない事があったってジニーが話してくれた。ハリーがこう説明するとハーマイオニーは「ふーん」とロケットを見下ろしながら言いました。そこでハーマイオニーはこう提案して来たというわけですよね。

「そうね身につけないほうがいいかもしれない。テントの中に保管しておけばいいわ」

しかしハリーはきっぱりと「分魂箱をその辺に置いておくわけにはいかないよ。なくなったり盗まれでもしたら」と言いました。ハーマイオニーは「判ったわ。判ったわよ」と言うと今度はロケットを自分の首にかけました。

「だけど1人で長く身につけないように交代でつける事にしましょう」

そしてブラウスの下に入れて見えないようにするとこう言いました。するとロンが苛立つ声で「結構だ。そっちは解決したんだから何か食べる物を貰えないかな?」と言ってハーマイオニーがこう答えたというわけですよね。

「いいわよ。だけどどこか別の所に行って見つけるわ。吸魂鬼が飛び回っている所に留まるのは無意味よ」

結局3人は人里離れたぽつんと建つ農家の畑で一夜を明かす事となりました。そしてやっとその農家から卵とパンを手に入れ3人はスクランブルエッグを載せたトーストにありついたというわけです。ところがだったんですよね。

「これって盗みじゃないわよね?」

貪るようにトーストを頬張りながらハーマイオニーが気遣わしげにこう言いました。しかしこれで万事めでたし何もかもが解決というわけにはいきませんでした。ここで誰あろうロンが問題人物になってしまったんですよね。

今日の最後に
ここが問題の場面というわけですね。ドローレス・アンブリッジはヴォルデモートの分魂箱の金のロケットを身につけていたのに守護霊を創る事ができたがハリーはできなかった。ハリーは相反する行動を取ろうとしていた。

アンブリッジはマグル生まれの人々をアズカバンに送るというヴォルデモートの意に沿った行動をしていた。それに対してハリーが守護霊を創れば逆にマグルを助ける結果になるので分魂箱は邪魔をしたというわけですよね。

ハリーたちの分魂箱探しは1つ目を手に入れた所で暗礁に乗り上げる事となってしまいました。2つ目以降の分魂箱がどこにあるのかハリーは皆目見当がつかず苦心惨憺の末に獲得した分魂箱は破壊する方法が全く分りません。

でもそれは徐々にそして少しずつ情報が入って来る事になるというわけなんですよね。今言えるのはせいぜいこれだけというわけです。

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