ロンとハーマイオニーが言い争いをしているとハリーがそれを止めました。放浪の旅に出てから初めて人の話す声が聞こえて来たからです。話し声は段々大きくなって来ました。川の流れる音で会話を聞き取れないので「伸び耳」を使って聞いてみたら・・・(全3項目)

3-1.伸び耳で聞いてみたら
ハリーたち3人がグリモールド・プレイス12番地を追われてテント暮らしになってから初めて魔法使いが接近して来る事となりました。もし相手が死喰い人だったら保護呪文の守りが闇の魔術に耐えられるか初めて試されます。

話し声は段々大きくなって来ましたが川岸に到着した時にも話の内容は相変わらず聞き取れませんでした。ハリーの勘では相手は5~6メートルも離れていないようでした。しかし川の流れの音で正確な所は分りませんでした。

ハーマイオニーはビーズバッグを素早く掴んで中を掻き回し始め「伸び耳」を3個取り出してハリーとロンに投げ渡しました。ハリーとロンは急いで「伸び耳」の端を耳に押し込みもう一方の端をテントの入口に這わせました。

「ここなら鮭の2~3匹もいるはずだ。それともまだその季節には早いかな?アクシオ!鮭よ来い!」

数秒後ハリーは疲れたような男の声がこう言うのをキャッチしました。川の流れとははっきり違う水音が聞こえて捕まった魚がじたばたと肌を叩く音が聞こえて来ました。誰かがうれしそうに呟くのが聞こえて来たのでした。

ハリーは「伸び耳」を強く耳に押し込みました。川の流れに混じって他の声も聞こえて来ましたが英語ではなく今まで聞いた事のない人間ではない言葉でした。耳障りでガサガサしていて喉に引っ掛かるような言葉でした。

雑音が繋がっているようでどうやら2人います。1人はより低くゆっくりした話し方でした。テントの外で火が揺らめきました。炎とテントの間を大きな影が幾つか横切りました。鮭の焼けるうまそうな匂いが流れて来ました。

まるでテントにいるハリーたちを焦らすようです。やがてナイフやフォークが皿に触れる音がして最初に聞いた疲れたような男の声が再び聞こえて来ました。ハーマイオニーが口の形で「小鬼だわ!」とハリーに言いました。

「さあグリップフック、ゴルヌック」

小鬼たちが同時に英語で「ありがとう」と言いました。

3-2.聞き覚えのある声が続々と
別の感じのいい心地よい男の声が「じゃあ君たち3人は逃亡中なのか。長いのか?」と訊きました。ハリーにはどことなく聞き覚えのある声でした。腹の突き出た陽気な顔が思い浮かびました。疲れた男の声がこう答えました。

「6週間か。いや7週間。忘れてしまった。すぐにグリップフックと出会ってそれからまもなくゴルヌックと合流した。仲間がいるのはいいものだ」

この後は暫くは声が途切れナイフが皿を擦る音やブリキのマグを地面から取り上げたり置いたりする音が聞こえました。すると男の声が「君は何故家を出たのかねテッド?」と訊き心地よい声のテッドはこう答えたのでした。

「連中が私を捕まえに来るのは判っていたのでね。先週死喰い人たちが近所を嗅ぎ回っていると聞いて逃げたほうがいいと思ったのだよ。マグル生まれの登録を私は主義として拒否したのでね」

ハリーはとっさに声の主を思い出しました。ニンファドーラ・トンクスの父親のテッド・トンクス氏でした。テッド氏は続けて「後は時間の問題だと判っていた」とも言いました。最終的には家を離れなくてはならなかった。

奥さんは純血だから大丈夫なはずなんだそうです。それでこのディーンに出会ったのだそうです。テッド氏が「2~3日前だったかね?」と訊くとまた別の声が「ええ」と答えてハリーとロンは思わず顔を見合わせたのでした。

声は出しませんでしたが興奮で我を忘れるほどでした。それは確かに同学年のグリフィンドール生で昨年度までは同じ寝室で寝起きをしていたディーン・トーマスだったからでした。最初に聞こえた男の声がこう訊きました。

「マグル生まれか。え?」

これにディーンは「分りません。父は僕が小さい時に母を捨てました。でも魔法使いだったかどうか僕は何の証拠も持っていません」と答えました。また暫く沈黙が続き食べる音だけが聞こえましたがテッド氏が破りました。

「ダーク。君に出会って実は驚いたよ。うれしかったがやはり驚いた。捕まったと聞いていたのでね」

そのダーク氏は「その通りだ。アズカバンに護送される途中で脱走した。ドーリッシュを失神させて奴の箒を奪った。思ったより簡単だったよ。奴はどうもまともじゃないように思う」と応えると続けてこう言ったのでした。

「錯乱させられているのかもしれない。だとすればそうしてくれた魔法使いだか魔女だかと握手したいよ。多分そのお陰で命拾いした」

またもみんなが黙り込んで焚き火の爆ぜる音や川のせせらぎが聞こえました。やがてテッド氏の声が聞こえて来てこう質問をしました。テッド氏が次に声をかけたのは小鬼のグリップフックとゴルヌックの2人だったのでした。

「それで君たち2人はどういう事情かね?つまりえー小鬼たちはどちらかといえば例のあの人寄りだという印象を持っていたのだがね」

3-3.小鬼2人が逃げた事情は?
高い声の小鬼が「そういう印象は間違いです。我々はどちら寄りでもありません。これは魔法使いの戦争です」と答えました。そこでテッド氏は「それじゃ君たちは何故隠れているのかね?」とそう訊いたというわけです。

「慎重を期するためです。私にしてみれば無礼極まりないと思われる要求を拒絶しましたので身の危険を察知しました」

すると低い声の小鬼がこう答えました。そこでテッド氏が「連中は何を要求したのかね?」と訊くとその小鬼は「我が種族の尊厳を傷つける任務です。私は屋敷しもべ妖精ではない」とより荒く人間味の薄い声で答えました。

その次にテッド氏が「グリップフック。君は?」と訊くと声の高い小鬼が「同じような理由です。グリンゴッツはもはや我々の種族だけの支配ではなくなりました。私は魔法使いの主人など認知いたしません」と答えました。

ここでグリップフックが小声で何かを付け加えゴルヌックが笑いました。そこでディーンが「何がおかしいの?」と訊きました。グリップフックが小声で付け加えたのが小鬼語だったため言っている事が分らなかったのです。

「グリップフックが言うには魔法使いが認知していない事も色々ある」

少し間が空いてディーンが「よく分らないなあ」と言いました。すると今度はグリップフックは英語で「逃げる前にちょっとした仕返しをしました」と言いました。それを聞いてテッド氏はグリップフックにこう言いました。

「それでこそ男だ。あ。いや。それでこそ小鬼だ。死喰い人を1人特別に機密性の高い古い金庫に閉じ込めたりしたんじゃなかろうね?」

テッド氏が最後にした問いにグリップフックは「そうだとしてもあの剣では金庫を破る役には立ちません」と答えました。これを聞いてゴルヌックがまたも笑い今度はダークまでもが笑ってテッド氏はこう言葉を返しました。

「ディーンも私も何か聞き逃している事がありそうだね」

テッド氏のこの言葉を受けてグリップフックは「セブルス・スネイプにも逃がしたものがあります。もっともスネイプはそれさえも知らないのですが」と言いました。そして2人の小鬼は大声で意地悪く笑ったというわけです。

今日の最後に
ハリーたち3人も一瞬「自分たちを探し回っている死喰い人の一団か?」と緊張して杖を抜き待機しました。しかし近づいて来たのは敵ではなく不死鳥の騎士団のメンバーの1人テッド・トンクス氏を含む5人だったんですよね。

改めてその顔ぶれを紹介するとそのテッド・トンクス氏の他には魔法使いが2人いて1人はハリーたちと同学年のグリフィンドール生でハリーとロンは前述のように寝室が同じで寝起きを共にしていたディーン・トーマスです。

もう1人はハリーたちが魔法省に潜入した際にハリーがエレベーターでアーサー氏に責め立てられる事になったダーク・クレスウェル氏です。アズカバンに護送される途中で闇祓いのドーリッシュを失神させ逃亡中だそうです。

後の2人は小鬼のグリップフックとゴルヌックです。闇祓いのドーリッシュは昨年度ダンブルドアを尾行してその時にもダンブルドアに呪いをかけられています。さらにハリーが5年生の時もダンブルドアが呪いをかけています。

ダンブルドア軍団の活動がマリエッタ・エッジコムの密告で露見しハリーがアンブリッジに捕まって校長室に連れて来られた時にキングズリー・シャックルボルトと共にいたのがこのドーリッシュという闇祓いだったのです。

ドーリッシュに「錯乱の呪文」をかけたのは実は不死鳥の騎士団でした。ハリーは17才になる前の晩すなわち7月30日の夜中まではプリベット通り4番地から動かないという偽情報を仕込む際にかけたというわけなんですよね。

これからこの「5人」がハリーたちに情報満載の会話を聞かせてくれます。
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