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ハリポタ通の館(やかた)

ここではハリーポッター・シリーズに関する様々な情報や私の推測(妄想?)をお届けしています。毎週、日曜・月曜・水曜・木曜更新。

ハーマイオニーは自分が貸した自身の杖でハリーに呪いをかけられるのではと怯えていました。しかしハリーが怒りの炎を燃え上がらせていたのはハーマイオニーではなくダンブルドアに対してでした。その怒りは他の一切の感情を消し去るほどの凄まじさでした。(全3項目)

3-1.柊と不死鳥の杖をモークトカゲの巾着袋に
太陽が顔を出しました。ハリーの事などお構いなしにハリーの苦しみなど知らぬげに澄み切った透明な空が頭上一杯に広がっています。ハリーはテントの入口に座って澄んだ空気を胸一杯吸い込んだというわけなんですよね。

雪に輝く山間から昇る太陽を生きて眺められるという事だけでもこの世の至宝を得ていると考えるべきなのでしょう。しかし今のハリーにはそれを有難いと思う余裕はありませんでした。柊と不死鳥の杖を失ったからでした。

杖を失った惨めさで意識のどこかが傷ついていました。ハリーは一面の雪に覆われた谷間を眺めて輝く静けさの中を響いて来る遠くの教会の鐘の音を聞いていました。ハリーは無意識に指を両腕に食い込ませていたのでした。

それは杖を失った痛みを肉体的な痛みに替えて耐えようとしているかのようでした。ハリーはこれまでも数え切れないほど何度も血を流して来ました。右腕の骨を全部失った事もありました。この旅が始まってからもでした。

手と額の傷痕に胸と腕の新しい傷が加わりました。しかし今ほど致命的に弱ったと感じた事はありませんでした。まるで魔法力の一番大切な部分をもぎ取られたようでハリーは無防備で脆くなってしまったように感じました。

しかしこんな事を少しでも打ち明けたらハーマイオニーは何と言うかハリーにははっきり判っていました。杖は持ち主の魔法使い次第だと言うに決まっている。でもハーマイオニーは間違っている。自分の場合は違うのだ。

杖が羅針盤の針のように回って方向を示したり敵に向かって金色の炎を噴射したりする感触をハーマイオニーは感じた事がないのです。ハリーは双子の尾羽根の護りを失いました。失ってみてハリーは初めて思い知りました。

自分はどんなに杖に頼っていたのかをです。ハリーは2つに折れた杖をポケットから引っ張り出し目を背けたまま首に掛けたハグリッドから17才の誕生日に貰ったモークトカゲの巾着袋に仕舞い込みました。その時の事でした。

巾着袋はもうこれ以上入らないほど壊れた物や役に立たない物で一杯になっていました。袋の外からハリーの手が「あの」ダンブルドアから遺贈された古いスニッチに触れました。スニッチを取り出し投げ捨ててしまいたい。

一瞬ハリーはそういう衝動と戦わなくてはなりませんでした。こんな物は不可解で何の助けにもならず役にも立たない。ダンブルドアが残してくれた物は他の物も全部同じとハリーはそう思ってしまったというわけですよね。

3-2.ハーマイオニーがハリーに差し出した本
ダンブルドアに対する怒りが今や溶岩のように噴き出してハリーを内側から焼いて他の一切の感情を消し去るほどでした。自分たちは追い詰められた気持ちからゴドリックの谷にこそ答えがあるものとそう思い込もうとした。

自分たちはそこに戻るべき運命にあるのだと思い込もうとした。切羽詰った気持ちからそれこそがダンブルドアの敷いた秘密の道の一部なのだと自らに信じ込ませたのだ。しかし地図もなければ計画も用意されていなかった。

ダンブルドアは自分たちに暗闇を手探りさせ想像を絶する未知の恐怖と孤立無援で戦う事を強いた。何の説明もなくただでは何も与えて貰えずその上に剣もなく今やハリーには杖もない。それだけではなかったんですよね。

さらにハリーはあの盗っ人の写真を落としてしまいました。ヴォルデモートにとってはあの男が誰かを知るのは容易い事に違いない。ヴォルデモートはもう全ての情報を握った。ハリーはそう思ってしまったというわけです。

一方ハーマイオニーは自分が貸した杖でハリーに呪いをかけられるのではと怯えているようでした。涙の跡が残る顔でハーマイオニーはハリーの脇にうずくまりました。震える両手に紅茶のカップを2つ持っていたのでした。

腋の下に何か大きな物を抱えています。ハリーは紅茶を受け取りながら「ありがとう」と言いました。ハーマイオニーが「話してもいいかしら?」と言うのでハリーはその気持ちを傷つけたくないので「ああ」と答えました。

「ハリーあなたはあの写真の男が誰なのか知りたがっていたわね。あの私。あの本を持っているわ」

ハーマイオニーは恐る恐るハリーの膝に本を押しつけました。それは真新しい「アルバス・ダンブルドアの真っ白な人生と真っ赤な嘘」でした。ハリーが「どこで。どうやって?」と訊くとハーマイオニーはこう答えました。

「バチルダの居間に置いてあったの。本の端からこのメモが覗いていたわ」

黄緑色のとげとげしい文字で書かれた数行のメモをハーマイオニーが読み上げました。お手伝いいただいて有難うございました。ここに1冊献本させていただきます。気に入っていただけるといいのだが覚えてないでしょう。

あなたは何もかも言ってくれたんですよとそのメモには書いてありました。リータ・スキーターが書いたメモを読み上げたその後にハーマイオニーはハリーに向かって自分の見解をこのように言ったというわけなんですよね。

「この本は本物のバチルダがまだ生きていた時に届いたのだと思うわ。でも多分読める状態ではなかったのじゃないかしら?」

ハリーは表紙のダンブルドアの顔を見下ろして「多分そうだろうな」と答えながら残忍な喜びが湧き上がるのを感じました。知られる事を望んだかどうかは別にして自分に話そうとしなかった全てが今や自分の手の中にある。

「まだ私の事をとても怒っているのね?」

ハーマイオニーがこう言って来てハリーが顔を上げるとハーマイオニーの目からまたも新たな涙が流れ落ちる所でした。そんなハーマイオニーにハリーは「違うよ」と静かに言うとこうも言ってハーマイオニーを慰めました。

「ハーマイオニー違うんだ。あれは事故だったって判っている。君は僕たちがあそこから生きて帰れるように頑張ったんだ。君は凄かった。君があの場に助けに来てくれなかったら僕はきっと死んでいたよ」

涙に濡れたハーマイオニーの笑顔にハリーは笑顔で応えようと努めそれから本に注意を向けました。背表紙はまだ硬く本が一度も開かれていないのは明らかでした。ハリーは例のあの写真を探してページをめくったのでした。

探していた1枚はすぐに見つかりました。若き日のダンブルドアがハンサムな友人と一緒に大笑いしています。どんな冗談で笑ったのかは追憶の彼方です。写真の説明を見るとハリーは暫く最後の文字をまじまじと眺めました。

「アルバス・ダンブルドア-母親の死後間もなく友人のゲラート・グリンデルバルドと」

グリンデルバルド。友人のグリンデルバルド。横を見るとハーマイオニーも自分の目を疑うようにまだその名前を見つめていました。そしてゆっくりとハリーを見上げて「グリンデルバルド?」と言ったというわけですよね。

3-3.ハリー「より大きな善のために」の章を読む
ハリーは他の写真は無視してその写真の前後のページをめくってその決定的な名前がどこか他にも書かれていないかどうかを探しました。名前はすぐに見つかりハリーはそこを貪り読みましたが何の事だか分りませんでした。

もっと前に戻って読まないと全く意味が分りません。結局ハリーは「より大きな善のために」という題名がついているその章の冒頭に戻っていました。そこでハリーはハーマイオニーと一緒にその章を読み始めたんですよね。

18才の誕生日が近づきダンブルドアは数々の栄誉に輝いてホグワーツを卒業しました。首席に監督生に秀でた呪文術へのバーナバス・フィンクリー賞受賞にウィゼンガモット最高裁への英国青年代表などだったんだそうです。

カイロに於ける国際錬金術会議での革新的な論文による金賞受賞というのもありました。次にダンブルドアは在学中に腰巾着になったのろまながらも献身的なエルファイアス・ドージと伝統の卒業世界旅行に出る計画でした。

ロンドンの「漏れ鍋」に泊った2人の若者が翌朝ギリシャへの出発に向け準備していると一羽のふくろうがダンブルドアの母親ケンドラの訃報を運んで来ました。エルファイアス・ドージは本書へのインタビューを拒みました。

しかし彼自身はその訃報の後に起こった事についての感傷的な一文を公にしています。ドージはケンドラの死を悲劇的な痛手と表現してダンブルドアが遠征を断念したのは気高い自己犠牲の行為であったとそう主張している。

しかしリータ・スキーターはそうではないと言いたいようですね。確かにダンブルドアはすぐさまゴドリックの谷に帰った。弟と妹の面倒を見るというのがその理由であるはずだった。実際にはどれだけ世話を焼いたのか?

「あの子はイカレポンチでしたよ。あのアバーフォースって子は」

当時ゴドリックの谷の郊外に住んでいたイーニッド・スミークはこう言う。アバーフォースは手に負えない子だったんだそうです。もちろん父親も母親もいない子だから普通なら不憫に思うはずなのだが違ったのだそうです。

アバーフォースはこのイーニッド・スミークの頭に頻繁に山羊の糞を投げつけるような子だった。しかしアルバスはこの弟の事をあまり気にしている風ではなかった。とにかく2人が一緒にいる所を一度も見た事がなかった。

暴れ者の弟をなだめていなかったのならアルバスは何をしていたのだろう?どうやらその答えは引き続き妹をしっかり監禁していたという事のようだとリータ・スキーターはそう言うのです。最初の見張り役の母親は死んだ。

でも妹のアリアナ・ダンブルドアの哀れな状態は変わらなかった。この妹の存在さえアリアナが「蒲柳の質」だという話を間違いなく鵜呑みにするドージのような少数の者を除いては外部に知られていなかったんだそうです。

もう1人家族ぐるみの付き合いがあってこれも簡単に丸め込まれる友人に長年ゴドリックの谷に住む名高い魔法史家のバチルダ・バグショットがいるんだそうです。村に移った家族をバチルダは歓迎しようとしたのだそうです。

ケンドラは言うまでもなく最初は拒絶した。しかし数年後「変身現代」に掲載された「異種間変身」の論文に感心したバチルダがホグワーツのアルバスにふくろう便を送ったのがきっかけで家族全員との付き合いが始まった。

今日の最後に
当サイトではシリウスとセブルス・スネイプの2人の唯一の共通する性格として「好きになった人の事はとことん好きになるが嫌いになった人の事もとことん嫌いになる」という事を過去に指摘して取り上げた事がありました。

実はハリーもそうなんですよね。ハリーがとことん好きになった人はチョウ・チャンにジニー・ウィーズリーとそのシリウスの3人が挙げられます。嫌いなほうはコーマック・マクラーゲンにセブルス・スネイプの2人ですね。

そして今回はアルバス・ダンブルドアというわけです。モークトカゲの巾着袋に入ったダンブルドアの遺贈品の金のスニッチを取り出し投げ捨ててしまいたい衝動に駆られその気持ちと必死に戦わなくてはなりませんでした。

ハーマイオニーはハリーが燃やすその怒りが自分に対する気持ちと思い込み怯えていました。さらにリータ・スキーターの著書「アルバス・ダンブルドアの真っ白な人生と真っ赤な嘘」はさらに拍車をかける事になりました。

ハリーのアルバス・ダンブルドアに対する怒りは最高潮に達する事になるのです。そんな内容が書かれていたんですよね。

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