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遠くで誰かが自分を呼んだような気がしてハリーは目が覚めた。誰かが外を動き回っている音が聞こえたような気がしてしょうがない。一度か二度人影を見たような気もするとハーマイオニーが言った。そこで2人はグロスター州のディーンの森に移動して来ました。そこが問題の場所だったのです。(全3項目)

3-1.何やら人の気配?
真夜中に見張りをハーマイオニーと交代した時には雪が降り出していました。ハリーは心が掻き乱される混乱した夢を見ました。ナギニが最初は巨大な割れた指輪から次はクリスマス・ローズの花輪から出入りする夢でした。

あれだけの事があって危うくヴォルデモートに捕まる所だったのですからハリーがそれを引きずるのは当然でしょう。遠くで誰かが自分を呼んだような気がしたりテントをはためかせる風を足音か人の声と勘違いもしました。

ハリーはそのたびにどきっとして目を覚ましました。そしてとうとう暗い内に起き出したハリーはハーマイオニーの所に行きました。ハーマイオニーはテントの入口にうずくまって杖灯りで「魔法史」を読んでいたのでした。

雪はまだ深々と降りハリーが早めに荷造りして移動しようと言うとハーマイオニーは安堵したように受け入れ「どこかもっと雨露を凌げる所に行きましょう」と言いパジャマの上にトレーナーを着て震えながら賛成しました。

「誰かが外を動き回っている音が聞こえたような気がしてしょうがなかったの。一度か二度人影を見たような気もしたわ」

ハーマイオニーがこう言うのでハリーはセーターを着込む途中で動きを止めるとテーブルの上の「かくれん防止器」をちらっと見ました。しかし動きもなく静かでした。ハーマイオニーは不安そうな顔でこう言ったのでした。

「きっと気のせいだとは思うけど闇の中の雪って見えない物を見せるから。でも念のために透明マントを被ったまま姿くらまししたほうがいいわね?」

3-2.見張りを続けていて
30分後テントを片付けハリーは分魂箱を首に掛けハーマイオニーはハリーとビーズバッグを握り締めて2人は「姿くらまし」しました。ハリーの足は雪面を離れたかと思う内に固い地面を打ちました。近い所だったんでしょう。

木の葉に覆われた凍結したような地面を見てハリーはハーマイオニーに「ここはどこ?」と訊きました。そこは今までとは違う木々の生い茂った場所でハリーは思わず目を凝らして見回してしまったというわけなんですよね。

「グロスター州のディーンの森よ。一度パパやママと一緒にキャンプに来た事があるの」

ビーズバックを開いてテントの柱を引っ張り出しながらハーマイオニーはハリーの問いかけにこう答えました。ここでもあたり一面の木々に雪が積もって刺すような寒さでしたが少なくとも風からは護られていたのでした。

2人はほとんど1日中テントの中でハーマイオニーが得意にしている明るいリンドウ色の炎の前にうずくまり暖を取りながら過ごしました。この炎は広口瓶にすくい取って運べるという便利な物だったというわけなんですよね。

束の間ながらハリーは患っていた重い病気から立ち直ろうとしているような気分でした。ハーマイオニーが細かい気遣いを見せてくれる事でますますそんな気になりました。午後には再び雪が舞って新雪で覆われたのでした。

ハリーとハーマイオニーのいる木々に囲まれた空き地も粉を撒いたように雪で覆われました。二晩ほとんど寝ていなかったせいかハリーの感覚はいつもよりも研ぎ澄まされていました。ゴドリックの谷から逃れはできました。

しかしあまりにも際どい所だったためにハリーはヴォルデモートの存在がより恐ろしいものに感じられました。その日も暮れかかった時でした。見張りを交代するというハーマイオニーの申し出をハリーは断ったんですよね。

ハリーはハーマイオニーに寝るようにと促しました。ハリーはテントの入口に古いクッションを持ち出して座り込みありったけのセーターを着込んだのにも関わらずまだ震えていました。刻一刻と闇が濃くなって行きました。

とうとう何も見えなくなるほど暗くなりました。ハリーは暫くジニーの動きを眺めたくて「忍びの地図」を取り出そうとしましたがジニーはクリスマス休暇で自宅の「隠れ穴」に戻っている事に気づいたというわけですよね。

広大な森ではどんな小さな動きも拡大されるように思えました。森は生き物で一杯だという事は判っている。でも全部動かずに静かにしていてくれればいいのにとハリーは思いました。2つの音を区別できないというわけです。

それは動物が走ったり徘徊したりする無害な音と他の無気味な動きを示す物音の2つというわけです。ハリーは何年も前に落ち葉の上を引きずるマントの音を聞いた事を思い出し途端にまたその音を聞いたような気がしました。

しかしその予感は頭の中から振り払いました。自分たちのかけた保護呪文は最近何週間もずっと有効だった。今更破られるはずはないじゃないかとそう思ったからです。しかし今夜は何かが違うという感じを拭いきれません。

3-3.白銀の牝鹿
ハリーはテントにもたれおかしな角度に体を曲げたまま寝込んでしまい首が痛くなって何度かぐいと体を起しました。ハリーは深い夜の帳の中で「姿くらまし」と「姿現わし」の中間にぶら下がっているような気がしました。

そんな事になっていれば指は見えないはずだと思い目の前に手をかざして見えるかどうかを確かめてみました。ハリーがそんな事をしている時でした。目の前に明るい銀色の光が現れたかと思うと木立の間を動いたのです。

光の正体は分りませんが音もなく動いています。光はただハリーに向かって漂って来るように思えました。ハリーは即座に立ち上がってハーマイオニーの杖を構えました。ハリーの声は極度の緊張で喉元で凍りついています。

真っ黒な木立の輪郭の陰で光は眩いばかりに輝き始めハリーが目を細めるほどです。その何物かはますます近づいて来て1本のナラの木の小陰から光の正体が歩み出て来ました。明るい月のように眩しく輝く白銀の牝鹿でした。

音もなく新雪の粉雪に蹄の跡も残さず牝鹿は一歩一歩進んで来ました。睫毛の長い大きな目をした美しい頭をすっと上げハリーに近づいて来ます。ハリーは呆然と牝鹿を見つめました。見知らぬ生き物だからではありません。

何故かこの牝鹿を知っているような気がしたからです。この牝鹿と会う約束をしてずっと来るのを待っていたのに今までそれを忘れていたような気がハリーはしました。さっきまではハーマイオニーを呼ぼうとしていました。

しかしその強い衝動は消えてしまいました。間違いない。誰が何と言おうともこの牝鹿は自分の所に来たのだ。そして自分の所だけに来たのだとハリーはそう思いました。この後に驚愕する事が立て続けに起きたのでした。

今日の最後に
遠くで誰かが自分を呼んだような気がしてハリーは目が覚めた。誰かが外を動き回っている音が聞こえたような気がしてしょうがなかった。一度か二度人影を見たような気がしたとハーマイオニーが言った。そこで移動した。

これらは決してハリーにハーマイオニーの勘違いでも杞憂でもなく実はロンが2人のいるテントの周りを動き回ってハリーの名前を呼んだりハリーとハーマイオニーを探していたんですよね。2人の予感は当たっていたのです。

さらに当然ハリーとハーマイオニーは知らなかったのですがビーズバッグの中ではフィニアス・ナイジェラス・ブラックが聞き耳を立てハーマイオニーが今来た所はグロスター州のディーンの森だと言うのを聞いていました。

そこで肖像画のダンブルドア校長が命じてセブルス・スネイプはディーンの森にやって来ました。何故かこの牝鹿を知っているような気がする。スネイプが創り出した牝鹿の守護霊だからハリーはそんな気がしたんですよね。

この白銀の牝鹿に導かれてハリーが行った先では驚愕の出来事が次々と起こる事になるんですよね。
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