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見張りを交代するというハーマイオニーの申し出を断りハリーは見張りを続けました。すると何とハリーの前に白銀の牝鹿が姿を現しました。ほんの一瞬だけ躊躇しましたがハリーは去り行く牝鹿を追う事にしました。するとハリーが行った先で驚愕の出来事が待ち受けていました。(全3項目)

3-1.牝鹿を追って行ったら
牝鹿とハリーは暫くの間互いにじっと見つめ合っていました。それから牝鹿はおもむろに向きを変え去り始めました。ハリーは牝鹿に向かって「行かないで」と言いました。ずっと黙っていたのでハリーの声はかすれました。

ハリーは「戻って来て!」と呼びかけましたが牝鹿は木立の間を歩み続けました。やがてその輝きに黒く太い木の幹が縞模様を描き始めました。罠かもしれない。危ない誘いかもしれない。ハリーはほんの一瞬躊躇しました。

慎重さが囁きかけました。しかし直感それも圧倒的な直感がこれは闇の魔術ではないとハリーに教えていました。そこでハリーは意を決して白銀の牝鹿を追い始めました。ハリーの足下では積もった雪が軽い音を立てました。

しかし木立を縫う牝鹿はあくまでも光で物音1つ立てません。牝鹿はハリーをどんどん森の奥へ誘いました。ハリーは足を速めつつ牝鹿が立ち止まった時こそ自分が近づいても良いという合図に違いないとハリーは思いました。

そして牝鹿が口を開いた時にその声が自分の知るべき事を教えてくれるに違いないとハリーは思いました。ついにその時がやって来て牝鹿が立ち止まりました。そしてその美しい頭をハリーにもう一度向けて来たんですよね。

知りたさにハリーは胸を熱くして走り出しました。ところがハリーが口を開いた途端に牝鹿は消えてしまいました。牝鹿の姿はすっぽり闇に飲まれてしまいました。しかし輝く残像はハリーの網膜に焼き付いていたのでした。

目がチカチカして視界がぼやけ瞼を閉じたハリーは方向感覚を失いました。それまでは牝鹿が安心感を与えてくれていました。でも今や恐怖が襲って来ました。ハリーは「ルーモス」と小声で唱えて杖先に灯りを点しました。

3-2.どうしてこんな所に?
瞬きをする毎に牝鹿の残像は薄れて行きました。ハリーはその場に佇んで遠くの小枝が折れる音やサラサラという雪の音などの森の音を聞きました。白銀の牝鹿はここで待ち伏せをするために自分を誘い出したのだろうか?

今にも誰かが襲って来るのではないか?杖灯りの届かない所に立っている誰かが自分を見つめているように感じるのは気のせいだろうか?ハリーは杖を高く掲げました。しかし何人もハリーを襲って来る気配はありません。

木陰から飛び出して来る緑の閃光もありません。それなら何故牝鹿は自分をここに連れて来たのだろうとハリーは思いました。すると杖灯りで何かが光りました。ハリーは即座に後ろを向きましたが小さな池があるだけです。

池の表面は凍っていました。よく見ようと杖を持ち上げると暗い池の凍った表面が割れて光っています。ハリーは用心深く近づくと池を見下ろしました。氷がハリーの歪んだ姿を映して杖灯りを反射して光っていたのでした。

灰色に曇った厚い氷のずっと下で何か別の物がキラリと光りました。大きな銀色の十字でした。ハリーの心臓が喉元まで飛び出しました。池の縁にひざまずいて池の底にできるだけ光が当たるようにハリーは杖を傾けました。

深紅の輝き。柄に輝くルビーを嵌め込んだ剣。グリフィンドールの剣が森の池の底に横たわっていました。ハリーはほとんど息を止めて剣を覗き込みました。どうしてこんな事が?自分たちが野宿しているこの場所に何故?

テントからこんなに近い場所にある池に剣が横たわっているなんてどうして?未知の魔法がハーマイオニーをこの地点に連れて来たのだろうか?それとも自分が守護霊だと思った牝鹿はこの池の守人という事なのだろうか?

もしかして自分たちがここにいると知って2人が到着した後にこの池に剣が入れられたのだろうか?だとしたら剣を自分に渡そうとした人物はどこにいるのだ?ハリーはもう一度杖を周りの木々や灌木に向けたというわけです。

人影はないか?目が光ってはいないか?と探しましたが誰の姿も見えませんでした。それでもやはりハリーは凍った池の底に横たわる剣にもう一度目を向けながらも高揚した気持ちの中に一抹の恐怖が膨らむのを感じました。

ハリーは杖を剣に向けて「アクシオ剣よ来い」と呟くように唱えました。しかし剣は微動だにしません。ハリーも動くとは期待していませんでした。そんなに簡単に動くぐらいなら剣は凍った池の底に置かれていないだろう。

自分が拾い上げられるような地面に置かれていただろうとハリーは思ったからです。ハリーは以前に剣のほうから自分の所に現れた時の事を必死に思い出しながら池の周囲を歩き始めました。あの時自分は救いを求めていた。

恐ろしく危険な状況に置かれていたからだ。ハリーは「助けて」と呟きました。しかし剣は無関心にじっと池の底に横たわったままでした。ハリーはグリフィンドールの剣をどうしたら手に入れられるのか懸命に考えました。

3-3.剣を手に入れるために
自分が剣を手に入れたあの時ダンブルドアは何と言ったっけ?ハリーは再び歩きながら思い出そうとしました。真のグリフィンドール生だけが組み分け帽子から剣を取り出してみせる事ができるとダンブルドアは言いました。

そしてグリフィンドール生を決める特質は何だったんだろう?ハリーの頭の中で小さい声が「勇猛果敢な騎士道で他とは違うグリフィンドール」と答えました。ハリーは立ち止まり長い溜息をついたというわけなんですよね。

白い息が凍りついた空気の中に瞬時に散って行きました。何をすべきかハリーには判っていました。ハリーの偽らざる気持ちは実はハリーは最初に氷を通して剣を見つけた時からこうなるのではないかと考えていたのでした。

ハリーはもう一度周りの木々をぐるりと眺めると今度こそ自分を襲う者は誰もいないと確信しました。そのつもりなら自分が1人で森を歩いていた時に襲うチャンスはあったし池を調べていた時にも十分にその機会はあった。

今ハリーが激しく躊躇しているのはこれから取るべき行動があまりにも気の進まない事だからです。寒さで思うように動かない指でハリーは1枚1枚服を脱ぎ始めました。こんな事をしてどこが「騎士道」だとそう思いました。

ハリーは恨みがましく考えました。ハリーには確信が持てませんでした。もっともハーマイオニーを呼び出し自分の代わりにこんな事をさせないというのがせめてもの騎士道なのかもしれないとハリーはそう思ったのでした。

ハリーが服を脱いでいるとふくろうがどこかで鳴きました。ハリーはヘドウィグを思い出して胸が痛みました。今やハリーは歯の根も合わないほどに震えていましたが最後の1枚を残して裸足で雪に立つ所まで脱ぎ続けました。

そして池の氷にハーマイオニーの杖を向けました。

今日の最後に
ハリーは今回のこの時からおよそ4か月後の5月初めに肖像画のダンブルドアとセブルス・スネイプの間でどのようなやり取りが交わされ自分にグリフィンドールの剣がグロスター州のディーンの森で渡されたのかを知ります。

ハリーとハーマイオニーの居場所が判明してダンブルドアはスネイプに必要性と勇気という2つの条件を満たした時にのみ剣が手に入るという事を忘れないようにとスネイプに言いましたが具体的な手渡し方法は任せましたね。

さらに剣を渡したのがスネイプだという事をハリーに知られてはならないとも言っていますね。ヴォルデモートが開心術でハリーの心を読んでそれを知ったらスネイプは生きてはいられないという事になってしまうからです。

要はダンブルドアはハリーが1人で安々と剣を手に入れてしまっては困るというわけです。ハリーとロンを引き合わせるためにはそれが必須条件なんですよね。ハリーにとってはこの後に第2の驚愕の出来事が待ち受けています。

それも白銀の牝鹿を大幅に上回る半端ないほどの驚愕の出来事になるんですよね。
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